7 / 100
007 グレイウルフ
しおりを挟む
奴等との距離は25から30メートル、ちょっと遠いが2/100も魔力を込めれば届きそうなので試してみる。
両足を踏ん張り、必死の形相で詠唱している足下に大きなリングを作り絞り上げる。
何が起きたのか判らず、転倒して藻掻いている。
出来るじゃない! やっぱり俺って、やれば出来る子なのね。
自信を持って、残る二人の足もリングを作って締め上げると転倒して藻掻いている。
振り返ると、魔法使い達の異変にグズネスが怪訝な顔をして見ている。
次はバリアを攻撃している奴等の背後に、一回り大きなリング状の障壁を立てて可視可してやる。
同時に俺の籠もるバリアも、1.5メートル程度を可視化する。
背後に高さ5メートル以上の灰色の壁が出現し、俺との間にも壁の存在を誇示する灰色の壁に驚いている。
「グズネス残念だが、転移魔法使いは役に立たなかった様だぞ」
「てめぇ~、何故ピンピンしていやがる! 後ろの魔法使い共に何をした!」
「残念だねぇ~、お前の知らない魔法も有るんだよ♪」
可愛くウインクをして、音符付きで答えてやる。
取り敢えずグズネス達を放置して、バリア内で倒れている奴らを縛り上げ、リングをキャンセルして詠唱出来ない様に口を蹴りつける。
前歯が飛び散り、唇が裂けて血塗れになる男達・・・グロいねぇ。
魔法使いは生きてるかな? どうでも良いので後回しにする事に。
グズネス達に向き直ると、背後に出来た結界を壊す為に必死で攻撃している。
「グズネス、お前等如きに破れる結界じゃないよ」
俺の結界は対戦車砲弾も受け付けないイメージの産物だ、ロングソードや斧如きで壊れるものか。
〈出せっ! この糞ガキが、犯すぞ!〉
「いっや~ん、恐いわぁ~♪」
女になって初めてのぶりっ子が、おっさんの団体相手とはねぇ。
しかも女言葉の練習なんてしてないので、棒読みになってしまった。
ヤラセンの里に到着してから感じていた、舐め回す様な視線と不遜な態度の集団。
身を守る為に結界魔法を色々と工夫し、攻撃にも使える様にしていて正解だった。
でも、一番の正解は身体の周囲を守るシールドだな。
騒ぐグズネス達の足を次々と拘束し、足を締め付ける見えない何かを外そうと藻掻く奴等の腕もリングで締め付ける。
可視可した結界を透明に戻し、周囲に人影の無い事を確認してからドームの結界のみをキャンセルする。
アクティブ探査も遠くの野獣以外は、倒れている魔法使い三人しか感知出来ない。
〈アキュラ 此をやったのはお前か? 外しやがれ!〉
〈小娘が、己一人で俺達に勝てるつもりか!〉
〈糞ッ、誰だよ、結界を張るしか能の無い小娘だと言った奴は〉
「煩いよ、あんまり騒ぐと手足を縛って森に放置するよ」
足を拘束した魔法使いが二人、這いずって逃げようとしている。
赤ちゃんみたいにズリ這いをしているので、魔法使いの元に駆け寄り腕を踏みつける。
〈ボキッ〉って音がした様だが気にしない。
腕を拘束し、足のリングをキャンセルして立たせるとグズネス達の所に連れて行く。
諦め顔の一人は青い顔をして震えているが容赦はしない。
総勢20人を一纏めにし、改めてバリアを張り視界以外の音も遮断する。
魔法使い三人の内の一人、青い顔で震えている男から尋問だ。
「俺をどうする気だったんだ? 痛い思いをしたくなければ早めに喋れよ」
〈ゴラン、余計な事を喋ったらどうなるか判っているよな〉
外野が煩いので、脅しを掛けた男の口を蹴りつけて喋れなくする。
血塗れの口で呻く男を見ても、怯えや罪悪感嫌悪感も無し。
オルセン達と狩りに行き野獣との戦闘や解体を見てきたからか、それとも元々非情な性格なのか判らないが、怯えなくて済むってのは有り難い。
此からやる事に、躊躇しないで済むのは助かる。
後ろでブツブツ言っている奴が居るので振り返ると、ファイアーボールが浮かんでいる。
次の瞬間目の前が真っ赤になり吹き飛ばされたが、バリアに当たって止まる。
本日2度目のシールドによる防御、口さえ動けば魔法を撃てると学習した。
ファイアーボールで吹き飛ばされたが、何事も無くしれっとした顔で立ち上がる俺を見て、震える男と向き合う。
「見ろよ、結界内でファイアーボールなんて打つから、みんな火の粉で大火傷をしているじゃないの」
〈何故・・・何故お前は何とも無いんだ?〉
「さぁ~、どうしてでしょうねぇ~♪ 精霊の加護じゃ無いのかな♪」
〈悪かったよ。誘いに乗った俺が馬鹿だった。今からお前の、あんたの下につくから勘弁してくれ〉
「ん、俺の下につくっての? なら何故俺を襲ったのか喋れよ」
至近距離でファイアーボールが爆発した巻き添えで、大火傷をして呻く仲間達を見て言い淀む。
「喋らないのなら俺の下につくってのは嘘だな。見ろよ、間抜けなお前がファイアーボールを射ったせいで、大火傷をした連中が睨んでいるぞ」
言い淀む男をバリアから外に蹴り出し、手足の腱を切り服を切り裂き素っ裸にして放置する。
痛みで〈ギャアギャア〉と騒いでいた男が、何が起きるのか察して必死に頭を下げ謝罪するが、知った事か!
