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どのくらい沈黙が続いただろう。
最初に沈黙を破ったのは意外にもメイドのマリーだった。
このままでは事態が収拾するどころか更に悪化すると思い、アリシアの為にも勇気を振り絞ったのである。
「畏れながら進言させていただきます。私のような者が口を挟むのは失礼かと存じますが、この問題、きちんと落ち着かれて内容を整理しつつ、順を追って話し合われた方が良いかと存じます」
ーー確かにその通りだ。
そう思ったフェンデル公爵はマリーの言葉を引き受ける。
「殿下、何があったのかをきちんと説明していただけますか?もちろんアリシアもだ」
こうして漸く落ち着いて話をすることになった。
アリシアの話によると、
王太子妃教育の帰りにオルフェウスの執務室に挨拶に寄ると、オルフェウスとメイドが仲睦まじく顔を寄せ合っていたので、慌ててその場を立ち去り、中庭で頭の中を整理していた。
すると執務室にいたはずのオルフェウスがやって来て、
「来ていたなら顔くらい見せに来たらどうだ?」
と言ったので、腹が立ち、オルフェウスを責めた。
するとオルフェウスが言い訳ばかりするので、つい感情的になり、そこから言い合いになる。
そしてずっと我慢していた噂のこともあり、とうとう売り言葉に買い言葉で婚約解消宣言をしてしまった。
が、メイドとのことは山のように否定も言い訳もするのに、噂のことに関しては否定すらしないので、傷付いたのと怖くなったのとで逃げ帰る。
するとオルフェウスが公爵家にやって来た。
アリシアは驚きつつも慌てて客間に行くと、オルフェウスが部屋を彷徨いていたので、不思議に思い声をかけられずにいたら、今度は突然すごい勢いでこっちに向かって来たので、不敬にも思わず扉を閉めてしまった。
そしてはたと自分が今したことは王族に対する不敬な行動だと気付き今に至る。
とのことだった。
ーーえ?不敬罪ってそれ?!
とその場の全員が思った。
そしてオルフェウス以外は
ーーこのヘタレは一体何やってんだ?!
とも思った。
それこそ不敬だから決して口には出さないが、再び皆が半眼呆れ顔になったことは仕方がないと思う。
最初に沈黙を破ったのは意外にもメイドのマリーだった。
このままでは事態が収拾するどころか更に悪化すると思い、アリシアの為にも勇気を振り絞ったのである。
「畏れながら進言させていただきます。私のような者が口を挟むのは失礼かと存じますが、この問題、きちんと落ち着かれて内容を整理しつつ、順を追って話し合われた方が良いかと存じます」
ーー確かにその通りだ。
そう思ったフェンデル公爵はマリーの言葉を引き受ける。
「殿下、何があったのかをきちんと説明していただけますか?もちろんアリシアもだ」
こうして漸く落ち着いて話をすることになった。
アリシアの話によると、
王太子妃教育の帰りにオルフェウスの執務室に挨拶に寄ると、オルフェウスとメイドが仲睦まじく顔を寄せ合っていたので、慌ててその場を立ち去り、中庭で頭の中を整理していた。
すると執務室にいたはずのオルフェウスがやって来て、
「来ていたなら顔くらい見せに来たらどうだ?」
と言ったので、腹が立ち、オルフェウスを責めた。
するとオルフェウスが言い訳ばかりするので、つい感情的になり、そこから言い合いになる。
そしてずっと我慢していた噂のこともあり、とうとう売り言葉に買い言葉で婚約解消宣言をしてしまった。
が、メイドとのことは山のように否定も言い訳もするのに、噂のことに関しては否定すらしないので、傷付いたのと怖くなったのとで逃げ帰る。
するとオルフェウスが公爵家にやって来た。
アリシアは驚きつつも慌てて客間に行くと、オルフェウスが部屋を彷徨いていたので、不思議に思い声をかけられずにいたら、今度は突然すごい勢いでこっちに向かって来たので、不敬にも思わず扉を閉めてしまった。
そしてはたと自分が今したことは王族に対する不敬な行動だと気付き今に至る。
とのことだった。
ーーえ?不敬罪ってそれ?!
とその場の全員が思った。
そしてオルフェウス以外は
ーーこのヘタレは一体何やってんだ?!
とも思った。
それこそ不敬だから決して口には出さないが、再び皆が半眼呆れ顔になったことは仕方がないと思う。
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