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088 王都の酔いどれ達
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ミレーネ様の許しを得てシーちゃんをミーナに預け、新たな名前を決める。 新たな名前は瞳の青から〔ブルー〕に決まり、用意の爪とぎ板を渡して、ネギ類等を与えない様に注意しておく。
服やカーテンに爪を立てないとか、ミーナの遊び相手だが万が一の時には守れと言い聞かせているが、それは黙っておく。
後は肩を叩いたら肩に乗るとか、ブルーが前足で三回叩いたら水を、三回を二度なら食事と教えると、ミレーネ様が感心していた。
「テイムが解けても危険はないと言いましたが、どれ位は大丈夫なの?」
「ミーちゃんをテイムして三年以上になりますが、テイムは解けていません」
ザンドラに放置しているスライムも、スキルから消えてないので預けっぱなしでも大丈夫だろう。
ブルーに夢中なミーナに、拙い知識だが猫の扱い方を教えてお暇するが、時々ミーナとブルーの様子を見に来て欲しいと頼まれたので、王都にいればと返事をしておく。
* * * * * * * *
恒例、春の花蜜集めをどうしようかと悩む、ザンドラは論外でタンザ方面も近寄りたくない。
花は何処にでも咲くさと、王都周辺の草原を散策して花の多い場所を探す。
花が多けりゃハニービーもやって来るので、一匹を支配で呼び寄せると巣に案内してもらうが、思ったよりも遠かった。
ハニービーの飛ぶ速度には敵わないので、ゆっくり飛んでもらいついていくこと2時間。
今度の巣は大木の中間より少し高い場所にあり、木を抱き込んだ巨大なカマキリの巣を思い出される。
蜂蜜は未だまだ在庫が有るので急ぐことはないし、花の盛りまでもう暫く待ってから花蜜を集めようと引き返す。
ハニービーを追ってフーちゃん共々駆けてきたので、歩くとなると3,4倍の時間が掛かる。
そして、ハニービーを追うことに集中して駆けていたときには気付かなかった事に気付いた。
6,7人のパーティーの様だが、自分達の進む先にいる野獣の存在に気付いていない。
ニアミスコースなので迂闊に声も掛けられないし、走って行けば野獣にも気付かれる。
隠形で気配を隠して急ぐが、冒険者達と野獣双方が同時に相手の存在に気付き、そのまま睨み合いになった気配だ。
《フーちゃん達は左右に回れ、ミーちゃんは何時も通り後ろからな》
駆けだしながら指示をし、マジックポーチから短槍を抜いて冒険者達の横に回る。
ハイオーク五頭、王都の近くに居る様な数じゃないぞ。
〈ハイオーク五頭なんて無理だ!〉
〈今、背を向けたら殺れるぞ!〉
〈ヘイズを守れ!〉
〈早くファイヤーボールを射ち込めよ!〉
〈陣形を崩すな!〉
〈おいおい、ウルフまで居るぞ〉
〈駄目だ! ファイヤーボールを射ったら逃げるぞ〉
「ウルフは俺の使役獣だ、攻撃するなよ」
「誰か知らねえが、手を貸してくれ!」
「判った、俺は右の奴からやるので左を頼む」
《1、足を攻撃して引き付けろ》
〈ゴワァァァ〉
フーちゃんが足に噛みつき、ハイオークが怒りの声を上げて其方に意識が集中した瞬間、跳び込みざまに首を切り裂き背後に着地。
回れ右すると、血飛沫を上げて倒れる隣の奴に突撃し、背中から心臓を狙って突きを入れる。
二頭目を攻撃して後ろに飛び退くと、弓弦の音が鳴り反対側の一頭が膝をつく。
群れの中央にいた奴が悲鳴を上げ足を抱えて蹲るので、延髄切りをお見舞いすると無傷の一頭が逃げ出した。
即座に後を追うフーちゃん達を追い、背後から短槍を投げつけて終わり。
短槍を引き抜いて振り返れば、足に矢を受けた一頭が多数の矢を受け槍で突かれて倒れる所だった。
