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番外編
視線の攻防のその先 ②
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オルフェウスとクロードがリリーの言葉に首を傾げたのはいうまでもないが、口を開くのが早かったのは混乱が浅いオルフェウスだった。
しかしアリシアに睨まれ開いた口を閉じて漸く状況を理解し
「アリー、さっきは本当に悪かった。お詫びに今から家族水いらずでお茶でもどうだい?」
と言いながらリリーとクロード残してアリシアを華麗にエスコートしその場を退散した。
この後王太子夫妻に一悶着あったのはまた別のお話。
残された二人は片や泣きながら片や混乱の最中にいたが、先にクロードが
「誰がそのような嘘を?」
と口を開いた。
が、リリーは信じないと言わんばかりに
「アリシア義姉様が教えてくれました。なのでそのような嘘は要りません」
とそっぽを向く。
これに慌てたクロードは
「本当です!信じてください!私には想い人がーー」
とそこまで言ってハッとしたように口を閉じた。
クロードにとって自分の想い人は決して口に出してはいけない相手…つまりリリー王女だからだ。
しかし
『想い人』
その言葉はリリーの胸を激しく貫いた。
「そうなのですね。クロード様には既に想い人が…」
更に涙を溢れさせ俯くリリー。
想い人がリリーだと言えず唇を噛み締めるクロード。
どのくらいそうしていたか、リリーがパッと顔を上げ泣き笑いで
「分かりました。どうかその方とお幸せに…」
と言って立ち去ろうとした瞬間、初めて二人の視線が交わった。
そこでクロードは理解した。
今リリーが泣いている理由を。
するともう止まることはできなかった。
自分のことで泣いているリリーを目の前に覚悟を決めたのだ。
立ち去ろうとするリリーの腕を掴み自分の胸に抱き込む。
そして
「貴女です。貴女なんです。私の想い人は」
と切なげに告げ
「最初はオルフェウス様に向けられる視線だと勘違いしていたその視線が自分に向けられていることに気付き意味が分からなかった。だけど貴女の視線だと気付いて…その意味に気付いて…私も貴女に恋をしました。だからお見合いはアリシア様の嘘です。私が一緒になりたいのは、愛しているのは、リリー様、誓って貴女だけです」
と続け抱きしめる腕に力を込めた。
そしてその言葉に勇気をもらったリリーもまた覚悟を決めクロードの背中にしっかりと腕を回して
「私も、私も貴方だけです。貴方だけを愛してます」
と応えた。
こうして長かった二人の視線の攻防は漸く終わりを告げた。
そしてニ年後、アリシアやオルフェウスの協力もあり立場やしがらみを乗り越え幸せな結婚をしたのだった。
しかしアリシアに睨まれ開いた口を閉じて漸く状況を理解し
「アリー、さっきは本当に悪かった。お詫びに今から家族水いらずでお茶でもどうだい?」
と言いながらリリーとクロード残してアリシアを華麗にエスコートしその場を退散した。
この後王太子夫妻に一悶着あったのはまた別のお話。
残された二人は片や泣きながら片や混乱の最中にいたが、先にクロードが
「誰がそのような嘘を?」
と口を開いた。
が、リリーは信じないと言わんばかりに
「アリシア義姉様が教えてくれました。なのでそのような嘘は要りません」
とそっぽを向く。
これに慌てたクロードは
「本当です!信じてください!私には想い人がーー」
とそこまで言ってハッとしたように口を閉じた。
クロードにとって自分の想い人は決して口に出してはいけない相手…つまりリリー王女だからだ。
しかし
『想い人』
その言葉はリリーの胸を激しく貫いた。
「そうなのですね。クロード様には既に想い人が…」
更に涙を溢れさせ俯くリリー。
想い人がリリーだと言えず唇を噛み締めるクロード。
どのくらいそうしていたか、リリーがパッと顔を上げ泣き笑いで
「分かりました。どうかその方とお幸せに…」
と言って立ち去ろうとした瞬間、初めて二人の視線が交わった。
そこでクロードは理解した。
今リリーが泣いている理由を。
するともう止まることはできなかった。
自分のことで泣いているリリーを目の前に覚悟を決めたのだ。
立ち去ろうとするリリーの腕を掴み自分の胸に抱き込む。
そして
「貴女です。貴女なんです。私の想い人は」
と切なげに告げ
「最初はオルフェウス様に向けられる視線だと勘違いしていたその視線が自分に向けられていることに気付き意味が分からなかった。だけど貴女の視線だと気付いて…その意味に気付いて…私も貴女に恋をしました。だからお見合いはアリシア様の嘘です。私が一緒になりたいのは、愛しているのは、リリー様、誓って貴女だけです」
と続け抱きしめる腕に力を込めた。
そしてその言葉に勇気をもらったリリーもまた覚悟を決めクロードの背中にしっかりと腕を回して
「私も、私も貴方だけです。貴方だけを愛してます」
と応えた。
こうして長かった二人の視線の攻防は漸く終わりを告げた。
そしてニ年後、アリシアやオルフェウスの協力もあり立場やしがらみを乗り越え幸せな結婚をしたのだった。
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