32 / 39
公爵令嬢の憂い
しおりを挟む
シオン様とシルビア様が仲直りをして数週間。
二人のイチャイチャぶりは止まることを知らないらしく、幸せそうな二人をエルリナ様が時折悔しそうに見ている。
そしてこのことは残りの悪役令嬢仲間にも知れ渡り、当然ながら同じような手口でそれぞれが婚約者たちを夢中にさせ始めたのが更に数週間後。
その光景は更なるエルリナ様をBAD ENDに誘っているのは間違いなく、せっかくの彼女のヒロイン顔が最近では悪役顔になりつつある。
うーん…やっぱり彼女も転生者なのかな?
まぁ、いいか。
だってこれが本来の正しい姿だと思うから私は悪くない………はずだし?
しかし少し前から…いや、前世からも想像がつかない程に幸せそうな悪役令嬢たちを見守れるのが本当に嬉しい。
私とリュオン殿下もこんな風に幸せそうに見えるのだろうか?
私は時々不安になることがある。
それはリュオン殿下が本当に私のことを好いてくれているのか分からなくなるからだ。
リュオン殿下は私に可愛いや好きだと蕩けるような甘い顔を向けてくれる。
だけどそれは元オフィーリアと新垣桜という自分が転生した今のオフィーリアのギャップのすごさがそうさせただけで、最初から今の私だったらそこまでではなかったのではないかと、なんというか、まやかしのようなものによって一時的にそう思うだけなのではないかと思ってしまうのだ。
かくいう私もリュオン殿下に対して前世での最推しだった気持ちがあるのも否めないわけで…
いつぞや誰かが恋愛は脳の勘違いだと言っていたことを思えば、私たちの関係はまさにそれだろうと思ってしまうのだ。
とはいえ、リュオン殿下は王族で王太子が決まってない今、継承権第二ということで、婚約者である私は当然ながら妃教育なるものを受けていて、その厳しさと大変さは単なる勘違いの気持ちで頑張れることではないのもまた事実である。
確かに貴族令嬢として政略結婚なのでそれを頑張るのは自分の務めだと思う部分はあれど、それだけではない気持ちがそれ以上に頑張れる力をくれているのも分かっているので、私の気持ちが推しだけで成り立っていないことは確かだ。
だけどリュオン殿下のことは元オフィーリアの記憶があまりにも当てにならないというか、かなり都合よく改竄されている為、ゲームの知識と今まで自分で見てきた部分でしか推し量れず、どうしてもモヤモヤしてしまう。
リュオン殿下をエルリナ様から奪い返すと意気込んだ時もリュオン殿下が好意的になって最初の頃もこんなことを思うことはなかったわけで、きっとそれだけリュオン殿下を好きになっているということが分かるだけに、この問題は私の中でかなりの比重を占めている。
リュオン殿下の心の中が覗けたらいいのに…
そんな憂いを抱えて、私は今日もため息を一つ落とした。
二人のイチャイチャぶりは止まることを知らないらしく、幸せそうな二人をエルリナ様が時折悔しそうに見ている。
そしてこのことは残りの悪役令嬢仲間にも知れ渡り、当然ながら同じような手口でそれぞれが婚約者たちを夢中にさせ始めたのが更に数週間後。
その光景は更なるエルリナ様をBAD ENDに誘っているのは間違いなく、せっかくの彼女のヒロイン顔が最近では悪役顔になりつつある。
うーん…やっぱり彼女も転生者なのかな?
まぁ、いいか。
だってこれが本来の正しい姿だと思うから私は悪くない………はずだし?
しかし少し前から…いや、前世からも想像がつかない程に幸せそうな悪役令嬢たちを見守れるのが本当に嬉しい。
私とリュオン殿下もこんな風に幸せそうに見えるのだろうか?
私は時々不安になることがある。
それはリュオン殿下が本当に私のことを好いてくれているのか分からなくなるからだ。
リュオン殿下は私に可愛いや好きだと蕩けるような甘い顔を向けてくれる。
だけどそれは元オフィーリアと新垣桜という自分が転生した今のオフィーリアのギャップのすごさがそうさせただけで、最初から今の私だったらそこまでではなかったのではないかと、なんというか、まやかしのようなものによって一時的にそう思うだけなのではないかと思ってしまうのだ。
かくいう私もリュオン殿下に対して前世での最推しだった気持ちがあるのも否めないわけで…
いつぞや誰かが恋愛は脳の勘違いだと言っていたことを思えば、私たちの関係はまさにそれだろうと思ってしまうのだ。
とはいえ、リュオン殿下は王族で王太子が決まってない今、継承権第二ということで、婚約者である私は当然ながら妃教育なるものを受けていて、その厳しさと大変さは単なる勘違いの気持ちで頑張れることではないのもまた事実である。
確かに貴族令嬢として政略結婚なのでそれを頑張るのは自分の務めだと思う部分はあれど、それだけではない気持ちがそれ以上に頑張れる力をくれているのも分かっているので、私の気持ちが推しだけで成り立っていないことは確かだ。
だけどリュオン殿下のことは元オフィーリアの記憶があまりにも当てにならないというか、かなり都合よく改竄されている為、ゲームの知識と今まで自分で見てきた部分でしか推し量れず、どうしてもモヤモヤしてしまう。
リュオン殿下をエルリナ様から奪い返すと意気込んだ時もリュオン殿下が好意的になって最初の頃もこんなことを思うことはなかったわけで、きっとそれだけリュオン殿下を好きになっているということが分かるだけに、この問題は私の中でかなりの比重を占めている。
リュオン殿下の心の中が覗けたらいいのに…
そんな憂いを抱えて、私は今日もため息を一つ落とした。
13
お気に入りに追加
478
あなたにおすすめの小説
ヒロインが私の婚約者を攻略しようと狙ってきますが、彼は私を溺愛しているためフラグをことごとく叩き破ります
奏音 美都
恋愛
ナルノニア公爵の爵士であるライアン様は、幼い頃に契りを交わした私のご婚約者です。整った容姿で、利発で、勇ましくありながらもお優しいライアン様を、私はご婚約者として紹介されたその日から好きになり、ずっとお慕いし、彼の妻として恥ずかしくないよう精進してまいりました。
そんなライアン様に大切にされ、お隣を歩き、会話を交わす幸せに満ちた日々。
それが、転入生の登場により、嵐の予感がしたのでした。
悪役令嬢になる前に、王子と婚約解消するはずが!
餡子
恋愛
恋愛小説の世界に悪役令嬢として転生してしまい、ヒーローである第五王子の婚約者になってしまった。
なんとかして円満に婚約解消するはずが、解消出来ないまま明日から物語が始まってしまいそう!
このままじゃ悪役令嬢まっしぐら!?
農地スローライフ、始めました~婚約破棄された悪役令嬢は、第二王子から溺愛される~
可児 うさこ
恋愛
前世でプレイしていたゲームの悪役令嬢に転生した。公爵に婚約破棄された悪役令嬢は、実家に戻ったら、第二王子と遭遇した。彼は王位継承より農業に夢中で、農地を所有する実家へ見学に来たらしい。悪役令嬢は彼に一目惚れされて、郊外の城で一緒に暮らすことになった。欲しいものを何でも与えてくれて、溺愛してくれる。そんな彼とまったり農業を楽しみながら、快適なスローライフを送ります。
悪役令嬢に転生したのですが、フラグが見えるのでとりま折らせていただきます
水無瀬流那
恋愛
転生先は、未プレイの乙女ゲーの悪役令嬢だった。それもステータスによれば、死ぬ確率は100%というDEATHエンド確定令嬢らしい。
このままでは死んでしまう、と焦る私に与えられていたスキルは、『フラグ破壊レベル∞』…………?
使い方も詳細も何もわからないのですが、DEATHエンド回避を目指して、とりまフラグを折っていこうと思います!
※小説家になろうでも掲載しています
猛禽令嬢は王太子の溺愛を知らない
高遠すばる
恋愛
幼い頃、婚約者を庇って負った怪我のせいで目つきの悪い猛禽令嬢こと侯爵令嬢アリアナ・カレンデュラは、ある日、この世界は前世の自分がプレイしていた乙女ゲーム「マジカル・愛ラブユー」の世界で、自分はそのゲームの悪役令嬢だと気が付いた。
王太子であり婚約者でもあるフリードリヒ・ヴァン・アレンドロを心から愛しているアリアナは、それが破滅を呼ぶと分かっていてもヒロインをいじめることをやめられなかった。
最近ではフリードリヒとの仲もギクシャクして、目すら合わせてもらえない。
あとは断罪を待つばかりのアリアナに、フリードリヒが告げた言葉とはーー……!
積み重なった誤解が織りなす、溺愛・激重感情ラブコメディ!
※王太子の愛が重いです。
侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw
さこの
恋愛
「喜べリリアン! 第一王子の婚約者候補におまえが挙がったぞ!」
ある日お兄様とサロンでお茶をしていたらお父様が突撃して来た。
「良かったな! お前はフレデリック殿下のことを慕っていただろう?」
いえ! 慕っていません!
このままでは父親と意見の相違があるまま婚約者にされてしまう。
どうしようと考えて出した答えが【悪役令嬢に私はなる!】だった。
しかしリリアンは【悪役令嬢】と言う存在の解釈の仕方が……
*設定は緩いです
【完結】悪役令嬢の反撃の日々
アイアイ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
【完結】強制力なんて怖くない!
櫻野くるみ
恋愛
公爵令嬢のエラリアは、十歳の時に唐突に前世の記憶を取り戻した。
どうやら自分は以前読んだ小説の、第三王子と結婚するも浮気され、妻の座を奪われた挙句、幽閉される「エラリア」に転生してしまったらしい。
そんな人生は真っ平だと、なんとか未来を変えようとするエラリアだが、物語の強制力が邪魔をして思うように行かず……?
強制力がエグい……と思っていたら、実は強制力では無かったお話。
短編です。
完結しました。
なんだか最後が長くなりましたが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる