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04 様子がおかしい
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城に戻ったソルドは、ケインズが倒れたと聞くやいなや、着の身着のままケインズの部屋へと駆け出した。
ケインズの部屋の前で同僚の護衛騎士達に足止めを食らっていれば、騒ぎを聞きつけ部屋から顔を出したカステルに、いい大人が情けないと叱られ翌日まで頭を冷やせと追い返されてしまった。
「どうしたんじゃ、落ち着きがない。発情期かの?」
暖かな窓辺で大きく伸びをしながら、のんきな声を出すジェスにイライラとして部屋の中を歩き回っていたソルドはぴたりと足を止める。
「飼い主が倒れたくらいでカリカリするでない」
「だが、私が休暇など取らなければ殿下の執務を無理やりにでも止めることができたんだ。そうすれば殿下が倒れることもなかった……」
「だがその休暇は飼い主から取るように言われたものなのじゃろ? いい飼い主じゃのう」
のんびりと部屋に落ちるジェスの声に肩の力が幾分か抜け、ソルドはどかりとソファに腰を下ろした。
だが不安が消えたわけではない。ケインズは大人になってからは倒れることはなかった。病弱であった頃はそれこそ天候が崩れれば体調も崩れ、寝込むことも多かったのだ。
それでも本を開き兄のためにと勉学に励もうとする姿は今でもソルドの脳裏に焼き付いている。
そんな過去があるからこそ、ソルドはケインズが健康になっても細心の注意を払い、ケインズの側にいたのだ。
しかし今回ばかりはソルドが居ない間にケインズが倒れてしまった。長年ケインズの側に仕えているカステルならば些細な変化も分かる筈なのにと苛立ちが募る。
自身の膝に腕を付き、顔を覆い何度となく溜息を吐いていれば、呆れたようにジェスが声をかけてくる。
「まったくもって辛気臭い坊だのう。お主の飼い主はそんなに軟弱なのか?」
「いや、もう病も完治し健やかにお過ごしだ。だが、あの方は自身をいつも追い詰めてしまうのだ。なんとかして殿下が休養を意識せずに取れるようになればいいのだが……」
「つまりは、癒しがあればいいんじゃな?」
「癒し、そうだな。殿下は常に気を張られているから、癒しになる何かがあればいいとは思うが」
「あいわかった! 我の得意分野じゃ、大船に乗ったつもりでいるとよいぞ、坊よ!」
ソルドの目の前にある机の上で胸を張り、任せんしゃい! と自身の胸に手をどんと叩きつけたジェスは、怪我をしていることを忘れていたようで、あいたたたと蹲る。
偉そうに自信満々な態度をとりながらも、なんとも情けない姿にソルドは思わず苦笑した。
翌日、やたらと上機嫌なジェスに見送られ、ソルドはケインズの部屋へと向かった。まだ一日ほど休暇が残っているのだが、心配で落ち着かないのだと扉の前を守る部下達に告げれば苦笑されてしまう。
軽く扉を叩けばカステルが顔を覗かせた。ソルドの全身を眺め、前日のような着の身着のままではなく、きちんと護衛騎士の制服を身に着けていることを確認すると、漸く入室許可が下りる。
「まだお休み中ですからお静かに」
「いや、起きたよキャス」
小声でソルドに注意を促していたカステルに、ケインズは声をかける。まだ目覚めたばかりで声はかすれていて、喉が張り付き不快感がある。
「キャス、水をもらえるかな」
ケインズが体を起こそうとすれば、すっと慣れてように大きな手が背に添えられ起こされる。
ふっと視線を上げればそこには休暇中のはずのソルドが眉を極限まで下げ、ケインズを見ていた。
あぁマズいぞとケインズが思う間もなく、ソルドが口を開いた。
「殿下、私に休暇を与えてくださるのは有難いのですが、私が居ない間に倒れられては困ります。カステルは何度も休むように言ったと言っていますよ」
「心配させてしまってすまないソルド。僕も倒れるなんて予想外でね、決して無理はしていないのだけど」
通じるとは思っていないが、ケインズはついつい言い訳をしてしまう。これは幼少時よりの癖ともいえた。大人になっても咄嗟に出てしまうほど、ケインズは幼少時に倒れる度にソルドに対して言い訳をしていたのだ。
「あぁソルドが帰ってきたと言うことは、僕は大分寝てしまっていたのかな」
「殿下は二日、目覚められませんでした」
「二日? ソルド、君の休暇はまだ終わってないじゃないか。なんでここにいるんだい?」
「殿下が倒れるからでしょう!? 私がどれだけ心配したことか!」
「もう子供の時のように病弱ではないから、そんなに心配しなくてもいいだろうに」
ケインズが呆れたように言えば、ぐっと喉が詰まったようにソルドが言葉を止めた。少し言い過ぎたか? とケインズはずっと逸らしていた視線をちらりとソルドに向け、ぴしりと目を見開き固まった。
その様子に、ソルドは怪訝そうに眉を顰め、「失礼します」と一言添えてからケインズの額に手を当て熱がないことを確かめると、次は手を取り脈を図る。
「少し脈が速いですね……暫くは執務はお休みして下さい。急ぎの物は増えてはいないでしょう?」
いつもならばここで無理をしてベッドから出ようとするはずのケインズだが、いつまでもその様子を見せず、ソルドは更に訝しむ。
やはりどこか悪いのではないのかと、カステルに医者を呼ぶように指示を出す。その間も、医師が来て診察を受けている間も、ケインズはどこか心あらずといった様子だった。
「殿下、大丈夫ですか?」
あまりの態度の違いに、ソルドは幼い頃のケインズの姿を思い出し苦しくなる。だが反対に、ケインズの心の中はそれどころではなかった。
ベッドに横たわり、ソルドに覗き込まれ、ぱちぱちと何度も瞬きをする。目の間を揉んでみても、目の前の光景は変わらなかった。
「どうも私は知らずに無理をしていたようだね」
そう漏らしたケインズに、ソルドとカステルは目がこぼれんばかりに見開きお互いを見合わせていた。
「もう少し寝ることにするよ」
「そっそうですか、それがいいと思います殿下! ゆっくりとお休みくださいませ」
嬉しそうに破顔したソルドがカステルと共に部屋から出れば、広い寝室にはケインズ一人になる。
そうだ、相当に疲れているに違いないとケインズは目を瞑りながら考える。そうでなければ、ソルドの姿に説明が付かない。
なぜならソルドの頭には、絶妙に似合った三角の黒い猫のような耳と、ゆらゆらと揺れるし尻尾が付いていたのだから。
ケインズの部屋の前で同僚の護衛騎士達に足止めを食らっていれば、騒ぎを聞きつけ部屋から顔を出したカステルに、いい大人が情けないと叱られ翌日まで頭を冷やせと追い返されてしまった。
「どうしたんじゃ、落ち着きがない。発情期かの?」
暖かな窓辺で大きく伸びをしながら、のんきな声を出すジェスにイライラとして部屋の中を歩き回っていたソルドはぴたりと足を止める。
「飼い主が倒れたくらいでカリカリするでない」
「だが、私が休暇など取らなければ殿下の執務を無理やりにでも止めることができたんだ。そうすれば殿下が倒れることもなかった……」
「だがその休暇は飼い主から取るように言われたものなのじゃろ? いい飼い主じゃのう」
のんびりと部屋に落ちるジェスの声に肩の力が幾分か抜け、ソルドはどかりとソファに腰を下ろした。
だが不安が消えたわけではない。ケインズは大人になってからは倒れることはなかった。病弱であった頃はそれこそ天候が崩れれば体調も崩れ、寝込むことも多かったのだ。
それでも本を開き兄のためにと勉学に励もうとする姿は今でもソルドの脳裏に焼き付いている。
そんな過去があるからこそ、ソルドはケインズが健康になっても細心の注意を払い、ケインズの側にいたのだ。
しかし今回ばかりはソルドが居ない間にケインズが倒れてしまった。長年ケインズの側に仕えているカステルならば些細な変化も分かる筈なのにと苛立ちが募る。
自身の膝に腕を付き、顔を覆い何度となく溜息を吐いていれば、呆れたようにジェスが声をかけてくる。
「まったくもって辛気臭い坊だのう。お主の飼い主はそんなに軟弱なのか?」
「いや、もう病も完治し健やかにお過ごしだ。だが、あの方は自身をいつも追い詰めてしまうのだ。なんとかして殿下が休養を意識せずに取れるようになればいいのだが……」
「つまりは、癒しがあればいいんじゃな?」
「癒し、そうだな。殿下は常に気を張られているから、癒しになる何かがあればいいとは思うが」
「あいわかった! 我の得意分野じゃ、大船に乗ったつもりでいるとよいぞ、坊よ!」
ソルドの目の前にある机の上で胸を張り、任せんしゃい! と自身の胸に手をどんと叩きつけたジェスは、怪我をしていることを忘れていたようで、あいたたたと蹲る。
偉そうに自信満々な態度をとりながらも、なんとも情けない姿にソルドは思わず苦笑した。
翌日、やたらと上機嫌なジェスに見送られ、ソルドはケインズの部屋へと向かった。まだ一日ほど休暇が残っているのだが、心配で落ち着かないのだと扉の前を守る部下達に告げれば苦笑されてしまう。
軽く扉を叩けばカステルが顔を覗かせた。ソルドの全身を眺め、前日のような着の身着のままではなく、きちんと護衛騎士の制服を身に着けていることを確認すると、漸く入室許可が下りる。
「まだお休み中ですからお静かに」
「いや、起きたよキャス」
小声でソルドに注意を促していたカステルに、ケインズは声をかける。まだ目覚めたばかりで声はかすれていて、喉が張り付き不快感がある。
「キャス、水をもらえるかな」
ケインズが体を起こそうとすれば、すっと慣れてように大きな手が背に添えられ起こされる。
ふっと視線を上げればそこには休暇中のはずのソルドが眉を極限まで下げ、ケインズを見ていた。
あぁマズいぞとケインズが思う間もなく、ソルドが口を開いた。
「殿下、私に休暇を与えてくださるのは有難いのですが、私が居ない間に倒れられては困ります。カステルは何度も休むように言ったと言っていますよ」
「心配させてしまってすまないソルド。僕も倒れるなんて予想外でね、決して無理はしていないのだけど」
通じるとは思っていないが、ケインズはついつい言い訳をしてしまう。これは幼少時よりの癖ともいえた。大人になっても咄嗟に出てしまうほど、ケインズは幼少時に倒れる度にソルドに対して言い訳をしていたのだ。
「あぁソルドが帰ってきたと言うことは、僕は大分寝てしまっていたのかな」
「殿下は二日、目覚められませんでした」
「二日? ソルド、君の休暇はまだ終わってないじゃないか。なんでここにいるんだい?」
「殿下が倒れるからでしょう!? 私がどれだけ心配したことか!」
「もう子供の時のように病弱ではないから、そんなに心配しなくてもいいだろうに」
ケインズが呆れたように言えば、ぐっと喉が詰まったようにソルドが言葉を止めた。少し言い過ぎたか? とケインズはずっと逸らしていた視線をちらりとソルドに向け、ぴしりと目を見開き固まった。
その様子に、ソルドは怪訝そうに眉を顰め、「失礼します」と一言添えてからケインズの額に手を当て熱がないことを確かめると、次は手を取り脈を図る。
「少し脈が速いですね……暫くは執務はお休みして下さい。急ぎの物は増えてはいないでしょう?」
いつもならばここで無理をしてベッドから出ようとするはずのケインズだが、いつまでもその様子を見せず、ソルドは更に訝しむ。
やはりどこか悪いのではないのかと、カステルに医者を呼ぶように指示を出す。その間も、医師が来て診察を受けている間も、ケインズはどこか心あらずといった様子だった。
「殿下、大丈夫ですか?」
あまりの態度の違いに、ソルドは幼い頃のケインズの姿を思い出し苦しくなる。だが反対に、ケインズの心の中はそれどころではなかった。
ベッドに横たわり、ソルドに覗き込まれ、ぱちぱちと何度も瞬きをする。目の間を揉んでみても、目の前の光景は変わらなかった。
「どうも私は知らずに無理をしていたようだね」
そう漏らしたケインズに、ソルドとカステルは目がこぼれんばかりに見開きお互いを見合わせていた。
「もう少し寝ることにするよ」
「そっそうですか、それがいいと思います殿下! ゆっくりとお休みくださいませ」
嬉しそうに破顔したソルドがカステルと共に部屋から出れば、広い寝室にはケインズ一人になる。
そうだ、相当に疲れているに違いないとケインズは目を瞑りながら考える。そうでなければ、ソルドの姿に説明が付かない。
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