1 / 10
1
しおりを挟む
片桐美桜17才。
受験生。
趣味ネット小説を読むこと。
そんな私は今日も塾の帰りに電車を待ちながらネット小説を読んでいた。
ジャンルはもちろん恋愛系のラノベ。
実は私はまだ彼氏がいたことがない。
理由はいつも一方的に片想いをして勝手に自己完結をしてしまうから。
だけどそんな私にも理想はある。
ネット小説の主人公のご令嬢たちみたいに溺愛されてみたいという理想が。
私は今日も今日とてうっとりとネット小説を読んでため息を溢したーー
はずだった。
ーードン!!
急に背中を押された感触と電車の音、眩しいくらいに光る電車のライトを最後に私の意識はブラックアウトしたのだった。
真っ白な空間の中目が覚めると目の前に白い毛玉が浮かんでいた。
何?
なんなの?
私どうしちゃったの?
頭の中に沢山の疑問が湧いてくる。
すると
「お主は死んだのじゃ」
と声が聞こえてきた。
私は声の主が分からずキョロキョロと辺りを見回す。
すると少し怒ったような声で
「ここじゃ、ここ!お主の目の前におろう!」
とまた声が聞こえてきた。
でも目の前は白い毛玉……
ええぇぇぇ!
まさかこの毛玉が?!
「失礼なワシは毛玉ではない!神じゃ!」
うわっ!
心を読まれてる!
「すみません…」
私は毛玉…もとい神様に小声で謝った。
「それで私が死んだというのは一体…?」
「お主はつい先程電車のホームから転落して電車に跳ねられて死んだのじゃ。覚えとらんのか?」
「……そういえば」
つい先程の背中の感触に眩しい光、耳をつんざくような音を思い出す。
「そっか、死んだのか…。せめて一度くらい彼氏に溺愛されてから死にたかったな…」
既に死んだと分かるとついポソリと心残りが口をついて出る。
すると神様が
「だからじゃ。お主があまりにもネット小説とやらの主人公のようになりたいと願うからその願いを叶える為にお主は死んだのじゃ」
と訳の分からないことを言い出した。
はて?
私の中に新たな疑問が湧く。
願いを叶える為に死んだとは?
「だから、お主の願いをワシが叶えてやろうと思うてな」
神様はまた私の心の声に応えた。
ということはまさか…?
「そうじゃ。ワシがお主をネット小説とやらの世界に転生させる為に死なせたんじゃ」
「なんですとぉ!!」
あまりのことに驚いたような腹立たしいような感情が湧き上がる。
が、神様は
「そういうことじゃから次の人生を楽しめ。ワシに感謝するんじゃぞ」
と言って勝手に消え私は今度はホワイトアウトした。
受験生。
趣味ネット小説を読むこと。
そんな私は今日も塾の帰りに電車を待ちながらネット小説を読んでいた。
ジャンルはもちろん恋愛系のラノベ。
実は私はまだ彼氏がいたことがない。
理由はいつも一方的に片想いをして勝手に自己完結をしてしまうから。
だけどそんな私にも理想はある。
ネット小説の主人公のご令嬢たちみたいに溺愛されてみたいという理想が。
私は今日も今日とてうっとりとネット小説を読んでため息を溢したーー
はずだった。
ーードン!!
急に背中を押された感触と電車の音、眩しいくらいに光る電車のライトを最後に私の意識はブラックアウトしたのだった。
真っ白な空間の中目が覚めると目の前に白い毛玉が浮かんでいた。
何?
なんなの?
私どうしちゃったの?
頭の中に沢山の疑問が湧いてくる。
すると
「お主は死んだのじゃ」
と声が聞こえてきた。
私は声の主が分からずキョロキョロと辺りを見回す。
すると少し怒ったような声で
「ここじゃ、ここ!お主の目の前におろう!」
とまた声が聞こえてきた。
でも目の前は白い毛玉……
ええぇぇぇ!
まさかこの毛玉が?!
「失礼なワシは毛玉ではない!神じゃ!」
うわっ!
心を読まれてる!
「すみません…」
私は毛玉…もとい神様に小声で謝った。
「それで私が死んだというのは一体…?」
「お主はつい先程電車のホームから転落して電車に跳ねられて死んだのじゃ。覚えとらんのか?」
「……そういえば」
つい先程の背中の感触に眩しい光、耳をつんざくような音を思い出す。
「そっか、死んだのか…。せめて一度くらい彼氏に溺愛されてから死にたかったな…」
既に死んだと分かるとついポソリと心残りが口をついて出る。
すると神様が
「だからじゃ。お主があまりにもネット小説とやらの主人公のようになりたいと願うからその願いを叶える為にお主は死んだのじゃ」
と訳の分からないことを言い出した。
はて?
