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20 魔法猫とケインズ2
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「ははは、普段はその喋り方なんだね。ジェスと呼んでも構わないかな?」
「勿論じゃ、坊の主よ」
「ケインズでいいよ。ふふ、思っていたよりも大分愉快な子だねソルド」
唖然としたままのソルドをよそに、二人は楽しそうに会話を進めていく。いつの間にかジェスはケインズの隣の椅子に陣取り、手渡された菓子を食べ始めていた。
王族を前にしても動じないどころか、ソルドといる時のように自然体なジェスに驚くと同時に、二本足で立ち会話を繰り広げるジェスに驚きもしないケインズにもソルドは驚いていた。
「驚かないのですか殿下」
「え? あぁそうだね……そこまで驚きはなかったかな。ソルドの耳や尻尾を初めて見た時の方が驚いたよ」
「んん? ケインズはアレが見えるのかの?」
「彼が城に戻って来てから今までずっと見えているけれど、なにかまずいのかい?」
「坊がのう、あのまま外に出るのは恥ずかしいと駄々をこねるでな、認識阻害の魔法を掛けておるから我と坊以外には見えないはずなんじゃが……あぁなるほど、ほうほうほう」
ぽんと手を打ちなにやら一人納得したように頷きだしたジェスに、二人はなんだろうかと首を傾げる。
「説明してくれるかい?」
「おぉそうじゃの。元々ソルドには、ケインズに癒しを与えられるように魔法を掛けておったんじゃよ。それが副反応で坊は猫になってしもうたじゃろう? 実態を持ってしまった物を隠すために認識阻害を掛けてはおるが、元からケインズには癒しを与えると言う魔法があるから認識阻害が効かなかったんじゃろう」
面白いのうと一人納得しているようだったが、ケインズにはそもそも、元になっていると言う魔法が何故ソルドが掛けられているかがわからなかった。
「なぜソルドへ僕に癒しを与える魔法を掛けていたんだい? それにどうあの耳と尻尾が関係してくるのかな」
「坊はのう、忙しくするお主をそれは深く案じておったのじゃ。それで癒しが必要じゃとな。癒しと言ったら猫じゃろう? だから坊には耳と尻尾の幻覚をケインズへ見えるようにと魔法をかけておいたんじゃよ」
事も無げに言うジェスに、ソルドは顔を真っ赤に染め上げた。心配していたことを知られてしまうのはいい。だがそのせいでまさかずっとケインズに耳と尻尾が見えていたとは思いもよらなかった。
それに癒しと言えば猫とはどんな暴論だろうか。アニマルセラピーと言う言葉は聞いたことがある。だがしかしそれを人間に向かって掛けるとはどういうことか。
癒しなら他にももっといい手があるだろう! とジェスに言い募りたくなるソルドだったが、ケインズの手前でそのような醜態は晒せなかった。
「まっまさか、殿下が起きられてから度々私を見るようになっていたのは……」
「ソルドの耳と尻尾が見えていたからだね。自然と目が行ってしまってね。最初は自分の頭がとうとうおかしくなってしまったかとも考えたけれど……ジェスのお陰で今では僕の癒しだよ」
「そうじゃろう、そうじゃろう? やはり猫は癒しを与えるには一番よ!」
にゃはははと大口を開けて笑うジェスは、この場の誰よりも楽しそうだった。そしてケインズも、そんなジェスを見て愉しげに笑う。
だがソルドだけはこの空間で一人、羞恥と呆れで大きな手で自身の顔を覆い項垂れるのだった。
「勿論じゃ、坊の主よ」
「ケインズでいいよ。ふふ、思っていたよりも大分愉快な子だねソルド」
唖然としたままのソルドをよそに、二人は楽しそうに会話を進めていく。いつの間にかジェスはケインズの隣の椅子に陣取り、手渡された菓子を食べ始めていた。
王族を前にしても動じないどころか、ソルドといる時のように自然体なジェスに驚くと同時に、二本足で立ち会話を繰り広げるジェスに驚きもしないケインズにもソルドは驚いていた。
「驚かないのですか殿下」
「え? あぁそうだね……そこまで驚きはなかったかな。ソルドの耳や尻尾を初めて見た時の方が驚いたよ」
「んん? ケインズはアレが見えるのかの?」
「彼が城に戻って来てから今までずっと見えているけれど、なにかまずいのかい?」
「坊がのう、あのまま外に出るのは恥ずかしいと駄々をこねるでな、認識阻害の魔法を掛けておるから我と坊以外には見えないはずなんじゃが……あぁなるほど、ほうほうほう」
ぽんと手を打ちなにやら一人納得したように頷きだしたジェスに、二人はなんだろうかと首を傾げる。
「説明してくれるかい?」
「おぉそうじゃの。元々ソルドには、ケインズに癒しを与えられるように魔法を掛けておったんじゃよ。それが副反応で坊は猫になってしもうたじゃろう? 実態を持ってしまった物を隠すために認識阻害を掛けてはおるが、元からケインズには癒しを与えると言う魔法があるから認識阻害が効かなかったんじゃろう」
面白いのうと一人納得しているようだったが、ケインズにはそもそも、元になっていると言う魔法が何故ソルドが掛けられているかがわからなかった。
「なぜソルドへ僕に癒しを与える魔法を掛けていたんだい? それにどうあの耳と尻尾が関係してくるのかな」
「坊はのう、忙しくするお主をそれは深く案じておったのじゃ。それで癒しが必要じゃとな。癒しと言ったら猫じゃろう? だから坊には耳と尻尾の幻覚をケインズへ見えるようにと魔法をかけておいたんじゃよ」
事も無げに言うジェスに、ソルドは顔を真っ赤に染め上げた。心配していたことを知られてしまうのはいい。だがそのせいでまさかずっとケインズに耳と尻尾が見えていたとは思いもよらなかった。
それに癒しと言えば猫とはどんな暴論だろうか。アニマルセラピーと言う言葉は聞いたことがある。だがしかしそれを人間に向かって掛けるとはどういうことか。
癒しなら他にももっといい手があるだろう! とジェスに言い募りたくなるソルドだったが、ケインズの手前でそのような醜態は晒せなかった。
「まっまさか、殿下が起きられてから度々私を見るようになっていたのは……」
「ソルドの耳と尻尾が見えていたからだね。自然と目が行ってしまってね。最初は自分の頭がとうとうおかしくなってしまったかとも考えたけれど……ジェスのお陰で今では僕の癒しだよ」
「そうじゃろう、そうじゃろう? やはり猫は癒しを与えるには一番よ!」
にゃはははと大口を開けて笑うジェスは、この場の誰よりも楽しそうだった。そしてケインズも、そんなジェスを見て愉しげに笑う。
だがソルドだけはこの空間で一人、羞恥と呆れで大きな手で自身の顔を覆い項垂れるのだった。
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