12 / 24
11
しおりを挟む
え?
何が起きてるの?
何故ルシウス先生が?
そもそも初対面…
とにかく離れなきゃ!!
私は混乱しながらも淑女として当然の結論に達しルシウス先生の胸を力一杯押し返した。
すると意外にもルシウス先生はあっさりと私を解放し、まるで照れているかのようにほんのり赤くなった首筋をぽりぽりと掻いて謝罪した。
「すまない…つい…その…気持ちが先走ってしまった」
「………え?」
しかし私はその謝罪の理由が理解できずつい間抜けな声を出す。
とにかくルシウス先生が全く理解できない。
この人は私を混乱に陥れて何がしたいのだろうか?
発した言葉は間抜けな一言でもその中には様々な思いが含まれていた。
そんな私に気付いたのかルシウス先生は形の良い眉をシュンと下げて
「その…とても残念なことに、君は何も覚えていないようだけど、私と君は今日が初対面ではないんだよ。君が13歳の時に長期間熱を出したことがあっただろう?覚えてるかな?その時に泊まり込みで来ていた王都の先生。あの時君の熱の原因がなかなか分からなくて、当時王都の研究所にいた私に祖母が連絡をしてきてね。ほら、結婚式ごっこしたでしょ?しかしあの時は原因が分かって本当に良かったよ」
と言った。
そう、私は13歳の時に虫に刺されて原因不明の熱に苦しんだことがある。
何日も高熱が続き、困り果てたバロン先生が王都の研究所で最新の医療を研究しているという知り合いの医師を連れて来てくださって…確か随分と若くて美丈夫な男の先生で………あっ!!
私は数年前の記憶の中にいる美丈夫な医師とルシウス先生を重ね合わせた。
そしてようやくこの謎過ぎる状況に理解が追いつく。
当時、熱に苦しむ私にその男の先生は泊まり込みで原因を探してくれていて、その間ずっと私を励ましてくれていた。
そしてある日、私の心がポッキリと折れて、このまま結婚どころか、誰かを好きになることもないまま死ぬのかと泣いた時に、その男の先生は密かに私と結婚式ごっこをしてくれて
『君にとってはごっこ遊びかもしれないけど、僕にとっては本当の誓いだから、いつか僕が独り立ちしたその時は必ず君を迎えに行くよ』
と言ってくれたのだ。
だけど当時の私は先生のその言葉は単なる先生の優しさだと受け止めていて、そのまますんなりと
「絶対よ?約束!!」
と言ったのだった。
まさか今のこれがあの時言ってたその時なの?!
えええぇぇぇーーーーっ!!
思い至った答えに私は心の中で再び絶叫したのだった。
何が起きてるの?
何故ルシウス先生が?
そもそも初対面…
とにかく離れなきゃ!!
私は混乱しながらも淑女として当然の結論に達しルシウス先生の胸を力一杯押し返した。
すると意外にもルシウス先生はあっさりと私を解放し、まるで照れているかのようにほんのり赤くなった首筋をぽりぽりと掻いて謝罪した。
「すまない…つい…その…気持ちが先走ってしまった」
「………え?」
しかし私はその謝罪の理由が理解できずつい間抜けな声を出す。
とにかくルシウス先生が全く理解できない。
この人は私を混乱に陥れて何がしたいのだろうか?
発した言葉は間抜けな一言でもその中には様々な思いが含まれていた。
そんな私に気付いたのかルシウス先生は形の良い眉をシュンと下げて
「その…とても残念なことに、君は何も覚えていないようだけど、私と君は今日が初対面ではないんだよ。君が13歳の時に長期間熱を出したことがあっただろう?覚えてるかな?その時に泊まり込みで来ていた王都の先生。あの時君の熱の原因がなかなか分からなくて、当時王都の研究所にいた私に祖母が連絡をしてきてね。ほら、結婚式ごっこしたでしょ?しかしあの時は原因が分かって本当に良かったよ」
と言った。
そう、私は13歳の時に虫に刺されて原因不明の熱に苦しんだことがある。
何日も高熱が続き、困り果てたバロン先生が王都の研究所で最新の医療を研究しているという知り合いの医師を連れて来てくださって…確か随分と若くて美丈夫な男の先生で………あっ!!
私は数年前の記憶の中にいる美丈夫な医師とルシウス先生を重ね合わせた。
そしてようやくこの謎過ぎる状況に理解が追いつく。
当時、熱に苦しむ私にその男の先生は泊まり込みで原因を探してくれていて、その間ずっと私を励ましてくれていた。
そしてある日、私の心がポッキリと折れて、このまま結婚どころか、誰かを好きになることもないまま死ぬのかと泣いた時に、その男の先生は密かに私と結婚式ごっこをしてくれて
『君にとってはごっこ遊びかもしれないけど、僕にとっては本当の誓いだから、いつか僕が独り立ちしたその時は必ず君を迎えに行くよ』
と言ってくれたのだ。
だけど当時の私は先生のその言葉は単なる先生の優しさだと受け止めていて、そのまますんなりと
「絶対よ?約束!!」
と言ったのだった。
まさか今のこれがあの時言ってたその時なの?!
えええぇぇぇーーーーっ!!
思い至った答えに私は心の中で再び絶叫したのだった。
199
お気に入りに追加
576
あなたにおすすめの小説

あなたの仰ってる事は全くわかりません
しげむろ ゆうき
恋愛
ある日、婚約者と友人が抱擁してキスをしていた。
しかも、私の父親の仕事場から見えるところでだ。
だから、あっという間に婚約解消になったが、婚約者はなぜか私がまだ婚約者を好きだと思い込んでいるらしく迫ってくる……。
全三話

姉の所為で全てを失いそうです。だから、その前に全て終わらせようと思います。もちろん断罪ショーで。
しげむろ ゆうき
恋愛
姉の策略により、なんでも私の所為にされてしまう。そしてみんなからどんどんと信用を失っていくが、唯一、私が得意としてるもので信じてくれなかった人達と姉を断罪する話。
全12話

どうか、お幸せになって下さいね。伯爵令嬢はみんなが裏で動いているのに最後まで気づかない。
しげむろ ゆうき
恋愛
キリオス伯爵家の娘であるハンナは一年前に母を病死で亡くした。そんな悲しみにくれるなか、ある日、父のエドモンドが愛人ドナと隠し子フィナを勝手に連れて来てしまったのだ。
二人はすぐに屋敷を我が物顔で歩き出す。そんな二人にハンナは日々困らされていたが、味方である使用人達のおかげで上手くやっていけていた。
しかし、ある日ハンナは学園の帰りに事故に遭い……。

私を侮辱する婚約者は早急に婚約破棄をしましょう。
しげむろ ゆうき
恋愛
私の婚約者は編入してきた男爵令嬢とあっという間に仲良くなり、私を侮辱しはじめたのだ。
だから、私は両親に相談して婚約を解消しようとしたのだが……。

妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。
しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹
そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる
もう限界がきた私はあることを決心するのだった


そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる