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《afterstory #01》恋人観察日記 / SIDE:水都
03:三日め、自分といない時の彼
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お題【恋人観察日記編】お借りしています
サイト名:TOY/管理人:遊
サイトアドレス:http://toy.ohuda.com/
■■■
———3回目の週末。今日は蒼夜が大学の友だちと予定があるって言って、朝から出掛けてた。
せっかくお天気もいいし、オレも昼過ぎに出掛けて、久しぶりに私服を買ったり蒼夜に飲んでほしい紅茶や食べてほしいお菓子を買いに行ってきた。
そういえば、途中で立ち寄ったカフェで、ひときわ賑やかな大学生のグループがいたんだけど、気になって遠目に見てたら、蒼夜がいた。
オレの見たことのない、他の人といる時の蒼夜。思わず観察してしまった。———
そう書き始めた、3回目の観察日記。
つらつらと書き連ねながら、今日のできごとを思い返す。
昨日の夕飯を一緒に食べながら、週末の予定を確認した時に、「大学の友だちと出掛ける予定が入ってるんだ」って少しすまなそうに言うから、「気にしなくていいよ」って言ったけど。
ほんとは今朝、ちょっとだけ面白くなかった。
久しぶりに出掛けられそうだなって楽しみにしてたから。
とはいえ、つまんないヤキモチで蒼夜の交友関係に口出して嫌われるのはいやだし。
なんとなくスッキリしないモヤモヤを晴らそうと出掛けた先で、オレの知らない蒼夜に出会っちゃうなんて。
運がいいのか悪いのかわからないや。
気付かれないようにこそっと様子を見守ってると、男女4人ずつの大所帯。
蒼夜の両隣に座ってるのは、バッチリメイクして可愛く着飾ってる女の子たち。
女の子たちはすごくニコニコしてて、楽しそうに話してる。
蒼夜も穏やかにその子たちに答えていて、遠目に見てるとすごく楽しそうだった。
え、なにこれ。合コン??
…なんか、またちょっと…もやっとした…
胸の中の違和感に首を傾げつつ、それでも蒼夜の様子が気になって、またチラ見した。
見たところ、ホットコーヒー飲んでるみたい。オレと出かけた時や家ではいつも紅茶なのに、珍しい。
一緒にいる友だちはみんなケーキと紅茶を楽しんでる中で、蒼夜はゆったりコーヒーを飲んでて。
甘いものだって、家で自作してまで食べるほど好きなはずなのに、なんで頼まなかったんだろう。
それにしても、ああやってカフェで優雅に過ごしてる姿は、みとれるほどかっこいい。欲目100パーセントだけど。
…って、あれ?
なんか、蒼夜いつもと違ってた…?
よーく思い出してみると…多分メガネ。
そうだ、オレといる時はいつもメガネしてないんだった。
だからいつも甘くて蕩けるような綺麗な茶色の瞳が間近で見れる。
ふと気づいて、そのこともノートに書き留めた。
メガネの蒼夜は、クールで有能そうな印象で、すごく大人っぽく見える。
いつもの蒼夜とは違う魅力がダダ漏れだった。
あれはあれですごくいい。
そんな風に心の中でみとれて惚気けまくってたせいか、後から帰ってきた蒼夜を出迎えた時、間近であのクールで知的なメガネ姿をみてしまって固まった。
そうだ、こいつのキラキライケメン度舐めてた…って。
「ただいま」って嬉しそうに目元を緩めて、それから当たり前のようにハグ。玄関先で。
まだ慣れないんだよな、あれ。
なんであんなに嬉しそうに柔らかく笑うんだろう。
あのカフェでちらっと見た笑顔と全然違う。
小さく「おかえり」って返せば、これまた当たり前のようにデコチューだもん。
この甘々な人、一体誰?って思う。
