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26 仲直り
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ソルドに声を掛けるが、存外に低く冷たい声を出してしまい、ケインズははっとしたが一度言葉を出してしまえば止まらずに、そのままソルドを非難するような問い掛けをしてしまった。
さてどう答えるだろうかとケインズが見ていれば、ソルドの頭上を飾る耳は垂れ下がり、尻尾は股の間に巻き込まれる。
その姿に怪訝そうに眉を寄せれば、ソルドの瞳にじわりと涙の膜が張るのが見えた。
ケインズが知る限り、ソルドが泣くところなど今の今まで見たことはない。いつだってこの年上の護衛騎士は毅然とした態度を崩したことはなかったのだ。
だが目の前にいるソルドは今までからは想像ができないほどに憔悴しているように見えた。
なにかに怯えるように、見れば体も小刻みに震えている。
そんな姿を見てしまえば、ケインズはそれ以上ソルドになにかを言えはしなかった。
八つ当たりは良くないと深く溜息を吐き出せば、びくりとソルドが体を揺らし、ケインズは困ったように微笑んだ。
「すまない、ソルド。別に休みに関して咎めるつもりはないんだよ。ジェスからもそうならざるを得なかった理由を聞いているしね」
「いえ、ですが……」
よほどケインズの態度が堪えたのか、ソルドは視線を彷徨わせつつも必死にケインズの様子を伺ってくる。
こんな状態のソルドもまた珍しい。耳と尻尾が見えてからと言うもの、ソルドの今までに見たことがない表情を見ることが多くなっている事実に、ふとケインズの心は軽くなった。
「ソルド、こっちへ」
おずおずと近寄ってきたソルドに膝をつくように命じれば、完全に尻尾を丸め込み怯えを見せる。
「事情が事情だけれど、罰は与えないとね」
「はい殿下」
ぐっと唇を噛み覚悟を決めたように頭を下げるソルドに、ケインズは笑みを零すとその頭に手を伸ばした。
触れた瞬間にビクリと大きな体が揺れるが、ケインズは構わず髪を撫で、それから猫耳を撫でた。
暫くぶりの感触が心地いい。撫でる度にささくれ立っていた感情も平静を取り戻す。
「これは撫でられなかったかい?」
「はい、あ、いえ多分……ですが。ジェスが魔法で見えなくしていますし、殿下以外には見えず触れられないかと」
「そうか」
弾むようなケインズの声音に、ソルドはそっと顔を上げれば、そこには先程とは打って変わって、微笑むケインズの姿がある。
これは許されたのだろうかと、思わず淡い期待が過れば、ケインズから罰の詳細が言い渡された。
「罰は、朝と午後のお茶の時間もこの耳と尻尾を触らせることだよ」
「!? そ、それが罰ですか……?」
「そうだとも。ふふ、もしかして首でも切られるとでも思ったのかな?」
「はい……」
「そんなことはしないよ。ソルドは僕の大事な護衛騎士だ。それにこの耳と尻尾には存分に癒されてるからね。これが無くなってしまったらと思うだけで、心が苦しくなるよ」
羞恥から忌々しいとさえ思う耳と尻尾に助けられたと、ソルドはやっと緊張を解いた。
それがケインズに伝わったのか、軽く撫でるものから、いつものような丹念な撫で方に変わる。
気がつけばソルドも既に慣らされてしまったこの行為に身を委ね、ごろごろと喉を鳴らす。尻尾は既に隠れてはいなかった。
さてどう答えるだろうかとケインズが見ていれば、ソルドの頭上を飾る耳は垂れ下がり、尻尾は股の間に巻き込まれる。
その姿に怪訝そうに眉を寄せれば、ソルドの瞳にじわりと涙の膜が張るのが見えた。
ケインズが知る限り、ソルドが泣くところなど今の今まで見たことはない。いつだってこの年上の護衛騎士は毅然とした態度を崩したことはなかったのだ。
だが目の前にいるソルドは今までからは想像ができないほどに憔悴しているように見えた。
なにかに怯えるように、見れば体も小刻みに震えている。
そんな姿を見てしまえば、ケインズはそれ以上ソルドになにかを言えはしなかった。
八つ当たりは良くないと深く溜息を吐き出せば、びくりとソルドが体を揺らし、ケインズは困ったように微笑んだ。
「すまない、ソルド。別に休みに関して咎めるつもりはないんだよ。ジェスからもそうならざるを得なかった理由を聞いているしね」
「いえ、ですが……」
よほどケインズの態度が堪えたのか、ソルドは視線を彷徨わせつつも必死にケインズの様子を伺ってくる。
こんな状態のソルドもまた珍しい。耳と尻尾が見えてからと言うもの、ソルドの今までに見たことがない表情を見ることが多くなっている事実に、ふとケインズの心は軽くなった。
「ソルド、こっちへ」
おずおずと近寄ってきたソルドに膝をつくように命じれば、完全に尻尾を丸め込み怯えを見せる。
「事情が事情だけれど、罰は与えないとね」
「はい殿下」
ぐっと唇を噛み覚悟を決めたように頭を下げるソルドに、ケインズは笑みを零すとその頭に手を伸ばした。
触れた瞬間にビクリと大きな体が揺れるが、ケインズは構わず髪を撫で、それから猫耳を撫でた。
暫くぶりの感触が心地いい。撫でる度にささくれ立っていた感情も平静を取り戻す。
「これは撫でられなかったかい?」
「はい、あ、いえ多分……ですが。ジェスが魔法で見えなくしていますし、殿下以外には見えず触れられないかと」
「そうか」
弾むようなケインズの声音に、ソルドはそっと顔を上げれば、そこには先程とは打って変わって、微笑むケインズの姿がある。
これは許されたのだろうかと、思わず淡い期待が過れば、ケインズから罰の詳細が言い渡された。
「罰は、朝と午後のお茶の時間もこの耳と尻尾を触らせることだよ」
「!? そ、それが罰ですか……?」
「そうだとも。ふふ、もしかして首でも切られるとでも思ったのかな?」
「はい……」
「そんなことはしないよ。ソルドは僕の大事な護衛騎士だ。それにこの耳と尻尾には存分に癒されてるからね。これが無くなってしまったらと思うだけで、心が苦しくなるよ」
羞恥から忌々しいとさえ思う耳と尻尾に助けられたと、ソルドはやっと緊張を解いた。
それがケインズに伝わったのか、軽く撫でるものから、いつものような丹念な撫で方に変わる。
気がつけばソルドも既に慣らされてしまったこの行為に身を委ね、ごろごろと喉を鳴らす。尻尾は既に隠れてはいなかった。
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