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《afterstory #01》恋人観察日記 / SIDE:水都
07:番外編2 X日めを第三者の目で見てみよう
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お題【恋人観察日記編】お借りしています
サイト名:TOY/管理人:遊
サイトアドレス:http://toy.ohuda.com/
■■■
【ある週末の午前中、とあるガレット店の店員の話】
私は、隠れた人気店として街の皆さんに親しまれている、とあるガレット店の店員です。
ここで働き始めて結構経ちますが、常連さんはもちろん、ご新規さんもたくさんきてくれて、週末は入店待ちが出るほど繁盛しています。
今日も開店直後からたくさんのお客様が足を運んでくれて、私も大忙しです。
先週のぐずついたお天気とは違って、今日は朝からとてもいいお天気だからでしょうか。
忙しくしていると、ちょうどブランチタイムに予約のお客様がいらっしゃいました。
「ヒカミ」さんという、とっても珍しい苗字のお客様です。
ちょうど私の手が空いていたので、対応させていただいたら、なんと。
お店でよく見かける、銀色の珍しい髪色の青年でした。
穏やかそうで清潔感のある身なりと整った顔貌でありながら、いつもお一人様の青年は、私だけでなく、他の店員やお客様の目を引いていました。
なにせ当店は女性のお客様の方が多いですし、男性はカップルの方がほとんどですから。
そうそう。
その銀髪青年は、今日は同年代くらいの青年を連れてお二人で来店されました。
銀髪の彼の隣にたたずむのは、雰囲気の少し異なる、どちらかといえば可愛らしい印象の青年です。
フワフワした濃い茶色の髪が、彼の可愛らしさを後押ししているように見受けられます。
穏やか銀髪青年と可愛い系茶髪青年は、予約していたテラス席にご案内しました。
オーダーが入るまではフロアの様子を見つつ、テーブルを片付けたりお客様の対応をしていきます。
そうして横目でチラチラと青年たちの様子を伺っていると、他の店員やお客様(主に女性!)が私と同じようにこっそり伺っているのがわかりました。
あ。私は素敵な旦那さんのいる既婚者ですから、彼らを見ているのはあくまでも「目の保養」ですよ。
青年たちは遠目に見てもとても仲睦まじく、メニューを見ながら何かやりとりをしています。
おおかた何を食べるか悩んでいるのでしょう。
銀髪くんは常連さんでもあるので、もしかしたらオススメなど教えてあげているのかもしれません。
しばらくして、銀髪くんが軽く手をあげてくれました。
他のスタッフに譲るつもりはないので、私が真っ先にオーダーをとりに行くと、銀髪くんの方がてきぱきと対応してくれました。
とても耳障りの良い、見た目通りの穏やかなテノールボイスです。
最後にドリンクをオーダーすると、とても自然に茶髪くんに「これでいい?」と確認するところが紳士的です。
茶髪くんも「うん」と応じて、ひとまずは二人のご注文が決まりました。
ガレットが焼き上がると、ドリンクと合わせてテーブルに届けました。
二人分なので、もう一人のスタッフとともにテーブルにセットすると、銀髪君も茶髪君も揃って「ありがとうございます」と声をかけてくれて、一緒に行ったスタッフと思わずにやけてしまいました。
こうして声をかけてくれるお客様は、多いようで少ないのです。
それから二人はとても楽しそうにガレットを食べています。
お互いが頼んだものを交換している姿を見た時は、微笑ましくて可愛らしかったです。
絶えず笑顔で会話を弾ませて、テラス席でゆったりとブランチを楽しむ青年二人。
日差しはパラソルで遮られていても、時折微かに流れる風で揺らめく銀色の髪はとても目を惹きます。
なぜか彼らの周りだけキラキラした何かが舞っているような雰囲気です。
当然、周りのお客様もチラチラと気にしているようで。
まったく気にせずのんびりしているのは当人たちだけ、という。
そうしてちょっとした映画のワンシーンみたいな彼らは、通りを歩く人たちさえも惹きつけるようで、普段はこの時間帯少しだけ客足が落ち着くにもかかわらず、お客様が途切れずやってきています。
まるで当店の宣伝をしてくれているよう。
そんな二人も、しばらくするとブランチを終え、店を後にしました。
レジに来る前に銀髪くんが茶髪くんに何かをお願いし、茶髪くんは店の外へ出て行きました。
その後お会計を済ませた銀髪くんを見送っていると、茶髪くんがペットボトルを二本持って戻ってくるところ。
おそらく、銀髪くんが茶髪くんにお金を払わせないようにしたのでしょう。
なんともスマートな銀髪くん。
お会計の時には「ごちそうさまでした。美味しかったです」と添えてくれるところもポイントが高いです。
とても不思議な、それでいてどこか麗しい二人の青年が引き込んでくれたお客様で、この日はランチタイムまで大忙しでした。
ところで、あの二人。
とても仲睦まじい様子でしたが、一体どんな関係なのでしょう。
その後もしばらくスタッフの間で妄想が止まりませんでした。
次にお越しになるのが楽しみです。
サイト名:TOY/管理人:遊
サイトアドレス:http://toy.ohuda.com/
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【ある週末の午前中、とあるガレット店の店員の話】
私は、隠れた人気店として街の皆さんに親しまれている、とあるガレット店の店員です。
ここで働き始めて結構経ちますが、常連さんはもちろん、ご新規さんもたくさんきてくれて、週末は入店待ちが出るほど繁盛しています。
今日も開店直後からたくさんのお客様が足を運んでくれて、私も大忙しです。
先週のぐずついたお天気とは違って、今日は朝からとてもいいお天気だからでしょうか。
忙しくしていると、ちょうどブランチタイムに予約のお客様がいらっしゃいました。
「ヒカミ」さんという、とっても珍しい苗字のお客様です。
ちょうど私の手が空いていたので、対応させていただいたら、なんと。
お店でよく見かける、銀色の珍しい髪色の青年でした。
穏やかそうで清潔感のある身なりと整った顔貌でありながら、いつもお一人様の青年は、私だけでなく、他の店員やお客様の目を引いていました。
なにせ当店は女性のお客様の方が多いですし、男性はカップルの方がほとんどですから。
そうそう。
その銀髪青年は、今日は同年代くらいの青年を連れてお二人で来店されました。
銀髪の彼の隣にたたずむのは、雰囲気の少し異なる、どちらかといえば可愛らしい印象の青年です。
フワフワした濃い茶色の髪が、彼の可愛らしさを後押ししているように見受けられます。
穏やか銀髪青年と可愛い系茶髪青年は、予約していたテラス席にご案内しました。
オーダーが入るまではフロアの様子を見つつ、テーブルを片付けたりお客様の対応をしていきます。
そうして横目でチラチラと青年たちの様子を伺っていると、他の店員やお客様(主に女性!)が私と同じようにこっそり伺っているのがわかりました。
あ。私は素敵な旦那さんのいる既婚者ですから、彼らを見ているのはあくまでも「目の保養」ですよ。
青年たちは遠目に見てもとても仲睦まじく、メニューを見ながら何かやりとりをしています。
おおかた何を食べるか悩んでいるのでしょう。
銀髪くんは常連さんでもあるので、もしかしたらオススメなど教えてあげているのかもしれません。
しばらくして、銀髪くんが軽く手をあげてくれました。
他のスタッフに譲るつもりはないので、私が真っ先にオーダーをとりに行くと、銀髪くんの方がてきぱきと対応してくれました。
とても耳障りの良い、見た目通りの穏やかなテノールボイスです。
最後にドリンクをオーダーすると、とても自然に茶髪くんに「これでいい?」と確認するところが紳士的です。
茶髪くんも「うん」と応じて、ひとまずは二人のご注文が決まりました。
ガレットが焼き上がると、ドリンクと合わせてテーブルに届けました。
二人分なので、もう一人のスタッフとともにテーブルにセットすると、銀髪君も茶髪君も揃って「ありがとうございます」と声をかけてくれて、一緒に行ったスタッフと思わずにやけてしまいました。
こうして声をかけてくれるお客様は、多いようで少ないのです。
それから二人はとても楽しそうにガレットを食べています。
お互いが頼んだものを交換している姿を見た時は、微笑ましくて可愛らしかったです。
絶えず笑顔で会話を弾ませて、テラス席でゆったりとブランチを楽しむ青年二人。
日差しはパラソルで遮られていても、時折微かに流れる風で揺らめく銀色の髪はとても目を惹きます。
なぜか彼らの周りだけキラキラした何かが舞っているような雰囲気です。
当然、周りのお客様もチラチラと気にしているようで。
まったく気にせずのんびりしているのは当人たちだけ、という。
そうしてちょっとした映画のワンシーンみたいな彼らは、通りを歩く人たちさえも惹きつけるようで、普段はこの時間帯少しだけ客足が落ち着くにもかかわらず、お客様が途切れずやってきています。
まるで当店の宣伝をしてくれているよう。
そんな二人も、しばらくするとブランチを終え、店を後にしました。
レジに来る前に銀髪くんが茶髪くんに何かをお願いし、茶髪くんは店の外へ出て行きました。
その後お会計を済ませた銀髪くんを見送っていると、茶髪くんがペットボトルを二本持って戻ってくるところ。
おそらく、銀髪くんが茶髪くんにお金を払わせないようにしたのでしょう。
なんともスマートな銀髪くん。
お会計の時には「ごちそうさまでした。美味しかったです」と添えてくれるところもポイントが高いです。
とても不思議な、それでいてどこか麗しい二人の青年が引き込んでくれたお客様で、この日はランチタイムまで大忙しでした。
ところで、あの二人。
とても仲睦まじい様子でしたが、一体どんな関係なのでしょう。
その後もしばらくスタッフの間で妄想が止まりませんでした。
次にお越しになるのが楽しみです。
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