上 下
5 / 26
本編

01. Ordinary day

しおりを挟む


 「悠祈ユウキサン!朝ですよー!!起きてくださーい!」

 

 
 ここはカラリオル(色界)の一都市、シアン。
郊外には共同墓地が多くあり、また、多くの聖職者がいる街でもある。
この街の共同墓地を護っているのが、【聖職者】である悠祈ユウキ
墓守は幽霊を食おうとする死神からそれらを護る事が仕事であり、日夜警護に追われている。

 

 

悠祈ユウキサン!悠祈ユウキサンってばー!」

 

「うー…。も少し寝る…」

 

「朝ご飯冷めちゃいますよぅ…(泣)」





ベッドから起きあがる様子のない悠祈ユウキを、それでも必死に起こそうとしているのは、蜂蜜色の髪を二つにくくって青いエプロンをした青年。
名をウィンという。
しかしウィンが何を言っても、悠祈ユウキはいっこうに起きあがらない。
すると、どこからともなく羽音が聞こえてくる。
まもなくして悠祈ユウキの部屋に飛び込んできたのは、オレンジ色の丸い物体。
耳ともツバサとも言えるようなモノを、バタバタと羽ばたかせながら空中をふわふわと漂っている。
ウィンは毎度のコトながら、この物体をなかなか可愛らしいと思う。
 

 
 

「ピィー?」(どうしたの?)
 

「悠祈サンが起きてくれなくて…。どうしましょう…」
 

「ピッ♪」(まかせて♪)

 

 

 

するとオレンジ色の物体は眠っている悠祈ユウキに近づいて、すぅっと大きく息を吸い込んだ。
この物体が一体何をしでかそうとしているのか思い至ったウィンは慌てて両耳を塞ぐ。
と、

 

 

ピィ~~~~~!!!!!!!ピピピピピ!ピィ~ピピッ!!!(お~き~ろ~!!!)

 
 

 

大音量で騒ぐオレンジ色の物体、イヴ。
あの小さな体の何処からこの騒々しい音が出てくるのか、ウィンはいつも疑問に思う。
突然耳元で騒がれた悠祈ユウキは慌てて飛び起きた。
ちなみに髪の毛は寝癖でボサボサのまま。
起きあがった悠祈ユウキを見て、イヴは得意気にウィンを見た。
見られたウィンのほうはと言えば、何とも言えない顔でイヴを見返す。

 


「イ~~~~~~ヴ~~~~~~~…………」


「ピピィ…?!」(えっ…?!)
 

「何しやがる…」


「ピィー!!ピピピィ~~!」(うわー!!逃げろ~!)


「逃がすかーーーー!!!!」

 

 

半ば強制的に起こされた悠祈ユウキは、イヴを追いかけ回す。
ウィンはそんな一人と一匹をみて苦笑いを漏らした。
いつも通りの平和な日常。


穏やかな日々が、このまま続いていけばいいのに…。


願いは同じ。
今日もまた一日が始まる。



*****

悠祈ユウキの寝起きは悪い方です。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

BIRD
ファンタジー
【転生者モチ編あらすじ】 異世界を再現したテーマパーク・プルミエタウンで働いていた兼業漫画家の俺。 原稿を仕上げた後、床で寝落ちた相方をベッドに引きずり上げて一緒に眠っていたら、本物の異世界に転移してしまった。 初めての異世界転移で容姿が変わり、日本での名前と姿は記憶から消えている。 転移先は前世で暮らした世界で、俺と相方の前世は双子だった。 前世の記憶は無いのに、時折感じる不安と哀しみ。 相方は眠っているだけなのに、何故か毎晩生存確認してしまう。 その原因は、相方の前世にあるような? 「ニンゲン」によって一度滅びた世界。 二足歩行の猫たちが文明を築いている時代。 それを見守る千年の寿命をもつ「世界樹の民」。 双子の勇者の転生者たちの物語です。 現世は親友、前世は双子の兄弟、2人の関係の変化と、異世界生活を書きました。 画像は作者が遊んでいるネトゲで作成したキャラや、石垣島の風景を使ったりしています。 AI生成した画像も合成に使うことがあります。 編集ソフトは全てフォトショップ使用です。 得られるスコア収益は「島猫たちのエピソード」と同じく、保護猫たちのために使わせて頂きます。 2024.4.19 モチ編スタート 5.14 モチ編完結。 5.15 イオ編スタート。 5.31 イオ編完結。 8.1 ファンタジー大賞エントリーに伴い、加筆開始 8.21 前世編開始 9.14 前世編完結 9.15 イオ視点のエピソード開始 9.20 イオ視点のエピソード完結 9.21 翔が書いた物語開始

処理中です...