懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

六剣

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第556話 秋祭り開幕

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 『文化祭』。
 その言葉の意味を深く考える者は本当に一握りだろう。
 大半の生徒は“祭”の部分に注目し、一種のお祭りとして捉えるのも間違った解釈ではない。だが、同じ“祭り”を経験すると言っても、文化祭での生徒達の立場は大きく異なるのだ。
 彼らにとっての“祭り”とは、参加し楽しむ事がイメージとして強いだろう。
 しかし『文化祭』では彼らはもてなす側にも回り、擬似的な社会形態を形成する。
 将来において、生徒達が組み込まれて行く大人社会への予行練習のようなモノなのだ。

 基本的に『文化祭』の運営は一から十まで生徒達で始めて、生徒達で終わらせる。
 教員はその補佐に就くような形で立ち回る為、堅苦しい雰囲気は皆無。どこもかしこも、和気あいあいとした声に溢れていた。

「遂に始まるわね!」

 カッ! と戦地へ赴く雰囲気で声を上げるのはメイド服と頭に猫耳を乗せた女子水泳部の水間である。

 本来ならその二つを装備した女子は可愛らしさが割り増しするのだが、普段から言動が突発的な水間に対しては可愛いステータスの向上には貢献しなかった。
 クラスの男子生徒も、まぁ水間はいつも通りだな、と特に色気の変わらない彼女にいつもと同じ目を向ける。

「水間さん凄いやる気じゃない。客引きとかお願いしてもいい?」
「谷高さん!」

 スタイルもスレンダーな水泳女子である水間に声をかけたのは谷高光やたかひかりである。
 彼女は凹凸がはっきりとしつつも、自らの体格と服装に合ったスタイルを完璧に維持している。その上でメイド服と猫耳を装備することで、それらの要素を相乗効果で引き上げており男子どころか女子も一瞬目を奪われる程に完璧な姿として降臨していた。

「相変わらずとんでもない可愛さね! 一瞬、持ち帰りたくなったわ!」
「ありがとー」
「しかし、文化祭とは読んで字のごとく文化の祭り! メイド服は日本の文化なのかしら!?」
「うーん。細かい疑問は良いんじゃない? 楽しめれば」
「それもそうね!」

 普段は何かとヒカリに勝負勝負言ってくる水間もどことなく浮かれている様だ。
 学年一の美少女のヒカリの猫耳メイド姿を『文化祭』が始まる前から見ることが出来るクラスメイト(特に男子達)は己の運に生涯感謝することは後にも先にもこの瞬間だけだろう。
 他のクラスや他の学年からもそんなヒカリを一目見ようとやって来ていた。開店前だが、クラスの外でもう行列が出来ている様を感じる。
 猫耳執事の服装をした男子が対応している。

「うわ、もう人が来てるなぁ」
「客寄せは必要無さそうね!」

 『文化祭』全体での客入りの片寄りを防ぐ為に、同じ店に何度も入り浸ることは禁止とされている。
 だが今年は、1学年、2学年、3学年各々に美少女の存在する店舗があるため、全生徒(特に男子)はそれらを回る事を決めているも者も多い。
 中でも1学年は上級生も顔を出しやすく、一番に人が集まるのは必然と言えた。

「リーン、凄いお客さん。多分20人は並んでる」
「ええ? それ初動じゃ捌ききれないかも……」

 と、リンカが奥の給仕室から出てくる。給仕室は簡易な布で隔てた空間を確保して形成されている。

「うわ……やっぱり強調すると凄いわね」

 ヒカリはリンカのメイド姿にトコトコと近づく。
 高校1年生にしては強調の激しいバストはコルセットを使用するタイプのメイド服では特に強調され、異性が目線を向けるのは仕方の無い事と言える程にボリュームがある。更に頭の上に乗った猫耳は可愛さも引き立てており、可愛さとエロスが混在する生物が出来上がっていた。

「リン……アンタは外に出たら駄目よ。これっ! この重みに引き寄せられるっ! 数時間で店を閉店しないといけなくなるからっ!」
「ちょっと! 胸を持ち上げるの止めて!」

 強調される乳袋は下から持ち上げられる体積がある事をヒカリが証明する。
 男子は思わず目を反らし、リンカは恥ずかしながら胸を隠すように腕で覆う。
 ヒカリは良いではないか~、と手をやらしくニギニギさせていた。

「鮫島さん……お茶とかってこんな感じ?」

 同じく給仕室から顔を出す小柄な女子生徒の徳道はリンカからお茶の淹れ方を教わっていた。

「ちょっと待ってね。ヒカリ仕事しなよ」
「ま、休憩時間にでもゆっく~り堪能させて貰うわ」
「はいはい」

 普段から家で料理を作っているリンカはドリンクや簡単なお菓子等を出す給仕係を主にする役回りとなっていた。
 すると、校内放送がONになり、教室のスピーカーから音が漏れ始める。

『えー、どうも。生徒会です。これより○○高校の文化祭を始めるぞー!』

 校内放送で学校全体に行き渡る宣言を行うのは、生徒会長の言葉だった。
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