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038 港町ミルヌ
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コルサホの街に着いたのは鞭打たれてから10日目だった、海辺の町ミルヌ迄後3日の行程クロウも俺も心が弾む。
コルサホの街でも恒例の市場巡りは欠かせない、帰りに寄ろう何てのは此の世界では通用しない。
次に寄れる保証は何処にもないし、戻ってくるのにも三日掛かるから寄れる時に寄り買える時に買っておくのが鉄則だ。
〈居たぞ! 此奴です、お役人さん。此奴に襲われて二人死んだんです〉
何か良からぬ事を言って近づいて来る男の顔は縦横に爪痕が有り、後ろに控える男二人も顔中傷だらけの無残な顔になっている。
男と警備隊の兵士に取り囲まれたが笑いそうになる。
「何か可笑しいのか」
「いえいえ兵隊さん、そんな傷だらけの顔は知りませんが声は知っています。街道を歩いている俺の後ろに馬車を寄せ轢き殺そうとし、失敗すると御者が俺を鞭打って逃げ出した時の乗客の一人ですね。人を鞭打って馬車を走らせ逃げたのですが、暫く行くと馬車は横転していました。此の男達が馬車の側に顔中血塗れで座り込んでいましたよ。そうそう人を鞭打った事など忘れた様に、ポーションを寄越せって言っていましたが、しがないブロンズランクですからポーションなど持ってませんので断りましたよ」
「おい、随分お前の話と違うがどういう事だ」
「猫です猫が馬車に飛び込んできて暴れ、その為馬が暴走したのです。そいつの飼い猫を調べてくれれば判ります」
「あの血塗れの顔は猫に引っ掻かれたのですか」
俺が笑いながら言うと、猫を出せあのでかい猫の爪痕が証拠だと言い出した。
兵士も訴えがある以上は調べるのが仕事、素直に協力してやりました。
《クロウ大人しく協力しろよ。此奴等に恥を掻かせてやる》
《任せとけ・・・て、俺は何をするんだ》
《ん、俺の言うとおりにしてくれれば良いだけだよ》
《いいぞ、任せるわ》
「兵隊さん、其奴等の顔は当時血塗れでしたから、顔の傷跡はその時の怪我だと思いますが確認して下さい」
俺の言葉に、そいつの飼い猫が馬車の中で暴れたせいだと言っている。
「じゃーその傷跡と、俺の飼い猫の爪とを比べて見ますか」
下げたバッグに収まっているクロウを取り出し、後ろ抱きに大の字に広げて男達や兵士に見せる。
《おい、エディ! 乙女の身体を公衆の面前で大の字にして晒すとは、何たる恥辱!》
《黙ってろよ、猫の裸・・・元々裸か。猫なんかに欲情する人族はいないから心配するな》
《うぅ、男のプライドがズタズタだ》
《乙女か男かはっきりしろよ。どっちにしてもクロウは猫としか認識して貰えないから、どっちでも良いけどな》
「でかい猫って言いますけど、俺の飼い猫は此れ一匹ですよ。兵隊さんその人に、少ししゃがんで動かない様に言ってもらえますか」
兵士に言われしゃがむ男に近寄り、後ろ抱きにしたクロウの手を近づける。
「はいクーちゃん、お手々広げてねー、そうそうお利口だねー」
《うぅ屈辱だ、こんな男の目の前で、大の字の大股開きでお手々広げてだって》
《ぐだぐだ言わないの、あと少しだから》
広げた手の爪を摘まみ出し男の顔に近づける。
「おーし良い子だクーちゃん。そのまま爪を出しててねー」
子猫のクロウの爪幅と、一回り大きくなった時の爪痕の幅と合う訳が無い。
兵士は中々利口な猫だと感心しながら、男に爪痕が全然合わないが嘘を言うと唯では済まないぞと詰め寄っている。
「いえ嘘じゃ有りません、金色の猫が馬車に飛び込んできて暴れたのは間違いありません」
「はぁー、金色の猫だと。お前此れが金色の猫に見えるのか、黒猫が金色に見えるのなら自分の目と頭を疑え!」
怒られてやんの、序でに告げ口をしておこう。
「兵隊さん、その男達は街道の横を歩いている俺の後ろに馬車を寄せ、ひき殺そうとして失敗すると全力で逃げ出した挙げ句、転倒して大怪我を負った馬鹿ですよ。他の人にも同じ事をしているかも知れませんから良く調べて下さいね」
兵士達に睨まれ、馬鹿三人はアワアワ言って逃げ出してしまった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
《潮の香りがするぞ》
「本当か、俺は未だ匂わないが」
《俺の鼻とエディの鼻を一緒にするな、丘の向こうから吹き上がってくる風に潮の香りがする》
そう言った瞬間クロウの姿が消えた。
丘の上って、延々緩い上り坂になっていて数キロはありそうなのに、一人で行きやがった。
乙女の大股開きが痛くプライドを傷付けた様で、ちょくちょく嫌がらせをしてくる。
一人で先に行っても買い物は出来ないぞ、精々お魚咥えたドラ猫になるのが落ちだ。
漸く丘の頂上に着くと確かに潮の香りがする、懐かしい香りに思わず涙ぐみそうになる。
平らな頂上の先に行くと紺碧の海が一面に広がる光景に思わず足が止まる。 眼下に小さくミルヌの町が見えるが今度は長い下り坂が待っている、近くの岩の上に座りクロウが身動きもしない。
「どうした行かないのか、待望の海鮮料理が待ってるぞ」
《俺の喜びに浸る思いをぶち壊すデリカシーの欠片もない男だな》
「そっ、じゃー一晩でも二晩でもごゆっくりどうぞ。俺は美味い海産物を堪能してくるわ」
《待てまて俺も行くぞ! お前一人に美味しい思いをさせてなるものか》
ミルヌの町の入り口で、衛兵に料理の美味い宿を聞き早速向かう。
料理と宿〔シードラコン亭〕・・・
《また何の捻りもない名前だな、シーチキンよりマシだがこれで料理が不味かったら詐欺だぞ》
クロウの呟きに同意するが、食べてみなけりゃ判らない。
百聞は一見に如かず美味い不味いは食わなきゃ判らない、取り合えず食べてから決めようと中に入る。
「いらっしゃい、食事、それとも泊まり?」
「此の店の自慢料理を頼む」
出てきた料理は大皿にでかい魚の煮付け、とろみのある煮汁が掛けられている。
良い匂いにクロウの鼻もピクピクしている。
持参の小皿に取り分けクロウの座る椅子に置き、俺も一口食べる。
甘辛い煮付けにソースが良く合う、此の世界にきて初めての魚料理だが美味い。
クロウは何にも言わずガツガツ食べているので満足なんだろう。
「気に入ってくれてる様だね」
クロウを見ながらそう言ってくるのは宿の女将さんらしい。
「ああ美味いね、今晩泊まりたいのだが部屋はあるかい。此奴と二人部屋で頼む」
「猫と二人部屋かい。一人部屋に猫を入れても良いよ、それで銅貨3枚ね」
食い足りないクロウが尻尾で催促してくる、取り分けて俺も堪能する迄たべたが銅貨2枚で釣りがきた。
食後は恒例の市場巡り、様々な海産物が有るが此の世界の物は日本の物に似ている。
《やっぱり此の世界って、地球や日本の物と酷似しているよな》
《俺もそう思うぞ、何だよホーンラビットやヘッジホッグって、ウサギに角を付けただけだろう。ヘッジホッグなんてハリネズミを大きくしただけだしな》
《極めつけはドラゴンだな、どう見てもコモドオオトカゲに角と牙を生やしただけだ》
《いやあれは別名コモドドラゴンって呼ばれているから、強ち間違いではないぞ。でもオークをゴリラにしているあたり、手抜きの好きな神様だよな》
《オークってラノベではどんな野獣なんだ?》
《ふつう頭部は豚顔なんだけどなぁ、此の世界の魔物・・・野獣って地球産の物を大きくしたり角を生やしただけだぞ》
《まあ日本の八百万の神々なら分業で色々作れるけど、エルマート様一人じゃ創造神と言えども大変だろう。おまけに授けの儀まであるからな。魔力のある猫にお願いされて、うっかり魔法を授けたのかもな。俺の想像ではシードラゴンがいたら、ウミヘビかウツボあたりの大きい奴だと思うな》
《止めてくれ、そんな奴見たくもない。出たら俺は逃げるからな》
《味見したいが腹一杯で無理だわ、味見は明日からにするか》
腹ごなしの散歩も飽きたので、大人しく宿に戻り明日に備える。
・・・・・・
朝の市場の賑わいは何時見ても心がおどる、何処か見覚えの有る魚が多いがその分余計美味しそうに見える。
《おいエディ、海老だ海老が有るぞ!》
《あークロウに残念なお知らせが有る、猫に海老は毒だぞ、何やら猫に不味い成分が有るって話しだったな》
《ええ~マジかよぉぉ。でも味見して気持ち悪くなったら自分で治せば》
《即死したらどうする。俺は治癒魔法使えないし蘇生術なんて出来ないぞ》
海老を睨んで唸っているクロウを見て、店のおばちゃんが笑っている。
「お姉さんそのエビ一山何匹いるの」
「あらお兄ちゃん、お姉さんなんて嬉しいね。一山10匹だけどおまけするよ11匹で銅貨5枚でどうかね」
「じゃー6山貰うよ、銀貨3枚ね」
「えっ・・・持って帰れるの」
「お財布ポーチ持ってるから大丈夫だよ」
「なんだ、あんたも買い付けかい」
仕入れと間違われたが適当に笑って誤魔化し、お財布ポーチに入れる振りをして空間収納に仕舞う。
後でクロウの空間収納に移し替えれば、当分新鮮な魚介類には困らない食生活が待っている。
《おいエディ左を見ろ! 蟹だ蟹、これは見逃せんぞ。買え!買え!!!》
《海老が食えないからって蟹に執着してないか》
《かーお前は蟹の美味さを知らんのか、情けない》
クロウの猛プッシュで蟹を三籠30匹買うが、少ないとブツブツ言っている。
蟹は俺も好きだからもっと買うが、一店舗で買い占めると目立つからと宥めるのに大変だ。
暫くこの街にいて色々買い込むからと静かにさせる。
コルサホの街でも恒例の市場巡りは欠かせない、帰りに寄ろう何てのは此の世界では通用しない。
次に寄れる保証は何処にもないし、戻ってくるのにも三日掛かるから寄れる時に寄り買える時に買っておくのが鉄則だ。
〈居たぞ! 此奴です、お役人さん。此奴に襲われて二人死んだんです〉
何か良からぬ事を言って近づいて来る男の顔は縦横に爪痕が有り、後ろに控える男二人も顔中傷だらけの無残な顔になっている。
男と警備隊の兵士に取り囲まれたが笑いそうになる。
「何か可笑しいのか」
「いえいえ兵隊さん、そんな傷だらけの顔は知りませんが声は知っています。街道を歩いている俺の後ろに馬車を寄せ轢き殺そうとし、失敗すると御者が俺を鞭打って逃げ出した時の乗客の一人ですね。人を鞭打って馬車を走らせ逃げたのですが、暫く行くと馬車は横転していました。此の男達が馬車の側に顔中血塗れで座り込んでいましたよ。そうそう人を鞭打った事など忘れた様に、ポーションを寄越せって言っていましたが、しがないブロンズランクですからポーションなど持ってませんので断りましたよ」
「おい、随分お前の話と違うがどういう事だ」
「猫です猫が馬車に飛び込んできて暴れ、その為馬が暴走したのです。そいつの飼い猫を調べてくれれば判ります」
「あの血塗れの顔は猫に引っ掻かれたのですか」
俺が笑いながら言うと、猫を出せあのでかい猫の爪痕が証拠だと言い出した。
兵士も訴えがある以上は調べるのが仕事、素直に協力してやりました。
《クロウ大人しく協力しろよ。此奴等に恥を掻かせてやる》
《任せとけ・・・て、俺は何をするんだ》
《ん、俺の言うとおりにしてくれれば良いだけだよ》
《いいぞ、任せるわ》
「兵隊さん、其奴等の顔は当時血塗れでしたから、顔の傷跡はその時の怪我だと思いますが確認して下さい」
俺の言葉に、そいつの飼い猫が馬車の中で暴れたせいだと言っている。
「じゃーその傷跡と、俺の飼い猫の爪とを比べて見ますか」
下げたバッグに収まっているクロウを取り出し、後ろ抱きに大の字に広げて男達や兵士に見せる。
《おい、エディ! 乙女の身体を公衆の面前で大の字にして晒すとは、何たる恥辱!》
《黙ってろよ、猫の裸・・・元々裸か。猫なんかに欲情する人族はいないから心配するな》
《うぅ、男のプライドがズタズタだ》
《乙女か男かはっきりしろよ。どっちにしてもクロウは猫としか認識して貰えないから、どっちでも良いけどな》
「でかい猫って言いますけど、俺の飼い猫は此れ一匹ですよ。兵隊さんその人に、少ししゃがんで動かない様に言ってもらえますか」
兵士に言われしゃがむ男に近寄り、後ろ抱きにしたクロウの手を近づける。
「はいクーちゃん、お手々広げてねー、そうそうお利口だねー」
《うぅ屈辱だ、こんな男の目の前で、大の字の大股開きでお手々広げてだって》
《ぐだぐだ言わないの、あと少しだから》
広げた手の爪を摘まみ出し男の顔に近づける。
「おーし良い子だクーちゃん。そのまま爪を出しててねー」
子猫のクロウの爪幅と、一回り大きくなった時の爪痕の幅と合う訳が無い。
兵士は中々利口な猫だと感心しながら、男に爪痕が全然合わないが嘘を言うと唯では済まないぞと詰め寄っている。
「いえ嘘じゃ有りません、金色の猫が馬車に飛び込んできて暴れたのは間違いありません」
「はぁー、金色の猫だと。お前此れが金色の猫に見えるのか、黒猫が金色に見えるのなら自分の目と頭を疑え!」
怒られてやんの、序でに告げ口をしておこう。
「兵隊さん、その男達は街道の横を歩いている俺の後ろに馬車を寄せ、ひき殺そうとして失敗すると全力で逃げ出した挙げ句、転倒して大怪我を負った馬鹿ですよ。他の人にも同じ事をしているかも知れませんから良く調べて下さいね」
兵士達に睨まれ、馬鹿三人はアワアワ言って逃げ出してしまった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
《潮の香りがするぞ》
「本当か、俺は未だ匂わないが」
《俺の鼻とエディの鼻を一緒にするな、丘の向こうから吹き上がってくる風に潮の香りがする》
そう言った瞬間クロウの姿が消えた。
丘の上って、延々緩い上り坂になっていて数キロはありそうなのに、一人で行きやがった。
乙女の大股開きが痛くプライドを傷付けた様で、ちょくちょく嫌がらせをしてくる。
一人で先に行っても買い物は出来ないぞ、精々お魚咥えたドラ猫になるのが落ちだ。
漸く丘の頂上に着くと確かに潮の香りがする、懐かしい香りに思わず涙ぐみそうになる。
平らな頂上の先に行くと紺碧の海が一面に広がる光景に思わず足が止まる。 眼下に小さくミルヌの町が見えるが今度は長い下り坂が待っている、近くの岩の上に座りクロウが身動きもしない。
「どうした行かないのか、待望の海鮮料理が待ってるぞ」
《俺の喜びに浸る思いをぶち壊すデリカシーの欠片もない男だな》
「そっ、じゃー一晩でも二晩でもごゆっくりどうぞ。俺は美味い海産物を堪能してくるわ」
《待てまて俺も行くぞ! お前一人に美味しい思いをさせてなるものか》
ミルヌの町の入り口で、衛兵に料理の美味い宿を聞き早速向かう。
料理と宿〔シードラコン亭〕・・・
《また何の捻りもない名前だな、シーチキンよりマシだがこれで料理が不味かったら詐欺だぞ》
クロウの呟きに同意するが、食べてみなけりゃ判らない。
百聞は一見に如かず美味い不味いは食わなきゃ判らない、取り合えず食べてから決めようと中に入る。
「いらっしゃい、食事、それとも泊まり?」
「此の店の自慢料理を頼む」
出てきた料理は大皿にでかい魚の煮付け、とろみのある煮汁が掛けられている。
良い匂いにクロウの鼻もピクピクしている。
持参の小皿に取り分けクロウの座る椅子に置き、俺も一口食べる。
甘辛い煮付けにソースが良く合う、此の世界にきて初めての魚料理だが美味い。
クロウは何にも言わずガツガツ食べているので満足なんだろう。
「気に入ってくれてる様だね」
クロウを見ながらそう言ってくるのは宿の女将さんらしい。
「ああ美味いね、今晩泊まりたいのだが部屋はあるかい。此奴と二人部屋で頼む」
「猫と二人部屋かい。一人部屋に猫を入れても良いよ、それで銅貨3枚ね」
食い足りないクロウが尻尾で催促してくる、取り分けて俺も堪能する迄たべたが銅貨2枚で釣りがきた。
食後は恒例の市場巡り、様々な海産物が有るが此の世界の物は日本の物に似ている。
《やっぱり此の世界って、地球や日本の物と酷似しているよな》
《俺もそう思うぞ、何だよホーンラビットやヘッジホッグって、ウサギに角を付けただけだろう。ヘッジホッグなんてハリネズミを大きくしただけだしな》
《極めつけはドラゴンだな、どう見てもコモドオオトカゲに角と牙を生やしただけだ》
《いやあれは別名コモドドラゴンって呼ばれているから、強ち間違いではないぞ。でもオークをゴリラにしているあたり、手抜きの好きな神様だよな》
《オークってラノベではどんな野獣なんだ?》
《ふつう頭部は豚顔なんだけどなぁ、此の世界の魔物・・・野獣って地球産の物を大きくしたり角を生やしただけだぞ》
《まあ日本の八百万の神々なら分業で色々作れるけど、エルマート様一人じゃ創造神と言えども大変だろう。おまけに授けの儀まであるからな。魔力のある猫にお願いされて、うっかり魔法を授けたのかもな。俺の想像ではシードラゴンがいたら、ウミヘビかウツボあたりの大きい奴だと思うな》
《止めてくれ、そんな奴見たくもない。出たら俺は逃げるからな》
《味見したいが腹一杯で無理だわ、味見は明日からにするか》
腹ごなしの散歩も飽きたので、大人しく宿に戻り明日に備える。
・・・・・・
朝の市場の賑わいは何時見ても心がおどる、何処か見覚えの有る魚が多いがその分余計美味しそうに見える。
《おいエディ、海老だ海老が有るぞ!》
《あークロウに残念なお知らせが有る、猫に海老は毒だぞ、何やら猫に不味い成分が有るって話しだったな》
《ええ~マジかよぉぉ。でも味見して気持ち悪くなったら自分で治せば》
《即死したらどうする。俺は治癒魔法使えないし蘇生術なんて出来ないぞ》
海老を睨んで唸っているクロウを見て、店のおばちゃんが笑っている。
「お姉さんそのエビ一山何匹いるの」
「あらお兄ちゃん、お姉さんなんて嬉しいね。一山10匹だけどおまけするよ11匹で銅貨5枚でどうかね」
「じゃー6山貰うよ、銀貨3枚ね」
「えっ・・・持って帰れるの」
「お財布ポーチ持ってるから大丈夫だよ」
「なんだ、あんたも買い付けかい」
仕入れと間違われたが適当に笑って誤魔化し、お財布ポーチに入れる振りをして空間収納に仕舞う。
後でクロウの空間収納に移し替えれば、当分新鮮な魚介類には困らない食生活が待っている。
《おいエディ左を見ろ! 蟹だ蟹、これは見逃せんぞ。買え!買え!!!》
《海老が食えないからって蟹に執着してないか》
《かーお前は蟹の美味さを知らんのか、情けない》
クロウの猛プッシュで蟹を三籠30匹買うが、少ないとブツブツ言っている。
蟹は俺も好きだからもっと買うが、一店舗で買い占めると目立つからと宥めるのに大変だ。
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