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第337話 正しい職業
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これが俺の力なのだ。
ショウコは数ヶ月前まで画面の向こうに居た。それがどうだ? 今は目の前でベッドの上で俺の成すがままだ。
ナイフで上着を開く様に切り裂く。シャツ越しでも解る巨乳に思わず息を飲む。これが俺のモノだと思うと呼吸は自然と荒くなる。
すると、強気だったショウコの目は弱々しく俺を見た。
「いいか、ショウコ……今からお前は全部俺の物ってことを再認識させてやる。動くなよ……」
そう。これが当然なのだ。これが世界の常識。俺が求めたモノは全て手に入る。
ナイフをシャツの下から入れるとゆっくり上に裂いていく。下手に動くと刺されると思ったのかショウコは身動き一つしなかった。
ドッドッドッドッ!
あのジジィが現れた夜から喪失した征服感が満たされていく。――ドッドッドッドッ!――。シャツを縦に裂くと現れたショウコの綺麗な地肌に脳内はそれを蹂躙する事で埋め尽くされる。――ドッドッドッドッ!――。そして、まずは両手でその乳房を堪能しようと手を伸ばし――ドッドッドッドッ!――
「……青野!」
『何でしょう?』
「外がうるさいぞ! 一体何やってんだ!!」
雨戸越しにも煩く聞こえるエンジン音の正体を部屋の外に待機してる青野に問う。
屋敷の門を護る桃城は少々不可解な場面を目の当たりにしていた。
奥から、ドッドッドッドッ! と重々しいエンジン音を響かせて一台のハーレーが到着し、その背後にキキーッとハマーが止まる。
ハーレーは、ドッドッドッドッ! とエンジンを切る様子なく、運転手は桃城を見る。
「……」
しかし、問題は敷地に無断で入ってきたハーレーとハマーではなく、それらに乗っていた者達だ。
ハーレーにはホッケーマスクをつけたマッチョと、その背後には兎のお面をつけた背の高い女が乗っている。
後ろのハマーの扉が、ガチャリ、と開き、場は更に異界と化す。
中から紙袋で顔を隠したマッチョとガスマスクで顔を隠したマッチョと、剣道の面を被った老人と、スパイ○ーマンのマスクを着けた男が現れた。
それらは正に異質。全員マトモではない。どこからか、オォォォ……と言う効果音まで聞こえて来そうな雰囲気である。
「俺からの指示があるまで扉は開けるな」
桃城は内部の部下にそう言うと異質な六人に休めの姿勢を維持したまま、向き直る。
ドッドッドッドッドッドッ――
ホッケーマスクはエンジンを止めて、スタンドを降ろすと、背の女はハーレーを降りる。立ち方から素人のモノではなかった。
「ここは私有地だ。直ちにお引き取り願おうか」
桃城は最低限の警告をする。すると、剣道の老人が代表の様に歩いてきた。
「悪いが、建物の中に用があってね。通してくれるかい?」
「天地がひっくり返ってもあり得ない要求だと思うが?」
只者ではないな……。桃城は目の前に立つ剣道の老人は単なるイカれではないと瞬時に悟る。
「私有地への不法侵入だ。警察へ連絡させてもらう」
「構わんよ。君たちのやっている事が公になるなら我々の正当性も証明される」
こちらの事情を把握している?
剣道の老人の言いたい事の意図を読む。読むが……全く理由が浮かばない。
「ここに警察は介入出来ない。でなければ誘拐など大胆な事が出来るハズはない」
「……なんの根拠もないが?」
「誘拐の現場を見ていた者達がいる。一度、屋敷の内部を確認させてくれれば良い。もし、我々の間違いであったのなら、法の裁きを受けよう」
「……悪いが――」
と、桃城が返答を返そうとした瞬間に、剣道の老人が攻めて来た。
いきなりの行動に反応が遅れ、身を反らすが耳のインカムを取られる。
「やはり、只者ではないか」
「君はここに来た時点で認識を改めるべきだったね」
剣道の老人のオーラが膨れ上がる。見た目はふざけているが、それに惑わされると間違いなく殺られる――
「我々が只者ではないと言う事を」
更に剣道の老人が詰めてくる。速い! だが……反応は間に合っている。
桃城は素人ではない。数多の戦闘スキルを駆使し要人を警護し続けたプロ中のプロだ。
最初は虚を突かれたが、今はハッキリと見えている。そして、門の前のカメラにはこの正当防衛が映って――
「何!?」
ヒュン、と伸びた剣道の老人の腕にあったのはスタンガン。咄嗟に払い除けるが、意識の外から来た蹴りがチッ! と下顎を掠り、世界が歪む。
やられた……脳を揺らされ――
「誰か、扉を開けられないかい?」
その時点で桃城を制圧したと判断した剣道の老人は背を向けて後ろの覆面集団に話しかけていた。
「格の違い……か――」
桃城は剣道の老人に最後まで手を伸ばしたが、それが届くことはなく意識が暗転した。
「……やばぁ」
スパイダー○ンのマスクを着けたオレは、目の前で赤羽さんの実力を目の当たりにした。
会話から始まり、虚の虚を突いて最小限の動きで制圧した。相手も素人ではなかったハズだ。
「バネジィやるぅ。でも昔よりもキレは衰えてるなぁ」
「あれで?」
「昔ならインカム取った時に相手の意識はトんでるよ」
「やばぁ……」
「昔から虚の突き方が異常に上手いんだよね。スタンガンもあれ、ただの玩具だし」
じっくり見れば気づいたかも知れないが、咄嗟に出されると本物に見えてしまう。オレも同じようにされれば間違いなく引っ掛かっただろう。
「誰か、扉を開けられないかい?」
と、赤羽さんはピッキングセンスを持つ方をご所望だ。
「松林さんとイントさんと大見さんの三人で扉をぶち破った方がいいんじゃないですか?」
「なるべくこちらの罪状は減らして起きたい。不可抗力は仕方ないと思うがね」
もう、一線は越えちゃってるよなぁ。
残念ながらピッキングスキルを持つ者はオレらの中にはいない。
仕方なしに玄関の周りを調べる。オレは門番の男を縛り上げていた。
「ゲッ……」
すると懐から物騒なハンドガンを発見。重さや雰囲気から本物だと思われる。
「スパイディー、それ本物?」
カズ先輩が覗き込んでくる。カズ先輩に渡してはならない得物第一位だ。
「貸したまえ」
と、赤羽さんが催促したのでオレは快く渡す。すると目の前で玩具のように赤羽さんは銃を分解した。
「……」
「開きそうかな?」
「どうやら、鉄の扉だ」
松林さんは手の平を扉に押し当て、ただの扉でない事を察したようだ。
「大見君、イント君」
「やってみますか」
「モノは試しッスね」
マッチョ三人は、全員が扉に手の平を乗せるとムキっと腕の筋肉が隆起する。恐らく、相当な力がかかっていると思われるが扉は開かない。
「流石に無理か」
「じゃあ、第二プランで」
「仕事帰りで良かった」
すると大見さんは鉄道などの線路を人力で作る時の大きなハンマーを肩に担いで持ってきた。
どこにあったのかは不明だが……第二プランの本質は全くもって物騒な事になりそうだぞぅ。
「大見の旦那、こいつで扉の付け根の金属を弱らせるぜ」
と、イントさんは酸を取り出す。だから何でそんな物を持ってるんですか……
「あの……一つ聞いて良いですか?」
「手短にね」
「お二人はどんな仕事を?」
「私は建築業だ」
「俺は鉄骨製造」
絶対に嘘だと思ったが、渡された名刺を見るとマジだった。
ショウコは数ヶ月前まで画面の向こうに居た。それがどうだ? 今は目の前でベッドの上で俺の成すがままだ。
ナイフで上着を開く様に切り裂く。シャツ越しでも解る巨乳に思わず息を飲む。これが俺のモノだと思うと呼吸は自然と荒くなる。
すると、強気だったショウコの目は弱々しく俺を見た。
「いいか、ショウコ……今からお前は全部俺の物ってことを再認識させてやる。動くなよ……」
そう。これが当然なのだ。これが世界の常識。俺が求めたモノは全て手に入る。
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ドッドッドッドッ!
あのジジィが現れた夜から喪失した征服感が満たされていく。――ドッドッドッドッ!――。シャツを縦に裂くと現れたショウコの綺麗な地肌に脳内はそれを蹂躙する事で埋め尽くされる。――ドッドッドッドッ!――。そして、まずは両手でその乳房を堪能しようと手を伸ばし――ドッドッドッドッ!――
「……青野!」
『何でしょう?』
「外がうるさいぞ! 一体何やってんだ!!」
雨戸越しにも煩く聞こえるエンジン音の正体を部屋の外に待機してる青野に問う。
屋敷の門を護る桃城は少々不可解な場面を目の当たりにしていた。
奥から、ドッドッドッドッ! と重々しいエンジン音を響かせて一台のハーレーが到着し、その背後にキキーッとハマーが止まる。
ハーレーは、ドッドッドッドッ! とエンジンを切る様子なく、運転手は桃城を見る。
「……」
しかし、問題は敷地に無断で入ってきたハーレーとハマーではなく、それらに乗っていた者達だ。
ハーレーにはホッケーマスクをつけたマッチョと、その背後には兎のお面をつけた背の高い女が乗っている。
後ろのハマーの扉が、ガチャリ、と開き、場は更に異界と化す。
中から紙袋で顔を隠したマッチョとガスマスクで顔を隠したマッチョと、剣道の面を被った老人と、スパイ○ーマンのマスクを着けた男が現れた。
それらは正に異質。全員マトモではない。どこからか、オォォォ……と言う効果音まで聞こえて来そうな雰囲気である。
「俺からの指示があるまで扉は開けるな」
桃城は内部の部下にそう言うと異質な六人に休めの姿勢を維持したまま、向き直る。
ドッドッドッドッドッドッ――
ホッケーマスクはエンジンを止めて、スタンドを降ろすと、背の女はハーレーを降りる。立ち方から素人のモノではなかった。
「ここは私有地だ。直ちにお引き取り願おうか」
桃城は最低限の警告をする。すると、剣道の老人が代表の様に歩いてきた。
「悪いが、建物の中に用があってね。通してくれるかい?」
「天地がひっくり返ってもあり得ない要求だと思うが?」
只者ではないな……。桃城は目の前に立つ剣道の老人は単なるイカれではないと瞬時に悟る。
「私有地への不法侵入だ。警察へ連絡させてもらう」
「構わんよ。君たちのやっている事が公になるなら我々の正当性も証明される」
こちらの事情を把握している?
剣道の老人の言いたい事の意図を読む。読むが……全く理由が浮かばない。
「ここに警察は介入出来ない。でなければ誘拐など大胆な事が出来るハズはない」
「……なんの根拠もないが?」
「誘拐の現場を見ていた者達がいる。一度、屋敷の内部を確認させてくれれば良い。もし、我々の間違いであったのなら、法の裁きを受けよう」
「……悪いが――」
と、桃城が返答を返そうとした瞬間に、剣道の老人が攻めて来た。
いきなりの行動に反応が遅れ、身を反らすが耳のインカムを取られる。
「やはり、只者ではないか」
「君はここに来た時点で認識を改めるべきだったね」
剣道の老人のオーラが膨れ上がる。見た目はふざけているが、それに惑わされると間違いなく殺られる――
「我々が只者ではないと言う事を」
更に剣道の老人が詰めてくる。速い! だが……反応は間に合っている。
桃城は素人ではない。数多の戦闘スキルを駆使し要人を警護し続けたプロ中のプロだ。
最初は虚を突かれたが、今はハッキリと見えている。そして、門の前のカメラにはこの正当防衛が映って――
「何!?」
ヒュン、と伸びた剣道の老人の腕にあったのはスタンガン。咄嗟に払い除けるが、意識の外から来た蹴りがチッ! と下顎を掠り、世界が歪む。
やられた……脳を揺らされ――
「誰か、扉を開けられないかい?」
その時点で桃城を制圧したと判断した剣道の老人は背を向けて後ろの覆面集団に話しかけていた。
「格の違い……か――」
桃城は剣道の老人に最後まで手を伸ばしたが、それが届くことはなく意識が暗転した。
「……やばぁ」
スパイダー○ンのマスクを着けたオレは、目の前で赤羽さんの実力を目の当たりにした。
会話から始まり、虚の虚を突いて最小限の動きで制圧した。相手も素人ではなかったハズだ。
「バネジィやるぅ。でも昔よりもキレは衰えてるなぁ」
「あれで?」
「昔ならインカム取った時に相手の意識はトんでるよ」
「やばぁ……」
「昔から虚の突き方が異常に上手いんだよね。スタンガンもあれ、ただの玩具だし」
じっくり見れば気づいたかも知れないが、咄嗟に出されると本物に見えてしまう。オレも同じようにされれば間違いなく引っ掛かっただろう。
「誰か、扉を開けられないかい?」
と、赤羽さんはピッキングセンスを持つ方をご所望だ。
「松林さんとイントさんと大見さんの三人で扉をぶち破った方がいいんじゃないですか?」
「なるべくこちらの罪状は減らして起きたい。不可抗力は仕方ないと思うがね」
もう、一線は越えちゃってるよなぁ。
残念ながらピッキングスキルを持つ者はオレらの中にはいない。
仕方なしに玄関の周りを調べる。オレは門番の男を縛り上げていた。
「ゲッ……」
すると懐から物騒なハンドガンを発見。重さや雰囲気から本物だと思われる。
「スパイディー、それ本物?」
カズ先輩が覗き込んでくる。カズ先輩に渡してはならない得物第一位だ。
「貸したまえ」
と、赤羽さんが催促したのでオレは快く渡す。すると目の前で玩具のように赤羽さんは銃を分解した。
「……」
「開きそうかな?」
「どうやら、鉄の扉だ」
松林さんは手の平を扉に押し当て、ただの扉でない事を察したようだ。
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「やってみますか」
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マッチョ三人は、全員が扉に手の平を乗せるとムキっと腕の筋肉が隆起する。恐らく、相当な力がかかっていると思われるが扉は開かない。
「流石に無理か」
「じゃあ、第二プランで」
「仕事帰りで良かった」
すると大見さんは鉄道などの線路を人力で作る時の大きなハンマーを肩に担いで持ってきた。
どこにあったのかは不明だが……第二プランの本質は全くもって物騒な事になりそうだぞぅ。
「大見の旦那、こいつで扉の付け根の金属を弱らせるぜ」
と、イントさんは酸を取り出す。だから何でそんな物を持ってるんですか……
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