165 / 170
165 大間抜け
しおりを挟む
タンザのギルドには寄らず、真っ直ぐ王都の家を目指した。
家に帰るとマークスが飛んで来て、「強制招集は解除になったのか? ルシアンが何処にいるのか知らないか」と訊ねてきた。
「ルシアンならタンザの西、デェルゴ村に居るはずだよ」
「その村はドラゴンが出たと噂になっている村だろう」
「パパさん、そんなに心配する必要は無いよ。デェルゴ村は討伐拠点の本部で、防御線はもっと西だ。ドラゴンの討伐現場はそこから西に四日の距離なので、おいそれとドラゴンに襲われる事はないよ」
エールを一杯引っかけてから、ブライトン宰相宛の書状を認める。
デェルゴ村から西の奥地へ、魔法部隊の一部と共にドラゴン討伐に出向いた事。
拠点と定めた場所から時計回りに北方面を11日、拠点に戻り南方面も時計回りに10日間巡り多数のドラゴンを討伐した事。
選抜した魔法使い達もその役目を立派に果たし、一流の魔法使いであると記しておく。
但し、王家の魔法使い育成は戦用の戦闘訓練が中心の為に、今後もドラゴン討伐に送り出すのなら、訓練方法を変更する必要がある事を記す。
最後に討伐行での成果を記しておく。
タンザの西デェルゴ村より西へ四日の所を拠点と記し。
北方面
ロングドラゴン 2頭。
テラノドラゴン 4頭。
アーマードラゴン 3頭。
ウィップドラゴン 8頭。
グリーンスネーク 1匹。
クリムゾンスネーク 2匹。
南方面
テラノドラゴン 2頭。
アーマードラゴン 3頭。
ウィップドラゴン 2頭。
タートルドラゴン 1頭。
グリーンスネーク 1匹。
合計、ドラゴン類 25頭 、スネーク類 4匹。
追記として、タンザ冒険者ギルドの依頼により奥地索敵中にで討伐したドラゴンの内訳を記す。
タンザ冒険者ギルド依頼分。
ロングドラゴン 1頭。
テラノドラゴン 1頭。
アーマードラゴン 1頭。
ウィップドラゴン 4頭。
クリムゾンスネーク 1匹。
スコーピオン 1匹。
タンザ冒険者ギルドの分の処分が終わり次第、王家依頼分を引き渡すと締め括る。
フランのマジックバッグに入れていたウィップドラゴン三匹も引き取っておいて良かった。
あれを別にしていたら面倒が増えるところだった。
家令のムラードに書状を託して、ミレーネ様の所へ届けて貰った。
ムラードの訪問を受けたモーラン伯爵は、書状の表書きと差出人を確認すると即座に馬車の用意を命じ王城へ向かった。
* * * * * * * *
モーラン伯爵が、シンヤの書状を持参して面会を求めていると聞いたブライトン宰相は、即座に執務室へと招き入れた。
「彼からの書状とは珍しいですな。彼はドラゴン討伐に出向いている筈なんですが」
そう言いながら、補佐官から書状を受け取り開く。
読み進むブライトン宰相の顔が段々と強ばって行くのが判るが、内容の分からないモーラン伯爵は黙って宰相が口を開くのを待つ。
フローランス領タンザの西、デェルゴ村よりドラゴン討伐報告と記された書状は、簡潔だが恐ろしい内容だった。
二度三度読み返した様で、漸く口を開いた。
「彼は何時王都に?」
「家令のムラードの話では、昨日の事です」
「御存知とは思いますが、王家の魔法部隊もヒュルザス、タンザ、クリュンザへ派遣して、ドラゴンに備えています。特にタンザへ送った魔法部隊は王家の精鋭揃いです。彼は冒険者ギルドの強制招集で、タンザにて討伐任務に従っているのが判っていたので、魔法部隊を彼に預けてドラゴン討伐を依頼しました」
「それでは以前の」
「そうです。ドラゴンを確実に倒せる者は、彼と彼が指導した少数の魔法使いとその仲間達だけでしょう。王家の依頼を受けて、魔法部隊の中から選抜した少数の者と、仲間の冒険者パーティーと共に討伐に向かいました。その結果報告です」
そう言ってシンヤから送られて来た書状をモーラン伯爵に差し出した。
受け取った書状に目を通しその数の多さに驚いたが、以前彼と共にいたフランを思い出した。
ルシアンとニーナ、彼が指南して特級治癒魔法師となったが、彼も当時ミーナとハンナを守る為に土魔法の家を作ったと聞いている。
冒険者になったばかりの少年が、その様な魔法を使えるのを不思議とも思わなかったが、彼が手ほどきをしたに違いない。
モーラン伯爵にシンヤへの伝言を頼むと、ブライトン宰相は陛下にご報告してくると言い置き、そそくさと執務室を出て行った。
* * * * * * * *
「陛下、彼からの書状で御座います。ドラゴン多数を討伐し、魔法部隊の者達にも少数ですがドラゴンを討伐させています」
「そうか、彼に預けた甲斐があったな。タンザ周辺にドラゴンは近づいていないのだな」
「以前の報告以後その様な報告は受けていません」
「しかし・・・彼と彼が指南した魔法使い達がいたとは言え、凄まじい成果だな」
「彼の指摘に従い、魔法使い達の訓練方法を変更した方が宜しいかと。詳しい方法は、魔法部隊の長と共に彼に教えを請う事にします」
「うむ、攻撃魔法の力量が上がり、ドラゴン討伐者が増えれば、貴族の魔法部隊にも伝授しろ。そうなれば冒険者ギルドと連携して討伐も楽になるだろう」
「はい、ドラゴンが出たからと、慌てふためかずに済む様になるでしょう。それと追記の事ですが・・・」
「また大騒ぎになるが・・・彼に王家魔法部隊の衣服を与えて、直接冒険者ギルドに運ぶ様に頼めないか」
「お忘れですか、彼は王都の冒険者ギルドにも出入りしておりますし、数少ないゴールドクラスですぞ」
「そうであったな。だが此程のドラゴンを王城から運ぶのは大変だぞ」
「そうですな、ウィップドラゴン以外はマジックバッグにも収まらないでしょうし。彼と相談してみます」
ドラゴン32頭とスネーク5匹にスコーピオン?
ウィップドラゴン14頭を除いても18頭のドラゴンとスネーク5匹を王城から運び出すのにどれ程の日数を要する事やら。
直接冒険者ギルドへ運び込む方法を彼とブライトンに考え出して貰わないと困る。
ブライトンには他国の公使達の動きも牽制させねば、彼の周辺が騒がしくなれば又一悶着起きかねない。
彼が伝えて来たドラゴンに対する対応は何とか間に合ったが、新たな頭痛の種だなと悩みが尽きない。
* * * * * * * *
ブライトン宰相の先触れが訪れ俺との面談を求めたので、翌日自宅にて待つと伝える。
翌日、少数の護衛を従えた宰相の訪問を受けて客間にて応対する。
「君には感謝しかないと陛下が申されている。直接会ってと思うが、君が望まないのは判っているので私が出向いた次第だよ。君の申し出を検討したが、あれだけの数のドラゴンだ、一々王城から運び出すのは無理がある。そこで提案だが、君が直接ギルドに行くのも不味いと思うので、偽装してもらえないか」
「偽装?」
「そうだ、王都冒険者ギルドにドラゴンを届ける際には、王家の収納魔法使いになってもらう。顔を隠してフードを被り、同じ背格好の者数名と共に出向いてもらう。交渉などは王家の担当者が全て行い、合図を受けたらドラゴンを渡してくれるだけで良い」
なる程ね、暫くは王都から離れられないがそれが最善かも。
「宜しいでしょう。但し、ウィップドラゴン10頭と野獣は王家に渡します。タンザのギルドから預かっている、ドラゴンの引き渡しが終わってから処分してください」
「判った、その様にしよう」
「それとドラゴン討伐依頼ですが、冒険者ギルドを通しての正式な依頼でない。私も知り合いのパーティーに頼み手伝って貰いました。依頼料も獲物の所有権についても何の取り決めも無かったので、売却益の2/3を貰います。1/3は王家の魔法使い達が倒した物として其方で自由にして下さい」
タンザ冒険者ギルド分は売値の1/3をタンザの冒険者ギルドの取り分で、手数料を引いた残りは俺の取り分なので、王家が代理で受け取る事。
以後の代金も王家が受け取り、全ての処分が終わった後に俺に引き渡す事と約束が成る。
すんなり受け入れられたので、タンザの分を王都のギルドに引き渡す日程が決まれば、知らせてくれる事に決まった。
と思ったら、魔法部隊の者がドラゴンに対抗できる様に訓練内容を見直すので、指導をお願いしたいと頭を下げられた。
魔法の指導はしないが、ドラゴンを討伐出来る者の選抜方法は教えるつもりだったので了解する。
* * * * * * * *
ブライトン宰相の訪問を受けた翌日、王都冒険者ギルドのギルマスの訪問を受け、自分の間抜けさを呪った。
前回のドラゴン討伐には、冒険者ギルドは関与していないし王家に渡して全てを任せていた。
今回は最初からタンザの冒険者ギルドが関わっている、頭隠してどころか全て筒抜けだった。
自分で自分の目を塞ぎ、見られていないと安心していた馬鹿が俺だ。
会わない事や惚けても無駄なので、渋々客間でギルマスと対面する。
「よう、ドラゴンスレイヤー。まんまと騙してくれたよな」
「揶揄いに来たのか。俺の事をバラしたら、二度とギルドにドラゴンを渡さないぞ」
「手遅れだな。お前が索敵に出て複数のドラゴンを討伐して来た。デェルゴ村でそれを見た奴等が吹き歩いたからな。強制招集でタンザにいる奴等を中心に知る者も多い。王都中に知れ渡るのもそう遠くはないな」
なんてこったい、ポンコツ神を笑えない大失敗だ。
「それでだ。お前をSランクに格上げしろと、ギルド本部から命令が届いた」
やっぱりね。
此れまでは昇級してカードが新しくなっても、テイマーで魔力10ってのは変わらなかった。
新たなカードになり、七つの魔法と魔力が710とカードに表記されたらそれこそ大騒ぎになる。
家に帰るとマークスが飛んで来て、「強制招集は解除になったのか? ルシアンが何処にいるのか知らないか」と訊ねてきた。
「ルシアンならタンザの西、デェルゴ村に居るはずだよ」
「その村はドラゴンが出たと噂になっている村だろう」
「パパさん、そんなに心配する必要は無いよ。デェルゴ村は討伐拠点の本部で、防御線はもっと西だ。ドラゴンの討伐現場はそこから西に四日の距離なので、おいそれとドラゴンに襲われる事はないよ」
エールを一杯引っかけてから、ブライトン宰相宛の書状を認める。
デェルゴ村から西の奥地へ、魔法部隊の一部と共にドラゴン討伐に出向いた事。
拠点と定めた場所から時計回りに北方面を11日、拠点に戻り南方面も時計回りに10日間巡り多数のドラゴンを討伐した事。
選抜した魔法使い達もその役目を立派に果たし、一流の魔法使いであると記しておく。
但し、王家の魔法使い育成は戦用の戦闘訓練が中心の為に、今後もドラゴン討伐に送り出すのなら、訓練方法を変更する必要がある事を記す。
最後に討伐行での成果を記しておく。
タンザの西デェルゴ村より西へ四日の所を拠点と記し。
北方面
ロングドラゴン 2頭。
テラノドラゴン 4頭。
アーマードラゴン 3頭。
ウィップドラゴン 8頭。
グリーンスネーク 1匹。
クリムゾンスネーク 2匹。
南方面
テラノドラゴン 2頭。
アーマードラゴン 3頭。
ウィップドラゴン 2頭。
タートルドラゴン 1頭。
グリーンスネーク 1匹。
合計、ドラゴン類 25頭 、スネーク類 4匹。
追記として、タンザ冒険者ギルドの依頼により奥地索敵中にで討伐したドラゴンの内訳を記す。
タンザ冒険者ギルド依頼分。
ロングドラゴン 1頭。
テラノドラゴン 1頭。
アーマードラゴン 1頭。
ウィップドラゴン 4頭。
クリムゾンスネーク 1匹。
スコーピオン 1匹。
タンザ冒険者ギルドの分の処分が終わり次第、王家依頼分を引き渡すと締め括る。
フランのマジックバッグに入れていたウィップドラゴン三匹も引き取っておいて良かった。
あれを別にしていたら面倒が増えるところだった。
家令のムラードに書状を託して、ミレーネ様の所へ届けて貰った。
ムラードの訪問を受けたモーラン伯爵は、書状の表書きと差出人を確認すると即座に馬車の用意を命じ王城へ向かった。
* * * * * * * *
モーラン伯爵が、シンヤの書状を持参して面会を求めていると聞いたブライトン宰相は、即座に執務室へと招き入れた。
「彼からの書状とは珍しいですな。彼はドラゴン討伐に出向いている筈なんですが」
そう言いながら、補佐官から書状を受け取り開く。
読み進むブライトン宰相の顔が段々と強ばって行くのが判るが、内容の分からないモーラン伯爵は黙って宰相が口を開くのを待つ。
フローランス領タンザの西、デェルゴ村よりドラゴン討伐報告と記された書状は、簡潔だが恐ろしい内容だった。
二度三度読み返した様で、漸く口を開いた。
「彼は何時王都に?」
「家令のムラードの話では、昨日の事です」
「御存知とは思いますが、王家の魔法部隊もヒュルザス、タンザ、クリュンザへ派遣して、ドラゴンに備えています。特にタンザへ送った魔法部隊は王家の精鋭揃いです。彼は冒険者ギルドの強制招集で、タンザにて討伐任務に従っているのが判っていたので、魔法部隊を彼に預けてドラゴン討伐を依頼しました」
「それでは以前の」
「そうです。ドラゴンを確実に倒せる者は、彼と彼が指導した少数の魔法使いとその仲間達だけでしょう。王家の依頼を受けて、魔法部隊の中から選抜した少数の者と、仲間の冒険者パーティーと共に討伐に向かいました。その結果報告です」
そう言ってシンヤから送られて来た書状をモーラン伯爵に差し出した。
受け取った書状に目を通しその数の多さに驚いたが、以前彼と共にいたフランを思い出した。
ルシアンとニーナ、彼が指南して特級治癒魔法師となったが、彼も当時ミーナとハンナを守る為に土魔法の家を作ったと聞いている。
冒険者になったばかりの少年が、その様な魔法を使えるのを不思議とも思わなかったが、彼が手ほどきをしたに違いない。
モーラン伯爵にシンヤへの伝言を頼むと、ブライトン宰相は陛下にご報告してくると言い置き、そそくさと執務室を出て行った。
* * * * * * * *
「陛下、彼からの書状で御座います。ドラゴン多数を討伐し、魔法部隊の者達にも少数ですがドラゴンを討伐させています」
「そうか、彼に預けた甲斐があったな。タンザ周辺にドラゴンは近づいていないのだな」
「以前の報告以後その様な報告は受けていません」
「しかし・・・彼と彼が指南した魔法使い達がいたとは言え、凄まじい成果だな」
「彼の指摘に従い、魔法使い達の訓練方法を変更した方が宜しいかと。詳しい方法は、魔法部隊の長と共に彼に教えを請う事にします」
「うむ、攻撃魔法の力量が上がり、ドラゴン討伐者が増えれば、貴族の魔法部隊にも伝授しろ。そうなれば冒険者ギルドと連携して討伐も楽になるだろう」
「はい、ドラゴンが出たからと、慌てふためかずに済む様になるでしょう。それと追記の事ですが・・・」
「また大騒ぎになるが・・・彼に王家魔法部隊の衣服を与えて、直接冒険者ギルドに運ぶ様に頼めないか」
「お忘れですか、彼は王都の冒険者ギルドにも出入りしておりますし、数少ないゴールドクラスですぞ」
「そうであったな。だが此程のドラゴンを王城から運ぶのは大変だぞ」
「そうですな、ウィップドラゴン以外はマジックバッグにも収まらないでしょうし。彼と相談してみます」
ドラゴン32頭とスネーク5匹にスコーピオン?
