147 / 161
147 私闘
しおりを挟む
手にした短槍を水平にしながら「俺達に何か用かな」と、尋ねて見る。
「用も何も、奴の知り合いなら餌に良さそうだと思ってな」
「ギルドでは後れを取ったが、野外に出れば俺達の力を発揮できる」
「威圧は確かに凄かったが、実戦の近接戦闘ではどうかな」
「所詮魔法使いだからな。のんびり詠唱などさせないさ」
「のんびり詠唱ね。ユーゴも軽く見られたもんだな」
「いやいや、知らないって恐いよなぁ」
「魔法使いがいないので知らないんじゃないの」
「御託は良いんだよ。餌は一人二人居ればいいので・・・」
「あらら、抜いたよ」
「ボルヘンは避難所に」
「えっ、俺達は?」
「まさか・・・ゴールドランクとやりあおうっての?」
「ホリエントさんやグレンさん達より弱そうだし、ちょっと腕試しかな」
「うちのリーダーも、大分ユーゴに毒されているよな」
「ちょっと迷惑だけど、死ぬ事はないっしょ」
「多分な。散々殴られた恨みを晴らす時かな」
「ちょっ、相手が違うんじゃないの」
「ほう、俺達とやりあおうってか」
「後ろは任せたぞ」
「少しは使えるのかな」
「試してみな! ゴールドだシルバーだと言っても、所詮獣相手のランクだからな。俺達は本格的な対人戦の訓練を積んでいるんだ」
「ユーゴとは一年以上殴り合った中だし」
「時々はユーゴに勝てる腕だぞ」
「グロスタ、それ、自慢になってないぞ」
「ユーゴの対人戦を見た事がない奴は、どうしても甘く見るんだよなぁ」
中央の奴に短槍を突き入れ、弾かれた力を利用して横に振る。
右隣の男が避けたが、姿勢が崩れたところをホウルが跳び込み様に木剣を叩き付ける。
油断していた男は、それを避けきれずに肩で受けて呻き声を上げて倒れ込んだ。
「しゃらくさい! 斬り捨てろ!」
背後を守っていた二人が振り向くが、リーダーのバトラに怒鳴られて後ろの警戒に戻る。
仲間を怒鳴るバトラに、グロスタが突きを入れると軽くステップして躱す。
「おっ、流石はゴールドランク! 俺にはちょっと荷が重いから変わって」
「何を余裕で人に替われって言ってるの。俺は正面の奴で忙しいんだ!」
「ゴールドランクと手合わせって、羨ましいなぁー、頑張れー♪」
「この野郎共、俺達を舐めくさってるな」
「大分剣筋が甘いねぇ、此れでユーゴに勝つつもりなら頭が沸いてるぞ」
木剣に真剣で斬りかかれば、受けた木剣に刃が食い込むのは当然で、慌てる男に跳び込みざま胸に肘打ちを叩き込む。
「何をやっている!」
バトラが怒鳴りながら、縺れて倒れた俺に後ろから斬りつけたが、何かに驚いた様に跳び下がる。
すかさずグロスタが短槍を突き入れると、腹に槍先が突き立ち〈ウッ〉と声を上げる。
それを見た残る一人が背を向けたが、後ろでも闘いが始まっていた。。
「おっ、ゴールドランクに勝っちゃったよ」
その先では、デリスとルッカスが背後を守っていた男達と打ち合っている。
背を向けた男に、ホウルが小弓を取り出し連続して矢を打ち込む。
残る二人は、デリスとルッカスが一対一で打ち合っていたが、デリスは余裕で打ち負かし叩き伏せる。
「ルッカス、頑張れ~」
「ちょっ、お前等見物かよ」
「其奴って、もう一人のゴールドランクだった筈だぞ」
「マジかよぅ~。デリス、替わってよぉ~」
「ルッカスさん、落ち着いてやれば大丈夫ですよ」
「さんは要らないから! 俺もシルバー相手の方が、わったたたた・・・危ないよ」
「余裕だねルッカス」
「デリス、手間取ると面倒だから変わってあげて」
デリスがルッカスの前に出ると「はぁ~、俺には荷が重いよ」等と言いながら見物に回る。
「つくづく舐められたものだな」
「そうでもないですよ。俺って八歳の時から対人戦の訓練をやらされていたし、ユーゴさん達に徹底的に扱かれたからね」
「おっ、やっぱり正統派は違うね」
「此れから模擬戦はデリスにお任せだな」
そう言った瞬間、デリスの木剣が相手の手首に吸い込まれて鈍い音を立て、呻く男の頭に追撃が入る。
「よーし、終わったな」
「此奴等をどうする?」
「俺達を餌にするって言ってたから、餌にすれば良いんじゃね」
「だな、ユーゴに教えても埋めるだろうし」
「襲われたら殺す。冒険者の鉄則だし、犯罪奴隷にするには連れて帰らなきゃならんからな」
「身ぐるみ剥いで武器や服は穴の中へ放り込め」
「お前・・・そっ、その服・・・は?」バトラが腹から血を流し無念そうな呻き声で聞いてくる。
「お察しのとおりさ、実は俺達もユーゴと共にドラゴン討伐に行ってたのさ」
「小さいながらドラゴンを討伐しているんだよ」
「その報酬で買ったのが此の服なんだが、良い服だよ」
「安心安全快適な優れ物!」
「勘弁してくれ。俺はリーダーに逆らえなかったんだ」
「頼む、ポーションを飲ませてくれ」
「お前も冒険者だろう模擬戦ならともかく、森で待ち伏せして負けたからと命乞いなんてするな」
「心配するな。今晩には野獣の腹の中だから」
剥ぎ取った下着を口に突っ込んで猿轡をし、手足の腱を切って放置する。
* * * * * * * *
「ユーゴちゃん」って声に振り向けば、ハティーが手を振っている。
コークスがにやにやと笑い、ボルトとキルザも苦笑いをしている。
エールのジョッキを持って同じテーブルに座ると、キルザがハリスン達に会ったかと聞いて来た。
「いや、最近会っていないけど何か」
「お前がデリスって奴を、ハリスン達に預けただろう。その後で噂の奴等と会ったらしいぞ」
周囲に聞こえない様に小声で教えてくれる。
「会ったって、何処で?」
「森でだよ。待ち伏せしていたらしいが、ハリスン達が先に気付いたそうだ」
「ハリスン達が言うには、彼等を囮にお前を呼び出すつもりだったらしいぞ」
「それが返り討ちに遭って・・・お可哀想に」
「野獣の腹の中だそうだ」
「若いとみて侮ったのだろうな。お前と張り合って殴り合う連中だ、並みの奴等じゃ勝ち目がないよな」
「いやいや、ユーゴと殴り合う仲だ。ゴールドランクでも勝てなかったって事だな」
あらら、バトラちゃん死んじゃったのかよ、計画がおじゃんだぜ。
コークス達と別れてホテルに戻り、上等な街着に着替えて紋章もばっちり見える様にし、辻馬車を呼ばせる。
御者に命じ、旧ロスラント子爵邸へお出掛けだ。
流石は王国に仕える者が代官をし、配下も王国から派遣された者達なので身分証を見せるとすんなり通してくれる。
「此れはこれは、フェルナンド男爵様。何か御用でしょうか」
「代官殿に少し頼みがあってお邪魔しました。教会に紹介状を書いて貰えないだろうか」
「教会に、ですか?」
「ああ、教会がシエナラの街でどの様な役割を果たし活動をしているのか、興味が湧いたので聞いてみたくなってね。俺が直接行くと警戒されかねないので、代官殿に紹介して貰おうと思ったのさ。名前はルッカス・オンデウス、オンデウス男爵の縁の者で、冒険者をしていると書いてくれると有り難い」
「オンデウス男爵の名前を使っても宜しいのですか?」
「大丈夫だよ。彼とはドラゴン討伐を共にした仲だし、今シエナラに居るはずだが、別行動なので会えなくてね」
代官は他人の名を騙る事に渋ったが、身分証の力で押し切り紹介状を書かせた。
* * * * * * * *
上等な街着に頭と顔をスカーフで覆い、長めのケープを羽織りフードを被って外見を隠す。
教会では神父様にご挨拶をし、金貨五枚のお布施を弾んでから代官に書かせた紹介状を差し出す。
「此れはご丁寧な。アッシーラ様のご加護が貴男をお守り致します様に」と、上等な衣服に金貨の威力は十分に現れる。
「実は神父様にお尋ねしたい事が少々御座いまして」
「如何様な事でしょうかな」
少し警戒気味な返答に、さも何でもないと言わんばかりに軽く問いかけてみる。
「いえ、遠縁の者が授けの儀に臨みましたのですが、なんと、神様の悪戯だと言われまして酷く落胆しております。それで神様の悪戯とは何の事かお聞きしに参った次第です」
「おお、その様な事ですか。授けの儀に際し、極偶に現れる現象でしてね。私共では、アッシーラ様が魔法を授けた相手を間違えてしまった時に、それを取り消す為ではないかと伝えられています」
「アッシーラ様がお間違えに?」
「ほれ、授けの日には多数の者が集います。それぞれの者に魔法を振り分けますが、余りに数が多いので時に取り違えられるのでしょう。その魔法名を消す為に、縦横の線で読めなくするのでしょう。私共もアッシーラ様の間違いとは申せませんので、悪戯と・・・」
「なる程。それで魔法は授からなかったが、魔力だけは残っているのですね」
「極々希に見られる現象ですからね。・・・そう言えば数年前にフェルカナでそんな事が噂になりましたが、その方の事ですかな」
「まぁ・・・一族の、何と申しましょうか」
「貴族の一員ともなればねぇ、お察しいたします」
「此の事は、ご内聞に願えれば・・・」そう言って新たに金貨五枚の包みをそっと手渡しておく。
鷹揚に頷かれた神父様は、受け取った包みの重さを確かめると素速く懐にしまった。
此れで顔を隠してフードを被っていたのも当然と受け取って貰えるだろう。
思わぬ収穫もあったので満足してホテルに帰る。
さて、フェルカナならコッコラ商会の支店が在るので、そこから探りを入れるかな。
「用も何も、奴の知り合いなら餌に良さそうだと思ってな」
「ギルドでは後れを取ったが、野外に出れば俺達の力を発揮できる」
「威圧は確かに凄かったが、実戦の近接戦闘ではどうかな」
「所詮魔法使いだからな。のんびり詠唱などさせないさ」
「のんびり詠唱ね。ユーゴも軽く見られたもんだな」
「いやいや、知らないって恐いよなぁ」
「魔法使いがいないので知らないんじゃないの」
「御託は良いんだよ。餌は一人二人居ればいいので・・・」
「あらら、抜いたよ」
「ボルヘンは避難所に」
「えっ、俺達は?」
「まさか・・・ゴールドランクとやりあおうっての?」
「ホリエントさんやグレンさん達より弱そうだし、ちょっと腕試しかな」
「うちのリーダーも、大分ユーゴに毒されているよな」
「ちょっと迷惑だけど、死ぬ事はないっしょ」
「多分な。散々殴られた恨みを晴らす時かな」
「ちょっ、相手が違うんじゃないの」
「ほう、俺達とやりあおうってか」
「後ろは任せたぞ」
「少しは使えるのかな」
「試してみな! ゴールドだシルバーだと言っても、所詮獣相手のランクだからな。俺達は本格的な対人戦の訓練を積んでいるんだ」
「ユーゴとは一年以上殴り合った中だし」
「時々はユーゴに勝てる腕だぞ」
「グロスタ、それ、自慢になってないぞ」
「ユーゴの対人戦を見た事がない奴は、どうしても甘く見るんだよなぁ」
中央の奴に短槍を突き入れ、弾かれた力を利用して横に振る。
右隣の男が避けたが、姿勢が崩れたところをホウルが跳び込み様に木剣を叩き付ける。
油断していた男は、それを避けきれずに肩で受けて呻き声を上げて倒れ込んだ。
「しゃらくさい! 斬り捨てろ!」
背後を守っていた二人が振り向くが、リーダーのバトラに怒鳴られて後ろの警戒に戻る。
仲間を怒鳴るバトラに、グロスタが突きを入れると軽くステップして躱す。
「おっ、流石はゴールドランク! 俺にはちょっと荷が重いから変わって」
「何を余裕で人に替われって言ってるの。俺は正面の奴で忙しいんだ!」
「ゴールドランクと手合わせって、羨ましいなぁー、頑張れー♪」
「この野郎共、俺達を舐めくさってるな」
「大分剣筋が甘いねぇ、此れでユーゴに勝つつもりなら頭が沸いてるぞ」
木剣に真剣で斬りかかれば、受けた木剣に刃が食い込むのは当然で、慌てる男に跳び込みざま胸に肘打ちを叩き込む。
「何をやっている!」
バトラが怒鳴りながら、縺れて倒れた俺に後ろから斬りつけたが、何かに驚いた様に跳び下がる。
すかさずグロスタが短槍を突き入れると、腹に槍先が突き立ち〈ウッ〉と声を上げる。
それを見た残る一人が背を向けたが、後ろでも闘いが始まっていた。。
「おっ、ゴールドランクに勝っちゃったよ」
その先では、デリスとルッカスが背後を守っていた男達と打ち合っている。
背を向けた男に、ホウルが小弓を取り出し連続して矢を打ち込む。
残る二人は、デリスとルッカスが一対一で打ち合っていたが、デリスは余裕で打ち負かし叩き伏せる。
「ルッカス、頑張れ~」
「ちょっ、お前等見物かよ」
「其奴って、もう一人のゴールドランクだった筈だぞ」
「マジかよぅ~。デリス、替わってよぉ~」
「ルッカスさん、落ち着いてやれば大丈夫ですよ」
「さんは要らないから! 俺もシルバー相手の方が、わったたたた・・・危ないよ」
「余裕だねルッカス」
「デリス、手間取ると面倒だから変わってあげて」
デリスがルッカスの前に出ると「はぁ~、俺には荷が重いよ」等と言いながら見物に回る。
「つくづく舐められたものだな」
「そうでもないですよ。俺って八歳の時から対人戦の訓練をやらされていたし、ユーゴさん達に徹底的に扱かれたからね」
「おっ、やっぱり正統派は違うね」
「此れから模擬戦はデリスにお任せだな」
そう言った瞬間、デリスの木剣が相手の手首に吸い込まれて鈍い音を立て、呻く男の頭に追撃が入る。
「よーし、終わったな」
「此奴等をどうする?」
「俺達を餌にするって言ってたから、餌にすれば良いんじゃね」
「だな、ユーゴに教えても埋めるだろうし」
「襲われたら殺す。冒険者の鉄則だし、犯罪奴隷にするには連れて帰らなきゃならんからな」
「身ぐるみ剥いで武器や服は穴の中へ放り込め」
「お前・・・そっ、その服・・・は?」バトラが腹から血を流し無念そうな呻き声で聞いてくる。
「お察しのとおりさ、実は俺達もユーゴと共にドラゴン討伐に行ってたのさ」
「小さいながらドラゴンを討伐しているんだよ」
「その報酬で買ったのが此の服なんだが、良い服だよ」
「安心安全快適な優れ物!」
「勘弁してくれ。俺はリーダーに逆らえなかったんだ」
「頼む、ポーションを飲ませてくれ」
「お前も冒険者だろう模擬戦ならともかく、森で待ち伏せして負けたからと命乞いなんてするな」
「心配するな。今晩には野獣の腹の中だから」
剥ぎ取った下着を口に突っ込んで猿轡をし、手足の腱を切って放置する。
* * * * * * * *
「ユーゴちゃん」って声に振り向けば、ハティーが手を振っている。
コークスがにやにやと笑い、ボルトとキルザも苦笑いをしている。
エールのジョッキを持って同じテーブルに座ると、キルザがハリスン達に会ったかと聞いて来た。
「いや、最近会っていないけど何か」
「お前がデリスって奴を、ハリスン達に預けただろう。その後で噂の奴等と会ったらしいぞ」
周囲に聞こえない様に小声で教えてくれる。
「会ったって、何処で?」
「森でだよ。待ち伏せしていたらしいが、ハリスン達が先に気付いたそうだ」
「ハリスン達が言うには、彼等を囮にお前を呼び出すつもりだったらしいぞ」
「それが返り討ちに遭って・・・お可哀想に」
「野獣の腹の中だそうだ」
「若いとみて侮ったのだろうな。お前と張り合って殴り合う連中だ、並みの奴等じゃ勝ち目がないよな」
「いやいや、ユーゴと殴り合う仲だ。ゴールドランクでも勝てなかったって事だな」
あらら、バトラちゃん死んじゃったのかよ、計画がおじゃんだぜ。
コークス達と別れてホテルに戻り、上等な街着に着替えて紋章もばっちり見える様にし、辻馬車を呼ばせる。
御者に命じ、旧ロスラント子爵邸へお出掛けだ。
流石は王国に仕える者が代官をし、配下も王国から派遣された者達なので身分証を見せるとすんなり通してくれる。
「此れはこれは、フェルナンド男爵様。何か御用でしょうか」
「代官殿に少し頼みがあってお邪魔しました。教会に紹介状を書いて貰えないだろうか」
「教会に、ですか?」
「ああ、教会がシエナラの街でどの様な役割を果たし活動をしているのか、興味が湧いたので聞いてみたくなってね。俺が直接行くと警戒されかねないので、代官殿に紹介して貰おうと思ったのさ。名前はルッカス・オンデウス、オンデウス男爵の縁の者で、冒険者をしていると書いてくれると有り難い」
「オンデウス男爵の名前を使っても宜しいのですか?」
「大丈夫だよ。彼とはドラゴン討伐を共にした仲だし、今シエナラに居るはずだが、別行動なので会えなくてね」
代官は他人の名を騙る事に渋ったが、身分証の力で押し切り紹介状を書かせた。
* * * * * * * *
上等な街着に頭と顔をスカーフで覆い、長めのケープを羽織りフードを被って外見を隠す。
教会では神父様にご挨拶をし、金貨五枚のお布施を弾んでから代官に書かせた紹介状を差し出す。
「此れはご丁寧な。アッシーラ様のご加護が貴男をお守り致します様に」と、上等な衣服に金貨の威力は十分に現れる。
「実は神父様にお尋ねしたい事が少々御座いまして」
「如何様な事でしょうかな」
少し警戒気味な返答に、さも何でもないと言わんばかりに軽く問いかけてみる。
「いえ、遠縁の者が授けの儀に臨みましたのですが、なんと、神様の悪戯だと言われまして酷く落胆しております。それで神様の悪戯とは何の事かお聞きしに参った次第です」
「おお、その様な事ですか。授けの儀に際し、極偶に現れる現象でしてね。私共では、アッシーラ様が魔法を授けた相手を間違えてしまった時に、それを取り消す為ではないかと伝えられています」
「アッシーラ様がお間違えに?」
「ほれ、授けの日には多数の者が集います。それぞれの者に魔法を振り分けますが、余りに数が多いので時に取り違えられるのでしょう。その魔法名を消す為に、縦横の線で読めなくするのでしょう。私共もアッシーラ様の間違いとは申せませんので、悪戯と・・・」
「なる程。それで魔法は授からなかったが、魔力だけは残っているのですね」
「極々希に見られる現象ですからね。・・・そう言えば数年前にフェルカナでそんな事が噂になりましたが、その方の事ですかな」
「まぁ・・・一族の、何と申しましょうか」
「貴族の一員ともなればねぇ、お察しいたします」
「此の事は、ご内聞に願えれば・・・」そう言って新たに金貨五枚の包みをそっと手渡しておく。
鷹揚に頷かれた神父様は、受け取った包みの重さを確かめると素速く懐にしまった。
此れで顔を隠してフードを被っていたのも当然と受け取って貰えるだろう。
思わぬ収穫もあったので満足してホテルに帰る。
さて、フェルカナならコッコラ商会の支店が在るので、そこから探りを入れるかな。
160
あなたにおすすめの小説
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ReBirth 上位世界から下位世界へ
小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは――
※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。
1~4巻発売中です。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
魔法学校の落ちこぼれ
梨香
ファンタジー
昔、偉大な魔法使いがいた。シラス王国の危機に突然現れて、強力な魔法で国を救った。アシュレイという青年は国王の懇願で十数年を首都で過ごしたが、忽然と姿を消した。数人の弟子が、残された魔法書を基にアシュレイ魔法学校を創立した。それから300年後、貧しい農村の少年フィンは、税金が払えず家を追い出されそうになる。フィンはアシュレイ魔法学校の入学試験の巡回が来るのを知る。「魔法学校に入学できたら、家族は家を追い出されない」魔法使いの素質のある子供を発掘しようと、マキシム王は魔法学校に入学した生徒の家族には免税特権を与えていたのだ。フィンは一か八かで受験する。ギリギリの成績で合格したフィンは「落ちこぼれ」と一部の貴族から馬鹿にされる。
しかし、何人か友人もできて、頑張って魔法学校で勉強に励む。
『落ちこぼれ』と馬鹿にされていたフィンの成長物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる