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第688話 ジェンガ!
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「これは……どういう状況だ?」
車を言われた場所に駐車してジョージを迎えに来たセグ1とセグ3は、その場面を見て硬直した。
訓練の時でさえ実力の半分も出さなかったジョーさんが、あり得ない気迫で先程自分たちに声をかけた老人と対峙していた。
「どうする? 声をかけるか?」
「いや……ジョーさんの邪魔をしない方が良い」
それよりも、ジョーさんと向かい合っている老人は何者だ? 『処刑人』の殺意に呑まれず、逆に放つ気迫は拮抗している様に見える。
セグ1はスマホを取り出すと赤羽が写る様に写真を撮り烏間へ送信。少し間を置いて連絡する。
『どうしたの? また何かトラブル?』
「烏間幹事長。今送った画像の老人が何者なのか知っていますか?」
『いいえ。知らない方よ。画像はどういう事? 何故『処刑人』が本気で向かい合ってるの?』
「我々では解りません。現場でも今から殺し合いを始めてもおかしくない雰囲気です。考えられるのは……とてつもない因縁がある可能性です」
『……絶対に割り込んではダメよ。今の神島譲治は貴方も含めた範囲までアンテナを張ってるわ』
「了解……」
『この件はこちらから連絡するまで待機しなさい』
烏間との通話を切るセグ1は、その事をセグ3にも伝え改めてジョージと赤羽を見る。
「…………もう命を射程に置いているな」
「ああ。互いにナイフを突き付け合ってやがる」
動かずに立ち尽くす二人だが、現時点で互いの命を殺る為のシミュレートをぶつけ合っていた。
「ところで、あの男は何者だ?」
「さぁ……」
そんなジョージと赤羽の殺意をモノともせず、あたふたとするケンゴに対しても疑問を浮かべた。
ケンゴがトキに電話でからかわれている最中でも、赤羽とジョージの間では幾重と攻防が行われていた。
ジョージ視点――
手持ちの武器は畳針のみ。しかし、搦め手となるモノは周囲に幾つもある。初動で使える武器は全部で四つ。動きが入れば更に増える。ヤツは満足に動かせないワシの左腕側を常に取りながら移動したい――と言うのが定石だ。もし、そう動くなら……即殺れる。
赤羽視点――
相手の意から、相手の向けている視点を読み取る事は私にとって難しくはない。『神島』の視点は恐ろしく歪だ。彼は場のあらゆるモノを武器として捉えている。直接的な殺傷武器は左腕の包帯に仕込んでいるのだろう。ソレをこちらの命に届かせる為の要素は全部で四つ。ソレをかわしつつ、彼を無力化するには負傷した左腕側を中心に立ち回る――のが当然だろう。だが……その選択肢を彼は当然ながら読んでいる。『神島』の読みにハマる事は死に直結する。それだけは避けなければならない。
三角巾で吊った左腕に手を添えるジョージ。
やはりそこに武器が有ると見抜く赤羽。
二人の気迫に身動きすると“死ぬ”と感じて硬直するジャック。
どうしましょう~、とどうやって二人を止めるか頬に手を当てて困るセナ。
ジョーさんの本気……見れるのか? と不謹慎ながらも興味のある展開に目が離せないセグ1とセグ3。
そんな中、
「ジェンガ!」
と、意図の読めない言葉でケンゴが二人の意思に割り込んだ。
正直、もうダメだった。
ジジィがスッと首から吊っている左腕に右手を添えた。
やっぱり、そっちに暗器を仕込んでやがったか。と言ってもナイフなんかじゃないだろう。あからさまに凶器と思えるモノを持ち歩く程、ジジィはボケていない。
明らかに使う構え。これはもう……銃に弾を込めて、コッキングも済ませて、スコープを覗いて標的の脳天に標準を着けた状況と同じだ。
プレ○ターのショルダーカノンがロックオンした時の赤い三点が向けられる状況に近い。あ、死んだって思うヤツ。
とにかく、二人の気を反らさねばならない。故に半信半疑で叫んだ。
「ジェンガ!」
すると、そんな意味不明なワードに二人はピクッと反応した。
オレも何故、反応したのか全くもって不明だが……ここがターニングポイントだと悟る。戦争が始まる前に止めねばならぬ!
「その……あんまりさ。ドカドカやるとホラ……色んな人に迷惑かけるし、服とか汚れるでしょ? だから平和的且つ公平な勝負で決着を……つけてはどうでしょうか?」
オレは最大限の下手に出て二人に提案した。この瞬間でも二人は互いから視線を外さず隙を伺ってる。
なんだよ、この爆弾解体みたいな状況。一つ間違うだけで全部ドカンだ。心臓に悪りぃ……
「ジェンガを持ってるのか? お前」
ジジィが目線は赤羽さんを見たまま反応した。リンカ達が来たときにTVゲームばかりでは良くないと思って、トランプや人生ゲームなんかのパーティーゲームは一通り部屋にある。
「へ、部屋にあるよ。なんなら、オレの部屋で勝負する?」
「…………」
沈黙。二人は明らかに考えている様だった。そこまで考える程……『ジェンガ』と二人の間に一体なんの因縁があるんだ?
「おい。ジェンガで決着をつけるぞ」
「現状はそれが最適解か」
主戦場はアパートの前からオレの部屋へ移る。
外での殺し合いは回避出来たのはベストと言えよう。ホントにどっちかが死ぬまで終わらない雰囲気だったもん。
……リンカに告白した事がオレの死亡フラグになってないよね?
車を言われた場所に駐車してジョージを迎えに来たセグ1とセグ3は、その場面を見て硬直した。
訓練の時でさえ実力の半分も出さなかったジョーさんが、あり得ない気迫で先程自分たちに声をかけた老人と対峙していた。
「どうする? 声をかけるか?」
「いや……ジョーさんの邪魔をしない方が良い」
それよりも、ジョーさんと向かい合っている老人は何者だ? 『処刑人』の殺意に呑まれず、逆に放つ気迫は拮抗している様に見える。
セグ1はスマホを取り出すと赤羽が写る様に写真を撮り烏間へ送信。少し間を置いて連絡する。
『どうしたの? また何かトラブル?』
「烏間幹事長。今送った画像の老人が何者なのか知っていますか?」
『いいえ。知らない方よ。画像はどういう事? 何故『処刑人』が本気で向かい合ってるの?』
「我々では解りません。現場でも今から殺し合いを始めてもおかしくない雰囲気です。考えられるのは……とてつもない因縁がある可能性です」
『……絶対に割り込んではダメよ。今の神島譲治は貴方も含めた範囲までアンテナを張ってるわ』
「了解……」
『この件はこちらから連絡するまで待機しなさい』
烏間との通話を切るセグ1は、その事をセグ3にも伝え改めてジョージと赤羽を見る。
「…………もう命を射程に置いているな」
「ああ。互いにナイフを突き付け合ってやがる」
動かずに立ち尽くす二人だが、現時点で互いの命を殺る為のシミュレートをぶつけ合っていた。
「ところで、あの男は何者だ?」
「さぁ……」
そんなジョージと赤羽の殺意をモノともせず、あたふたとするケンゴに対しても疑問を浮かべた。
ケンゴがトキに電話でからかわれている最中でも、赤羽とジョージの間では幾重と攻防が行われていた。
ジョージ視点――
手持ちの武器は畳針のみ。しかし、搦め手となるモノは周囲に幾つもある。初動で使える武器は全部で四つ。動きが入れば更に増える。ヤツは満足に動かせないワシの左腕側を常に取りながら移動したい――と言うのが定石だ。もし、そう動くなら……即殺れる。
赤羽視点――
相手の意から、相手の向けている視点を読み取る事は私にとって難しくはない。『神島』の視点は恐ろしく歪だ。彼は場のあらゆるモノを武器として捉えている。直接的な殺傷武器は左腕の包帯に仕込んでいるのだろう。ソレをこちらの命に届かせる為の要素は全部で四つ。ソレをかわしつつ、彼を無力化するには負傷した左腕側を中心に立ち回る――のが当然だろう。だが……その選択肢を彼は当然ながら読んでいる。『神島』の読みにハマる事は死に直結する。それだけは避けなければならない。
三角巾で吊った左腕に手を添えるジョージ。
やはりそこに武器が有ると見抜く赤羽。
二人の気迫に身動きすると“死ぬ”と感じて硬直するジャック。
どうしましょう~、とどうやって二人を止めるか頬に手を当てて困るセナ。
ジョーさんの本気……見れるのか? と不謹慎ながらも興味のある展開に目が離せないセグ1とセグ3。
そんな中、
「ジェンガ!」
と、意図の読めない言葉でケンゴが二人の意思に割り込んだ。
正直、もうダメだった。
ジジィがスッと首から吊っている左腕に右手を添えた。
やっぱり、そっちに暗器を仕込んでやがったか。と言ってもナイフなんかじゃないだろう。あからさまに凶器と思えるモノを持ち歩く程、ジジィはボケていない。
明らかに使う構え。これはもう……銃に弾を込めて、コッキングも済ませて、スコープを覗いて標的の脳天に標準を着けた状況と同じだ。
プレ○ターのショルダーカノンがロックオンした時の赤い三点が向けられる状況に近い。あ、死んだって思うヤツ。
とにかく、二人の気を反らさねばならない。故に半信半疑で叫んだ。
「ジェンガ!」
すると、そんな意味不明なワードに二人はピクッと反応した。
オレも何故、反応したのか全くもって不明だが……ここがターニングポイントだと悟る。戦争が始まる前に止めねばならぬ!
「その……あんまりさ。ドカドカやるとホラ……色んな人に迷惑かけるし、服とか汚れるでしょ? だから平和的且つ公平な勝負で決着を……つけてはどうでしょうか?」
オレは最大限の下手に出て二人に提案した。この瞬間でも二人は互いから視線を外さず隙を伺ってる。
なんだよ、この爆弾解体みたいな状況。一つ間違うだけで全部ドカンだ。心臓に悪りぃ……
「ジェンガを持ってるのか? お前」
ジジィが目線は赤羽さんを見たまま反応した。リンカ達が来たときにTVゲームばかりでは良くないと思って、トランプや人生ゲームなんかのパーティーゲームは一通り部屋にある。
「へ、部屋にあるよ。なんなら、オレの部屋で勝負する?」
「…………」
沈黙。二人は明らかに考えている様だった。そこまで考える程……『ジェンガ』と二人の間に一体なんの因縁があるんだ?
「おい。ジェンガで決着をつけるぞ」
「現状はそれが最適解か」
主戦場はアパートの前からオレの部屋へ移る。
外での殺し合いは回避出来たのはベストと言えよう。ホントにどっちかが死ぬまで終わらない雰囲気だったもん。
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