魔法使いが、攻撃目標が無くなって狼狽えている。
〈遅いぞ!〉
「あんた、凄いなぁ~。魔法を射つ前に倒してしまうとは思わなかったよ」
「助かったよ、フォレストウルフ二頭を連れている凄腕がいると聞いていたが、流石だな」
「済まねぇ、助かったぜ。俺達は〔王都の酔いどれ達〕ってパーティーだ。噂通りの腕だな」
「ハイオークが五頭か、久々に女の所へ行けるぜ」
「おいおい、クルゾン何を言っている。俺達が倒したのは一頭だけだぞ」
「でもよ、討伐現場にいて一緒に討伐したんだ。均等に分けるのが当然だろう」
「俺は構わない、と言うか分け前は放棄するので、ギルドへの報告はそっちで頼むよ」
「まてよ! 助けたのなら最後まで面倒みろよ。俺達貧乏パーティーが、ハイオークを五頭も収めるマジックポーチを持っている筈がないだろう」
「クルゾン、好い加減にしろ!」
「相変わらず目先の欲に汚い奴だな」
「文句を言う前に、助けて貰った礼を言えよ!」
「お前にはうんざりだ!」
「済まない、俺は王都の酔いどれのリーダーをしているゲラントだ。この屑の寝言は無視してくれ」
「おいおい、仲間を屑呼ばわりするのか」
「屑以外の何ものでもないだろうが」
「お前がパーティーに居ると、何時も俺達が恥を掻き謝る羽目になる」
あらら、仲間割れしちゃってるが、目先の利に汚い奴は嫌われるよな。
「判ったよ、俺が預かってやるから王都へ戻ろうか。ただし、この辺りの地理に疎いので、報告はそっちでやってくれ」
「良いのか、俺達は命が助かったうえに一頭あれば十分な稼ぎなんだけど」
「いいさ、周辺の地理を覚える為に彷徨いていただけだから」
「本当に一人なんですね」
「フォレストウルフが良い働きをするんだなぁ」
「行きましょうか、急がないと日暮れになっちまうから」
仲間からボロクソに言われてふて腐れたクルゾンって奴がちんたら歩くが、他の者は何も言わずにさっさと歩き、待つ素振りすら見せない。
不味いと思ったのか、しきりに仲間のご機嫌をとろうとへらへらと話しかけて煩い。
* * * * * * * *
陽が落ちるには少し早い時間に王都に到着して、入場待ちの行列に並ぶ。
俺はフーちゃん達を連れているので、御用係の身分証を遣って中へ入った。
皆に驚きの目を向けられて自分の間抜けさに呪いの言葉を吐きそうだった。
目先の利に汚いと評されるクルゾンが擦り寄ってくるので、慎重にクルゾンの目だけを覗き込む様にして眼光を使う。
ゲラント達がビクッとするが、威圧を使ったときより反応が軽い。
一人クルゾンだけが顔を引き攣らせ、冷や汗を流して震えている。
「俺に興味を持つのなら、命を捨てる覚悟で来いよ」
それだけ言い捨てて冒険者ギルドに向かう。
「馬鹿が、お前の魂胆は丸見えなんだよ」
「一睨みで震える情けない奴」
「リーダー、此奴はパーティーから放り出そうぜ。駄目なら俺が抜けるわ」
「俺も、もううんざりだよ」
パーティー分裂の危機ってより、追放話になっちゃってるぞ。
買い取りカウンターに数組のパーティーが並んでいたが、ハイオークを数頭持っていると告げて解体場へ入らせて貰う。
「久し振りだな。今日も多いのか?」
「ハイオークが五頭だよ。王都の酔いどれ達の獲物だから、査定用紙は奴等に渡してくれ」
そう言ってハイオーク五頭を並べると、ゲラントに手を振って解体場を後に食堂へ向かう。
のんびりしている食堂のマスターに、チキチキバードのステーキが食べたいと頼み、残りは自由にしてくれと一羽を渡す。
エールのジョッキを抱えて空きテーブルに座るが、タンザの食堂とは雰囲気がまるで違う。
エールをチビチビと飲みのんびりしていると、査定用紙を持ったゲラント達が会計係のところへ行ったが、雰囲気が悪い。
暫くして食堂へ来たときには一人減っていたので、本当に追放した様だ。
ラノベなら、追放された奴が元のパーティー仲間にざまあをする展開だが、奴では自滅するパターンだな。
ステーキが焼けたと呼ばれたのでエールのお代わりを貰い、熱々のステーキをつまみにエールでグビリ。
「シンヤさん、ありがとう御座います」
「助けて貰って獲物まで」
「気にしないで良いよ。ハイオークのことは伝えてくれたかな」
「はい、サブマスに出会った場所を伝えておきました」
「と言うか、解体係が伝えたのか、サブマスが解体場まで状況を聞きに来ました」
「王都近辺まで出て来るのは非常に珍しいって、サブマスも驚いていましたよ」
ミーちゃんに小分けしたステーキを与えながら、王都周辺の状況を尋ねてみる。
「たまに2,3頭のオークや、ドッグ系やウルフが少数の群れで出て来る程度なんですがねぇ」
そう言いながら、それぞれがエールやつまみを持ってテーブルにつく。
「それって、この食堂のメニューに無いやつですよね」
「美味そうだけど、俺達の手が出る値段じゃなさそうだな」
稼ぎから帰って来る者が増えだしたので、そろそろ腰を上げようと思っていると、肩で風を切って入って来た奴等がいる。
そして食堂へ向かってきた奴等の中に、クルゾンが混じっていてまっすぐ俺達のテーブルに向かって来る。
いやーな予感がする。
追放された奴の逆恨みから・・・全員冒険者の様なので模擬戦コースかな。
「おう、お前らさっきは好き勝手を言って放り出してくれたな。お前等に好き勝手を言われて黙っているのは気分が悪い! 俺と模擬戦で勝負しろ!」
あらら、よっぽど自信があるのか、それとも総勢11人で絶対に勝てると思っているのかな。
連れて来た奴等は冒険者と破落戸の二足の草鞋といった感じの奴等で、ゲラント達を見回してニヤニヤしている。
「11人対5人とは卑怯だろう」
「お前は関係ない! 俺は王都の酔いどれ達に言っているんだ!」
「それはお前もだろう。なにやら引き連れて来たからって偉く態度がでかいじゃないか。俺が関係ないのなら、お前の後ろも関係ない。勝負は王都の酔いどれ達と、差しでやれば良いだけじゃないのかな」
服やカーテンに爪を立てないとか、ミーナの遊び相手だが万が一の時には守れと言い聞かせているが、それは黙っておく。
後は肩を叩いたら肩に乗るとか、ブルーが前足で三回叩いたら水を、三回を二度なら食事と教えると、ミレーネ様が感心していた。
「テイムが解けても危険はないと言いましたが、どれ位は大丈夫なの?」
「ミーちゃんをテイムして三年以上になりますが、テイムは解けていません」
ザンドラに放置しているスライムも、スキルから消えてないので預けっぱなしでも大丈夫だろう。
ブルーに夢中なミーナに、拙い知識だが猫の扱い方を教えてお暇するが、時々ミーナとブルーの様子を見に来て欲しいと頼まれたので、王都にいればと返事をしておく。
* * * * * * * *
恒例、春の花蜜集めをどうしようかと悩む、ザンドラは論外でタンザ方面も近寄りたくない。
花は何処にでも咲くさと、王都周辺の草原を散策して花の多い場所を探す。
花が多けりゃハニービーもやって来るので、一匹を支配で呼び寄せると巣に案内してもらうが、思ったよりも遠かった。
ハニービーの飛ぶ速度には敵わないので、ゆっくり飛んでもらいついていくこと2時間。
今度の巣は大木の中間より少し高い場所にあり、木を抱き込んだ巨大なカマキリの巣を思い出される。
蜂蜜は未だまだ在庫が有るので急ぐことはないし、花の盛りまでもう暫く待ってから花蜜を集めようと引き返す。
ハニービーを追ってフーちゃん共々駆けてきたので、歩くとなると3,4倍の時間が掛かる。
そして、ハニービーを追うことに集中して駆けていたときには気付かなかった事に気付いた。
6,7人のパーティーの様だが、自分達の進む先にいる野獣の存在に気付いていない。
