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43 勘違い
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想いは繋がりはしたが、未だソルドの体は猫の姿のままだ。
──折角想いが繋がったというのに。
そう落胆する気持ちはあれど、かえってこれで良かったのではとも思う。
きっと元の姿のままであれば、ソルドは羞恥に染まり態度もぎこちなくなるのではないだろうか。
そんな珍しい姿も見てみたいと思いはすれど、避けられてしまったら悲しくなってしまう。
ソルドの様子を伺えば、再び猫の姿になってしまったことに驚いているのか、放心状態だった。
猫の体をダラリと伸ばし、丸い目を更にまんまるに見開き、口が半開きになる姿は大変可愛らしい。
普通の猫もこんなに表情豊かなのだろうか? と疑問が過ぎりながらも、そんな姿すらも愛おしく思ってしまう。
何故猫の姿なのか、何故人の姿に戻らないのか──何故姿を消していたのか。
聞きたいことが山のようにあるが、今はただただお互いの想いが通じたことが嬉しい。
それに猫の姿のソルドも悪くないのではないかと思ってしまう。
未だ固まったままなのを良いことに、ケインズはふかふかの毛並みに顔を埋めたり、胸元の豊かな毛並みからお腹までを撫で回したりとやりたい放題。
尻尾の付け根に触れ、そこから先端までをゆったり撫でれば流石のソルドも体もビクリと跳ねさせた。
四本の足で体を押され、抗議の意を伝えてくる。
そんな姿すらも可愛い。
目尻が下がったまま、ケインズは少し力を入れてソルドの体を引き寄せる。
そのまま鼻先に軽く口付けし、大事に抱きかかえるとその重さを心地よく思いながらベッドへ潜り込んだ。
「ソルド、抵抗しないでおくれ」
僅かに抵抗を見せたソルドだったがしかし、ケインズがその小さな体を抱き込んでしまえば意味をなさない。
艶やかでふわりと手触りの良い毛並みをゆったりと撫でていれば、とソルドがゴロゴロと喉を鳴らし、目をとろんとさせてる。
暫くそうしていれば、完全に眠りに落ちたソルドは小さな寝息をぴすぴすと立てだした。
「可愛いね、ソルド」
こんな風に思うようになるとは、人生は楽しみで溢れている。
ケインズは小さく、けれども大きな温もりを愛でながら、夢の中へと落ちていった。
翌朝、最高の気分で目が覚めれば、すぐそばにあったはずの温もりも重さも消えていた。
慌てて体を跳ね起こしたケインズは、急いでベッドから降りると、室内をパタパタと探し回る。
「ソル……じゃやかった。ソウル、どこにいったんだいソウルっ」
寝起きの乱れた姿のまま、絨毯這いつくばり隙間を探す。
設置してある家具は足が高く、床との距離がある。
普段全く見ることがない隙間は流石といったところか、埃ひとつ落ちていなかった。
感心している場合ではないと、再び探すが、広くとも寝るだけの部屋には大した隠れ場所はない。
まさか再び出ていってしまったのではと考えに至れば、指の先から急激に冷えていった。
折角多幸感に溢れた夜だったのに。一体何がいけなかったのか。
急転直下とはまさにこのこと。ケインズは半ばパニック状態に陥り、上手く思考できない頭のまま床に座り込んでしまう。
だが不意に扉が叩かれ我に返る。
今すぐソルド──いや、ソルウの捜索を始めなければと立ちあがろうとしたその時、扉を開けて入ってきたのはカステルだった。
「殿下、一体なにをしているんですか……?」
驚きの表情で見てくるが、ケインズはそれどころではなかった。
「──ソウルッ!!」
カステルの腕に抱かれているソウルを見つけいてもたってもいられず、慌てて駆け寄り奪い取る。
驚きのあまり毛が逆立ち目を丸くするソウルに、ケインズはお構いなしに強く抱きしめ毛並みに顔を埋めた。
「いなくなったのかと……」
「ナァー」
申し訳なさそうな声を出すソウルに苦笑する。
見れば表情もどことなしか、しょぼくれているようだった。
「殿下が起きる前にどうやら喉が渇いたようで、扉をカリカリして催促してきたんですよ」
カステルの話を聞き、漸く安堵することができた。
また居なくなってしまったのかと不安で仕方なかったのだ。
それを感じ取ったのか、ソウルが自身の顔を擦り寄せてくる。
それだけで言い知れぬ幸福感が心を満たしてくれた。
「ふふふ、殿下は本当にソウルのことが好きなんですね。こんなに取り乱して」
「あぁ、好きだよ」
本心からそう言えば、ゴロゴロと喉を鳴らしていた音を止め、髭の付け根と全身の毛をこれでもかと膨らませるソウルの姿があった。
長らくお待たせしましたー!!!
猫の日……ということで、急いで続きを書いてみました。
少しずつ完結に向けて更新していければと思いますので、どうか最後までお付き合い頂けたら嬉しいです!
──折角想いが繋がったというのに。
そう落胆する気持ちはあれど、かえってこれで良かったのではとも思う。
きっと元の姿のままであれば、ソルドは羞恥に染まり態度もぎこちなくなるのではないだろうか。
そんな珍しい姿も見てみたいと思いはすれど、避けられてしまったら悲しくなってしまう。
ソルドの様子を伺えば、再び猫の姿になってしまったことに驚いているのか、放心状態だった。
猫の体をダラリと伸ばし、丸い目を更にまんまるに見開き、口が半開きになる姿は大変可愛らしい。
普通の猫もこんなに表情豊かなのだろうか? と疑問が過ぎりながらも、そんな姿すらも愛おしく思ってしまう。
何故猫の姿なのか、何故人の姿に戻らないのか──何故姿を消していたのか。
聞きたいことが山のようにあるが、今はただただお互いの想いが通じたことが嬉しい。
それに猫の姿のソルドも悪くないのではないかと思ってしまう。
未だ固まったままなのを良いことに、ケインズはふかふかの毛並みに顔を埋めたり、胸元の豊かな毛並みからお腹までを撫で回したりとやりたい放題。
尻尾の付け根に触れ、そこから先端までをゆったり撫でれば流石のソルドも体もビクリと跳ねさせた。
四本の足で体を押され、抗議の意を伝えてくる。
そんな姿すらも可愛い。
目尻が下がったまま、ケインズは少し力を入れてソルドの体を引き寄せる。
そのまま鼻先に軽く口付けし、大事に抱きかかえるとその重さを心地よく思いながらベッドへ潜り込んだ。
「ソルド、抵抗しないでおくれ」
僅かに抵抗を見せたソルドだったがしかし、ケインズがその小さな体を抱き込んでしまえば意味をなさない。
艶やかでふわりと手触りの良い毛並みをゆったりと撫でていれば、とソルドがゴロゴロと喉を鳴らし、目をとろんとさせてる。
暫くそうしていれば、完全に眠りに落ちたソルドは小さな寝息をぴすぴすと立てだした。
「可愛いね、ソルド」
こんな風に思うようになるとは、人生は楽しみで溢れている。
ケインズは小さく、けれども大きな温もりを愛でながら、夢の中へと落ちていった。
翌朝、最高の気分で目が覚めれば、すぐそばにあったはずの温もりも重さも消えていた。
慌てて体を跳ね起こしたケインズは、急いでベッドから降りると、室内をパタパタと探し回る。
「ソル……じゃやかった。ソウル、どこにいったんだいソウルっ」
寝起きの乱れた姿のまま、絨毯這いつくばり隙間を探す。
設置してある家具は足が高く、床との距離がある。
普段全く見ることがない隙間は流石といったところか、埃ひとつ落ちていなかった。
感心している場合ではないと、再び探すが、広くとも寝るだけの部屋には大した隠れ場所はない。
まさか再び出ていってしまったのではと考えに至れば、指の先から急激に冷えていった。
折角多幸感に溢れた夜だったのに。一体何がいけなかったのか。
急転直下とはまさにこのこと。ケインズは半ばパニック状態に陥り、上手く思考できない頭のまま床に座り込んでしまう。
だが不意に扉が叩かれ我に返る。
今すぐソルド──いや、ソルウの捜索を始めなければと立ちあがろうとしたその時、扉を開けて入ってきたのはカステルだった。
「殿下、一体なにをしているんですか……?」
驚きの表情で見てくるが、ケインズはそれどころではなかった。
「──ソウルッ!!」
カステルの腕に抱かれているソウルを見つけいてもたってもいられず、慌てて駆け寄り奪い取る。
驚きのあまり毛が逆立ち目を丸くするソウルに、ケインズはお構いなしに強く抱きしめ毛並みに顔を埋めた。
「いなくなったのかと……」
「ナァー」
申し訳なさそうな声を出すソウルに苦笑する。
見れば表情もどことなしか、しょぼくれているようだった。
「殿下が起きる前にどうやら喉が渇いたようで、扉をカリカリして催促してきたんですよ」
カステルの話を聞き、漸く安堵することができた。
また居なくなってしまったのかと不安で仕方なかったのだ。
それを感じ取ったのか、ソウルが自身の顔を擦り寄せてくる。
それだけで言い知れぬ幸福感が心を満たしてくれた。
「ふふふ、殿下は本当にソウルのことが好きなんですね。こんなに取り乱して」
「あぁ、好きだよ」
本心からそう言えば、ゴロゴロと喉を鳴らしていた音を止め、髭の付け根と全身の毛をこれでもかと膨らませるソウルの姿があった。
長らくお待たせしましたー!!!
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