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オルフェウスは困っていた。
アリシアの話を聞き、問題はやはりリリーだと、これまたやはり自分のことを棚に上げて、改めてそう思ったからだ。
だけどまずはメイドとのことを分かってもらわなければならない。
城では疑われたショックと慌てたのとでああなったが、ここでしっかり誤解を解かなければと、こっそり気合いを入れる。
実際にメイドとは本当に何もない。
メイドからオルフェウス宛の手紙を受け取る際に、メイドが転びかけたのを支えたところをタイミング悪くアリシアに見られただけだ。
恋愛小説でよくあるすれ違いの鉄板のような事件は、現実にも適用されるらしい。
まぁ、日頃からオルフェウスがきちんとアリシアに気持ちを伝えていればまた違ったのだろうが。
こうしてオルフェウスはメイドとのことを再び説明した。
ーーやっぱりそんなことか。
フェンデル公爵をはじめ、使用人も護衛騎士もそう思い呆れ顔から複雑そうな顔にフェイスチェンジをした。
が、アリシアはやはりそれを信じようとはしない。
アリシアもまた片想いを拗らせ過ぎているのだ。
そして
「仮にそれが真実だとして、それなら例の噂はどのようにご説明されるのですか?それともサリバン伯爵令嬢がいらっしゃるからメイドとそのようなことにはなり得ないとでもおっしゃる気ですか?」
と冷たく言い放った。
オルフェウスは再びのやり取りにまた頭を抱えて口をつぐんだ。
どうやってもリリーのことを口にするわけにはいかず、だからといってこのままでは本当にまずいことになる。
オルフェウスの背中を嫌な汗がつたう。
アリシアの目は鋭くオルフェウスを捉えていた。
どのくらいそうしていたか…
ーーリリーのことは王家の機密だが、それでも!!
何としてでもアリシアの誤解を解きたいオルフェウスが覚悟を決めて顔を上げた。
その時。
意外なことに助け船が出された。
それはアリシアの父、フェンデル公爵だった。
フェンデル公爵は宰相をしている為、リリーの事情を知っている。
その上、オルフェウスが城を飛び出した後、屋敷から早馬が来た時に国王から帰宅の許可と同時にオルフェウスのことを頼まれていたのだ。
なんだかんだ国王も息子を心配する一人の親で、フェンデル公爵もまた娘を心配する親なのである。
フェンデル公爵はアリシアに
「アリシア!殿下になんという物言い!それこそ不敬ではないか!殿下はきちんと説明されておられるではないか!お前が殿下を信じないことも、その噂とやらに振り回されているのも、殿下お一人の責任だとでも言うのか?」
と言い厳しく叱責した。
娘とオルフェウス、両方の気持ちを知るフェンデル公爵なりの親心である。
アリシアの話を聞き、問題はやはりリリーだと、これまたやはり自分のことを棚に上げて、改めてそう思ったからだ。
だけどまずはメイドとのことを分かってもらわなければならない。
城では疑われたショックと慌てたのとでああなったが、ここでしっかり誤解を解かなければと、こっそり気合いを入れる。
実際にメイドとは本当に何もない。
メイドからオルフェウス宛の手紙を受け取る際に、メイドが転びかけたのを支えたところをタイミング悪くアリシアに見られただけだ。
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まぁ、日頃からオルフェウスがきちんとアリシアに気持ちを伝えていればまた違ったのだろうが。
こうしてオルフェウスはメイドとのことを再び説明した。
ーーやっぱりそんなことか。
フェンデル公爵をはじめ、使用人も護衛騎士もそう思い呆れ顔から複雑そうな顔にフェイスチェンジをした。
が、アリシアはやはりそれを信じようとはしない。
アリシアもまた片想いを拗らせ過ぎているのだ。
そして
「仮にそれが真実だとして、それなら例の噂はどのようにご説明されるのですか?それともサリバン伯爵令嬢がいらっしゃるからメイドとそのようなことにはなり得ないとでもおっしゃる気ですか?」
と冷たく言い放った。
オルフェウスは再びのやり取りにまた頭を抱えて口をつぐんだ。
どうやってもリリーのことを口にするわけにはいかず、だからといってこのままでは本当にまずいことになる。
オルフェウスの背中を嫌な汗がつたう。
アリシアの目は鋭くオルフェウスを捉えていた。
どのくらいそうしていたか…
ーーリリーのことは王家の機密だが、それでも!!
何としてでもアリシアの誤解を解きたいオルフェウスが覚悟を決めて顔を上げた。
その時。
意外なことに助け船が出された。
それはアリシアの父、フェンデル公爵だった。
フェンデル公爵は宰相をしている為、リリーの事情を知っている。
その上、オルフェウスが城を飛び出した後、屋敷から早馬が来た時に国王から帰宅の許可と同時にオルフェウスのことを頼まれていたのだ。
なんだかんだ国王も息子を心配する一人の親で、フェンデル公爵もまた娘を心配する親なのである。
フェンデル公爵はアリシアに
「アリシア!殿下になんという物言い!それこそ不敬ではないか!殿下はきちんと説明されておられるではないか!お前が殿下を信じないことも、その噂とやらに振り回されているのも、殿下お一人の責任だとでも言うのか?」
と言い厳しく叱責した。
娘とオルフェウス、両方の気持ちを知るフェンデル公爵なりの親心である。
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