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ジュース

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その日はまだまだ残暑で暑かった。

私は相変わらず委員会の仕事で居残り。

そして夕方の図書資料室はとにかく暑かった。

私が汗をかきながら資料を整理していると突然叶冬先輩がやって来た。

「よぉ、頑張ってるか?」

「頑張ってますよ。邪魔しないでくださいね」

今日も私は可愛くない言葉を叶冬先輩に向かって吐く。

ここで可愛く「叶冬先輩!来てくれたんですか?」とか言えない自分が嫌いだ。

思わず俯く。

だけど叶冬先輩はそんなこと気にしてないとばかりに私にジュースを渡してきた。

「暑い中ご苦労さん」

と言って。

正直嬉しかった。

天にも昇るとはこのことだと思った。

このジュースを家宝にしたいくらいだった。

なのに出てくる言葉は

「ありがとうございます。用はそれだけですか?」

だった。

ダメだこれではいつか嫌われる。

私は泣きそうになる気持ちを抑える為に叶冬先輩がくれたジュースを開けて一口飲んだ。

そして驚く。

それは私が好きでいつも飲んでいるジュースだった。

思わず振り向くと叶冬先輩は当たりくじが当たった子供のような顔で

「それ好きだったろ?青山はいつも頑張ってるから特別な」

と言った。

結局ジュースは飲んでしまって家宝にはできないけど私はこの時の叶冬先輩の顔を忘れない。

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