懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

六剣

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第677話 聖母……

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 ジョージに接触を試みる者達は政府秘匿の『霞部隊』である。
 彼らは国内のあらゆる機関から選定されたその道の適正者。普段は各々の機関に所属しているが臨時招集にて部隊となる。
 霞の様に目では見えるが触れられない者達。
 『処刑人』が居なくなる事で他国からの圧力が強くなる事と、『処刑人』の“紛いモノ”を作ろうとする内部の動きを牽制する為に『神島』と『烏間』が設立。
 環境利用と近代仕様に編纂した『古式』を『神島』から習っている彼らは各々でその志も強く説かれていた。
 『処刑人』の持つ“抑止力”の部分を担う部隊として、これから機能していく予定であった。





 おいおい。どんな化け物だよ……

 セグ1は話し掛けてきたガリアに驚きしか無かった。
 近くに商店街があるため、知らぬ者がこの辺りを歩いても違和感は無いハズだ。耳のイヤホンマイクを見られたとしても、通話画面は音楽を流している表示になってるし、何より――

 こいつ……俺じゃなくて、俺たち・・・を認識してやがる……

「HEY。ニホンゴ喋れルダロ? モンキー」

 ガリアは挑発的だが、その意図は騒ぎを起こす事にあるとセグ1も認識。そして、抵抗すれば戦闘も辞さないのだろう。

 一対多数にも関わらず、この男は……いや、他に仲間もいるのか? 俺たちが認識出来ていないだけで同じ様な技量を持つヤツが他にも居る可能性は高い。

「ヤハリ師父のダメージはジャパンにカスのエントリーを許す事になりますカ」
「いやー、すみません。神父様」

 ガリアが本格的に攻撃を仕掛ける気を見せた時、セグ1は一般人を装う選択肢を取る。

「ちょっと知り合いと待ち合わせをしてまして。ひょっとして不審者と勘違いさせちゃいましたか? それならスミマセン」
「おーい、待ったかー?」

 即座にアドリブを効かせたセグ2が手を上げてやってくる。

「うぉ!? デカイ神父じゃん。HEY、フォトオーケー?」
「……No」

 ガリアは現れたセグ2にそう告げると、ジョージの居る一軒家へ入って行った。

「商店街に行くぞ」
「ああ」

 セグ1とセグ2はガリアの他に居るヤツがまだ監視している可能性も考慮して待ち合わせで合流した体をそのまま続ける。

「全員、一旦この場から離れろ。俺達が認識されてる。さっきの神父の写真は撮ったか?」
『一応は。俺は商店街のゲーセンに移動する』
「神父を烏間幹事長に確認して貰ってくれ。アレは『神島』クラスの化け物だ。下手に家には近づくな。商店街にもさりげなくバラバラに移動するぞ」

 一体……あの家は何なんだ?
 下手に藪をつついたら恐竜が飛び出して来てもおかしくない。
 違和感は死に直結する。
 それは『神島』が最も注意深く指導してきた事だった。





「ジョーさん、物凄くタイミング悪かったよ。サマーは今、文化祭に行っててさ」
「文化祭だと?」
「あら~」

 ジョージとセナは各々反応する。

「文化祭って~○○高校~?」
「そうだよ」
「セナ、知っとるのか?」
「娘の高校です~」
「え? お姉さん、娘さんいるの?」
「そうで~す」

 鮫島さんは一児の母親だ。とショウコが補足する。ビクトリアは、マジか……とセナの若い見た目に素直に驚いていた。
 この人、母性は凄いけどさ何歳なんだろう?

「お姉さんって、二十代後半?」
「あら~そう見える~?」

 思ったよりも若い数字だったらしい。それなら――

「じゃあ三十代?」
「うふふ~」
「四十――」

 と、十代刻みで探りを入れて行った所で、ゾワッと寒気が全身を包む。セナの表情は変わらないが、僅かに薄目を開けて見てくる視線にビクトリアは変な汗が出た。

 あ……コレ……ダメなヤツだ。ジョーさんに『楔』の事を聞くくらいに触れたらダメなヤツ……

 他者よりも感受性の強いビクトリアはモロにソレを感じ取る。
 本能を刺激されて思わずカタカタ震える。金縛りのように身体が動かない。すると、ショウコが安心させる様に、そっ、と手を乗せてきた。

「まぁ、鮫島さんは二十代後半から三十代前半と言う所だろう。私も年齢よりも大人びて見えると言われたしな」

 ショウコのフォローに、そうなのよね~とセナは共感して、のほほん、とした雰囲気に戻った。
 ビクトリアは、ばっ! と隣のショウコに安心を求めて抱きついた。ショウコは、よしよし、と頭をぽんぽんする。

「それで、サマーは不在なのか?」
「ああ。帰ってくるのは夕方になる。なんなら連絡しようか?」
「いや……また後日来る。直接話したい事なのでな」
「ふふふ」

 セナはジョージがサマーに直接会いたい事を微笑ましく察した。
 その時、扉がガチャン、と開く音が聞こえる。

「ん? 早いな。帰ってきたかも」

 レツから部外者である連絡がない。故に帰ってきたのは身内であり、出掛けているのはサマー達だけだ。

「あら~。サマーちゃん~? 出迎えは任せて~♡」
「私も行こう」

 静止をする間もなくセナが席を立ち、ショウコも来客者による出迎えではサマー達も混乱すると、抱き着くビクトリアをずるずる引きずる様に玄関へ向かった。

「…………やれやれ」

 そんな三人を見つつ、ジョージも席から立ち上がる。





 マッタク、本当に気分を害しマシタ。
 アレは『ジーニアス』独特の雰囲気は無く、どっちかと言うと師父に近いモノを感じた。無駄に面倒なヤツらデース。
 組織的な動き。明らかに一般人ではなナイ。『ジーニアス』以外の他勢力か……マザーに確認を取らネバ。

「ジャパンの仕様には慣れナイ……」
「お帰りなさ~い。サマーちゃ~ん」
「ン?」

 玄関で靴を脱ぐ事に慣れないガリアは、うふふ~♪ とサマーを抱きしめ(捕食し)にやってきたセナと邂逅する。

「……」
「あら~? サマーちゃん~どこ~?」
聖母マリア……」
「?~」

 そう言いつつ、セナに対して片膝でこうべを垂れた。
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