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142 新たな住まい
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「貴方と知り合ったお陰で伯爵にまでなったのだけれど、領地と貴族街の屋敷を断ったにも関わらず、結局領地を受け取る事になったの。領地は王国が管理するので受けてくれと、陛下に頼まれて断れないのよ。それで貴方には表だって何の褒賞や恩恵も与えられないので、私から貴方にと頼まれているの。此処と冒険者ギルドの中間に、サラディン市場があるのを知っているわね」
「ええ、そこそこ大きな市場ですよね」
「そのサラディン広場に通じるリオランド通りに、丁度良い空き家が有るの。貴方貰ってくれない」
思わずずっこけてしまった。
まったく貴族って奴は、ミレーネ様は豪商でもあるので俺とは金銭感覚が違いすぎる。
「貴方のお陰で貴族になり、異例の年金貴族として伯爵にまでなったのよ。それが今回の事で、領地まで貰う事になってしまったの、ほんの少しでも貴方にお返しをしたいのよ」
「それって、王家の思惑も入っているでしょう」
「当然よ、貴方は名誉も爵位も領地も欲しがらないので、皆困っているのよ。陛下から相談を受けて、貴方がお友達を家に泊めていたのを思いだし、適当な家を探したの。王都では空き家ってまず手に入らないのだけれど、丁度良い物件があったので貴方の為に譲り受けたの。貴方がちゃんとしたお家に住んでいれば、ミーナやルシアンも遊びに行けますからね」
ミレーネ様の横に座っている、ミーナとルシアンがうんうんと嬉しそうに頷いている。
「お家の面倒事は、全てセバンスに任せておけば良いわよ」
日本に戻る事が出来ないとなれば、そのうち家庭を持つことになるだろう。
今のところ此の国に大した不満も無いので、厚意に甘える事にする。
「有り難う御座います。でも俺は冒険者ですので、何時いなくなるか知れませんので、それは含みおいて下さい」
* * * * * * * *
テラノドラゴンの解体と肉の引き渡しが終わった10日後、王家は再びドラゴンの解体依頼をしたと発表し、アーマードラゴンの搬出日を告知した。
搬出の前日モーラン伯爵が王城へシンヤを伴って出向き、秘密裏にアーマードラゴンの引き渡しがおこなわれた。
此の告知には、王都ラングスに派遣されている各国の公使がビックリ仰天、王国の貴族や豪商達は言うに及ばず領民達もビックリ、またもや大騒ぎになった。
〈聞いたか! 今回はアーマードラゴンだとよ〉
〈ドラゴン、ドラゴンと思っていたら、前の奴はテラノドラゴンって名前だったんだってよ〉
〈ドラゴンって、二種類いたのかよ〉
〈何か昔に討伐した、テラノドラゴンとアーマードラゴンの剥製が有るってよ〉
〈へぇー、その二頭とも討伐したって事か。やるねぇ~〉
〈二頭もドラゴンを討伐したら、貴族様になれるだろうなぁ〉
〈おお、そうしたらドラゴンスレイヤーが誰だか判るな〉
王家から派遣された係の者が、ギルマスに今回はアーマードラゴンで全長約23mと告げる。
それを聞いて、テラノドラゴンの肉を早くオークションにかけて、次のアーマードラゴンの肉と被らない様にしなければと胸算用に忙しいギルマス。
纏めてオークションに掛ければ、似た様な物が二つなら落札価格が下がるのは目に見えている。
ギルドでドラゴンの解体が始まった時点で、アーマードラゴンの肉のみのオークションを開催すれば良いと、ギルド本部に進言しようと策を練る。
* * * * * * * *
12月の初め、アーマードラゴンが王都冒険者ギルドに運び込まれる前日、今年最後の定期オークションが開催された。
目玉のテラノドラゴンの肉は、豪商と高位貴族に各国の派遣大使の三つ巴で争われる事になったが、王家はオークションに参加せずに高みの見物と洒落込んだ。
オークションの余韻覚めやらぬ王都ラングスの街を、アーマードラゴンが冒険者ギルドへ向けて引かれていき、此れを見物する貴族や豪商に冒険者や領民でごった返していた。
貴族や豪商達は、前回同様ドラゴンの披露目があると思っていたが、招待状すら届かず搬出の日を迎えて沿道から新たなドラゴンを見る事になった。
一頭又一頭とドラゴンの情報が王家より発表されると、貴族や領民達はまたかと聞き流そうとするが、その度に今回は巨大な甲羅を持つドラゴンとか、最大のドラゴンとかの情報につられて、人々が沿道に参集して彼此と批評する様になった。
俺も三回目からはお肉の受け取りはミレーネ様に任せて、食料備蓄をしながらのんびりと過ごしていた。
ただ、オークションの噂がどうしても耳に入り、ドラゴンのお肉のオークションの落札価格が、肉一塊が金貨1,000枚とか1,500枚とか聞こえて来て呆れてしまった。
美味いとは言えたかがお肉に、よくそれ程の金を出すなぁと感心する。
ミレーネ様の所へ肉を受け取りに行くと、空間収納持ちがいるではないか。
話を聞けば、魔法の手引き書を読んで練習をかさね、空間収納を習得したそうだ。
今は熱いお茶を数十杯保管させて、十日毎に一杯ずつ取り出させて能力を試しているそうだが、中々優秀で近々お肉も保管させると嬉しそうに教えられた。
それならばと寸胴を用意させ、水を八分目程入れてからキンキンに凍らせて渡しておく。
俺の能力は基準にならないと思うが、空間収納は時間停止が働いていると思って間違いなさそうなので、ミレーネ様も当分の間お肉を堪能出来るだろうし、氷が有れば酒も美味しく飲めるというものだ。
お肉と言えば、グリーンスネークの肉は、焼けばねっとりと舌に絡みつき、ドラゴンの肉とは一線を画す美味さがあり、何れ暇があればもう一頭狩りに行っても良いと思わせた。
次々とドラゴンの発表と解体が進んでいる最中、ミレーネ様より家の用意が出来たと連絡がきた。
セバンスの案内で見に行き、余りの大きさに膝をついてしまった。
玄関ホールに入ると左右に各三室、向かい合っているので14室の三階建てだが、一階の左四室は厩と馬車置き場になっていて、裏通りから入り表の扉から出る造りになっている。
一部屋が広いので出来る芸当だが、馬八頭と馬車四台を置けると聞いて頭が痛くなってきた。
玄関ホールや厨房に使用人控え室などを除いても32室に屋根裏部屋が多数。
確かにミレーネ様のお屋敷より小さいが、此処に俺一人で住むのかと思うとげんなりした。
俺の気も知らずセバンスが家令とメイド八人に馬丁二人、それに家とメイド達を守る護衛として紹介してくれたのが、マークス達を含む煉獄の牙六人と見知らぬ六人を紹介してくれる。
「何でマークス達が居るんだよ!」
「ミレーネ様が、お前の家の護衛をと声を掛けてくれてな、野獣相手より楽でそれなりの給金を示されたら、断る事は出来ないさ。後の六人も俺が信頼出来る奴等を引き抜いてきた」
「引き抜かれた連中に恨まれるぞ」
「王都周辺に大した野獣は居ないし、奴等はパーティー再編してやっているので構わないさ」
「あー、マークス。シンヤ様はご主人様になるので・・・」
「あっ、ご主人様は勘弁な。今まで通りシンヤで頼む」
「判りました、ご主人様」と言ってマークスが深々と頭を下げやがった。
「彼等は全てミレーネ様が雇っているので、費用はお任せ下さい」と言って頭を下げるセバンス。
家を受け取る事を承知して礼を言ってしまった手前、今更いらないと言えないので渋々了承する。
* * * * * * * *
商業ギルドへ行き三ヶ月後に借りている家の解約を伝え、新しい住所を記した紙をドアに貼り付け、荷物をマジックバッグにポイポイ入れて引っ越し準備完了。
新しい家の壁や床を補強し、厩の天井まで土魔法で覆ってガチガチの要塞化。
厩の上四室を俺専用の居間と寝室に使い、この四室もきっちり魔力を込めて簡単には壊せない造りにした。
家令のムラードに、家具などは新品ではないが上等な物ばかりなのでどうしたのかと問えば、元はウルファング王国商人の屋敷を、居抜きで買い上げた物だと聞いて納得。
落ち着いてからミレーネ様の所へお礼に伺うと「費用は王家が管理してくれている領地から出すので、貴方は気にする必要は無い」と言われてしまった。
そして王家から押しつけられた領地は、失脚したフルブラント侯爵の領地だったホランドルス領だそうだ。
嫡男がフルブラント家を継いだが伯爵に降格され、与えられた領地は同じガリアス街道の奥、ヘイランズ領コルタナの街だそうだ。
王都に出て来るには、元の領地を通らねばならないという羞恥プレイ付きの厳しさで、王家の怒りが垣間見えると専らの噂だと肩を竦めるミレーネ様。
「そんな所を貰っても嬉しくも何とも無いので、王家が管理してくれるのなら万々歳よ」と宣う。
ルシアン絡みの失脚だとシンヤには話せないし、陛下も皮肉なことをすると苦笑い。
* * * * * * * *
新しいお家の住所をフラン達や、グレン達タンザの楯とオルク達に知らせる文を冒険者ギルド宛てに送ったが、一度フラン達にも会っておく必要があると思い会いに行く事にした。
玄関ホールの横、厩の隣がムラードの執務室で向かいの部屋がマークスが隊長を務める護衛達の控え室、ホールを挟んだ反対側に応接室が二つに厨房や食堂などになっている。
俺の居間の隣りにマークス達と食事を共有する食堂にしているので、夕食後暫く留守にするので、後はムラードの指示に従ってくれと伝えておく。
「何処へ行くんだ?」
「タンザス街道を南へ行くとエムデンって街があるんだが、其処に知り合いが居るんだ。それとその先のザンドラから少し外れた所にも居るので、久し振りに訪ねてみようと思っている」
「ええ、そこそこ大きな市場ですよね」
「そのサラディン広場に通じるリオランド通りに、丁度良い空き家が有るの。貴方貰ってくれない」
思わずずっこけてしまった。
まったく貴族って奴は、ミレーネ様は豪商でもあるので俺とは金銭感覚が違いすぎる。
「貴方のお陰で貴族になり、異例の年金貴族として伯爵にまでなったのよ。それが今回の事で、領地まで貰う事になってしまったの、ほんの少しでも貴方にお返しをしたいのよ」
「それって、王家の思惑も入っているでしょう」
「当然よ、貴方は名誉も爵位も領地も欲しがらないので、皆困っているのよ。陛下から相談を受けて、貴方がお友達を家に泊めていたのを思いだし、適当な家を探したの。王都では空き家ってまず手に入らないのだけれど、丁度良い物件があったので貴方の為に譲り受けたの。貴方がちゃんとしたお家に住んでいれば、ミーナやルシアンも遊びに行けますからね」
ミレーネ様の横に座っている、ミーナとルシアンがうんうんと嬉しそうに頷いている。
「お家の面倒事は、全てセバンスに任せておけば良いわよ」
日本に戻る事が出来ないとなれば、そのうち家庭を持つことになるだろう。
今のところ此の国に大した不満も無いので、厚意に甘える事にする。
「有り難う御座います。でも俺は冒険者ですので、何時いなくなるか知れませんので、それは含みおいて下さい」
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テラノドラゴンの解体と肉の引き渡しが終わった10日後、王家は再びドラゴンの解体依頼をしたと発表し、アーマードラゴンの搬出日を告知した。
搬出の前日モーラン伯爵が王城へシンヤを伴って出向き、秘密裏にアーマードラゴンの引き渡しがおこなわれた。
此の告知には、王都ラングスに派遣されている各国の公使がビックリ仰天、王国の貴族や豪商達は言うに及ばず領民達もビックリ、またもや大騒ぎになった。
〈聞いたか! 今回はアーマードラゴンだとよ〉
〈ドラゴン、ドラゴンと思っていたら、前の奴はテラノドラゴンって名前だったんだってよ〉
〈ドラゴンって、二種類いたのかよ〉
〈何か昔に討伐した、テラノドラゴンとアーマードラゴンの剥製が有るってよ〉
〈へぇー、その二頭とも討伐したって事か。やるねぇ~〉
〈二頭もドラゴンを討伐したら、貴族様になれるだろうなぁ〉
〈おお、そうしたらドラゴンスレイヤーが誰だか判るな〉
王家から派遣された係の者が、ギルマスに今回はアーマードラゴンで全長約23mと告げる。
それを聞いて、テラノドラゴンの肉を早くオークションにかけて、次のアーマードラゴンの肉と被らない様にしなければと胸算用に忙しいギルマス。
纏めてオークションに掛ければ、似た様な物が二つなら落札価格が下がるのは目に見えている。
ギルドでドラゴンの解体が始まった時点で、アーマードラゴンの肉のみのオークションを開催すれば良いと、ギルド本部に進言しようと策を練る。
* * * * * * * *
12月の初め、アーマードラゴンが王都冒険者ギルドに運び込まれる前日、今年最後の定期オークションが開催された。
目玉のテラノドラゴンの肉は、豪商と高位貴族に各国の派遣大使の三つ巴で争われる事になったが、王家はオークションに参加せずに高みの見物と洒落込んだ。
オークションの余韻覚めやらぬ王都ラングスの街を、アーマードラゴンが冒険者ギルドへ向けて引かれていき、此れを見物する貴族や豪商に冒険者や領民でごった返していた。
貴族や豪商達は、前回同様ドラゴンの披露目があると思っていたが、招待状すら届かず搬出の日を迎えて沿道から新たなドラゴンを見る事になった。
一頭又一頭とドラゴンの情報が王家より発表されると、貴族や領民達はまたかと聞き流そうとするが、その度に今回は巨大な甲羅を持つドラゴンとか、最大のドラゴンとかの情報につられて、人々が沿道に参集して彼此と批評する様になった。
俺も三回目からはお肉の受け取りはミレーネ様に任せて、食料備蓄をしながらのんびりと過ごしていた。
ただ、オークションの噂がどうしても耳に入り、ドラゴンのお肉のオークションの落札価格が、肉一塊が金貨1,000枚とか1,500枚とか聞こえて来て呆れてしまった。
美味いとは言えたかがお肉に、よくそれ程の金を出すなぁと感心する。
ミレーネ様の所へ肉を受け取りに行くと、空間収納持ちがいるではないか。
話を聞けば、魔法の手引き書を読んで練習をかさね、空間収納を習得したそうだ。
今は熱いお茶を数十杯保管させて、十日毎に一杯ずつ取り出させて能力を試しているそうだが、中々優秀で近々お肉も保管させると嬉しそうに教えられた。
それならばと寸胴を用意させ、水を八分目程入れてからキンキンに凍らせて渡しておく。
俺の能力は基準にならないと思うが、空間収納は時間停止が働いていると思って間違いなさそうなので、ミレーネ様も当分の間お肉を堪能出来るだろうし、氷が有れば酒も美味しく飲めるというものだ。
お肉と言えば、グリーンスネークの肉は、焼けばねっとりと舌に絡みつき、ドラゴンの肉とは一線を画す美味さがあり、何れ暇があればもう一頭狩りに行っても良いと思わせた。
次々とドラゴンの発表と解体が進んでいる最中、ミレーネ様より家の用意が出来たと連絡がきた。
セバンスの案内で見に行き、余りの大きさに膝をついてしまった。
玄関ホールに入ると左右に各三室、向かい合っているので14室の三階建てだが、一階の左四室は厩と馬車置き場になっていて、裏通りから入り表の扉から出る造りになっている。
一部屋が広いので出来る芸当だが、馬八頭と馬車四台を置けると聞いて頭が痛くなってきた。
玄関ホールや厨房に使用人控え室などを除いても32室に屋根裏部屋が多数。
確かにミレーネ様のお屋敷より小さいが、此処に俺一人で住むのかと思うとげんなりした。
俺の気も知らずセバンスが家令とメイド八人に馬丁二人、それに家とメイド達を守る護衛として紹介してくれたのが、マークス達を含む煉獄の牙六人と見知らぬ六人を紹介してくれる。
「何でマークス達が居るんだよ!」
「ミレーネ様が、お前の家の護衛をと声を掛けてくれてな、野獣相手より楽でそれなりの給金を示されたら、断る事は出来ないさ。後の六人も俺が信頼出来る奴等を引き抜いてきた」
「引き抜かれた連中に恨まれるぞ」
「王都周辺に大した野獣は居ないし、奴等はパーティー再編してやっているので構わないさ」
「あー、マークス。シンヤ様はご主人様になるので・・・」
「あっ、ご主人様は勘弁な。今まで通りシンヤで頼む」
「判りました、ご主人様」と言ってマークスが深々と頭を下げやがった。
「彼等は全てミレーネ様が雇っているので、費用はお任せ下さい」と言って頭を下げるセバンス。
家を受け取る事を承知して礼を言ってしまった手前、今更いらないと言えないので渋々了承する。
* * * * * * * *
商業ギルドへ行き三ヶ月後に借りている家の解約を伝え、新しい住所を記した紙をドアに貼り付け、荷物をマジックバッグにポイポイ入れて引っ越し準備完了。
新しい家の壁や床を補強し、厩の天井まで土魔法で覆ってガチガチの要塞化。
厩の上四室を俺専用の居間と寝室に使い、この四室もきっちり魔力を込めて簡単には壊せない造りにした。
家令のムラードに、家具などは新品ではないが上等な物ばかりなのでどうしたのかと問えば、元はウルファング王国商人の屋敷を、居抜きで買い上げた物だと聞いて納得。
落ち着いてからミレーネ様の所へお礼に伺うと「費用は王家が管理してくれている領地から出すので、貴方は気にする必要は無い」と言われてしまった。
そして王家から押しつけられた領地は、失脚したフルブラント侯爵の領地だったホランドルス領だそうだ。
嫡男がフルブラント家を継いだが伯爵に降格され、与えられた領地は同じガリアス街道の奥、ヘイランズ領コルタナの街だそうだ。
王都に出て来るには、元の領地を通らねばならないという羞恥プレイ付きの厳しさで、王家の怒りが垣間見えると専らの噂だと肩を竦めるミレーネ様。
「そんな所を貰っても嬉しくも何とも無いので、王家が管理してくれるのなら万々歳よ」と宣う。
ルシアン絡みの失脚だとシンヤには話せないし、陛下も皮肉なことをすると苦笑い。
* * * * * * * *
新しいお家の住所をフラン達や、グレン達タンザの楯とオルク達に知らせる文を冒険者ギルド宛てに送ったが、一度フラン達にも会っておく必要があると思い会いに行く事にした。
玄関ホールの横、厩の隣がムラードの執務室で向かいの部屋がマークスが隊長を務める護衛達の控え室、ホールを挟んだ反対側に応接室が二つに厨房や食堂などになっている。
俺の居間の隣りにマークス達と食事を共有する食堂にしているので、夕食後暫く留守にするので、後はムラードの指示に従ってくれと伝えておく。
「何処へ行くんだ?」
「タンザス街道を南へ行くとエムデンって街があるんだが、其処に知り合いが居るんだ。それとその先のザンドラから少し外れた所にも居るので、久し振りに訪ねてみようと思っている」
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