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もしかして攻略済み?

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「ーー様!ーーリア様っ!」

何処か遠くからこの世界での自分の名前を呼ぶ声が聞こえるような聞こえないような…?

そろそろと目を開けると我が家の侍女服を着た18~19才くらいのお団子ヘアの女の人が半泣きで私にすがりついていた。

誰だっけ?

記憶を呼び起こす為に一旦自分の脳みそと向き合う。

すると私の記憶が彼女のことをオフィーリアの専属侍女のサラだと教えてくれた。

どうやらこの世界の記憶はきちんと思い出せるようだ。

後で脳内の記憶を整理しなければ。

そんなことを思いながら私はサラに笑顔を向けた。

すると、突然サラが抱きついてきて

「オフィーリア様っ!気がつかれたのですねっ!良かったです!本当に良かった!」

と大声を上げ、

「今すぐ旦那様と奥様をお呼びして参りますっ」

と言って足早に部屋を出て行った。

それからすぐに医師を連れた両親と共にサラが戻り、心配する三人を他所に「何処にも異常はありません」と告げて医師は帰って行った。

それはそうだろう。

ショッキングな現実に失神しただけなのだから。

しかし、過保護で心配症で娘を甘やかす天才である両親はそれでも心配らしく、私は数日の間ベッドでの生活を余儀なくされたのだった。

そしてその間、かなりの勢いの至れり尽くせりで、我ことながら思わず、こうして我儘令嬢ができるわけかとしみじみしてしまったのはいうまでもない。

さて、私はこのベッド生活の数日間、自分の現状を把握すべく、まず自分の記憶を書き出し、調べられる限りのことを調べ、また、それとなく周りに探りを入れてみたりした。

その結果、分かったことは、やはりここが例のスマホゲームの世界だということだった。

しかも驚くことに、今をスマホゲームの時系列に置き換えると、既にオフィーリアの婚約者である第二王子のリュオン殿下はヒロインに陥落された後となっている。

要するにこのままいくと、後一年と少し後の卒業パーティーでオフィーリアは断罪され、といわれる離島の修道院に島流しになる予定だ。

桜…もとい、新生オフィーリアは更なるショックで再びブラックアウトしそうになり、現実逃避をするべく、前世でいうところの最高級ベッドの中で急ぎ夢の世界に旅立つことにした。


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