ウィップドラゴン14頭を除いても18頭のドラゴンとスネーク5匹を王城から運び出すのにどれ程の日数を要する事やら。
直接冒険者ギルドへ運び込む方法を彼とブライトンに考え出して貰わないと困る。
ブライトンには他国の公使達の動きも牽制させねば、彼の周辺が騒がしくなれば又一悶着起きかねない。
彼が伝えて来たドラゴンに対する対応は何とか間に合ったが、新たな頭痛の種だなと悩みが尽きない。
* * * * * * * *
ブライトン宰相の先触れが訪れ俺との面談を求めたので、翌日自宅にて待つと伝える。
翌日、少数の護衛を従えた宰相の訪問を受けて客間にて応対する。
「君には感謝しかないと陛下が申されている。直接会ってと思うが、君が望まないのは判っているので私が出向いた次第だよ。君の申し出を検討したが、あれだけの数のドラゴンだ、一々王城から運び出すのは無理がある。そこで提案だが、君が直接ギルドに行くのも不味いと思うので、偽装してもらえないか」
「偽装?」
「そうだ、王都冒険者ギルドにドラゴンを届ける際には、王家の収納魔法使いになってもらう。顔を隠してフードを被り、同じ背格好の者数名と共に出向いてもらう。交渉などは王家の担当者が全て行い、合図を受けたらドラゴンを渡してくれるだけで良い」
なる程ね、暫くは王都から離れられないがそれが最善かも。
「宜しいでしょう。但し、ウィップドラゴン10頭と野獣は王家に渡します。タンザのギルドから預かっている、ドラゴンの引き渡しが終わってから処分してください」
「判った、その様にしよう」
「それとドラゴン討伐依頼ですが、冒険者ギルドを通しての正式な依頼でない。私も知り合いのパーティーに頼み手伝って貰いました。依頼料も獲物の所有権についても何の取り決めも無かったので、売却益の2/3を貰います。1/3は王家の魔法使い達が倒した物として其方で自由にして下さい」
タンザ冒険者ギルド分は売値の1/3をタンザの冒険者ギルドの取り分で、手数料を引いた残りは俺の取り分なので、王家が代理で受け取る事。
以後の代金も王家が受け取り、全ての処分が終わった後に俺に引き渡す事と約束が成る。
すんなり受け入れられたので、タンザの分を王都のギルドに引き渡す日程が決まれば、知らせてくれる事に決まった。
と思ったら、魔法部隊の者がドラゴンに対抗できる様に訓練内容を見直すので、指導をお願いしたいと頭を下げられた。
魔法の指導はしないが、ドラゴンを討伐出来る者の選抜方法は教えるつもりだったので了解する。
* * * * * * * *
ブライトン宰相の訪問を受けた翌日、王都冒険者ギルドのギルマスの訪問を受け、自分の間抜けさを呪った。
前回のドラゴン討伐には、冒険者ギルドは関与していないし王家に渡して全てを任せていた。
今回は最初からタンザの冒険者ギルドが関わっている、頭隠してどころか全て筒抜けだった。
自分で自分の目を塞ぎ、見られていないと安心していた馬鹿が俺だ。
会わない事や惚けても無駄なので、渋々客間でギルマスと対面する。
「よう、ドラゴンスレイヤー。まんまと騙してくれたよな」
「揶揄いに来たのか。俺の事をバラしたら、二度とギルドにドラゴンを渡さないぞ」
「手遅れだな。お前が索敵に出て複数のドラゴンを討伐して来た。デェルゴ村でそれを見た奴等が吹き歩いたからな。強制招集でタンザにいる奴等を中心に知る者も多い。王都中に知れ渡るのもそう遠くはないな」
なんてこったい、ポンコツ神を笑えない大失敗だ。
「それでだ。お前をSランクに格上げしろと、ギルド本部から命令が届いた」
やっぱりね。
此れまでは昇級してカードが新しくなっても、テイマーで魔力10ってのは変わらなかった。
新たなカードになり、七つの魔法と魔力が710とカードに表記されたらそれこそ大騒ぎになる。
846
お気に入りに追加
2,285
あなたにおすすめの小説

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

前代未聞のダンジョンメーカー
黛 ちまた
ファンタジー
七歳になったアシュリーが神から授けられたスキルは"テイマー"、"魔法"、"料理"、"ダンジョンメーカー"。
けれどどれも魔力が少ない為、イマイチ。
というか、"ダンジョンメーカー"って何ですか?え?亜空間を作り出せる能力?でも弱くて使えない?
そんなアシュリーがかろうじて使える料理で自立しようとする、のんびりお料理話です。
小説家になろうでも掲載しております。
異世界じゃスローライフはままならない~聖獣の主人は島育ち~
夏柿シン
ファンタジー
新作≪最弱な彼らに祝福を〜不遇職で導く精霊のリヴァイバル〜≫がwebにて連載開始
【小説第1〜5巻/コミックス第3巻発売中】
海外よりも遠いと言われる日本の小さな離島。
そんな島で愛犬と静かに暮らしていた青年は事故で命を落としてしまう。
死後に彼の前に現れた神様はこう告げた。
「ごめん! 手違いで地球に生まれちゃってた!」
彼は元々異世界で輪廻する魂だった。
異世界でもスローライフ満喫予定の彼の元に現れたのは聖獣になった愛犬。
彼の規格外の力を世界はほっといてくれなかった。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる