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160 索敵報告
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RとLをアリエラに預けると、そのまま真っ直ぐに西に向かった。
アリエラの結界が見えなくなると北西へジャンプを五回、次いで南西へ十回ジャンプする。
一回のジャンプ毎に索敵で周囲を探り、最大目視距離をジャンプしては索敵をする。
そして再び北西に向かってジャンプと、ジグザグに進みながら索敵をしていく。
出会った野獣は通常より大きなゴールデンベアや、それより一回り大きなファングベアにメインタイガーと、ドラゴン討伐時に見た野獣を時々見掛ける。
持ち帰り用に一頭ずつ討伐してマジックバッグに放り込みながら、段々と気分が重くなってくる。
アーマーバッファローなんて、以前討伐した奴の二回りくらいの大きさなので並みの魔法使いでは対応出来るのか心配になってくる。
土魔法か結界魔法で頑丈な防御が出来なければ、突撃を防げないだろう。
レッドベアやブラウンベア、ゴールデンタイガーにブラックベアと、以前討伐したものより全て大きな個体で嫌になってくる。
魔法の手引き書に命中率なんて書いたが、それを理解してないと被害が大きくなりそうだ。
ジグザグに進み始めて二日目、陽も傾き駆けた頃にとうとうドラゴンを発見した。
二足歩行で頭から尻尾にかけ、特徴的な鋭い角が生えたテラノドラゴンだ。
取り敢えずドラゴンの直ぐ横にジャンプし、脇腹から心臓を狙ってストーンランスを撃ち込んで倒し、空間収納に収める。
次いで見つけたのが・・・芋虫に違いないが(テイム・ ・・・ )しても名前が出て来ない。
俺の知る芋虫の中に尻に尻尾のようなものが突き出ている奴がいるが、疎らに棘が生えていて変種のようだ。
倒すのは簡単だったが、見本用にと思っても持って帰る気になれず、ファイヤーボールで爆散させて放置した。
* * * * * * * *
《シンヤ! どうしてドラゴンがこんな所に居るのよ! もっと奥地に居るはずなのよ!》
《やあ、ティナ》
《やぁじゃ無いわよ! アマデウス様に命じられた事を忘れたの》
《命じられた? 俺はアマデウスの配下じゃないよ。取引はしたが奴は肝心な事を俺に教えなかったので、通路を塞ぐのは無理!》
《そんな事は、アマデウス様に言ってちょうだい》
瞬間、目の前の景色が消えて、例の空間にいて奴が目の前に居た。
《何故通路を塞がなかった!》
《あんた馬鹿なの? 通路って何処さ! どうやって行けと言うのか教えて欲しいね》
《ん・・・教えなかったかのう?》
《障壁って言ったよな。雪を被った山々の事だろうけど、俺じゃあんな山を越えられないし広すぎるんだよ! 広い、高い、目印が無いのに、俺一人で探せって言うのか? 1,000年掛かっても無理だぞ》
《むっ、そんなに広いのか?》
駄目だ、話の通じないポンコツ野郎め!
俺は、お前の様にホイホイ何処へでも行ける訳じゃねえんだよ!
《溢れた野獣を討伐出来る様に、優れた魔法使いを増やして対処しているところだよ。その成果が出始めているんだから邪魔をするなよ》
《溢れた野獣を処分出来るのか、それなら任せたぞ》
《あっ、ちょっ・・・》
消えやがった、糞っ垂れのポンコツ神めっ!
* * * * * * * *
丸二日掛けて捜索し、タートルドラゴン以外のドラゴン四種と赤褐色の蛇クリムゾンスネークと、巨大なサソリ擬きのスコーピオン。
足の数が矢鱈多いと思ったら、左右に6本ずつ12本も有った。
反っくり返った尻尾の高さが2.5m程度、伸ばしても6m程なのでバレット一発で片手と足が四本ばかり吹っ飛んでしまった。
帰りは東に向かって歩き、村への距離を確かめる。
防御線に到達するまでほぼ四日、すぐにドラゴンが村に近づく事もあるまいと一安心。
「お帰りー♪ どうだった、居たの?」
「ああ、タートルドラゴン以外の四種とクリムゾンスネークにスコーピオンと芋虫の巨大な奴」
「芋虫! パス! 私は芋虫なんか討伐しないわよ!」
「ん、アリエラは冒険者のくせに、芋虫が苦手なの」
「芋虫なんか恐くないわよ! あんたが言うのなら大きなやつに決まっているでしょう」
「うむ~、俺の肩くらいの高さで長さは・・・」
「止めて! 聞きたくない!」
「大丈夫、ファイヤーボール一発でバラバラになって吹き飛ぶ弱い奴だから」
「どうしてそんなに弱い奴が居るんだ」
「他の野獣に食われないのか?」
「多分、不味いんじゃないかな」
「で、どの辺りに居たんだ?」
「此処からだとほぼ真西で、歩きだと四日の距離だな」
「それだけの距離なら、ドラゴンが直ぐに襲って来る事もなさそうだな」
「多分ね。奴等も集落を襲う為に来ているんじゃないので、真っ直ぐに突っ込んで来ないと思うよ」
* * * * * * * *
「サブマス、ドラゴンが居るね」
「やっぱり居るのか・・・」
「ん、他の場所にも居たの?」
「違う。前回でも規模が大きかったのに、今回はそれを遥かに上回る。ムスランにドラゴンが出たのだ、迂回した山の裏側ならタンザも近いだろう」
そう言う事ね。
簡易地図では隣国へ行くのに山を巻き込んでいる、反対側が全て山とは限らないからな。
「で、当然ドラゴンを討伐したんだよな」
こういう勘は鋭いな。
報告だけでは信憑性がないのは、前回で経験済み。
俺が偵察したところだけでドラゴン四種と蛇一匹だ、他にも多数居ると思って間違いない。
ドラゴンが居たからといって、俺が全て討伐出来る訳がない。
確実にドラゴンが居ると教えて、魔法使い達に覚悟を決めさせた方が腹も据わるだろう。
「広場へ行こうか」
〈おい! ドラゴンを討伐して来たのか?〉
〈まさか、奴はテイマーだぞ。テイマーがドラゴンを討伐出来るのなら、俺達だって可能ってことになるぜ〉
〈だよなー、ドラゴンと言って蜥蜴を出したりして〉
〈何にせよ、奴は凄腕だからな。前の時も大物を狩りまくっていたので、何かを持っているはずだ〉
〈ゴールデンベア辺りかな〉
俺とサブマスの話を聞いていた連中が、何を狩ってきたのかと興味津々でついてくる。
最初にスコーピオンを出すと〈ヒェー〉とか〈何じゃこりゃー〉何て声が上がる。
アーマーバッファロー 一頭
レッドベア 一頭
ブラウンベア 一頭
ゴールデンタイガー 一頭
ブラックベア 一頭
〈凄い獲物ばかりだけど、流石にドラゴンはいないな〉
〈サブマスの言葉を信じかけたぜ〉
並べた野獣の周囲に、冒険者達が群がって来て邪魔。
「邪魔だから、そこを退けよ」
「何おぅ、ちぃとばかり大物を狩って来たからと偉そうに」
「この程度なら俺達でも狩れるぞ」
「邪魔だと言っとるんだ! お前等はシンヤから離れろ!」
サブマスの怒声に、俺に突っかかってこようとした奴等が慌てて後ろに下がった。
テラノドラゴン 一頭
〈ウオォォォ〉
〈・・・嘘だろう〉
〈マジで、ドラゴンだよ〉
〈ハハハハ・・・奴ってテイマーだよな〉
アーマードラゴン 一頭
ロングドラゴン 一頭
ウィップドラゴン 四頭
クリムゾンスネーク 一匹
全て並べ終わったが、誰も何も言わない。
ちょっと刺激が強すぎたかな。
「サブマス、出会ったドラゴンと、野獣はこの程度だ」
「おっ、おう・・・お前、此れを何処から出した?」
流石はサブマス、気付くのが早いね。
「空間収納持ちか? と言うか、此れはバレットで此奴はストーンランスかアイスランスで、この大きいのはどうやって?」
「ロングドラゴンは、ファイヤーボールを口の中へ放り込んだのさ」
「ちょっとギルドカードを見せろ!」
「昇級はなしだぞ。でないと、此処でギルドカードを返して引退だな」
「はぁ~、何でだよ。ドラゴンをホイホイ討伐出来るのならプラチナ確実だぞ」
「ゴールドランクでも面倒くさいのに、ドラゴン討伐が知れ渡ったらどうなると思う」
「だけど、見せたじゃないか」
「見せなきゃ信用しないだろうし、他の奴等がいきなりドラゴンと出会したらどうなると思う。それに、真っ直ぐ西へ行ってこれだ。こんな数じゃないはずだぞ」
「そうだった、各部所や領主軍に警報を出さなきゃな。此れを皆に見せてやってくれ」
「駄目だ、魔法使い達は王都で見ているだろし、他の奴等がこれを見てビビったら逃げ出すぞ」
「じゃーどうすれば良いんだよ!」
「直ぐにドラゴンが襲ってくる訳じゃないさ。ドラゴンだって、餌があれば俺達を襲う為に態々村まで来たりしない。取り敢えず報告と目の前の野獣討伐が先だな」
それだけ言って、並べたドラゴンやスネークを空間収納に入れていく。
「そいつをどうするんだ?」
「ドラゴンを収納出来る、空間収納持ちが居れば引き渡すよ」
「いや、そんな大きな物を収納出来る奴なんて聞いた事がない。居たとしても、何処かに雇われているだろう」
「なら、此奴は王都でオークションだな。心配しなくても、タンザの名義で出してやるよ」
サブマスがホッとした顔になり、段々とにやけだした。
〈サブマス、手数料のピンハネ以外にどれ位懐に入るんだ?〉
〈あのにやけ具合だと金貨一袋は固そうだな〉
〈獲物の1/3を死傷者用にピンハネして、オークションの手数料に・・・〉
「馬鹿! 俺達は奴等ほど悪辣じゃね・・・」
〈口が軽いなぁ〉
〈サブマス失格だな〉
「俺達とは、真面なギルドの事だ!」
「でも、悪辣って事は認めるんだよな」
「シンヤ、勘弁してくれよ。変な噂が立ったら、今度こそ強制招集に誰も応じなくなっちまうから」
「じゃー、余計な事は口走らない様に気を付けた方が良いよ。タンザの楯の隣の奴と交代するので、用があったら呼んでよ」
交代で配置につくパーティーや引き上げて来たパーティーにドラゴン警報を出し、見掛けたら持ち場を放棄して報告する様にと通達が出された。
アリエラの結界が見えなくなると北西へジャンプを五回、次いで南西へ十回ジャンプする。
一回のジャンプ毎に索敵で周囲を探り、最大目視距離をジャンプしては索敵をする。
そして再び北西に向かってジャンプと、ジグザグに進みながら索敵をしていく。
出会った野獣は通常より大きなゴールデンベアや、それより一回り大きなファングベアにメインタイガーと、ドラゴン討伐時に見た野獣を時々見掛ける。
持ち帰り用に一頭ずつ討伐してマジックバッグに放り込みながら、段々と気分が重くなってくる。
アーマーバッファローなんて、以前討伐した奴の二回りくらいの大きさなので並みの魔法使いでは対応出来るのか心配になってくる。
土魔法か結界魔法で頑丈な防御が出来なければ、突撃を防げないだろう。
レッドベアやブラウンベア、ゴールデンタイガーにブラックベアと、以前討伐したものより全て大きな個体で嫌になってくる。
魔法の手引き書に命中率なんて書いたが、それを理解してないと被害が大きくなりそうだ。
ジグザグに進み始めて二日目、陽も傾き駆けた頃にとうとうドラゴンを発見した。
二足歩行で頭から尻尾にかけ、特徴的な鋭い角が生えたテラノドラゴンだ。
取り敢えずドラゴンの直ぐ横にジャンプし、脇腹から心臓を狙ってストーンランスを撃ち込んで倒し、空間収納に収める。
次いで見つけたのが・・・芋虫に違いないが(テイム・ ・・・ )しても名前が出て来ない。
俺の知る芋虫の中に尻に尻尾のようなものが突き出ている奴がいるが、疎らに棘が生えていて変種のようだ。
倒すのは簡単だったが、見本用にと思っても持って帰る気になれず、ファイヤーボールで爆散させて放置した。
* * * * * * * *
《シンヤ! どうしてドラゴンがこんな所に居るのよ! もっと奥地に居るはずなのよ!》
《やあ、ティナ》
《やぁじゃ無いわよ! アマデウス様に命じられた事を忘れたの》
《命じられた? 俺はアマデウスの配下じゃないよ。取引はしたが奴は肝心な事を俺に教えなかったので、通路を塞ぐのは無理!》
《そんな事は、アマデウス様に言ってちょうだい》
瞬間、目の前の景色が消えて、例の空間にいて奴が目の前に居た。
《何故通路を塞がなかった!》
《あんた馬鹿なの? 通路って何処さ! どうやって行けと言うのか教えて欲しいね》
《ん・・・教えなかったかのう?》
《障壁って言ったよな。雪を被った山々の事だろうけど、俺じゃあんな山を越えられないし広すぎるんだよ! 広い、高い、目印が無いのに、俺一人で探せって言うのか? 1,000年掛かっても無理だぞ》
《むっ、そんなに広いのか?》
駄目だ、話の通じないポンコツ野郎め!
俺は、お前の様にホイホイ何処へでも行ける訳じゃねえんだよ!
《溢れた野獣を討伐出来る様に、優れた魔法使いを増やして対処しているところだよ。その成果が出始めているんだから邪魔をするなよ》
《溢れた野獣を処分出来るのか、それなら任せたぞ》
《あっ、ちょっ・・・》
消えやがった、糞っ垂れのポンコツ神めっ!
* * * * * * * *
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足の数が矢鱈多いと思ったら、左右に6本ずつ12本も有った。
反っくり返った尻尾の高さが2.5m程度、伸ばしても6m程なのでバレット一発で片手と足が四本ばかり吹っ飛んでしまった。
帰りは東に向かって歩き、村への距離を確かめる。
防御線に到達するまでほぼ四日、すぐにドラゴンが村に近づく事もあるまいと一安心。
「お帰りー♪ どうだった、居たの?」
「ああ、タートルドラゴン以外の四種とクリムゾンスネークにスコーピオンと芋虫の巨大な奴」
「芋虫! パス! 私は芋虫なんか討伐しないわよ!」
「ん、アリエラは冒険者のくせに、芋虫が苦手なの」
「芋虫なんか恐くないわよ! あんたが言うのなら大きなやつに決まっているでしょう」
「うむ~、俺の肩くらいの高さで長さは・・・」
「止めて! 聞きたくない!」
「大丈夫、ファイヤーボール一発でバラバラになって吹き飛ぶ弱い奴だから」
「どうしてそんなに弱い奴が居るんだ」
「他の野獣に食われないのか?」
「多分、不味いんじゃないかな」
「で、どの辺りに居たんだ?」
「此処からだとほぼ真西で、歩きだと四日の距離だな」
「それだけの距離なら、ドラゴンが直ぐに襲って来る事もなさそうだな」
「多分ね。奴等も集落を襲う為に来ているんじゃないので、真っ直ぐに突っ込んで来ないと思うよ」
* * * * * * * *
「サブマス、ドラゴンが居るね」
「やっぱり居るのか・・・」
「ん、他の場所にも居たの?」
「違う。前回でも規模が大きかったのに、今回はそれを遥かに上回る。ムスランにドラゴンが出たのだ、迂回した山の裏側ならタンザも近いだろう」
そう言う事ね。
簡易地図では隣国へ行くのに山を巻き込んでいる、反対側が全て山とは限らないからな。
「で、当然ドラゴンを討伐したんだよな」
こういう勘は鋭いな。
報告だけでは信憑性がないのは、前回で経験済み。
俺が偵察したところだけでドラゴン四種と蛇一匹だ、他にも多数居ると思って間違いない。
ドラゴンが居たからといって、俺が全て討伐出来る訳がない。
確実にドラゴンが居ると教えて、魔法使い達に覚悟を決めさせた方が腹も据わるだろう。
「広場へ行こうか」
〈おい! ドラゴンを討伐して来たのか?〉
〈まさか、奴はテイマーだぞ。テイマーがドラゴンを討伐出来るのなら、俺達だって可能ってことになるぜ〉
〈だよなー、ドラゴンと言って蜥蜴を出したりして〉
〈何にせよ、奴は凄腕だからな。前の時も大物を狩りまくっていたので、何かを持っているはずだ〉
〈ゴールデンベア辺りかな〉
俺とサブマスの話を聞いていた連中が、何を狩ってきたのかと興味津々でついてくる。
最初にスコーピオンを出すと〈ヒェー〉とか〈何じゃこりゃー〉何て声が上がる。
アーマーバッファロー 一頭
レッドベア 一頭
ブラウンベア 一頭
ゴールデンタイガー 一頭
ブラックベア 一頭
〈凄い獲物ばかりだけど、流石にドラゴンはいないな〉
〈サブマスの言葉を信じかけたぜ〉
並べた野獣の周囲に、冒険者達が群がって来て邪魔。
「邪魔だから、そこを退けよ」
「何おぅ、ちぃとばかり大物を狩って来たからと偉そうに」
「この程度なら俺達でも狩れるぞ」
「邪魔だと言っとるんだ! お前等はシンヤから離れろ!」
サブマスの怒声に、俺に突っかかってこようとした奴等が慌てて後ろに下がった。
テラノドラゴン 一頭
〈ウオォォォ〉
〈・・・嘘だろう〉
〈マジで、ドラゴンだよ〉
〈ハハハハ・・・奴ってテイマーだよな〉
アーマードラゴン 一頭
ロングドラゴン 一頭
ウィップドラゴン 四頭
クリムゾンスネーク 一匹
全て並べ終わったが、誰も何も言わない。
ちょっと刺激が強すぎたかな。
「サブマス、出会ったドラゴンと、野獣はこの程度だ」
「おっ、おう・・・お前、此れを何処から出した?」
流石はサブマス、気付くのが早いね。
「空間収納持ちか? と言うか、此れはバレットで此奴はストーンランスかアイスランスで、この大きいのはどうやって?」
「ロングドラゴンは、ファイヤーボールを口の中へ放り込んだのさ」
「ちょっとギルドカードを見せろ!」
「昇級はなしだぞ。でないと、此処でギルドカードを返して引退だな」
「はぁ~、何でだよ。ドラゴンをホイホイ討伐出来るのならプラチナ確実だぞ」
「ゴールドランクでも面倒くさいのに、ドラゴン討伐が知れ渡ったらどうなると思う」
「だけど、見せたじゃないか」
「見せなきゃ信用しないだろうし、他の奴等がいきなりドラゴンと出会したらどうなると思う。それに、真っ直ぐ西へ行ってこれだ。こんな数じゃないはずだぞ」
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「駄目だ、魔法使い達は王都で見ているだろし、他の奴等がこれを見てビビったら逃げ出すぞ」
「じゃーどうすれば良いんだよ!」
「直ぐにドラゴンが襲ってくる訳じゃないさ。ドラゴンだって、餌があれば俺達を襲う為に態々村まで来たりしない。取り敢えず報告と目の前の野獣討伐が先だな」
それだけ言って、並べたドラゴンやスネークを空間収納に入れていく。
「そいつをどうするんだ?」
「ドラゴンを収納出来る、空間収納持ちが居れば引き渡すよ」
「いや、そんな大きな物を収納出来る奴なんて聞いた事がない。居たとしても、何処かに雇われているだろう」
「なら、此奴は王都でオークションだな。心配しなくても、タンザの名義で出してやるよ」
サブマスがホッとした顔になり、段々とにやけだした。
〈サブマス、手数料のピンハネ以外にどれ位懐に入るんだ?〉
〈あのにやけ具合だと金貨一袋は固そうだな〉
〈獲物の1/3を死傷者用にピンハネして、オークションの手数料に・・・〉
「馬鹿! 俺達は奴等ほど悪辣じゃね・・・」
〈口が軽いなぁ〉
〈サブマス失格だな〉
「俺達とは、真面なギルドの事だ!」
「でも、悪辣って事は認めるんだよな」
「シンヤ、勘弁してくれよ。変な噂が立ったら、今度こそ強制招集に誰も応じなくなっちまうから」
「じゃー、余計な事は口走らない様に気を付けた方が良いよ。タンザの楯の隣の奴と交代するので、用があったら呼んでよ」
交代で配置につくパーティーや引き上げて来たパーティーにドラゴン警報を出し、見掛けたら持ち場を放棄して報告する様にと通達が出された。
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本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
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