20 / 24
19
しおりを挟む
それからあっけなく私とトール様の婚約は解消となった。
本来ならトール様の有責で破棄でも良かったのだがミリー様の魅了のことを聞いたからにはこれ以上関わりを持つべきではないとお父様が判断したからだ。
そしてトール様の話はルシウス先生に伝え、ミリー様のことはルシウス先生と同僚の方に任せることにした。
ーーはずが、何故か今私の目の前にはトール様がいらっしゃる。
理由は婚約解消が決まってすぐに手紙が届き、その内容がどうしてももう一度会って話がしたいとのことだったからだ。
本当なら断りたかったしお父様はそれでいいとおっしゃってくれたけれど、やはりそれはできず今に至る。
婚約解消に至った理由が理由としても家格は我が家の方が下。
正式に面会を希望されては断れないと私自身が判断したのだ。
何もないとは思うがやはりそこはきちんとしておいた方がいいだろう。
そして会いに来たはいいが一向に口を開かないトール様に私は内心ビクビクしながら口を開いた。
「それで本日はどのような御用件でしょうか?」
するとトール様が勢いよく私の側に来て私の手を取った。
「このようになって今更だが、やはり私はエルーシアを諦められない。愛してるんだ。どうかもう一度考え直してくれないか?」
考え直すって…
「既に婚約解消は決定してますし私はどのような理由があれトール様が他の方と身体を重ねられたことを許す気はありません。ですのでどうかお引き取りを」
「それは悪かった。だけど本当に仕方がなかったんだ!私がああしなければ今頃…」
「それは分かります。ですが私の気持ちの問題です。それにお父様もおっしゃったと思いますがミリー様が魅了使いである以上バトス侯爵家に嫁ぐことはできません」
「いや、それはなんとかーー」
「できないからあのようなところであのようなことをーーっ!!」
しまった!!
「………え…あのようなとは…?」
それまで必死の形相だったトール様が不思議そうな顔になった。
私はトール様の誠意の見えない言葉に相当腹が立っていたようで、すっかり記憶喪失設定を忘れてしまったのだった。
本来ならトール様の有責で破棄でも良かったのだがミリー様の魅了のことを聞いたからにはこれ以上関わりを持つべきではないとお父様が判断したからだ。
そしてトール様の話はルシウス先生に伝え、ミリー様のことはルシウス先生と同僚の方に任せることにした。
ーーはずが、何故か今私の目の前にはトール様がいらっしゃる。
理由は婚約解消が決まってすぐに手紙が届き、その内容がどうしてももう一度会って話がしたいとのことだったからだ。
本当なら断りたかったしお父様はそれでいいとおっしゃってくれたけれど、やはりそれはできず今に至る。
婚約解消に至った理由が理由としても家格は我が家の方が下。
正式に面会を希望されては断れないと私自身が判断したのだ。
何もないとは思うがやはりそこはきちんとしておいた方がいいだろう。
そして会いに来たはいいが一向に口を開かないトール様に私は内心ビクビクしながら口を開いた。
「それで本日はどのような御用件でしょうか?」
するとトール様が勢いよく私の側に来て私の手を取った。
「このようになって今更だが、やはり私はエルーシアを諦められない。愛してるんだ。どうかもう一度考え直してくれないか?」
考え直すって…
「既に婚約解消は決定してますし私はどのような理由があれトール様が他の方と身体を重ねられたことを許す気はありません。ですのでどうかお引き取りを」
「それは悪かった。だけど本当に仕方がなかったんだ!私がああしなければ今頃…」
「それは分かります。ですが私の気持ちの問題です。それにお父様もおっしゃったと思いますがミリー様が魅了使いである以上バトス侯爵家に嫁ぐことはできません」
「いや、それはなんとかーー」
「できないからあのようなところであのようなことをーーっ!!」
しまった!!
「………え…あのようなとは…?」
それまで必死の形相だったトール様が不思議そうな顔になった。
私はトール様の誠意の見えない言葉に相当腹が立っていたようで、すっかり記憶喪失設定を忘れてしまったのだった。
186
お気に入りに追加
576
あなたにおすすめの小説

あなたの仰ってる事は全くわかりません
しげむろ ゆうき
恋愛
ある日、婚約者と友人が抱擁してキスをしていた。
しかも、私の父親の仕事場から見えるところでだ。
だから、あっという間に婚約解消になったが、婚約者はなぜか私がまだ婚約者を好きだと思い込んでいるらしく迫ってくる……。
全三話

姉の所為で全てを失いそうです。だから、その前に全て終わらせようと思います。もちろん断罪ショーで。
しげむろ ゆうき
恋愛
姉の策略により、なんでも私の所為にされてしまう。そしてみんなからどんどんと信用を失っていくが、唯一、私が得意としてるもので信じてくれなかった人達と姉を断罪する話。
全12話

どうか、お幸せになって下さいね。伯爵令嬢はみんなが裏で動いているのに最後まで気づかない。
しげむろ ゆうき
恋愛
キリオス伯爵家の娘であるハンナは一年前に母を病死で亡くした。そんな悲しみにくれるなか、ある日、父のエドモンドが愛人ドナと隠し子フィナを勝手に連れて来てしまったのだ。
二人はすぐに屋敷を我が物顔で歩き出す。そんな二人にハンナは日々困らされていたが、味方である使用人達のおかげで上手くやっていけていた。
しかし、ある日ハンナは学園の帰りに事故に遭い……。

私を侮辱する婚約者は早急に婚約破棄をしましょう。
しげむろ ゆうき
恋愛
私の婚約者は編入してきた男爵令嬢とあっという間に仲良くなり、私を侮辱しはじめたのだ。
だから、私は両親に相談して婚約を解消しようとしたのだが……。

妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。
しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹
そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる
もう限界がきた私はあることを決心するのだった


そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる