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外の騒めきと、少しだけ差し込んできた日差しに目を覚ましたリュートは、重たい瞼をゆっくりと開いた。
昨夜はルミアスが再び姿を消しても、興奮してすぐに寝ることができず、結局眠りについたのは明け方近くになってからだ。
光る砂が嬉しくて、眠気に耐えきれなくなるまで握りしめて小瓶を眺めていた。
「そうだ、小瓶! まだあるかな……」
ぼんやりとして重たい頭と体を無理に動かしたリュートは、部屋の隅にある石の床の一部を取り外す。
隠匿魔法がかかっていても心配だからと、隠せるように、隠し場所をルミアスに作ってもらっていたのだ。
ここならば、もし部屋から全ての物が運び出されたとしても無くなることはない。
以外にも軽い石の下には小さい空洞があり、そこには隠した時と変わらずに小さな小瓶が置かれていた。
光る砂は、周りが多少明るくても淡く光っている。
少し傾ければ、サラサラと小瓶の中を動く砂を見たリュートは心が癒された。
リュートはそれから、ルミアスが訪れる日まで何度も光る砂を見て過ごすことになった。
閉じ込められているリュートの日々にまた彩が増えたのだ。
何もない日々は長く、ベッドに腰掛け外から聞こえてくる使用人達の話し声に耳を傾ける。
そんなことで何年も暇をつぶしていたが、それが光る砂を眺めることで、苦痛のように長い一日があっという間に過ぎ去っていった。
変わらず訪れてくるルミアスは、小瓶を大事にしているリュートを不思議そうに見るばかりだったが、嫌ではなさそうだった。
また魔法で光る砂を動かしてもらいたいと思うこともあったが、そんな我儘を言うつもりはなった。
優しさを見せてはくれるが、彼は気まぐれな悪魔だ。
気に入らないことは聞かないだろうし、なんなら機嫌を損ねてここに訪れることが今より少なくなってしまうかもしれない。
そんなことになったら寂しくて、悲しくて、心が再び荒んでしまうだろう。
だからリュートは、ルミアスが嫌がりそうだと分かっている事柄を言うつもりはなかった。
光る砂をルミアスに貰ってからふた月が経ったころ、リュートに関して新たな噂が使用人同士の中で囁かれ始めた。
『夜な夜な一人で話す声が聞こえる、とうとう気がおかしくなってしまったのではないか』
初めは、食事が運ばれてくるときに訝し気に部屋の中を見回され、鍵の確認も入念にされただけだった。
何だろうかと思っていたが、どうやらリュートが誰かしらを地下室に連れ込んでいるのではないかと疑われていたことを窓の外から聞こえる声で知ったのだった。
使用人達の話から、確かにルミアスが居る時は声を気にせず出していたなと思い出す。
ルミアスが訪れる時間は深夜だ。
その時間に使用人達はリュートがいる地下室付近には近づかない。
それは地下室がコールド伯爵邸の中でも一番端にあり、使用人達が暮らす別棟とも離れている。
それもあってリュートも気にせずにルミアスとのおしゃべりを楽しんでいたのだが、どうやら近づく人が一定数いたらしい。
今までもそうだったのか、それともルミアスが現れてからなのか。
前者なら、ロマリオに言われて夜間警備の者が、地下室付近は入念に見ていたのかもしれない。
万が一にも、リュートが逃げ出したりしないように。
「気を付けないと……って言っても遅いかな」
今さら、他人から向けられる視線に心を痛めることはない。
しかし、何かの拍子にルミアスの存在がバレ、彼がここに訪れ無くなったりでもしたらと考えるだけで不安で押し潰されそうだった。
ルミアスが居ない状態で、以前までの生活なんて送れようはずもない。
そうなったらきっとルミアスに願うのは、この命を終わらせることだろう。
昨夜はルミアスが再び姿を消しても、興奮してすぐに寝ることができず、結局眠りについたのは明け方近くになってからだ。
光る砂が嬉しくて、眠気に耐えきれなくなるまで握りしめて小瓶を眺めていた。
「そうだ、小瓶! まだあるかな……」
ぼんやりとして重たい頭と体を無理に動かしたリュートは、部屋の隅にある石の床の一部を取り外す。
隠匿魔法がかかっていても心配だからと、隠せるように、隠し場所をルミアスに作ってもらっていたのだ。
ここならば、もし部屋から全ての物が運び出されたとしても無くなることはない。
以外にも軽い石の下には小さい空洞があり、そこには隠した時と変わらずに小さな小瓶が置かれていた。
光る砂は、周りが多少明るくても淡く光っている。
少し傾ければ、サラサラと小瓶の中を動く砂を見たリュートは心が癒された。
リュートはそれから、ルミアスが訪れる日まで何度も光る砂を見て過ごすことになった。
閉じ込められているリュートの日々にまた彩が増えたのだ。
何もない日々は長く、ベッドに腰掛け外から聞こえてくる使用人達の話し声に耳を傾ける。
そんなことで何年も暇をつぶしていたが、それが光る砂を眺めることで、苦痛のように長い一日があっという間に過ぎ去っていった。
変わらず訪れてくるルミアスは、小瓶を大事にしているリュートを不思議そうに見るばかりだったが、嫌ではなさそうだった。
また魔法で光る砂を動かしてもらいたいと思うこともあったが、そんな我儘を言うつもりはなった。
優しさを見せてはくれるが、彼は気まぐれな悪魔だ。
気に入らないことは聞かないだろうし、なんなら機嫌を損ねてここに訪れることが今より少なくなってしまうかもしれない。
そんなことになったら寂しくて、悲しくて、心が再び荒んでしまうだろう。
だからリュートは、ルミアスが嫌がりそうだと分かっている事柄を言うつもりはなかった。
光る砂をルミアスに貰ってからふた月が経ったころ、リュートに関して新たな噂が使用人同士の中で囁かれ始めた。
『夜な夜な一人で話す声が聞こえる、とうとう気がおかしくなってしまったのではないか』
初めは、食事が運ばれてくるときに訝し気に部屋の中を見回され、鍵の確認も入念にされただけだった。
何だろうかと思っていたが、どうやらリュートが誰かしらを地下室に連れ込んでいるのではないかと疑われていたことを窓の外から聞こえる声で知ったのだった。
使用人達の話から、確かにルミアスが居る時は声を気にせず出していたなと思い出す。
ルミアスが訪れる時間は深夜だ。
その時間に使用人達はリュートがいる地下室付近には近づかない。
それは地下室がコールド伯爵邸の中でも一番端にあり、使用人達が暮らす別棟とも離れている。
それもあってリュートも気にせずにルミアスとのおしゃべりを楽しんでいたのだが、どうやら近づく人が一定数いたらしい。
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万が一にも、リュートが逃げ出したりしないように。
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しかし、何かの拍子にルミアスの存在がバレ、彼がここに訪れ無くなったりでもしたらと考えるだけで不安で押し潰されそうだった。
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