ニアミスコースなので迂闊に声も掛けられないし、走って行けば野獣にも気付かれる。
隠形で気配を隠して急ぐが、冒険者達と野獣双方が同時に相手の存在に気付き、そのまま睨み合いになった気配だ。
《フーちゃん達は左右に回れ、ミーちゃんは何時も通り後ろからな》
駆けだしながら指示をし、マジックポーチから短槍を抜いて冒険者達の横に回る。
ハイオーク五頭、王都の近くに居る様な数じゃないぞ。
〈ハイオーク五頭なんて無理だ!〉
〈今、背を向けたら殺れるぞ!〉
〈ヘイズを守れ!〉
〈早くファイヤーボールを射ち込めよ!〉
〈陣形を崩すな!〉
〈おいおい、ウルフまで居るぞ〉
〈駄目だ! ファイヤーボールを射ったら逃げるぞ〉
「ウルフは俺の使役獣だ、攻撃するなよ」
「誰か知らねえが、手を貸してくれ!」
「判った、俺は右の奴からやるので左を頼む」
《1、足を攻撃して引き付けろ》
〈ゴワァァァ〉
フーちゃんが足に噛みつき、ハイオークが怒りの声を上げて其方に意識が集中した瞬間、跳び込みざまに首を切り裂き背後に着地。
回れ右すると、血飛沫を上げて倒れる隣の奴に突撃し、背中から心臓を狙って突きを入れる。
二頭目を攻撃して後ろに飛び退くと、弓弦の音が鳴り反対側の一頭が膝をつく。
群れの中央にいた奴が悲鳴を上げ足を抱えて蹲るので、延髄切りをお見舞いすると無傷の一頭が逃げ出した。
即座に後を追うフーちゃん達を追い、背後から短槍を投げつけて終わり。
短槍を引き抜いて振り返れば、足に矢を受けた一頭が多数の矢を受け槍で突かれて倒れる所だった。
魔法使いが、攻撃目標が無くなって狼狽えている。
〈遅いぞ!〉
「あんた、凄いなぁ~。魔法を射つ前に倒してしまうとは思わなかったよ」
「助かったよ、フォレストウルフ二頭を連れている凄腕がいると聞いていたが、流石だな」
「済まねぇ、助かったぜ。俺達は〔王都の酔いどれ達〕ってパーティーだ。噂通りの腕だな」
「ハイオークが五頭か、久々に女の所へ行けるぜ」
「おいおい、クルゾン何を言っている。俺達が倒したのは一頭だけだぞ」
「でもよ、討伐現場にいて一緒に討伐したんだ。均等に分けるのが当然だろう」
「俺は構わない、と言うか分け前は放棄するので、ギルドへの報告はそっちで頼むよ」
「まてよ! 助けたのなら最後まで面倒みろよ。俺達貧乏パーティーが、ハイオークを五頭も収めるマジックポーチを持っている筈がないだろう」
「クルゾン、好い加減にしろ!」
「相変わらず目先の欲に汚い奴だな」
「文句を言う前に、助けて貰った礼を言えよ!」
「お前にはうんざりだ!」
「済まない、俺は王都の酔いどれのリーダーをしているゲラントだ。この屑の寝言は無視してくれ」
「おいおい、仲間を屑呼ばわりするのか」
「屑以外の何ものでもないだろうが」
「お前がパーティーに居ると、何時も俺達が恥を掻き謝る羽目になる」
あらら、仲間割れしちゃってるが、目先の利に汚い奴は嫌われるよな。
「判ったよ、俺が預かってやるから王都へ戻ろうか。ただし、この辺りの地理に疎いので、報告はそっちでやってくれ」
「良いのか、俺達は命が助かったうえに一頭あれば十分な稼ぎなんだけど」
「いいさ、周辺の地理を覚える為に彷徨いていただけだから」
「本当に一人なんですね」
「フォレストウルフが良い働きをするんだなぁ」
「行きましょうか、急がないと日暮れになっちまうから」
仲間からボロクソに言われてふて腐れたクルゾンって奴がちんたら歩くが、他の者は何も言わずにさっさと歩き、待つ素振りすら見せない。
不味いと思ったのか、しきりに仲間のご機嫌をとろうとへらへらと話しかけて煩い。
* * * * * * * *
陽が落ちるには少し早い時間に王都に到着して、入場待ちの行列に並ぶ。
俺はフーちゃん達を連れているので、御用係の身分証を遣って中へ入った。
皆に驚きの目を向けられて自分の間抜けさに呪いの言葉を吐きそうだった。
目先の利に汚いと評されるクルゾンが擦り寄ってくるので、慎重にクルゾンの目だけを覗き込む様にして眼光を使う。
ゲラント達がビクッとするが、威圧を使ったときより反応が軽い。
一人クルゾンだけが顔を引き攣らせ、冷や汗を流して震えている。
「俺に興味を持つのなら、命を捨てる覚悟で来いよ」
それだけ言い捨てて冒険者ギルドに向かう。
「馬鹿が、お前の魂胆は丸見えなんだよ」
「一睨みで震える情けない奴」
「リーダー、此奴はパーティーから放り出そうぜ。駄目なら俺が抜けるわ」
「俺も、もううんざりだよ」
パーティー分裂の危機ってより、追放話になっちゃってるぞ。
買い取りカウンターに数組のパーティーが並んでいたが、ハイオークを数頭持っていると告げて解体場へ入らせて貰う。
「久し振りだな。今日も多いのか?」
「ハイオークが五頭だよ。王都の酔いどれ達の獲物だから、査定用紙は奴等に渡してくれ」
そう言ってハイオーク五頭を並べると、ゲラントに手を振って解体場を後に食堂へ向かう。
のんびりしている食堂のマスターに、チキチキバードのステーキが食べたいと頼み、残りは自由にしてくれと一羽を渡す。
エールのジョッキを抱えて空きテーブルに座るが、タンザの食堂とは雰囲気がまるで違う。
エールをチビチビと飲みのんびりしていると、査定用紙を持ったゲラント達が会計係のところへ行ったが、雰囲気が悪い。
暫くして食堂へ来たときには一人減っていたので、本当に追放した様だ。
ラノベなら、追放された奴が元のパーティー仲間にざまあをする展開だが、奴では自滅するパターンだな。
ステーキが焼けたと呼ばれたのでエールのお代わりを貰い、熱々のステーキをつまみにエールでグビリ。
「シンヤさん、ありがとう御座います」
「助けて貰って獲物まで」
「気にしないで良いよ。ハイオークのことは伝えてくれたかな」
「はい、サブマスに出会った場所を伝えておきました」
「と言うか、解体係が伝えたのか、サブマスが解体場まで状況を聞きに来ました」
「王都近辺まで出て来るのは非常に珍しいって、サブマスも驚いていましたよ」
ミーちゃんに小分けしたステーキを与えながら、王都周辺の状況を尋ねてみる。
「たまに2,3頭のオークや、ドッグ系やウルフが少数の群れで出て来る程度なんですがねぇ」
そう言いながら、それぞれがエールやつまみを持ってテーブルにつく。
「それって、この食堂のメニューに無いやつですよね」
「美味そうだけど、俺達の手が出る値段じゃなさそうだな」
稼ぎから帰って来る者が増えだしたので、そろそろ腰を上げようと思っていると、肩で風を切って入って来た奴等がいる。
そして食堂へ向かってきた奴等の中に、クルゾンが混じっていてまっすぐ俺達のテーブルに向かって来る。
いやーな予感がする。
追放された奴の逆恨みから・・・全員冒険者の様なので模擬戦コースかな。
「おう、お前らさっきは好き勝手を言って放り出してくれたな。お前等に好き勝手を言われて黙っているのは気分が悪い! 俺と模擬戦で勝負しろ!」
あらら、よっぽど自信があるのか、それとも総勢11人で絶対に勝てると思っているのかな。
連れて来た奴等は冒険者と破落戸の二足の草鞋といった感じの奴等で、ゲラント達を見回してニヤニヤしている。
「11人対5人とは卑怯だろう」
「お前は関係ない! 俺は王都の酔いどれ達に言っているんだ!」
「それはお前もだろう。なにやら引き連れて来たからって偉く態度がでかいじゃないか。俺が関係ないのなら、お前の後ろも関係ない。勝負は王都の酔いどれ達と、差しでやれば良いだけじゃないのかな」
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