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別れ話は置き手紙

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私は慌ててその手紙を開いた。

そして愕然とする。

その内容は

 冬子ごめん
 俺、好きな人が出来た
 だからこれ以上一緒にいられない
 今までありがとな

というたった四行の別れの手紙だった。

え?

本当に置き手紙だったの?

これで別れるの?

私は焦ってスマホを取り出し敦春に電話をかけた。

『ーーお客様のおかけになった電話は…』

何度かけても同じアナウンスが流れ自分が置き手紙一つで捨てられたことに気付く。

いや、あの内容だ。

気付いてなかったわけではない。

ただ信じたくなかった。

だけどスマホから何度も流れてくるアナウンスにどうしようもなく現実を突きつけられたのだ。

「……ははは…何がダメだったのかなぁ…」

ポツリと溢れ出たのはそんな言葉だった。

私と敦春は三年と少し前に友達の紹介で知り合った。

最初のイメージは気が弱そうだった。

だけどイメージとは違いぐいぐい引っ張ってくれる敦春を好きになるのは意外にもあっという間のことだった。

付き合い始めてからお互いの部屋を行き来して敦春が私の部屋に来たのが一年前。

二人で

『ずっと一緒にいたいね』

なんて言い合ったのがきっかけだった。

こうなった今、あの時の言葉がとても虚しく感じる。

本当に私の何がダメだったのだろう…?

私はこの日雨でびしょ濡れな上に涙でもびしょ濡れになった。

もぉ!

びしょ濡れついでに全部忘れてやるうぅぅぅ!!
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