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公爵令嬢の憂い

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シオン様とシルビア様が仲直りをして数週間。

二人のイチャイチャぶりは止まることを知らないらしく、幸せそうな二人をエルリナ様が時折悔しそうに見ている。

そしてこのことは残りの悪役令嬢仲間にも知れ渡り、当然ながら同じような手口でそれぞれが婚約者たちを夢中にさせ始めたのが更に数週間後。

その光景は更なるエルリナ様をBAD ENDに誘っているのは間違いなく、せっかくの彼女のヒロイン顔が最近では悪役顔になりつつある。

うーん…やっぱり彼女も転生者なのかな?

まぁ、いいか。

だってこれが本来の正しい姿だと思うから私は悪くない………はずだし?

しかし少し前から…いや、前世からも想像がつかない程に幸せそうな悪役令嬢たちを見守れるのが本当に嬉しい。

私とリュオン殿下もこんな風に幸せそうに見えるのだろうか?

私は時々不安になることがある。

それはリュオン殿下が本当に私のことを好いてくれているのか分からなくなるからだ。

リュオン殿下は私に可愛いや好きだと蕩けるような甘い顔を向けてくれる。

だけどそれは元オフィーリアと新垣桜という自分が転生した今のオフィーリアのギャップのすごさがそうさせただけで、最初から今の私だったらそこまでではなかったのではないかと、なんというか、のようなものによって一時的にそう思うだけなのではないかと思ってしまうのだ。

かくいう私もリュオン殿下に対して前世でのだった気持ちがあるのも否めないわけで…

いつぞや誰かがだと言っていたことを思えば、私たちの関係はまさにだろうと思ってしまうのだ。

とはいえ、リュオン殿下は王族で王太子が決まってない今、継承権第二ということで、婚約者である私は当然ながら妃教育なるものを受けていて、その厳しさと大変さはで頑張れることではないのもまた事実である。

確かに貴族令嬢として政略結婚なのでそれを頑張るのは自分の務めだと思う部分はあれど、それだけではない気持ちがそれ以上に頑張れる力をくれているのも分かっているので、私の気持ちがだけで成り立っていないことは確かだ。

だけどリュオン殿下のことは元オフィーリアの記憶があまりにも当てにならないというか、かなり都合よく改竄されている為、ゲームの知識と今まで自分で見てきた部分でしか推し量れず、どうしてもモヤモヤしてしまう。

リュオン殿下をエルリナ様から奪い返すと意気込んだ時もリュオン殿下が好意的になって最初の頃もこんなことを思うことはなかったわけで、きっとそれだけリュオン殿下を好きになっているということが分かるだけに、この問題は私の中でかなりの比重を占めている。

リュオン殿下の心の中が覗けたらいいのに…

そんな憂いを抱えて、私は今日もため息を一つ落とした。
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