それから、久しぶりにオレが手料理振る舞って、蒼夜が美味しいって絶賛して食べてくれて、食後の紅茶を楽しみつつソファーでまったりして。
今日の出掛けた話もいろいろと教えてくれた。
大学の同じ学年のメンバーで、全員無事に卒論提出おめでとうの集まりしたんだって。
さり気なく何飲んでたのか聞いたら、やっぱりコーヒーだって。
なんでって聞いたら、「なんとなく、スイと飲むのが当たり前になってるのかも?」とか言い出してびっくりした。
でも、その言葉に、カフェで感じたモヤモヤが晴れたんだよね。不思議。
何気なく触れる指先が、手のひらの温度が、甘い眼差しが、オレのなかのモヤモヤした気持ちをきれいに取り去ってくれる。
というか、他のことが考えられなくなるんだよね。
そうしてオレをたっぷり甘やかした蒼夜は、さっきお風呂に行った。
———オレと一緒じゃない時の蒼夜をみたのは、ほとんど初めてだった。
知らない誰かと笑いあってるのをみたのは、正直ちょっと面白くなかったけど、帰ってきた蒼夜をみたら吹き飛んだ。
あんなに甘く緩んだ顔は、多分オレだけが知ってる。他の人は知らない。自意識過剰かもしれないけど。
確かに、メガネ掛けてるのもすごくかっこよかったし、あんな風に大人っぽく、いや、大人だけど、落ち着いた雰囲気をまとってるのも魅力的だった。
多分あの中に、蒼夜に好意を持ってる子もいるんだろうなって思った。両隣の子たちとか。
今日あのシーンをみて、蒼夜が周りにどう見られてるのかが少しわかった気がする。モテるんだろうな。
だから、いまオレが蒼夜の隣にいられることは夢みたいなんだけど。
だからといって、今のこの立ち位置を、他の誰かに譲りたくないなって改めて思った。
オレは、オレのできることを頑張りたい。———
なんだか、最後は何書きたいかぐちゃぐちゃになった気がしたけどまあいいや。
そろそろ蒼夜もお風呂から出てくる頃だし、またリビングに戻ろうかな。
そうしてノートを閉じて本棚に隠した。
また来週、今度は蒼夜とデートした記録が残せるといいなあって思いながら。
サイト名:TOY/管理人:遊
サイトアドレス:http://toy.ohuda.com/
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———3回目の週末。今日は蒼夜が大学の友だちと予定があるって言って、朝から出掛けてた。
せっかくお天気もいいし、オレも昼過ぎに出掛けて、久しぶりに私服を買ったり蒼夜に飲んでほしい紅茶や食べてほしいお菓子を買いに行ってきた。
そういえば、途中で立ち寄ったカフェで、ひときわ賑やかな大学生のグループがいたんだけど、気になって遠目に見てたら、蒼夜がいた。
オレの見たことのない、他の人といる時の蒼夜。思わず観察してしまった。———
そう書き始めた、3回目の観察日記。
つらつらと書き連ねながら、今日のできごとを思い返す。
昨日の夕飯を一緒に食べながら、週末の予定を確認した時に、「大学の友だちと出掛ける予定が入ってるんだ」って少しすまなそうに言うから、「気にしなくていいよ」って言ったけど。
ほんとは今朝、ちょっとだけ面白くなかった。
久しぶりに出掛けられそうだなって楽しみにしてたから。
とはいえ、つまんないヤキモチで蒼夜の交友関係に口出して嫌われるのはいやだし。
なんとなくスッキリしないモヤモヤを晴らそうと出掛けた先で、オレの知らない蒼夜に出会っちゃうなんて。
運がいいのか悪いのかわからないや。
気付かれないようにこそっと様子を見守ってると、男女4人ずつの大所帯。
蒼夜の両隣に座ってるのは、バッチリメイクして可愛く着飾ってる女の子たち。
女の子たちはすごくニコニコしてて、楽しそうに話してる。
蒼夜も穏やかにその子たちに答えていて、遠目に見てるとすごく楽しそうだった。
え、なにこれ。合コン??
…なんか、またちょっと…もやっとした…
胸の中の違和感に首を傾げつつ、それでも蒼夜の様子が気になって、またチラ見した。
見たところ、ホットコーヒー飲んでるみたい。オレと出かけた時や家ではいつも紅茶なのに、珍しい。
一緒にいる友だちはみんなケーキと紅茶を楽しんでる中で、蒼夜はゆったりコーヒーを飲んでて。
甘いものだって、家で自作してまで食べるほど好きなはずなのに、なんで頼まなかったんだろう。
それにしても、ああやってカフェで優雅に過ごしてる姿は、みとれるほどかっこいい。欲目100パーセントだけど。
…って、あれ?
なんか、蒼夜いつもと違ってた…?
よーく思い出してみると…多分メガネ。
そうだ、オレといる時はいつもメガネしてないんだった。
だからいつも甘くて蕩けるような綺麗な茶色の瞳が間近で見れる。
ふと気づいて、そのこともノートに書き留めた。
メガネの蒼夜は、クールで有能そうな印象で、すごく大人っぽく見える。
いつもの蒼夜とは違う魅力がダダ漏れだった。
あれはあれですごくいい。
そんな風に心の中でみとれて惚気けまくってたせいか、後から帰ってきた蒼夜を出迎えた時、間近であのクールで知的なメガネ姿をみてしまって固まった。
そうだ、こいつのキラキライケメン度舐めてた…って。
「ただいま」って嬉しそうに目元を緩めて、それから当たり前のようにハグ。玄関先で。
まだ慣れないんだよな、あれ。
なんであんなに嬉しそうに柔らかく笑うんだろう。
あのカフェでちらっと見た笑顔と全然違う。
小さく「おかえり」って返せば、これまた当たり前のようにデコチューだもん。
この甘々な人、一体誰?って思う。
それから、久しぶりにオレが手料理振る舞って、蒼夜が美味しいって絶賛して食べてくれて、食後の紅茶を楽しみつつソファーでまったりして。
今日の出掛けた話もいろいろと教えてくれた。
大学の同じ学年のメンバーで、全員無事に卒論提出おめでとうの集まりしたんだって。
さり気なく何飲んでたのか聞いたら、やっぱりコーヒーだって。
なんでって聞いたら、「なんとなく、スイと飲むのが当たり前になってるのかも?」とか言い出してびっくりした。
でも、その言葉に、カフェで感じたモヤモヤが晴れたんだよね。不思議。
何気なく触れる指先が、手のひらの温度が、甘い眼差しが、オレのなかのモヤモヤした気持ちをきれいに取り去ってくれる。
というか、他のことが考えられなくなるんだよね。
そうしてオレをたっぷり甘やかした蒼夜は、さっきお風呂に行った。
———オレと一緒じゃない時の蒼夜をみたのは、ほとんど初めてだった。
知らない誰かと笑いあってるのをみたのは、正直ちょっと面白くなかったけど、帰ってきた蒼夜をみたら吹き飛んだ。
あんなに甘く緩んだ顔は、多分オレだけが知ってる。他の人は知らない。自意識過剰かもしれないけど。
確かに、メガネ掛けてるのもすごくかっこよかったし、あんな風に大人っぽく、いや、大人だけど、落ち着いた雰囲気をまとってるのも魅力的だった。
多分あの中に、蒼夜に好意を持ってる子もいるんだろうなって思った。両隣の子たちとか。
今日あのシーンをみて、蒼夜が周りにどう見られてるのかが少しわかった気がする。モテるんだろうな。
だから、いまオレが蒼夜の隣にいられることは夢みたいなんだけど。
だからといって、今のこの立ち位置を、他の誰かに譲りたくないなって改めて思った。
オレは、オレのできることを頑張りたい。———
なんだか、最後は何書きたいかぐちゃぐちゃになった気がしたけどまあいいや。
そろそろ蒼夜もお風呂から出てくる頃だし、またリビングに戻ろうかな。
そうしてノートを閉じて本棚に隠した。
また来週、今度は蒼夜とデートした記録が残せるといいなあって思いながら。
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