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第413話 お助けをぉ!

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 時に人間はとんでもないモノを作り出す。
 それは、飛行機だったり、コンピューターだったり、一部の天才による閃きは人類の文明を大きく進め、人々の生活に貢献してきた。
 そして、オレは心から叫びたい。バニースーツと言う、史上最高の服を作った先人はノーベル賞を貰うべきなのだ、と!

「やれやれ。やっぱり、リンカの扱いはケンゴが一番だねぇ」

 リンカの次に現れたウサギさんは、カレンさん!
 オレよりも6つも年上にも関わらず、童顔な表情は、時にオレの方が年上に見られる事もある!

 ごちゃごちゃ着るのが面倒だからと普段はタンクトップにジャケットを愛用するカレンさん。無論、その時から谷間には目が行きますよ? その際に胸を見ることは社会的にはセクシャルハラスメントに該当するが……目の前に現れたカレンさんは全て合法だ!

 バニースーツは、胸! 太もも! 尻! へごく自然に視線を送ることが出来る。だって、その為の服だよ? それ以外にどこを見るってのさ!
 息子であるダイキも美形であり、カレンさんはその遺伝子の大元。程よい乳房に腰のラインは天与の代物であり、バニースーツを着こなしていらっしゃる。
 コレを合法で見れるの? ほんっとにたまんねぇなぁ!!

「おい、ケンゴ。鼻の下伸ばして私の肢体を舐め回す様に見るのは止めなよ」

 オレの視線にカレンさんは、ニヤニヤしながら視線を向けてくる。

「え!? あ! や、やだなぁ! 写真を撮る補佐をすることになったので、衣装の動きにも慣れておかなきゃなって思ってるだけですよ~」

 後頭部に手を当てて誤魔化す様にオレは笑う。カレンさんは、ふーん、とまだニヤけていた。アレは完全にエロい視線を向けていた事がバレている眼。くっ! 煩悩を廃して肢体を眺めるには修行が足りねぇぜ!

「まぁ、今は別に良いよ。こう言う格好だし。視線が胸か尻に行くのは動物的本能だからしょうがないからね」
「ありがとうございます」

 バニーカレンさんを眺める許可を本人から貰い、オレは手の平と拳を合わせ、中国式のお辞儀をして礼に伏す。

「ちなみに、どこが一番エロい?」
「え?」
「胸に目が行きがちだけどさ。この尻の尻尾もヤバくない?」

 くるっとカレンさんは振り返る様な姿勢で背を向けると、丸々とした綺麗なお尻の尾骨の部分に小さな尻尾があった。衣装の効果もあって強調されるお尻。それはとても――

「――――」

 オレは思わず片膝をついて地面を見る。何と言う事だ!
 胸派であるオレの感性が一瞬、尻派へと揺らいでしまった。バニースーツ……人の培った性癖をいじくり回す、恐ろしい衣装だぜ……

「なに? 起った? 起った?」
「ちょっ、カレンさん。近いよぉ」

 前屈みでオレをニヤニヤしながら覗き込むカレンさん。その胸元を至近距離で見せられて胸派に戻れた。
 ちなみに起ちそうになったが、咄嗟に犬のバトル漫画を脳内にて再生し、事なきを得る。ここらへんは経験ダネ!

「同じ服装と言うモノは、あまり評価を変えようがないと思っていたが、三者三様に個性は出る様だな」

 カレンさんの後ろからショウコさんの声! オレは片膝を着いた状態からカッと眼を見開く。





 オレは自分自身をまるで知らなかった。
 正直な所、ショウコさんとは混浴した事もあって、あの時以上の官能を彼女から感じる事はないのだと思っていたのである。

「…………」
「何か変かな? ケンゴさん」

 オレの視線に気づいたショウコさんが首を傾げて聞いてくる。
 なんと言うか……とてもなくエロい。

 まず、眼を引くのはその胸! 考えうる限りの男の夢が詰め込まれた乳房はバニースーツのサイズが少し小さいのか今にも零れそうだ!

 次に腰! 大きな胸に目が行きがちだが、その腰もヤバい。菜食主義ベジタリアンにも関わらず、十分に育ったお胸様を引き立てる腰つきはバニースーツにより、一層のラインを作り出す事でより強調される!

 最後に足! これはね。流石と言わざる得ませんよ。スラリと長い足は自らに搭載された“大いなる実りおっぱい”と完全なる腰つきを支えつつ、それらと同等の魅力を放っている!

 オレは今まで、女体は裸が一番エロいと思っていた。自家発電する時のフニッシュはやっぱり、裸体で占めるもん。

 しかし、これは完全に眼から鱗だった。服着てる時の方がエロいって、思えるのは初めての経験だ。最高峰の容姿とスタイルを持つショウコさんだからかも知れないが、それでも性癖歪むよぉ。
 あんな布一枚でエロスが二転三転する。バニースーツ……思ったよりもヤバい服だった。
 あー、やべやべ。これは少し心を落ち着けないと立てねぇや。

「どうかしたのか? ケンゴさん」

 ショウコさんが心配して前屈みにオレを覗き込む。揺れる乳房。それを支えるバニースーツは彼女の胸に対しては少し小さい様で――

「はっ! ほわ!」

 ショウコさんの巨乳が、前屈みになった瞬間に零れそうになったので、オレは咄嗟にそれを両手で支えた・・・

「んっ……急にどうし――」
「ショウコさん! 早く……早く体勢を戻してぇ! この状況の維持は本当に危険だから! お願い! オレが背後の殺意に殺れる前に!!」

 無論、バニーカレンさんと対面した時からリンカのゴミを見るような視線には気づいていましたよ。許容してくれたのは、こんな姿では仕方ないと思ってくれたからだろう。

 でも、コレはヤバいね。両手にはショウコさんの柔らかな実りを感じ、背後からは死を連想させるリンカの殺意。
 天国と地獄を前と後ろで感じる場面があるなんて! こりゃやべぇ! 違う種類の昇天を一度に味わっちまう!

 すると、オレの耳元にリンカがそっと口を近づけてきた。

「知ってるか? 死神の武器は鎌じゃなくて針なんだ」

 ヒェ……一気にオレのオレが縮こまったちゃった。
 しかも、聞いたことの無いフレーズ。これはアレですか……? 今からお前の命を刈り取るのは、その“たこ焼き返し”であるとぉ!?

「ケンゴさん……そんなに強く力を入れられると身を引けない」
「だとよ。ほら、早く離せよ。きちんと仕留めてやる」
「い、命をばかりはお助けをぉ!」

 そんなオレらのワチャワチャをカレンさんは大爆笑しながら眺めていた。
 助けて下さい! 人が死ぬんですよ!
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