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013 反発
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俺がそう返事をすると、侯爵様が考え込んでしまった。
暫しの沈黙の後、侯爵様が口を開く。
「それなら、野獣の所まで案内する者がいれば依頼を受けて貰えるかな。君の攻撃力が有れば、アーマーバッファローを討伐出来ると思うが」
「具体的に言って貰えますか」
〈貴様! 図に乗るのも好い加減にしろ!〉
〈侯爵様に何という口のきき様だ!〉
侯爵様が手を上げ、叫ぶ者を制したので続ける。
「下手に依頼を受けた挙げ句、死にたくは在りません。アーマーバッファローの攻撃を受けて、俺を守ってくれる奴が居るのですか? 侯爵様ほどの戦力があれば、魔法部隊と兵士を使って討伐すれば宜しいのでは」
侯爵様肩を竦めて苦笑い。
「私にそれ程の力は無いし、魔法部隊や兵を使って討伐出来る様な代物ではないんだよ。出来るのは冒険者の極一部だけだな。君の攻撃力はその極一部に該当する。あの標的の壁は未だ嘗て崩された事が無いが、君は簡単に射ち抜いた。モーラ殿の話では、二度目の襲撃を撃退した作戦も見事だ。アーマーバッファローを調べてみて、倒せそうなら受けてくれないか。君の要望には最大限応えよう」
この侯爵様なかなか頭が切れる様だな、まっ冒険者に無理強いしても逃げられるだけだから、頼むしかないけどな。
「受けるとは言えませんが、調べるだけは調べましょう。二週間待って頂けますか、返事はモーラさんを通じて致しますので」
侯爵邸を後にし帰りの馬車の中で、モーラさんが汗を拭きながらぼやく。
「いやー、久々に冷や汗を掻きましたよ。私も懇意にさせて頂いていますが、あれ程はっきりとは言えません」
「でも安請け合いして死にたくないですし、逃げ出したらモーラさんが恥を掻くでしょう」
〔月夜の亭〕に戻る途中で冒険者ギルドで降ろしてもらう。
キルドには討伐依頼を出していると言ってたから、多少なりともアーマーバッファローの事が判るかも知れない。
依頼票はゴールド,プラチナクラスの所に張り出されていたが、生態や特徴弱点などの情報はなし。
「小僧邪魔だ! ガキが受ける様な依頼はあっちだ」
声と共に襟首を掴まれ、アイアンランク用掲示板の方に蹴りやられた。
「悪かったな。偉そうに言うのは勝手だが、襟首を掴んで蹴られる謂れはないぞ」
「アイアンの小僧が何を意気がっている。大人しくゴブリンの尻でも舐めてろ」
「弱そうな相手を探して意気がるなよ、おっさん」
「ほう、なかなか威勢がいいな。ちと揉んでやろうか」
「止めとけ、恥を掻きたくないだろう」
「よしっ、受けたな。オイ模擬戦やるからギルマス呼んで来い」
〈おっ、ようやくシルバーに上がったブルムが、アイアン相手に意気がっててるぞ〉
〈負けるなよー、シルバーの最底辺野郎〉
〈流石にシルバーが新人に負けるって事は無いよな〉
〈新人に賭ける奴はいないのかよー〉
〈俺はハルトに賭けたぞ、頼むよ〉
声の方を見るとヤハン達が俺に賭けたと言っている。
一人新しい仲間が加わったのか5人組になっていた。
訓練場に行くとお財布ポーチから訓練用木剣を取り出す。
全長140センチ少々、握りの部分だけで35センチ程ある長剣タイプだ。
気安く人の襟首を掴んで蹴り飛ばしてくれた、礼をしてやるよ。
横柄な態度でぐちゃぐちゃ言ってきた、侯爵邸の奴等に対する憂さ晴らしも兼ねてな。
仏頂面のギルマスが模擬戦の経験はと聞いてきたので有ると応えるとあっさり始めの合図をだす。
〈アイアンに負けたら許さんぞ〉
〈負けるなー、ゴブリンキラーの実力を見せてやれ!〉
〈ゴッ、ゴブリンキラーって、流石はアイアンだな〉
〈なーに、あんた達は奴の強さを知らないからな〉
〈この賭けは俺達の勝ちさ〉
〈おう、ハルトに賭けたのは俺達だけだからな。大儲け確実だよ〉
〈いけー殺しちまえ〉
のやろう、ゴブリンキラーって叫びやがって、後で締め上げてやるぞ。
大剣を模した木剣を振り回しているが、足の運びがバラバラで対人戦の練習をしていないのが判る。
今日は佐々木小次郎(ちょっと古いかな)気取りの燕返しを見せてやる。
振り回した木剣を袈裟斬りに振り下ろそうとした所を下段の構えから足を払い、体勢を崩した所で右から左に流れた剣先を回して胴体を狙って水平斬り。
脇腹にめり込んだ木剣を受け、くの字になって崩れ落ちたきり動かなくなった。
ふっ、無駄な殺生をしてしまったぜ。
〈よーし、ハルト一杯奢るぜ〉
〈弱すぎるだろー〉
〈何だよ、アイアンに一発でのされる馬鹿野郎〉
〈偉そうに絡んでのされてやんの、恥ずかしい奴〉
〈彼奴誰だよ〉
ギルマスの止めの声で木剣を仕舞い、食堂に急ぐ。
〈お疲れー〉
〈ハルト有り難う〉
〈簡単確実に儲けさせて貰ったよ〉
「誰がゴブリンキラーだ! 余計な事を言うな!」
「そう怒るなよ、二つ名は冒険者の誉れだぞ」
「今日の飲み食いはヤハン達の驕りだぞ」
「稼がせてもらったからたっぷり飲み食いしてよ」
「揉め事の原因はなによ」
「ハルトから喧嘩を売るはず無いし、どうして」
「なに、ちょっとアーマーバッファローの討伐依頼が出ているって聞いてな。見ていたら、いきなり襟首掴んで蹴り飛ばされたのさ」
「知らないとはいえ、勇気有るよな」
「で、アーマーバッファローって何だ」
「何だお前達知らねえのか」
〈止めとけ止めとけ〉
〈ありゃー岩が突撃してくる様なもんだ〉
〈見掛けたら即逃げろよ〉
〈そそ、荷馬車も軍馬もぶっ飛ばされるからな〉
「見た事あるのなら教えてくれよ、一杯奢るよ」
「おっ、判ってるね。俺は出会しただけだが、ゴールドランクが即座に逃げろって言って逃げ出したね。後で聞いたら、皮が無茶苦茶固くて突進力も桁違いだってよ。気が荒くて気に入らないと岩にだって突撃するそうだ」
「でも討伐された事は有るんだろう」
「極々たまに有るそうだが、ゴールドやプラチナランカーが束になって狩る様だし」
「えっ、そんな危険な奴を何故態々高ランクの者が討伐するんだ」
「アーマーバッファローの肉は絶品らしいぜ。討伐されたらオークション確実だな」
「討伐されるって事は弱点が有るって事だよな」
「どうやって狩るのか迄は知らねえよ」
礼を言って銅貨を渡しておく。
「まさか狙ってないよな」
「いやー、モーラさん経由で話が来たんだがな、断ったんだけど引き下がらないんだ、なんか街道沿いに居座っていて邪魔だからてさ。お肉が絶品ってのは惹かれるね」
ヤハン達と呑んでいるとハインツ達も合流して馬鹿話で盛り上がる。
翌日再び冒険者ギルドに出向き、受付でアーマーバッファローの事を知りたいと言ったら鼻で笑われた。
まあそうだよな、アイアンやブロンズが相手する魔物じゃないからな。
「兄さん、あんたかい侯爵様に呼ばれた奴は」
声を掛けられ振り向くと、2メートル近い身長のがっしりした体格の男が立っていた。
此奴も高ランクだろう、声を掛けられるまで殆ど気配を感じなかった。
少し離れた所に五人いるが、仲間なのかじっと此方を見ている。
「あんたは?」
「ホランってんだ、一応ゴールドでな」
「侯爵様に用事なのか? 其れともアーマーバッファローに用事かな」
「後の方だ、俺達は〔金色の牙〕ってパーティーなんだが、依頼票を見て名乗りを上げたいが戦力不足だ。見たところ腕っ節より魔法の方で呼ばれたとみたが」
肩を竦めて返事にしておく。
まっとうな冒険者の様で、後ろに控える奴等も人を侮る様な気配がない。
ないが、俺を値踏みする目付きに油断がない。
「確かに侯爵様に呼ばれて依頼されたが、断ったよ」
「何故だ、侯爵様に呼ばれるだけの実力が有ると見なされたんだろう。討伐に成功すれば金も名誉も思いのままだぞ」
「話が美味すぎるな、聞けば危険極まりない奴らしいし。断ったが粘られたので、調べて受けるかどうか待って貰っている状態だ。ギルドに聞くのが早いと思ったが、鼻で笑われて終わり。知っているなら教えてくれないか、飲み放題の報酬付きで」
満面の笑みで了承したので、全員で食堂に行き夫々エールと摘まみを持ってテーブルを囲む。
銀貨を五枚ほどテーブルに置き、後は勝手にやってくれと言った後ホランに向き合う。
アーマーバッファローは軍馬ほどの体高と巨大な角を持つ牛で弓矢や槍等はまったく通用しない。
過去に討伐された例も、魔法攻撃か落とし穴に落とした後に攻撃して倒しいてるそうだ。
突進力も話に聞いたとおりで,荷馬車や軍馬も跳ね飛ばす気の荒い奴だそうだ。
故に冒険者達の間では姿を見たら逃げろって言われている。
元々が草原や森の浅い所を彷徨く奴で、居着く事は無いはずなんだが
何故か居着いているそうだ。
まあどんなに強い獣でも弱点は有るのだが4~6頭の群れで行動するので余計始末が悪いとぼやくホラン。
仲間達も話を聞きながら頷いている。
ただ酒を無茶のみするでもなく、淡々としているのは好感が持てるパーティーだ。
「その口振りだと諦めたのか」
「その口振りだと勝算が有る様だが」
頭も良いし、パーティーのメンバーも信頼出来そうだ。
「ない事も無いが、言ったとおり俺一人では無理だし受ける気も無い。やるとすれば俺を護衛してくれるパーティーと後魔法使いが数人必要だ。受けるとしたら手伝ってくれるか」
「それはお前の魔法の実力を見てからだな」
「そりゃそうだ」
ギルドの訓練場で公開する気は無いし、此処でアイスジャベリンを射てば塀を突き破って被害が出る。
暫しの沈黙の後、侯爵様が口を開く。
「それなら、野獣の所まで案内する者がいれば依頼を受けて貰えるかな。君の攻撃力が有れば、アーマーバッファローを討伐出来ると思うが」
「具体的に言って貰えますか」
〈貴様! 図に乗るのも好い加減にしろ!〉
〈侯爵様に何という口のきき様だ!〉
侯爵様が手を上げ、叫ぶ者を制したので続ける。
「下手に依頼を受けた挙げ句、死にたくは在りません。アーマーバッファローの攻撃を受けて、俺を守ってくれる奴が居るのですか? 侯爵様ほどの戦力があれば、魔法部隊と兵士を使って討伐すれば宜しいのでは」
侯爵様肩を竦めて苦笑い。
「私にそれ程の力は無いし、魔法部隊や兵を使って討伐出来る様な代物ではないんだよ。出来るのは冒険者の極一部だけだな。君の攻撃力はその極一部に該当する。あの標的の壁は未だ嘗て崩された事が無いが、君は簡単に射ち抜いた。モーラ殿の話では、二度目の襲撃を撃退した作戦も見事だ。アーマーバッファローを調べてみて、倒せそうなら受けてくれないか。君の要望には最大限応えよう」
この侯爵様なかなか頭が切れる様だな、まっ冒険者に無理強いしても逃げられるだけだから、頼むしかないけどな。
「受けるとは言えませんが、調べるだけは調べましょう。二週間待って頂けますか、返事はモーラさんを通じて致しますので」
侯爵邸を後にし帰りの馬車の中で、モーラさんが汗を拭きながらぼやく。
「いやー、久々に冷や汗を掻きましたよ。私も懇意にさせて頂いていますが、あれ程はっきりとは言えません」
「でも安請け合いして死にたくないですし、逃げ出したらモーラさんが恥を掻くでしょう」
〔月夜の亭〕に戻る途中で冒険者ギルドで降ろしてもらう。
キルドには討伐依頼を出していると言ってたから、多少なりともアーマーバッファローの事が判るかも知れない。
依頼票はゴールド,プラチナクラスの所に張り出されていたが、生態や特徴弱点などの情報はなし。
「小僧邪魔だ! ガキが受ける様な依頼はあっちだ」
声と共に襟首を掴まれ、アイアンランク用掲示板の方に蹴りやられた。
「悪かったな。偉そうに言うのは勝手だが、襟首を掴んで蹴られる謂れはないぞ」
「アイアンの小僧が何を意気がっている。大人しくゴブリンの尻でも舐めてろ」
「弱そうな相手を探して意気がるなよ、おっさん」
「ほう、なかなか威勢がいいな。ちと揉んでやろうか」
「止めとけ、恥を掻きたくないだろう」
「よしっ、受けたな。オイ模擬戦やるからギルマス呼んで来い」
〈おっ、ようやくシルバーに上がったブルムが、アイアン相手に意気がっててるぞ〉
〈負けるなよー、シルバーの最底辺野郎〉
〈流石にシルバーが新人に負けるって事は無いよな〉
〈新人に賭ける奴はいないのかよー〉
〈俺はハルトに賭けたぞ、頼むよ〉
声の方を見るとヤハン達が俺に賭けたと言っている。
一人新しい仲間が加わったのか5人組になっていた。
訓練場に行くとお財布ポーチから訓練用木剣を取り出す。
全長140センチ少々、握りの部分だけで35センチ程ある長剣タイプだ。
気安く人の襟首を掴んで蹴り飛ばしてくれた、礼をしてやるよ。
横柄な態度でぐちゃぐちゃ言ってきた、侯爵邸の奴等に対する憂さ晴らしも兼ねてな。
仏頂面のギルマスが模擬戦の経験はと聞いてきたので有ると応えるとあっさり始めの合図をだす。
〈アイアンに負けたら許さんぞ〉
〈負けるなー、ゴブリンキラーの実力を見せてやれ!〉
〈ゴッ、ゴブリンキラーって、流石はアイアンだな〉
〈なーに、あんた達は奴の強さを知らないからな〉
〈この賭けは俺達の勝ちさ〉
〈おう、ハルトに賭けたのは俺達だけだからな。大儲け確実だよ〉
〈いけー殺しちまえ〉
のやろう、ゴブリンキラーって叫びやがって、後で締め上げてやるぞ。
大剣を模した木剣を振り回しているが、足の運びがバラバラで対人戦の練習をしていないのが判る。
今日は佐々木小次郎(ちょっと古いかな)気取りの燕返しを見せてやる。
振り回した木剣を袈裟斬りに振り下ろそうとした所を下段の構えから足を払い、体勢を崩した所で右から左に流れた剣先を回して胴体を狙って水平斬り。
脇腹にめり込んだ木剣を受け、くの字になって崩れ落ちたきり動かなくなった。
ふっ、無駄な殺生をしてしまったぜ。
〈よーし、ハルト一杯奢るぜ〉
〈弱すぎるだろー〉
〈何だよ、アイアンに一発でのされる馬鹿野郎〉
〈偉そうに絡んでのされてやんの、恥ずかしい奴〉
〈彼奴誰だよ〉
ギルマスの止めの声で木剣を仕舞い、食堂に急ぐ。
〈お疲れー〉
〈ハルト有り難う〉
〈簡単確実に儲けさせて貰ったよ〉
「誰がゴブリンキラーだ! 余計な事を言うな!」
「そう怒るなよ、二つ名は冒険者の誉れだぞ」
「今日の飲み食いはヤハン達の驕りだぞ」
「稼がせてもらったからたっぷり飲み食いしてよ」
「揉め事の原因はなによ」
「ハルトから喧嘩を売るはず無いし、どうして」
「なに、ちょっとアーマーバッファローの討伐依頼が出ているって聞いてな。見ていたら、いきなり襟首掴んで蹴り飛ばされたのさ」
「知らないとはいえ、勇気有るよな」
「で、アーマーバッファローって何だ」
「何だお前達知らねえのか」
〈止めとけ止めとけ〉
〈ありゃー岩が突撃してくる様なもんだ〉
〈見掛けたら即逃げろよ〉
〈そそ、荷馬車も軍馬もぶっ飛ばされるからな〉
「見た事あるのなら教えてくれよ、一杯奢るよ」
「おっ、判ってるね。俺は出会しただけだが、ゴールドランクが即座に逃げろって言って逃げ出したね。後で聞いたら、皮が無茶苦茶固くて突進力も桁違いだってよ。気が荒くて気に入らないと岩にだって突撃するそうだ」
「でも討伐された事は有るんだろう」
「極々たまに有るそうだが、ゴールドやプラチナランカーが束になって狩る様だし」
「えっ、そんな危険な奴を何故態々高ランクの者が討伐するんだ」
「アーマーバッファローの肉は絶品らしいぜ。討伐されたらオークション確実だな」
「討伐されるって事は弱点が有るって事だよな」
「どうやって狩るのか迄は知らねえよ」
礼を言って銅貨を渡しておく。
「まさか狙ってないよな」
「いやー、モーラさん経由で話が来たんだがな、断ったんだけど引き下がらないんだ、なんか街道沿いに居座っていて邪魔だからてさ。お肉が絶品ってのは惹かれるね」
ヤハン達と呑んでいるとハインツ達も合流して馬鹿話で盛り上がる。
翌日再び冒険者ギルドに出向き、受付でアーマーバッファローの事を知りたいと言ったら鼻で笑われた。
まあそうだよな、アイアンやブロンズが相手する魔物じゃないからな。
「兄さん、あんたかい侯爵様に呼ばれた奴は」
声を掛けられ振り向くと、2メートル近い身長のがっしりした体格の男が立っていた。
此奴も高ランクだろう、声を掛けられるまで殆ど気配を感じなかった。
少し離れた所に五人いるが、仲間なのかじっと此方を見ている。
「あんたは?」
「ホランってんだ、一応ゴールドでな」
「侯爵様に用事なのか? 其れともアーマーバッファローに用事かな」
「後の方だ、俺達は〔金色の牙〕ってパーティーなんだが、依頼票を見て名乗りを上げたいが戦力不足だ。見たところ腕っ節より魔法の方で呼ばれたとみたが」
肩を竦めて返事にしておく。
まっとうな冒険者の様で、後ろに控える奴等も人を侮る様な気配がない。
ないが、俺を値踏みする目付きに油断がない。
「確かに侯爵様に呼ばれて依頼されたが、断ったよ」
「何故だ、侯爵様に呼ばれるだけの実力が有ると見なされたんだろう。討伐に成功すれば金も名誉も思いのままだぞ」
「話が美味すぎるな、聞けば危険極まりない奴らしいし。断ったが粘られたので、調べて受けるかどうか待って貰っている状態だ。ギルドに聞くのが早いと思ったが、鼻で笑われて終わり。知っているなら教えてくれないか、飲み放題の報酬付きで」
満面の笑みで了承したので、全員で食堂に行き夫々エールと摘まみを持ってテーブルを囲む。
銀貨を五枚ほどテーブルに置き、後は勝手にやってくれと言った後ホランに向き合う。
アーマーバッファローは軍馬ほどの体高と巨大な角を持つ牛で弓矢や槍等はまったく通用しない。
過去に討伐された例も、魔法攻撃か落とし穴に落とした後に攻撃して倒しいてるそうだ。
突進力も話に聞いたとおりで,荷馬車や軍馬も跳ね飛ばす気の荒い奴だそうだ。
故に冒険者達の間では姿を見たら逃げろって言われている。
元々が草原や森の浅い所を彷徨く奴で、居着く事は無いはずなんだが
何故か居着いているそうだ。
まあどんなに強い獣でも弱点は有るのだが4~6頭の群れで行動するので余計始末が悪いとぼやくホラン。
仲間達も話を聞きながら頷いている。
ただ酒を無茶のみするでもなく、淡々としているのは好感が持てるパーティーだ。
「その口振りだと諦めたのか」
「その口振りだと勝算が有る様だが」
頭も良いし、パーティーのメンバーも信頼出来そうだ。
「ない事も無いが、言ったとおり俺一人では無理だし受ける気も無い。やるとすれば俺を護衛してくれるパーティーと後魔法使いが数人必要だ。受けるとしたら手伝ってくれるか」
「それはお前の魔法の実力を見てからだな」
「そりゃそうだ」
ギルドの訓練場で公開する気は無いし、此処でアイスジャベリンを射てば塀を突き破って被害が出る。
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