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第210話 ……クソが
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「甘奈、どうした? サルでもいたか?」
猫が驚いた様な声とリアクションをした轟に気になって七海もザブザブと彼女の元へ。
「けけけ、ケイちゃん! な、なんでも無いよ! ほら! 戻ろ! 戻ろ!」
強引に引き返させようとする轟。そんなことで誤魔化されない七海は、何があったんだよ、と脇から奥を見る。
「七海君! 君は昔から変わらないね!」
黒船が、やぁ! と、こちらを見ていた。真鍋と箕輪はこちらに対して背を向けている。
「素晴らしいね! やはり、君たちに任せて正解だったよ! この湯は本当に良い! 混浴と言う形にする事で男女共に平等に分かち合えるシステムは古来の日本から……いや! 全世界の入浴文化から続く、最も有意義なモノだと思わないかね?!」
「……視線を」
「ん?」
「俺の眼から反らすな」
「OK!」
轟は七海の背後に回る。七海は腕を胸の前で組んで上は一応は隠す形を取る。
「なんでサルが三匹もいるんだ?」
「ウキ?」
「真面目に答えないと○すぞ?」
「ふっはっは! すまんね! テンションが上がっているのだ。許してくれたまえ!」
「何でここに居るんだ」
「それは少し語弊があるね! 私達が先に居たのだ! 後から入ってきたのは君たちの方さ!」
確かに女性陣が露天風呂に入ってきてから男湯側の扉は開いていない。
「それに、ここは混浴だ! 君は前もって把握してたし、こうなる事も込みで露天風呂へ来たのだろう? 我々に非は何一つ無いと思うが?」
「……クソが」
ふっはっは! と正論で勝ち誇る黒船に七海は何も言い返なかった。代わりに、
「こっちの誰かが悲鳴を上げたら正当防衛にしてやるからな」
「なら、我々が居ることは女性陣に説明しておいてくれたまえ! 後続が来る可能性もね!」
七海と轟は皆の所に戻ると、鬼灯が二人の様子に不思議そうに尋ねる。
「どうしたの?」
「正十郎さんがいた……」
轟は相当混乱しているのか、下の名前呼んだ事を意識していない。そして、肩から下を濁り湯に沈めて、ぶくぶくと心を落ち着かせる。
「マジだ。真鍋と箕輪もいたぞ」
「本当ですか?」
「こっちに来ない様に釘は刺したが……他の野郎どもが来る可能性もある。戻るヤツは戻っていいぞ」
そう言うと七海自身は念のため残る選択を取る。
すると茨木はザブザブと奥へ行くと持ち前の身長から岩影を越える様に顔を出す。
「わ、ホントにいる」
「おや? 茨木君かい?」
「姫~、ホントに社長いるよー」
「カズー! 恥ずかしくないの!?」
「あんまり意識してないかな。だって社長だよ。大丈夫っしょ」
茨木はバスタオルで前を隠して、色々と聞きたい事があるんですけどいいですかー? と黒船の所へ。
「もー、昔から適当なんだから」
そんな幼馴染みに姫野は呆れる。すると、鬼灯も同じようにバスタオルを巻きながら男性陣の元へ歩いていく。
「詩織先輩……行くんですか?」
「泉さん達はここに居て良いわよ。ちょっとね。ちょっと……釘だけ刺してくる」
と、後半は凄みのある口調に泉は何も言えずに鬼灯を見送るだけにした。
「七海さん。夫が居たって?」
「居ましたよ」
「見張っとくよ」
「助かります」
そう言って鏡子も鬼灯と共に歩いて行く。
「何か……戦争の予感ッス」
「二手に別れてしまったね!」
「うーん……」
ハラハラする岩戸と、成り行きをこっそり覗きに行こうとする樹。
リンカは流石に上がろうかと少しだけ考える。他の男が来たら女湯に戻るタイミングを失いかねない。
「……」
一度、湯気の中、うっすらと映る男湯側の扉を見る。
社長と真鍋課長と箕輪さんが行ってしまったオレ達は湯船に浸かりつつ、露天風呂への侵入を検討していた。
「どうする?」
「まさか混浴とはな……俺達は風呂上がりの浴衣姿を見れれば良かったんだが……」
田中と佐藤は控え目な欲を夢見ていたらしい。
「いや、でも行く度胸はあるか? 下手に女性陣に睨まれでもしたら、この旅行での肩身は相当狭いぞ」
加賀は今回の選択は今後の女性陣との人間関係に直結すると告げる。
「行かないのが安牌……しかし、皆様はそれで良いのですかな?」
「ヨシ君……」
真理を語る様にヨシ君は言う。
「今回の旅行のアベレージは相当に高く、まさに人生においても有るか無いかの状況。わが社でも指折りの美女達の裸体を合法で脳内に焼き付ける、またとないチャンスだと思われますぞ」
確かにヨシ君の言う事も一理ある……かもしれない。
「いや……しかしだな……それで女性陣の反感を買えば……今後が……」
「その問題も先駆けた方々によってクリアされております。我々が後続として現れたとしても問題はありますまい」
段々とヨシ君の言うことが正論に思えてきた。他の面子も、なるほど……、それなら……、と露天風呂への意欲が生まれて行く。
「オレは露天風呂の濁り湯に興味があるけどなぁ。時間をずらして入るよ」
「何言ってんだ鳳。お前も行くんだよ」
「一人逃げようったって、そうは行かないぜ」
「死ぬときは全員一緒だぞ!」
「ここは皆で行けば怖くないの精神が一人でも多く必要なのですぞ」
オレは一番正論を言ったハズなんどけどなぁ……なんで責められてんだろ……
「それじゃ、全員で突撃するって事で」
佐藤が全員の意見をまとめ、一度、水風呂に入ってから行くことを厳守し、
「では、アレをどうにかする術を話し合いませんとな」
露天風呂へ向かう扉の近い位置で、足湯の様に腕を組んで座る国尾さん。
彼を正面から相手しなければオレ達の目的は果たせないだろう。
猫が驚いた様な声とリアクションをした轟に気になって七海もザブザブと彼女の元へ。
「けけけ、ケイちゃん! な、なんでも無いよ! ほら! 戻ろ! 戻ろ!」
強引に引き返させようとする轟。そんなことで誤魔化されない七海は、何があったんだよ、と脇から奥を見る。
「七海君! 君は昔から変わらないね!」
黒船が、やぁ! と、こちらを見ていた。真鍋と箕輪はこちらに対して背を向けている。
「素晴らしいね! やはり、君たちに任せて正解だったよ! この湯は本当に良い! 混浴と言う形にする事で男女共に平等に分かち合えるシステムは古来の日本から……いや! 全世界の入浴文化から続く、最も有意義なモノだと思わないかね?!」
「……視線を」
「ん?」
「俺の眼から反らすな」
「OK!」
轟は七海の背後に回る。七海は腕を胸の前で組んで上は一応は隠す形を取る。
「なんでサルが三匹もいるんだ?」
「ウキ?」
「真面目に答えないと○すぞ?」
「ふっはっは! すまんね! テンションが上がっているのだ。許してくれたまえ!」
「何でここに居るんだ」
「それは少し語弊があるね! 私達が先に居たのだ! 後から入ってきたのは君たちの方さ!」
確かに女性陣が露天風呂に入ってきてから男湯側の扉は開いていない。
「それに、ここは混浴だ! 君は前もって把握してたし、こうなる事も込みで露天風呂へ来たのだろう? 我々に非は何一つ無いと思うが?」
「……クソが」
ふっはっは! と正論で勝ち誇る黒船に七海は何も言い返なかった。代わりに、
「こっちの誰かが悲鳴を上げたら正当防衛にしてやるからな」
「なら、我々が居ることは女性陣に説明しておいてくれたまえ! 後続が来る可能性もね!」
七海と轟は皆の所に戻ると、鬼灯が二人の様子に不思議そうに尋ねる。
「どうしたの?」
「正十郎さんがいた……」
轟は相当混乱しているのか、下の名前呼んだ事を意識していない。そして、肩から下を濁り湯に沈めて、ぶくぶくと心を落ち着かせる。
「マジだ。真鍋と箕輪もいたぞ」
「本当ですか?」
「こっちに来ない様に釘は刺したが……他の野郎どもが来る可能性もある。戻るヤツは戻っていいぞ」
そう言うと七海自身は念のため残る選択を取る。
すると茨木はザブザブと奥へ行くと持ち前の身長から岩影を越える様に顔を出す。
「わ、ホントにいる」
「おや? 茨木君かい?」
「姫~、ホントに社長いるよー」
「カズー! 恥ずかしくないの!?」
「あんまり意識してないかな。だって社長だよ。大丈夫っしょ」
茨木はバスタオルで前を隠して、色々と聞きたい事があるんですけどいいですかー? と黒船の所へ。
「もー、昔から適当なんだから」
そんな幼馴染みに姫野は呆れる。すると、鬼灯も同じようにバスタオルを巻きながら男性陣の元へ歩いていく。
「詩織先輩……行くんですか?」
「泉さん達はここに居て良いわよ。ちょっとね。ちょっと……釘だけ刺してくる」
と、後半は凄みのある口調に泉は何も言えずに鬼灯を見送るだけにした。
「七海さん。夫が居たって?」
「居ましたよ」
「見張っとくよ」
「助かります」
そう言って鏡子も鬼灯と共に歩いて行く。
「何か……戦争の予感ッス」
「二手に別れてしまったね!」
「うーん……」
ハラハラする岩戸と、成り行きをこっそり覗きに行こうとする樹。
リンカは流石に上がろうかと少しだけ考える。他の男が来たら女湯に戻るタイミングを失いかねない。
「……」
一度、湯気の中、うっすらと映る男湯側の扉を見る。
社長と真鍋課長と箕輪さんが行ってしまったオレ達は湯船に浸かりつつ、露天風呂への侵入を検討していた。
「どうする?」
「まさか混浴とはな……俺達は風呂上がりの浴衣姿を見れれば良かったんだが……」
田中と佐藤は控え目な欲を夢見ていたらしい。
「いや、でも行く度胸はあるか? 下手に女性陣に睨まれでもしたら、この旅行での肩身は相当狭いぞ」
加賀は今回の選択は今後の女性陣との人間関係に直結すると告げる。
「行かないのが安牌……しかし、皆様はそれで良いのですかな?」
「ヨシ君……」
真理を語る様にヨシ君は言う。
「今回の旅行のアベレージは相当に高く、まさに人生においても有るか無いかの状況。わが社でも指折りの美女達の裸体を合法で脳内に焼き付ける、またとないチャンスだと思われますぞ」
確かにヨシ君の言う事も一理ある……かもしれない。
「いや……しかしだな……それで女性陣の反感を買えば……今後が……」
「その問題も先駆けた方々によってクリアされております。我々が後続として現れたとしても問題はありますまい」
段々とヨシ君の言うことが正論に思えてきた。他の面子も、なるほど……、それなら……、と露天風呂への意欲が生まれて行く。
「オレは露天風呂の濁り湯に興味があるけどなぁ。時間をずらして入るよ」
「何言ってんだ鳳。お前も行くんだよ」
「一人逃げようったって、そうは行かないぜ」
「死ぬときは全員一緒だぞ!」
「ここは皆で行けば怖くないの精神が一人でも多く必要なのですぞ」
オレは一番正論を言ったハズなんどけどなぁ……なんで責められてんだろ……
「それじゃ、全員で突撃するって事で」
佐藤が全員の意見をまとめ、一度、水風呂に入ってから行くことを厳守し、
「では、アレをどうにかする術を話し合いませんとな」
露天風呂へ向かう扉の近い位置で、足湯の様に腕を組んで座る国尾さん。
彼を正面から相手しなければオレ達の目的は果たせないだろう。
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