私の中に新たな疑問が湧く。
願いを叶える為に死んだとは?
「だから、お主の願いをワシが叶えてやろうと思うてな」
神様はまた私の心の声に応えた。
ということはまさか…?
「そうじゃ。ワシがお主をネット小説とやらの世界に転生させる為に死なせたんじゃ」
「なんですとぉ!!」
あまりのことに驚いたような腹立たしいような感情が湧き上がる。
が、神様は
「そういうことじゃから次の人生を楽しめ。ワシに感謝するんじゃぞ」
と言って勝手に消え私は今度はホワイトアウトした。
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
みんなが嫌がる公爵と婚約させられましたが、結果イケメンに溺愛されています
中津田あこら
恋愛
家族にいじめられているサリーンは、勝手に婚約者を決められる。相手は動物実験をおこなっているだとか、冷徹で殺されそうになった人もいるとウワサのファウスト公爵だった。しかしファウストは人間よりも動物が好きな人で、同じく動物好きのサリーンを慕うようになる。動物から好かれるサリーンはファウスト公爵から信用も得て溺愛されるようになるのだった。
美人すぎる姉ばかりの姉妹のモブ末っ子ですが、イケメン公爵令息は、私がお気に入りのようで。
天災
恋愛
美人な姉ばかりの姉妹の末っ子である私、イラノは、モブな性格である。
とある日、公爵令息の誕生日パーティーにて、私はとある事件に遭う!?
無理やり婚約したはずの王子さまに、なぜかめちゃくちゃ溺愛されています!
夕立悠理
恋愛
──はやく、この手の中に堕ちてきてくれたらいいのに。
第二王子のノルツに一目惚れをした公爵令嬢のリンカは、父親に頼み込み、無理矢理婚約を結ばせる。
その数年後。
リンカは、ノルツが自分の悪口を言っているのを聞いてしまう。
そこで初めて自分の傲慢さに気づいたリンカは、ノルツと婚約解消を試みる。けれど、なぜかリンカを嫌っているはずのノルツは急に溺愛してきて──!?
※小説家になろう様にも投稿しています
愛しい義兄が罠に嵌められ追放されたので、聖女は祈りを止めてついていくことにしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
グレイスは元々孤児だった。孤児院前に捨てられたことで、何とか命を繋ぎ止めることができたが、孤児院の責任者は、領主の補助金を着服していた。人数によって助成金が支払われるため、餓死はさせないが、ギリギリの食糧で、最低限の生活をしていた。だがそこに、正義感に溢れる領主の若様が視察にやってきた。孤児達は救われた。その時からグレイスは若様に恋焦がれていた。だが、幸か不幸か、グレイスには並外れた魔力があった。しかも魔窟を封印する事のできる聖なる魔力だった。グレイスは領主シーモア公爵家に養女に迎えられた。義妹として若様と一緒に暮らせるようになったが、絶対に結ばれることのない義兄妹の関係になってしまった。グレイスは密かに恋する義兄のために厳しい訓練に耐え、封印を護る聖女となった。義兄にためになると言われ、王太子との婚約も泣く泣く受けた。だが、その結果は、公明正大ゆえに疎まれた義兄の追放だった。ブチ切れた聖女グレイスは封印を放り出して義兄についていくことにした。
王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~
石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。
食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。
そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。
しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。
何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません
下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。
旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。
ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも?
小説家になろう様でも投稿しています。
当て馬の悪役令嬢に転生したけど、王子達の婚約破棄ルートから脱出できました。推しのモブに溺愛されて、自由気ままに暮らします。
可児 うさこ
恋愛
生前にやりこんだ乙女ゲームの悪役令嬢に転生した。しかも全ルートで王子達に婚約破棄されて処刑される、当て馬令嬢だった。王子達と遭遇しないためにイベントを回避して引きこもっていたが、ある日、王子達が結婚したと聞いた。「よっしゃ!さよなら、クソゲー!」私は家を出て、向かいに住む推しのモブに会いに行った。モブは私を溺愛してくれて、何でも願いを叶えてくれた。幸せな日々を過ごす中、姉が書いた攻略本を見つけてしまった。モブは最強の魔術師だったらしい。え、裏ルートなんてあったの?あと、なぜか王子達が押し寄せてくるんですけど!?
姉の身代わりで冷酷な若公爵様に嫁ぐことになりましたが、初夜にも来ない彼なのに「このままでは妻に嫌われる……」と私に語りかけてきます。
夏
恋愛
姉の身代わりとして冷酷な獣と蔑称される公爵に嫁いだラシェル。
初夜には顔を出さず、干渉は必要ないと公爵に言われてしまうが、ある晩の日「姿を変えた」ラシェルはばったり酔った彼に遭遇する。
「このままでは、妻に嫌われる……」
本人、目の前にいますけど!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる