412 / 701
第411話 一種の兵器と言うことか
しおりを挟む
「リンカちゃん、更衣室に入ったっきりで出て来ないなぁ。どうしたんだろう?」
「イッヒッヒ。鮫島嬢の事かい? あの子もバニーガールで出てくるよ」
「え? なんでです??」
脚立とカメラの位置を調整しつつ、リンカを心配していると、お婆さんがカウンターでノートPCを起動しつつ答えてくれる。
オレはリンカが更衣室に消えた理由は、カレンさんに何か伝える為だと思っていたが、そうではなかったらしい。
「文化祭の出し物で衣装が必要らしいくてねぇ。イッヒッヒ。無料で提供する変わりに新鮮な10代の肌を撮らせてもらうのさ」
魔女の秘薬の材料にされた様な言い回しだけど、写真を撮るだけです。
こりゃ、とんでもない事になっちまったぜ。
ナイスバディ美女のショウコさんに、童顔美人のカレンさん、そして発育途中のリンカの天文学的な確率で行われるバニースーツ姿を拝めるなんてな。これも魔女の魔術かっ!
「イッヒッヒ。意図しない形だけど、ニイさんにも得があるだろう?」
「最高ですよ」
お婆さんとはとても気が合いそうだぜぇ。
オレの回りにはご老体が多いのだが、その全てが中々の重鎮な顔ぶれでそれなりに気を使う。
しかし、このお婆さんはそんな事はなく、逆にこっちを欲望の沼に引きずり込んで来やがる。貴女とはもっと早く出会いたかった!
「ちなみに、撮った写真はカタログに?」
「イッヒッヒ。流雲嬢と若いお嬢ちゃんのは使わせてもらうねぇ。鮫島嬢は成人してからラインナップに並ぶよ」
その辺りは考慮してくれるのか。さっきのオレの訴えも伝わっていたらしい。
「コスプレ衣装は、前からやってたんですか?」
「イッヒッヒ。需要が出てきた頃にネット通販だけを始めてねぇ」
「その時からカタログを?」
「イッヒッヒ。始めた当時は知り合いの女の子に被写体を頼んだんだ。15年近く使わせてもらったけど、背景さえ加工できれば今でも十分に使えるねぇ。イッヒッヒ。今は鮫島嬢に差し替えてあるけどねぇ」
カタログの前任者か。中々に興味をそそられるな。
「イッヒッヒ。見てみるかい?」
「いいんですか?」
「構図の参考になるからねぇ。予習は大事さ。それに、興味あるって眼をしてるよ。イッヒッヒ」
アメが凄ぉいよ、このお婆さん。オレはどんどん欲望の沼に沈んでいる気がするが……最近は我慢とボコられる連続だったし、そろそろ精神的栄養を補給してもいい気がするんだ。うんうん。
「是非、拝見させてください。予習の為に」
「イッヒッヒ。素直な子は好きさぁ」
すると、お婆さんはさわっているノートPCとは別のノートPCをカウンターの下から出す。随分と古いタイプだ。
オレはス○リートファイターの豪○の様に片足を上げて残像を残しながら、スゥゥゥと移動するとお婆さんの横からノートPCを覗く。
「イッヒッヒ。そんなに気になるかい?」
「そりゃあ! もう!」
「元気が良いねぇ。イッヒッヒ」
カチカチと古いファイルを開くお婆さん。
今思ったけど、お婆さんのワリに現代のPC技術にだいぶ明るいなぁ。店も一人で切盛りしている様だし、『谷高スタジオ』とも普通に契約もしてるし。敏腕である事は確かだ。
「これが前任者だよ。今から12、3年前だねぇ」
「どれどれ――」
と、オレはその写真を見た刹那、己の生まれた時代を後悔した。
そこに写っているのはバニーや浴衣などを含める様々な姿の超絶な美少女。コスプレ衣装を完璧に着こなし、カメラ目線の笑顔も含めて逆に背景が負ける程の美を放っている。
見た目は16から18! 顔つきは勿論、胸! お尻! 腰! のラインが完璧だ! 全体が彼女の美を体現する完全なる黄金比として! 大き過ぎず! 小さ過ぎず! 細過ぎず! の体型を完璧に再現しているッッッ!!
こんな……こんな美少女がこの世に存在したのか!? くっ……くそぅ! 彼女が先輩け後輩か上振れて同級生の世代に生まれて話しかけたかった!! 彼女と同世代に生まれて、更に近くで青春を過ごした奴らは本当にラッキーだぜ!
「イッヒッヒ。一番、万人に刺さる歳に撮影したからねぇ。ちなみに加工は一切無しだよ」
逆に加工する方がおこがましい! 街中を歩いてれば間違いなく、アイドルスカウトとかナンパとか殺到するだろこれ。きっと、相当なボディガードが着いていたに違いない。
「お言葉ですが、御老公。写真の差し替えは必要無いのでは?」
コレを差し替える意味がわからない。
「イッヒッヒ。残念ながらデータがだいぶ古くてねぇ。当時は今よりも技術が進んでなくて、データの保全が完全じゃなかったのさ。このPCからデータの移動が出来ないくらい、劣化しちまってるのさ」
つまり、この画像を見れるのは世界でこの一台だけと言うことか!
「印刷しましょう!」
「イッヒッヒ。写真を見ればわかる通り、個人での保有は相当に危険な代物さ。カタログに混ぜてようやく魅了濃度を抑えられてるんだよ、イッヒッヒ」
一種の兵器と言う事か。確かに古いPCの荒い画像でさえ、オレも半分正気を失った。
これが、一枚の写真で、手元にやってきた日には……血眼になって彼女を捜す日々になるだろう。
「行き過ぎた美と言うモノは恐ろしいですね」
「イッヒッヒ。当時も大変だったねぇ。ここでバイトをしてなかったら、世間の目に呑み込まれていただろうさ」
「そりゃ、写真でコレですから、生はもっとヤバいでしょう」
今、この美少女は何をしているのか。非常に気になる所ではあるが、芸能活動はしてないだろう。もし、その業界に居たら間違いなく歴史に名を刻んでいただろうし。
……ん? なんだか……この子、どこかで見たことあるような……
「お婆さん。ちなみにこの子は今、何をしてるんです?」
「イッヒッヒ。弁護士やってるらしいよ。自分に降りかかるモノは自分で晴らすとか言ってねぇ」
「へー」
セルフ撒き餌か。意図しない被害を相当に被りそうだなぁ。
その時、奥の扉が開く音がした。
「イッヒッヒ。鮫島嬢の事かい? あの子もバニーガールで出てくるよ」
「え? なんでです??」
脚立とカメラの位置を調整しつつ、リンカを心配していると、お婆さんがカウンターでノートPCを起動しつつ答えてくれる。
オレはリンカが更衣室に消えた理由は、カレンさんに何か伝える為だと思っていたが、そうではなかったらしい。
「文化祭の出し物で衣装が必要らしいくてねぇ。イッヒッヒ。無料で提供する変わりに新鮮な10代の肌を撮らせてもらうのさ」
魔女の秘薬の材料にされた様な言い回しだけど、写真を撮るだけです。
こりゃ、とんでもない事になっちまったぜ。
ナイスバディ美女のショウコさんに、童顔美人のカレンさん、そして発育途中のリンカの天文学的な確率で行われるバニースーツ姿を拝めるなんてな。これも魔女の魔術かっ!
「イッヒッヒ。意図しない形だけど、ニイさんにも得があるだろう?」
「最高ですよ」
お婆さんとはとても気が合いそうだぜぇ。
オレの回りにはご老体が多いのだが、その全てが中々の重鎮な顔ぶれでそれなりに気を使う。
しかし、このお婆さんはそんな事はなく、逆にこっちを欲望の沼に引きずり込んで来やがる。貴女とはもっと早く出会いたかった!
「ちなみに、撮った写真はカタログに?」
「イッヒッヒ。流雲嬢と若いお嬢ちゃんのは使わせてもらうねぇ。鮫島嬢は成人してからラインナップに並ぶよ」
その辺りは考慮してくれるのか。さっきのオレの訴えも伝わっていたらしい。
「コスプレ衣装は、前からやってたんですか?」
「イッヒッヒ。需要が出てきた頃にネット通販だけを始めてねぇ」
「その時からカタログを?」
「イッヒッヒ。始めた当時は知り合いの女の子に被写体を頼んだんだ。15年近く使わせてもらったけど、背景さえ加工できれば今でも十分に使えるねぇ。イッヒッヒ。今は鮫島嬢に差し替えてあるけどねぇ」
カタログの前任者か。中々に興味をそそられるな。
「イッヒッヒ。見てみるかい?」
「いいんですか?」
「構図の参考になるからねぇ。予習は大事さ。それに、興味あるって眼をしてるよ。イッヒッヒ」
アメが凄ぉいよ、このお婆さん。オレはどんどん欲望の沼に沈んでいる気がするが……最近は我慢とボコられる連続だったし、そろそろ精神的栄養を補給してもいい気がするんだ。うんうん。
「是非、拝見させてください。予習の為に」
「イッヒッヒ。素直な子は好きさぁ」
すると、お婆さんはさわっているノートPCとは別のノートPCをカウンターの下から出す。随分と古いタイプだ。
オレはス○リートファイターの豪○の様に片足を上げて残像を残しながら、スゥゥゥと移動するとお婆さんの横からノートPCを覗く。
「イッヒッヒ。そんなに気になるかい?」
「そりゃあ! もう!」
「元気が良いねぇ。イッヒッヒ」
カチカチと古いファイルを開くお婆さん。
今思ったけど、お婆さんのワリに現代のPC技術にだいぶ明るいなぁ。店も一人で切盛りしている様だし、『谷高スタジオ』とも普通に契約もしてるし。敏腕である事は確かだ。
「これが前任者だよ。今から12、3年前だねぇ」
「どれどれ――」
と、オレはその写真を見た刹那、己の生まれた時代を後悔した。
そこに写っているのはバニーや浴衣などを含める様々な姿の超絶な美少女。コスプレ衣装を完璧に着こなし、カメラ目線の笑顔も含めて逆に背景が負ける程の美を放っている。
見た目は16から18! 顔つきは勿論、胸! お尻! 腰! のラインが完璧だ! 全体が彼女の美を体現する完全なる黄金比として! 大き過ぎず! 小さ過ぎず! 細過ぎず! の体型を完璧に再現しているッッッ!!
こんな……こんな美少女がこの世に存在したのか!? くっ……くそぅ! 彼女が先輩け後輩か上振れて同級生の世代に生まれて話しかけたかった!! 彼女と同世代に生まれて、更に近くで青春を過ごした奴らは本当にラッキーだぜ!
「イッヒッヒ。一番、万人に刺さる歳に撮影したからねぇ。ちなみに加工は一切無しだよ」
逆に加工する方がおこがましい! 街中を歩いてれば間違いなく、アイドルスカウトとかナンパとか殺到するだろこれ。きっと、相当なボディガードが着いていたに違いない。
「お言葉ですが、御老公。写真の差し替えは必要無いのでは?」
コレを差し替える意味がわからない。
「イッヒッヒ。残念ながらデータがだいぶ古くてねぇ。当時は今よりも技術が進んでなくて、データの保全が完全じゃなかったのさ。このPCからデータの移動が出来ないくらい、劣化しちまってるのさ」
つまり、この画像を見れるのは世界でこの一台だけと言うことか!
「印刷しましょう!」
「イッヒッヒ。写真を見ればわかる通り、個人での保有は相当に危険な代物さ。カタログに混ぜてようやく魅了濃度を抑えられてるんだよ、イッヒッヒ」
一種の兵器と言う事か。確かに古いPCの荒い画像でさえ、オレも半分正気を失った。
これが、一枚の写真で、手元にやってきた日には……血眼になって彼女を捜す日々になるだろう。
「行き過ぎた美と言うモノは恐ろしいですね」
「イッヒッヒ。当時も大変だったねぇ。ここでバイトをしてなかったら、世間の目に呑み込まれていただろうさ」
「そりゃ、写真でコレですから、生はもっとヤバいでしょう」
今、この美少女は何をしているのか。非常に気になる所ではあるが、芸能活動はしてないだろう。もし、その業界に居たら間違いなく歴史に名を刻んでいただろうし。
……ん? なんだか……この子、どこかで見たことあるような……
「お婆さん。ちなみにこの子は今、何をしてるんです?」
「イッヒッヒ。弁護士やってるらしいよ。自分に降りかかるモノは自分で晴らすとか言ってねぇ」
「へー」
セルフ撒き餌か。意図しない被害を相当に被りそうだなぁ。
その時、奥の扉が開く音がした。
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


ズッ友宣言をしてきたお隣さんから時々優しさが運ばれてくる件
遥 かずら
恋愛
両親が仕事で家を空けることが多かった高校生、栗城幸多は実質一人暮らし状態。そんな幸多のお隣さんには中学が一緒だった笹倉秋稲が住んでいる。
彼女は幸多が中学時代に告白した時、爽やかな笑顔を見せながら「ずっと友達ならいいですよ」とズッ友宣言をしてきた快活系女子だった。他にも彼女に告白した男子も数知れずいたもののやはり友達止まり。そんな笹倉秋稲に告白した男子たちの間には、フラれたうちに入らない無傷の戦友として友情が芽生えたとかなんとか。あくまで友達扱いをしていた彼女は、男女関係なく分け隔てない優しさがあったので人気は不動のものだった。
「高校生になってもずっとお友達だよ!」
「……あ、うん」
「友達は友達だからね?」
やんわりとお断りされたけどお友達な関係、しかもお隣同士な二人の不思議な関係。
本音がつかめない女子、笹倉秋稲と栗城幸多の関係はとてもゆっくりとした時間の中から徐々に本当の気持ちを運ぶようになる――
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

向日葵と隣同士で咲き誇る。~ツンツンしているクラスメイトの美少女が、可愛い笑顔を僕に見せてくれることが段々と多くなっていく件~
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の加瀬桔梗のクラスには、宝来向日葵という女子生徒がいる。向日葵は男子生徒中心に人気が高く、学校一の美少女と言われることも。
しかし、桔梗はなぜか向日葵に1年生の秋頃から何度も舌打ちされたり、睨まれたりしていた。それでも、桔梗は自分のように花の名前である向日葵にちょっと興味を抱いていた。
ゴールデンウィーク目前のある日。桔梗はバイト中に男達にしつこく絡まれている向日葵を助ける。このことをきっかけに、桔梗は向日葵との関わりが増え、彼女との距離が少しずつ縮まっていく。そんな中で、向日葵は桔梗に可愛らしい笑顔を段々と見せていくように。
桔梗と向日葵。花の名を持つ男女2人が織りなす、温もりと甘味が少しずつ増してゆく学園ラブコメディ!
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしています。


美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる