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18 猫耳
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「それにしても魔法猫か……僕も会ってみたいな」
「……殿下は既に会っておられます」
どういうことだとばかりに首を捻ったケインズに、ソルドは先日預かった猫がその魔法猫だと話した。
「そうだったのか。では飼い主の元に戻ったと言うことだね。では明日、連れてきてくれないかな? 詳しい話を聞きたいんだ」
ケインズが興味を惹かれるのも無理はないだろう。魔法がない世界で魔法が使えてしまう猫が居るのだから。
どうやって連れてこようかと考えていれば、ケインズがいつの間にか隣に座り、耳に触れてきた。
「!!」
「これが魔法で作られているだなんて不思議だな。ふふ、ずっと触ってみたかったんだ。尻尾はなぜ隠しているんだい? いつも出していただろう」
「あ、あの、耳も尻尾も私には今朝ついてしまった物で……それまでは変わりはなかったはずなのですが」
「おかしいね、僕には確かにずっと見えていたのだけど。でもソルドは何故今朝になってそれが着いたと?」
ソルドは自身がジェスを羨ましく思い、その結果起きたら猫になってしまっていたと話さなければならないことに羞恥を覚える。
暫し逡巡したのち、そんな恥ずかしい感情を正直に話すことなどやはりできないと、ソルドは目を逸らしながらしらを切った。
「今朝起きたらなぜか猫になっていまして……」
「……猫に」
「はい、猫に」
「ふっははは、ソルドが猫に、ふふ、そのまま来てくれてもよかったのに」
「なっ私がどれだけ驚いたか! そのお陰で朝から大変だったんですよ」
「あぁそれで珍しく遅刻してきたんだね?」
愉快そうに笑うケインズに対し、他人事だと思ってとムッとしそうになるが、耳を優しく撫でられればそれもすぐに四散してしまう。またもやぐるぐると喉が鳴り、慌ててしまうソルドだったが、ケインズは慣れたように耳を付け根から先端に向けてゆっくりと撫で続かる。
「可愛いねソルド」
蕩けるような笑みと声音は羞恥で赤くなっているソルドを、更に赤くさせた。体が熱くて仕方がないし、心臓も早鐘を打ち痛いほどだ。
いつもより近い距離で、ジェスが撫でられていた時のように撫でられる。それはソルドが望んだことであったが、ふと窓に写った自身の顔を見て我に返る。
いい年をしたおっさんが、顔を赤くし猫耳を触れられる気持ちよさに震えるなど、気持ち悪くて仕方がない。可愛いなど、そんなことはないはずだ。
ソルドの意識が逸れたことに気が付いたケインズは、更に丹念に耳を撫でまわした。するとごろごろとソルドは喉を再び鳴らしだす。
「うっうぅ……」
「ここが良いのかな? 気持ちいいね」
まるでベッドを共にしているような言葉に、ソルドはぐっと息が詰まってしまう。一度そんなことを考えてしまえば、妙な気分に陥り落ち着かない。
だがケインズの手を止められはしなかった。気持ちよさが勝ってしまい、止めなければと思う物の、もっとと望んでしまうのだ。
「そういえば尻尾は出さないのかい? 尻尾も触ってみたかったんだけど」
空いている手でケインズがサラリと腰に手を伸ばし、ソルドは堪らず距離を取った。
「いっいえ、流石に……それは」
「なぜだい?」
「うっ、殿下の前でその、ズボンを脱ぐのは……」
「今まで外に出ていたのに?」
「あくまで予想ですが……今まで実態がなかったのかもしれません。尻尾をしまっているだけでもその、とても窮屈ですので」
「なるほどね、魔法猫殿に詳しく聞いてみるしかないかな」
尻尾を触れないことが余程残念だったのか、ケインズはその代わりと言わんばかりに時間が許す限りソルドの猫耳を撫で続けた。
「……殿下は既に会っておられます」
どういうことだとばかりに首を捻ったケインズに、ソルドは先日預かった猫がその魔法猫だと話した。
「そうだったのか。では飼い主の元に戻ったと言うことだね。では明日、連れてきてくれないかな? 詳しい話を聞きたいんだ」
ケインズが興味を惹かれるのも無理はないだろう。魔法がない世界で魔法が使えてしまう猫が居るのだから。
どうやって連れてこようかと考えていれば、ケインズがいつの間にか隣に座り、耳に触れてきた。
「!!」
「これが魔法で作られているだなんて不思議だな。ふふ、ずっと触ってみたかったんだ。尻尾はなぜ隠しているんだい? いつも出していただろう」
「あ、あの、耳も尻尾も私には今朝ついてしまった物で……それまでは変わりはなかったはずなのですが」
「おかしいね、僕には確かにずっと見えていたのだけど。でもソルドは何故今朝になってそれが着いたと?」
ソルドは自身がジェスを羨ましく思い、その結果起きたら猫になってしまっていたと話さなければならないことに羞恥を覚える。
暫し逡巡したのち、そんな恥ずかしい感情を正直に話すことなどやはりできないと、ソルドは目を逸らしながらしらを切った。
「今朝起きたらなぜか猫になっていまして……」
「……猫に」
「はい、猫に」
「ふっははは、ソルドが猫に、ふふ、そのまま来てくれてもよかったのに」
「なっ私がどれだけ驚いたか! そのお陰で朝から大変だったんですよ」
「あぁそれで珍しく遅刻してきたんだね?」
愉快そうに笑うケインズに対し、他人事だと思ってとムッとしそうになるが、耳を優しく撫でられればそれもすぐに四散してしまう。またもやぐるぐると喉が鳴り、慌ててしまうソルドだったが、ケインズは慣れたように耳を付け根から先端に向けてゆっくりと撫で続かる。
「可愛いねソルド」
蕩けるような笑みと声音は羞恥で赤くなっているソルドを、更に赤くさせた。体が熱くて仕方がないし、心臓も早鐘を打ち痛いほどだ。
いつもより近い距離で、ジェスが撫でられていた時のように撫でられる。それはソルドが望んだことであったが、ふと窓に写った自身の顔を見て我に返る。
いい年をしたおっさんが、顔を赤くし猫耳を触れられる気持ちよさに震えるなど、気持ち悪くて仕方がない。可愛いなど、そんなことはないはずだ。
ソルドの意識が逸れたことに気が付いたケインズは、更に丹念に耳を撫でまわした。するとごろごろとソルドは喉を再び鳴らしだす。
「うっうぅ……」
「ここが良いのかな? 気持ちいいね」
まるでベッドを共にしているような言葉に、ソルドはぐっと息が詰まってしまう。一度そんなことを考えてしまえば、妙な気分に陥り落ち着かない。
だがケインズの手を止められはしなかった。気持ちよさが勝ってしまい、止めなければと思う物の、もっとと望んでしまうのだ。
「そういえば尻尾は出さないのかい? 尻尾も触ってみたかったんだけど」
空いている手でケインズがサラリと腰に手を伸ばし、ソルドは堪らず距離を取った。
「いっいえ、流石に……それは」
「なぜだい?」
「うっ、殿下の前でその、ズボンを脱ぐのは……」
「今まで外に出ていたのに?」
「あくまで予想ですが……今まで実態がなかったのかもしれません。尻尾をしまっているだけでもその、とても窮屈ですので」
「なるほどね、魔法猫殿に詳しく聞いてみるしかないかな」
尻尾を触れないことが余程残念だったのか、ケインズはその代わりと言わんばかりに時間が許す限りソルドの猫耳を撫で続けた。
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