バリア内に戻り、魔法使い二人を詠唱できない様に口を蹴り潰す。
ゴランと呼ばれた男の所に行くが、俺の目の前にいた為に焼け爛れて死んでいた。
ゴランに口止めをした男の前にしゃがみ、マジックバッグから怪我の回復ポーションを取り出し振って見せる。
「アキュラちゃん特製、怪我の回復ポーションだよ。里の薬師、エブリネ婆さんの折り紙付きだよぉ~、いる♪」
長老から紹介された薬師のエブリネ婆さんは、精霊の見える人で俺に薬師の仕事を色々教えてくれた。
解熱薬の作り方から怪我や疲労回復ポーション、魔力回復ポーションまで何一つ隠さず教えてくれた。
そのお返しに、里の周辺に生える貴重な薬草を含む、大量の薬草を渡した。
序でに薬草保存用のマジックバッグの容量拡大と、時間遅延もしっかりしてあげた。
今では3/90と、そこそこの性能のマジックバッグになっている。
勿論、長老達にも内緒にする約束をしてからだけど。
因みに3/90、3m角27㎥の容量と90倍時間遅延のマジックバッグだ、時間遅延効果が高いので金貨数百枚の価値があると言っていた。
ボーションの蓋を取り、細い管を差し込み吹き口を咥えて火傷をしている顔に吹きかける。
管の上部の気圧が下がりポーションが上に上がって霧状になり男の顔に降りかかる。
いきなり霧吹きでポーションを吹きかけられて、顔を顰めているが火傷は綺麗に治っていく。
吹きかけたポーションの残りを口に流し込み暫く待つと傷が治り・・・飛び散った歯は無理か。
初級ポーションでこの性能はエブリネ婆さん曰く、中級ポーションとしても十分通用すると言われた。
「どうせ治すのなら、治癒魔法で治してくれよ。上位クラスの腕前だと聞いてるぜ」
「前歯が無くて、良く聞こえないぞ。質問に答えないのなら、表に放り出した奴の横に並ぶ事になるけど、どうする?」
そう言うと、ちらりとバリアの外で横たわる男を見て鼻で笑う。
「あんな雑魚と同じだと思うなよ。それにグズネス達を敵に回すって事は、ヤラセンの里で安心して暮らせなくなるぞ」
「そうなの、どうでも良いけどね」
薄ら笑いを浮かべる男の口の中に、小さなフレイムを出現させる。
〈グワッァァァー〉口の中が火事になり悲鳴を上げるが、フレイムって通常10秒くらい燃えているから相当熱いだろうなぁ。
薪に火をつけるフレイムも使い方次第、魔力を込めれば立派な武器になるんだよ。
ファイアーボールの様に飛ばないし、精々10メートルくらいの範囲内だけど身を守る為とか拷問にうってつけなのさ。
フレイムが消えてハアハア言っている男の耳の穴に、再びフレイムをお見舞いする。
〈ギャァァァ ァァ〉悲鳴を上げて転げ回っているが10秒間の拷問。
魔力を込めれば時間延長出来るが、殺したい訳では無いのでそこまでしない。
呻き声を上げて横たわる男を、青い顔をした仲間達が見つめている。
素っ裸で放り出した男が、ジタバタと変な動きをしている。
みるとウルフの群れが現れている。
透明なバリアだが煩いので音声を遮断していたが、見せしめの為に何が起きるのか聞こえる様にする。
〈たっ、助けてくれ・・・お願いだ、死にたくない〉
「見ろよ、お仲間の最期だ、しっかり見届けてやれよ。もっとも俺の質問に答えなければ、直ぐに後を追う事になるけどな」
そう奴等に告げてから、二人目の犠牲予定者の衣服を切り取る。
〈ギャアァァァ・・・助けてぇぇ・・・止めろ、喰わないでくれぇぇぇ・・・止めて・・・〉
断末魔の声が啜り泣きになり、直ぐに静かになると肉を喰い千切り餌を巡って争う、グレイウルフの唸り声だけになる。
透明なバリアの直ぐ外、凄惨な光景に冷や汗を流しながら黙って見ている男達。
素っ裸にした男をバリアの直ぐ傍へと蹴り飛ばすと、バリアを引っ掻いていたグレイウルフが集まって来る。
「お前達、結界を小さくしてその男を放り出すが、其処に居ると一緒に喰われるぞ」
そう警告してやると、リングに締め上げられた身体で必死に俺の周囲に集まって来る。
素っ裸の男も必死で俺の所に向かって来るが、残念、既に新たなバリアを展開済みだ。
皆に見える様に、新たなバリアを視覚化してから外部のバリアをキャンセルする。
〈糞ッ・・・覚えていやがれ!〉 〈ウゴォォォ〉 〈止めろっ・・・〉
おー、中々の根性と覚悟だが、俺って物覚えが悪いので直ぐに忘れてしまうからね。
バリボリ骨を噛み砕く音の間に何やら聞こえて来たが、直ぐに静かになりグレイウルフの咀嚼音だけが聞こえる。
両足を踏ん張り、必死の形相で詠唱している足下に大きなリングを作り絞り上げる。
何が起きたのか判らず、転倒して藻掻いている。
出来るじゃない! やっぱり俺って、やれば出来る子なのね。
自信を持って、残る二人の足もリングを作って締め上げると転倒して藻掻いている。
振り返ると、魔法使い達の異変にグズネスが怪訝な顔をして見ている。
次はバリアを攻撃している奴等の背後に、一回り大きなリング状の障壁を立てて可視可してやる。
同時に俺の籠もるバリアも、1.5メートル程度を可視化する。
背後に高さ5メートル以上の灰色の壁が出現し、俺との間にも壁の存在を誇示する灰色の壁に驚いている。
「グズネス残念だが、転移魔法使いは役に立たなかった様だぞ」
「てめぇ~、何故ピンピンしていやがる! 後ろの魔法使い共に何をした!」
「残念だねぇ~、お前の知らない魔法も有るんだよ♪」
可愛くウインクをして、音符付きで答えてやる。
取り敢えずグズネス達を放置して、バリア内で倒れている奴らを縛り上げ、リングをキャンセルして詠唱出来ない様に口を蹴りつける。
前歯が飛び散り、唇が裂けて血塗れになる男達・・・グロいねぇ。
魔法使いは生きてるかな? どうでも良いので後回しにする事に。
グズネス達に向き直ると、背後に出来た結界を壊す為に必死で攻撃している。
「グズネス、お前等如きに破れる結界じゃないよ」
俺の結界は対戦車砲弾も受け付けないイメージの産物だ、ロングソードや斧如きで壊れるものか。
〈出せっ! この糞ガキが、犯すぞ!〉
「いっや~ん、恐いわぁ~♪」
女になって初めてのぶりっ子が、おっさんの団体相手とはねぇ。
しかも女言葉の練習なんてしてないので、棒読みになってしまった。
ヤラセンの里に到着してから感じていた、舐め回す様な視線と不遜な態度の集団。
身を守る為に結界魔法を色々と工夫し、攻撃にも使える様にしていて正解だった。
でも、一番の正解は身体の周囲を守るシールドだな。
騒ぐグズネス達の足を次々と拘束し、足を締め付ける見えない何かを外そうと藻掻く奴等の腕もリングで締め付ける。
可視可した結界を透明に戻し、周囲に人影の無い事を確認してからドームの結界のみをキャンセルする。
アクティブ探査も遠くの野獣以外は、倒れている魔法使い三人しか感知出来ない。
〈アキュラ 此をやったのはお前か? 外しやがれ!〉
〈小娘が、己一人で俺達に勝てるつもりか!〉
〈糞ッ、誰だよ、結界を張るしか能の無い小娘だと言った奴は〉
「煩いよ、あんまり騒ぐと手足を縛って森に放置するよ」
足を拘束した魔法使いが二人、這いずって逃げようとしている。
赤ちゃんみたいにズリ這いをしているので、魔法使いの元に駆け寄り腕を踏みつける。
〈ボキッ〉って音がした様だが気にしない。
腕を拘束し、足のリングをキャンセルして立たせるとグズネス達の所に連れて行く。
諦め顔の一人は青い顔をして震えているが容赦はしない。
総勢20人を一纏めにし、改めてバリアを張り視界以外の音も遮断する。
魔法使い三人の内の一人、青い顔で震えている男から尋問だ。
「俺をどうする気だったんだ? 痛い思いをしたくなければ早めに喋れよ」
〈ゴラン、余計な事を喋ったらどうなるか判っているよな〉
外野が煩いので、脅しを掛けた男の口を蹴りつけて喋れなくする。
血塗れの口で呻く男を見ても、怯えや罪悪感嫌悪感も無し。
オルセン達と狩りに行き野獣との戦闘や解体を見てきたからか、それとも元々非情な性格なのか判らないが、怯えなくて済むってのは有り難い。
此からやる事に、躊躇しないで済むのは助かる。
後ろでブツブツ言っている奴が居るので振り返ると、ファイアーボールが浮かんでいる。
次の瞬間目の前が真っ赤になり吹き飛ばされたが、バリアに当たって止まる。
本日2度目のシールドによる防御、口さえ動けば魔法を撃てると学習した。
ファイアーボールで吹き飛ばされたが、何事も無くしれっとした顔で立ち上がる俺を見て、震える男と向き合う。
「見ろよ、結界内でファイアーボールなんて打つから、みんな火の粉で大火傷をしているじゃないの」
〈何故・・・何故お前は何とも無いんだ?〉
「さぁ~、どうしてでしょうねぇ~♪ 精霊の加護じゃ無いのかな♪」
〈悪かったよ。誘いに乗った俺が馬鹿だった。今からお前の、あんたの下につくから勘弁してくれ〉
「ん、俺の下につくっての? なら何故俺を襲ったのか喋れよ」
至近距離でファイアーボールが爆発した巻き添えで、大火傷をして呻く仲間達を見て言い淀む。
「喋らないのなら俺の下につくってのは嘘だな。見ろよ、間抜けなお前がファイアーボールを射ったせいで、大火傷をした連中が睨んでいるぞ」
言い淀む男をバリアから外に蹴り出し、手足の腱を切り服を切り裂き素っ裸にして放置する。
痛みで〈ギャアギャア〉と騒いでいた男が、何が起きるのか察して必死に頭を下げ謝罪するが、知った事か!
バリア内に戻り、魔法使い二人を詠唱できない様に口を蹴り潰す。
ゴランと呼ばれた男の所に行くが、俺の目の前にいた為に焼け爛れて死んでいた。
ゴランに口止めをした男の前にしゃがみ、マジックバッグから怪我の回復ポーションを取り出し振って見せる。
「アキュラちゃん特製、怪我の回復ポーションだよ。里の薬師、エブリネ婆さんの折り紙付きだよぉ~、いる♪」
長老から紹介された薬師のエブリネ婆さんは、精霊の見える人で俺に薬師の仕事を色々教えてくれた。
解熱薬の作り方から怪我や疲労回復ポーション、魔力回復ポーションまで何一つ隠さず教えてくれた。
そのお返しに、里の周辺に生える貴重な薬草を含む、大量の薬草を渡した。
序でに薬草保存用のマジックバッグの容量拡大と、時間遅延もしっかりしてあげた。
今では3/90と、そこそこの性能のマジックバッグになっている。
勿論、長老達にも内緒にする約束をしてからだけど。
因みに3/90、3m角27㎥の容量と90倍時間遅延のマジックバッグだ、時間遅延効果が高いので金貨数百枚の価値があると言っていた。
ボーションの蓋を取り、細い管を差し込み吹き口を咥えて火傷をしている顔に吹きかける。
管の上部の気圧が下がりポーションが上に上がって霧状になり男の顔に降りかかる。
いきなり霧吹きでポーションを吹きかけられて、顔を顰めているが火傷は綺麗に治っていく。
吹きかけたポーションの残りを口に流し込み暫く待つと傷が治り・・・飛び散った歯は無理か。
初級ポーションでこの性能はエブリネ婆さん曰く、中級ポーションとしても十分通用すると言われた。
「どうせ治すのなら、治癒魔法で治してくれよ。上位クラスの腕前だと聞いてるぜ」
「前歯が無くて、良く聞こえないぞ。質問に答えないのなら、表に放り出した奴の横に並ぶ事になるけど、どうする?」
そう言うと、ちらりとバリアの外で横たわる男を見て鼻で笑う。
「あんな雑魚と同じだと思うなよ。それにグズネス達を敵に回すって事は、ヤラセンの里で安心して暮らせなくなるぞ」
「そうなの、どうでも良いけどね」
薄ら笑いを浮かべる男の口の中に、小さなフレイムを出現させる。
〈グワッァァァー〉口の中が火事になり悲鳴を上げるが、フレイムって通常10秒くらい燃えているから相当熱いだろうなぁ。
薪に火をつけるフレイムも使い方次第、魔力を込めれば立派な武器になるんだよ。
ファイアーボールの様に飛ばないし、精々10メートルくらいの範囲内だけど身を守る為とか拷問にうってつけなのさ。
フレイムが消えてハアハア言っている男の耳の穴に、再びフレイムをお見舞いする。
〈ギャァァァ ァァ〉悲鳴を上げて転げ回っているが10秒間の拷問。
魔力を込めれば時間延長出来るが、殺したい訳では無いのでそこまでしない。
呻き声を上げて横たわる男を、青い顔をした仲間達が見つめている。
素っ裸で放り出した男が、ジタバタと変な動きをしている。
みるとウルフの群れが現れている。
透明なバリアだが煩いので音声を遮断していたが、見せしめの為に何が起きるのか聞こえる様にする。
〈たっ、助けてくれ・・・お願いだ、死にたくない〉
「見ろよ、お仲間の最期だ、しっかり見届けてやれよ。もっとも俺の質問に答えなければ、直ぐに後を追う事になるけどな」
そう奴等に告げてから、二人目の犠牲予定者の衣服を切り取る。
〈ギャアァァァ・・・助けてぇぇ・・・止めろ、喰わないでくれぇぇぇ・・・止めて・・・〉
断末魔の声が啜り泣きになり、直ぐに静かになると肉を喰い千切り餌を巡って争う、グレイウルフの唸り声だけになる。
透明なバリアの直ぐ外、凄惨な光景に冷や汗を流しながら黙って見ている男達。
素っ裸にした男をバリアの直ぐ傍へと蹴り飛ばすと、バリアを引っ掻いていたグレイウルフが集まって来る。
「お前達、結界を小さくしてその男を放り出すが、其処に居ると一緒に喰われるぞ」
そう警告してやると、リングに締め上げられた身体で必死に俺の周囲に集まって来る。
素っ裸の男も必死で俺の所に向かって来るが、残念、既に新たなバリアを展開済みだ。
皆に見える様に、新たなバリアを視覚化してから外部のバリアをキャンセルする。
〈糞ッ・・・覚えていやがれ!〉 〈ウゴォォォ〉 〈止めろっ・・・〉
おー、中々の根性と覚悟だが、俺って物覚えが悪いので直ぐに忘れてしまうからね。
バリボリ骨を噛み砕く音の間に何やら聞こえて来たが、直ぐに静かになりグレイウルフの咀嚼音だけが聞こえる。
165
お気に入りに追加
2,637
あなたにおすすめの小説


薄幸ヒロインが倍返しの指輪を手に入れました
佐崎咲
ファンタジー
義母と義妹に虐げられてきた伯爵家の長女スフィーナ。
ある日、亡くなった実母の遺品である指輪を見つけた。
それからというもの、義母にお茶をぶちまけられたら、今度は倍量のスープが義母に浴びせられる。
義妹に食事をとられると、義妹は強い空腹を感じ食べても満足できなくなる、というような倍返しが起きた。
指輪が入れられていた木箱には、実母が書いた紙きれが共に入っていた。
どうやら母は異世界から転移してきたものらしい。
異世界でも強く生きていけるようにと、女神の加護が宿った指輪を賜ったというのだ。
かくしてスフィーナは義母と義妹に意図せず倍返ししつつ、やがて母の死の真相と、父の長い間をかけた企みを知っていく。
(※黒幕については推理的な要素はありませんと小声で言っておきます)

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる