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第二章「ジュデッカ」
(9)箱庭の外へ
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それからはとんとん拍子に話が進んだ。
僕は両親にいじめを受けていたことを告白した。父も母も事態の大きさを図りかねたようで、最初は息子の愚痴を聞くような態度を取っていた。けれど振るわれた暴力のことや、家鈴さんに送られた写真を見せるとさすがに言葉を失っていた。母は動揺して涙を流していた。自分の弱さを曝け出すのは恥ずかしかったし、両親にこんな深刻な想いをさせるのも辛かった。けれど『独りで我慢しないで』という家鈴さんの言葉が、弱気を鼓舞する力になった。
翌日、父が学校へ出向いた。学校側は訴えに対し早急に調査を始めると応じた。両親と向き合う校長先生の態度は十分に信用に値すると感じたけれど父はそうは思わなかったらしい。知人である県議の事務所まで足を運び政治の側からも働きかけて貰えないかと相談したそうだ。いずれにせよ学校側の対応は迅速だった。翌々日には僕と佐前くんからの聴き取り調査が行われ、直後には学年全体の聴取も実施された。それらの調査がどのような過程を経て、どのような結果をもたらすのか僕には知る由もなかったけれど、その全体像が明らかになる前に、佐前くんと、佐前くんの両親が僕ら家族に謝罪に訪れた。佐前家の三人はすっかり怯え切った様子で、謝られているこちらのほうが悪いことをしてしまったかのような気持ちになった。父は、床に手を着く彼らの前で「お前は堂々としていれば良いんだ」と怒気混じりに言い放った。泰然と腕を組む父の姿を見ていると、このひとに相談して良かったと思う反面、とてもこのひとのようにはなれないなと思った。
僕は、しばらく学校を休むことにした。もういじめを受ける心配はなくなったけれど学内に混乱を招いてしまった手前どうにも居心地が悪かった。両親は落ち着くまでそうすれば良いと言ってくれたし、校長先生もそれで良いと言ってくれた。復帰は夏休み明けになる。たとえ戻ったとしても僕の居場所はないかも知れない。でも、それはもう仕方がないことだと諦めた。自分の居場所なら、学校の外にだって作れるはずだ。
「行ってきます」
踵に指を突っ込んで声をかけた。家の奧から「気を付けてね」と返ってくる。バッグを肩に担いで玄関のドアを開けた。蒸し風呂のような熱気が全身を包み込む。多少雲で覆われた程度では夏の熱さは緩んでくれない。早速汗が滲むのを感じながら西の空を遠くに見つめた。予報を信じれば雨が降る前に帰って来られるはずだ。けれど色の濃い雲が若干の不安を誘う。
傘を持っていたほうが良いかも知れない。
そうは思ったが逸る心が引き返すことを躊躇させた。かさばる物は持ちたくない。ただでさえ重い荷物を抱えているのだから。
僕は、再び肩を揺らした。バッグの中には悪魔が『扉』と呼んでいたものが入っている。例の、あの黒い本だ。本来であれば佐前くんを止めるために使うはずだった。しかし問題は既に解決してしまった。手段はいくらでもあったのだ。あんな悪魔に頼らなくても。
だから本は処分することにした。別の願い事に使うこともできたかも知れないけれど、叶えたいことが何もなかった。代償についてあれこれ思い悩むのも煩わしい。ならば、こんな不吉なものをいつまでも手元に置いておくことはない。
彼女は『要らないなら捨てろ』と言った。その言葉通りにしても良かったのだろう。でも曰く付きのアイテムなので捨てるのは少し抵抗があった。燃やしたりするなんて論外だ。だから近くにある古本屋に売るのが無難だと思った。それならば彼女も機嫌を損ねたりはしないだろう。それに、いつか彼女の力を真に必要とするひとが現れるかも知れない。どうしても解決できない難題を抱えたひとが。あとは、そのひとが判断すれば良い。
それが今日の最初の予定だ。そして本の処分が終わったら、そのまま駅へ向かって……。
足取りが自然と軽くなった。みっともないと思っても、勝手に口元が緩んでしまう。
家鈴さんに会えるからだ。夏祭りの浴衣を買いに行く。有耶無耶になっていた約束を今日果たすことになっていた。
あの日以来家鈴さんとは会っていない。でも毎日届くメッセージがずっと僕を支えてくれた。ちゃんと経過を報告したい。直接会ってお礼をしたい。そんな、色々な口実が頭を駆け巡る。けれど余計なものを全て取り払えば、
『何でも良いから彼女に会いたい』
その想いだけが僕の心を熱くしていた。僕は、アスファルトをふわふわ歩いた。人目がなければスキップをしていたかも知れない。夏休みの小学生。通りの並木。遊ぶ小鳥たち。何もかも弾んでいるように見えた。そうして浮かれながら景色を眺めていたのがいけなかった。とある雑居ビルに差しかかったとき出て来たひとにぶつかってしまった。
スーツを着た大柄の男性だった。夏なのにしっかりと上着まで着込んでいた。
「すみません!」
慌てて頭を下げた。男性は無言で僕を見下ろした。
ぞくりとした。
腹部に刃物を突き刺されたかと思った。一瞥されただけなのに。
男はじっと僕を見据えてくる。息をすることすら忘れてしまっていた。次の瞬間には本当に刺されてしまうのではないか? そう感じさせる何かがあった。やがて男は会釈をすると規則正しい足取りでその場を離れた。僕は、蛙みたく固まっているしかなかった。
「……何? 今のひと……」
シャツの胸元を掴んだ。鼓動が激しく乱れていた。
普通じゃない。
絶対に関わっちゃいけない。
目を離したら危ないと思い、その背が見えなくなるまで見送った。そのときだ。
誰かに襟首を掴まれた。
僕は両親にいじめを受けていたことを告白した。父も母も事態の大きさを図りかねたようで、最初は息子の愚痴を聞くような態度を取っていた。けれど振るわれた暴力のことや、家鈴さんに送られた写真を見せるとさすがに言葉を失っていた。母は動揺して涙を流していた。自分の弱さを曝け出すのは恥ずかしかったし、両親にこんな深刻な想いをさせるのも辛かった。けれど『独りで我慢しないで』という家鈴さんの言葉が、弱気を鼓舞する力になった。
翌日、父が学校へ出向いた。学校側は訴えに対し早急に調査を始めると応じた。両親と向き合う校長先生の態度は十分に信用に値すると感じたけれど父はそうは思わなかったらしい。知人である県議の事務所まで足を運び政治の側からも働きかけて貰えないかと相談したそうだ。いずれにせよ学校側の対応は迅速だった。翌々日には僕と佐前くんからの聴き取り調査が行われ、直後には学年全体の聴取も実施された。それらの調査がどのような過程を経て、どのような結果をもたらすのか僕には知る由もなかったけれど、その全体像が明らかになる前に、佐前くんと、佐前くんの両親が僕ら家族に謝罪に訪れた。佐前家の三人はすっかり怯え切った様子で、謝られているこちらのほうが悪いことをしてしまったかのような気持ちになった。父は、床に手を着く彼らの前で「お前は堂々としていれば良いんだ」と怒気混じりに言い放った。泰然と腕を組む父の姿を見ていると、このひとに相談して良かったと思う反面、とてもこのひとのようにはなれないなと思った。
僕は、しばらく学校を休むことにした。もういじめを受ける心配はなくなったけれど学内に混乱を招いてしまった手前どうにも居心地が悪かった。両親は落ち着くまでそうすれば良いと言ってくれたし、校長先生もそれで良いと言ってくれた。復帰は夏休み明けになる。たとえ戻ったとしても僕の居場所はないかも知れない。でも、それはもう仕方がないことだと諦めた。自分の居場所なら、学校の外にだって作れるはずだ。
「行ってきます」
踵に指を突っ込んで声をかけた。家の奧から「気を付けてね」と返ってくる。バッグを肩に担いで玄関のドアを開けた。蒸し風呂のような熱気が全身を包み込む。多少雲で覆われた程度では夏の熱さは緩んでくれない。早速汗が滲むのを感じながら西の空を遠くに見つめた。予報を信じれば雨が降る前に帰って来られるはずだ。けれど色の濃い雲が若干の不安を誘う。
傘を持っていたほうが良いかも知れない。
そうは思ったが逸る心が引き返すことを躊躇させた。かさばる物は持ちたくない。ただでさえ重い荷物を抱えているのだから。
僕は、再び肩を揺らした。バッグの中には悪魔が『扉』と呼んでいたものが入っている。例の、あの黒い本だ。本来であれば佐前くんを止めるために使うはずだった。しかし問題は既に解決してしまった。手段はいくらでもあったのだ。あんな悪魔に頼らなくても。
だから本は処分することにした。別の願い事に使うこともできたかも知れないけれど、叶えたいことが何もなかった。代償についてあれこれ思い悩むのも煩わしい。ならば、こんな不吉なものをいつまでも手元に置いておくことはない。
彼女は『要らないなら捨てろ』と言った。その言葉通りにしても良かったのだろう。でも曰く付きのアイテムなので捨てるのは少し抵抗があった。燃やしたりするなんて論外だ。だから近くにある古本屋に売るのが無難だと思った。それならば彼女も機嫌を損ねたりはしないだろう。それに、いつか彼女の力を真に必要とするひとが現れるかも知れない。どうしても解決できない難題を抱えたひとが。あとは、そのひとが判断すれば良い。
それが今日の最初の予定だ。そして本の処分が終わったら、そのまま駅へ向かって……。
足取りが自然と軽くなった。みっともないと思っても、勝手に口元が緩んでしまう。
家鈴さんに会えるからだ。夏祭りの浴衣を買いに行く。有耶無耶になっていた約束を今日果たすことになっていた。
あの日以来家鈴さんとは会っていない。でも毎日届くメッセージがずっと僕を支えてくれた。ちゃんと経過を報告したい。直接会ってお礼をしたい。そんな、色々な口実が頭を駆け巡る。けれど余計なものを全て取り払えば、
『何でも良いから彼女に会いたい』
その想いだけが僕の心を熱くしていた。僕は、アスファルトをふわふわ歩いた。人目がなければスキップをしていたかも知れない。夏休みの小学生。通りの並木。遊ぶ小鳥たち。何もかも弾んでいるように見えた。そうして浮かれながら景色を眺めていたのがいけなかった。とある雑居ビルに差しかかったとき出て来たひとにぶつかってしまった。
スーツを着た大柄の男性だった。夏なのにしっかりと上着まで着込んでいた。
「すみません!」
慌てて頭を下げた。男性は無言で僕を見下ろした。
ぞくりとした。
腹部に刃物を突き刺されたかと思った。一瞥されただけなのに。
男はじっと僕を見据えてくる。息をすることすら忘れてしまっていた。次の瞬間には本当に刺されてしまうのではないか? そう感じさせる何かがあった。やがて男は会釈をすると規則正しい足取りでその場を離れた。僕は、蛙みたく固まっているしかなかった。
「……何? 今のひと……」
シャツの胸元を掴んだ。鼓動が激しく乱れていた。
普通じゃない。
絶対に関わっちゃいけない。
目を離したら危ないと思い、その背が見えなくなるまで見送った。そのときだ。
誰かに襟首を掴まれた。
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