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………誰が誰を好き?
リリーは一瞬頭上にクエスチョンマークが浮かび上がり、ポカーンとしてしまったが、アリシアの言葉を理解して即座に全力で否定した。
「いや、いやいやいやいや!違うっ!違います!私はオルフェウスお兄様のことは全く、欠片程も、微塵も、塵程も、全く、全く、本当にぜぇーんっぜん、全く好きではありませんからっ!!」
ーーいや、何もそこまで言わなくても…
きっとこの場にいる全員がそう思うであろう程のリリーの渾身の否定に、アリシア以外の全員がオルフェウスに憐れみの目を向けた。
オルフェウスもまた複雑そうに人差し指で頬を掻いた。
しかしアリシアはそのことよりも、リリーのオルフェウスに対する敬称に驚愕の表情を浮かべた。
そして呟くようにその言葉を反芻した。
「…………オルフェウス……お兄様…?」
これに慌てたのはフェンデル公爵で、即座に否定する。
「アリシア、皆も、違うからな。サリバン伯爵令嬢は恐らく殿下を兄のように思っているだけでーー『違いますっ!』」
が、リリーはそれを遮って更に言葉を被せた。
リリーはこれ以上の誤解を生まないよう、またこの騒動を収束させる為に父王に事情を話し、自分のことを公言する許可を得てきていたのだ。
この時のリリーは元平民でありながらも、まさしく王族といった凛としたオーラを纏っていた。
そこからの事態の収束は早かった。
それはリリーがアリシアに事実を説明し、しっかり誤解を解いて、改めて謝罪をしたからだ。
こうしてアリシアは漸く噂の全容を知り、今度こそ心からオルフェウスを信じることができたのだった。
オルフェウスはこのことに
「父上がリリーの存在を変に隠そうとするから…」
と不機嫌そのものだったが
「殿下、陛下の為ではなく、リリー様の為にそうしなければならなかったことくらいは理解して差し上げてください。陛下は陛下なりにリリー様を大事に思っておられるのですよ」
とすかさずフェンデル公爵がフォローを入れた。
しかしオルフェウスは
「それを言うなら私のことはどうでもいいのか?危うく大事な大事な愛するアリシアに捨てられるところだったではないか!」
とやはり自分のことは棚に上げて不機嫌そうに言った後、逃がさないとばかりにアリシアを腕の中に閉じ込めた。
アリシアはそんなオルフェウスの胸で真っ赤になった顔を隠しつつその胸を叩き、フェンデル公爵は『何を馬鹿なことを』と言って、不敬をものともせずに愛娘をオルフェウスから引き剥がしたのだった。
使用人や護衛騎士の面々は事態の収束にホッと息をついて、その光景を微笑ましそうに見ていた。
ーー今の今までご自分お気持ちどころか、お嬢様を安心させる言葉の一つもなかったくせに…今度お嬢様を不安にしたら何をしてでも報復してみせますからね!
だからかメイドのマリーがこっそり呟いた不敬な恨み言は誰の耳に届かなかった。
リリーは一瞬頭上にクエスチョンマークが浮かび上がり、ポカーンとしてしまったが、アリシアの言葉を理解して即座に全力で否定した。
「いや、いやいやいやいや!違うっ!違います!私はオルフェウスお兄様のことは全く、欠片程も、微塵も、塵程も、全く、全く、本当にぜぇーんっぜん、全く好きではありませんからっ!!」
ーーいや、何もそこまで言わなくても…
きっとこの場にいる全員がそう思うであろう程のリリーの渾身の否定に、アリシア以外の全員がオルフェウスに憐れみの目を向けた。
オルフェウスもまた複雑そうに人差し指で頬を掻いた。
しかしアリシアはそのことよりも、リリーのオルフェウスに対する敬称に驚愕の表情を浮かべた。
そして呟くようにその言葉を反芻した。
「…………オルフェウス……お兄様…?」
これに慌てたのはフェンデル公爵で、即座に否定する。
「アリシア、皆も、違うからな。サリバン伯爵令嬢は恐らく殿下を兄のように思っているだけでーー『違いますっ!』」
が、リリーはそれを遮って更に言葉を被せた。
リリーはこれ以上の誤解を生まないよう、またこの騒動を収束させる為に父王に事情を話し、自分のことを公言する許可を得てきていたのだ。
この時のリリーは元平民でありながらも、まさしく王族といった凛としたオーラを纏っていた。
そこからの事態の収束は早かった。
それはリリーがアリシアに事実を説明し、しっかり誤解を解いて、改めて謝罪をしたからだ。
こうしてアリシアは漸く噂の全容を知り、今度こそ心からオルフェウスを信じることができたのだった。
オルフェウスはこのことに
「父上がリリーの存在を変に隠そうとするから…」
と不機嫌そのものだったが
「殿下、陛下の為ではなく、リリー様の為にそうしなければならなかったことくらいは理解して差し上げてください。陛下は陛下なりにリリー様を大事に思っておられるのですよ」
とすかさずフェンデル公爵がフォローを入れた。
しかしオルフェウスは
「それを言うなら私のことはどうでもいいのか?危うく大事な大事な愛するアリシアに捨てられるところだったではないか!」
とやはり自分のことは棚に上げて不機嫌そうに言った後、逃がさないとばかりにアリシアを腕の中に閉じ込めた。
アリシアはそんなオルフェウスの胸で真っ赤になった顔を隠しつつその胸を叩き、フェンデル公爵は『何を馬鹿なことを』と言って、不敬をものともせずに愛娘をオルフェウスから引き剥がしたのだった。
使用人や護衛騎士の面々は事態の収束にホッと息をついて、その光景を微笑ましそうに見ていた。
ーー今の今までご自分お気持ちどころか、お嬢様を安心させる言葉の一つもなかったくせに…今度お嬢様を不安にしたら何をしてでも報復してみせますからね!
だからかメイドのマリーがこっそり呟いた不敬な恨み言は誰の耳に届かなかった。
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