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106 悍ましい行為
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手の平から流れ込んでくる精霊族の魔力に体が強い拒否反応を示すが、それを弾いてしまわないように体内へと敢えて招き入れる。
ずっと核があったからだろうが、拒否反応はあれど体内で暴れ回ることはなく、受け入れておくことができていた。そのことに安堵を覚えつつ、流し込まれる異物をそのままにしておくことも気持ちが悪いので、受け入れた先から自身の魔力で包んでいく。
同時に、ジェンツはこの行為で何をしたいのかと受け入れた魔力から読み取ることに専念した。
時間にして僅かな間に、春輝はジェンツの意図を読み取ると体から力を抜いた。だらりと下ろされた腕からは、支えを失ったうさぎのぬいぐるみが零れ落ちる。
ぽすりと音を立てて足元に落ちたぬいぐるみを見たジェンツは、春輝の光の灯らない瞳を見て満足そうに頷いていた。
自らぬいぐるみを手放したことで春輝は縋る物が無くなり、途端に不安に襲われそうになるが、この場ではこれが正解だ。
「さぁハルキ、こちらへ」
差し出された細く白い手に、春輝は従うように自身の手を伸ばす。満足そうに微笑むジェンツに手を引かれながら、向かった先は執務室の中にある本棚の前だった。
開かれた先には下へと続く階段があり、それを手を引かれながらジェンツと降りる。
暫くして到着したドーム状の空間には、他の精霊族と思わしき人々が忙しなく動きまわっていた。
気が付かれないように周りに視線を巡らせ、ここが精霊族の真の本拠地であると春輝は悟っていた。
地下にこれほどまでの空間が広がっているとは。トビアスによって地下にあるだろうことは分かってはいたのだが、想像よりも広すぎる空間に春輝は眉を顰めそうになる。
「おぉこちらが……」
「素晴らしいでしょう?」
「えぇ本当に。これで安心して次代をお迎えできるのですね」
「彼には頑張って貰わなければ。さて、胚の成長具合を確認しましょうか。あぁやっと貴方に深く触れることができますね」
連れられた先はホールの中央。その中央に設置された石でできた台の前に立たされた春輝は、ジェンツの弄るような手の動きに吐き気が込み上げる。
この先を嫌でも想像して春輝は慄いた。ガベルトゥス以外にその身を許すなど考えたくもない。
胚の確認がまさか体を重ねることだとは。まぐわうのはその期間が来るまで無いものだと思い込んでしまっていた。
だがジェンツはただの胚を求めているのではなく、どうやら春輝自身も求めているようなのだ。
そう分かった瞬間から体は急速に冷えきり、体は震えそうになる。ここで事を起こすことは最善とは言えない。だが受け入れることなどできはしない。
いつの間にか増えていく精霊族はジェンツと春輝を取り囲むように疎らな円を描いていた。周りからは無数の視線が突き刺さる。まるで見世物だ。
このまま先に進むか、計画を全てを壊し拒絶するか。春輝は二択を迫られていた。悩む間もジェンツは堪能するように春輝の体を弄る手を止めることなく、遂には服の下へと手を滑らそうとしてきた。
耐え切れない程の嫌悪感が春輝を襲ったその時――
「あぁああぁぁぁぁあ゛あ゛ぁっ!!」
背後から突然上がった叫び声に、ジェンツが手を止め後ろを振り返るとドスンと鈍い音が響いた。
ずっと核があったからだろうが、拒否反応はあれど体内で暴れ回ることはなく、受け入れておくことができていた。そのことに安堵を覚えつつ、流し込まれる異物をそのままにしておくことも気持ちが悪いので、受け入れた先から自身の魔力で包んでいく。
同時に、ジェンツはこの行為で何をしたいのかと受け入れた魔力から読み取ることに専念した。
時間にして僅かな間に、春輝はジェンツの意図を読み取ると体から力を抜いた。だらりと下ろされた腕からは、支えを失ったうさぎのぬいぐるみが零れ落ちる。
ぽすりと音を立てて足元に落ちたぬいぐるみを見たジェンツは、春輝の光の灯らない瞳を見て満足そうに頷いていた。
自らぬいぐるみを手放したことで春輝は縋る物が無くなり、途端に不安に襲われそうになるが、この場ではこれが正解だ。
「さぁハルキ、こちらへ」
差し出された細く白い手に、春輝は従うように自身の手を伸ばす。満足そうに微笑むジェンツに手を引かれながら、向かった先は執務室の中にある本棚の前だった。
開かれた先には下へと続く階段があり、それを手を引かれながらジェンツと降りる。
暫くして到着したドーム状の空間には、他の精霊族と思わしき人々が忙しなく動きまわっていた。
気が付かれないように周りに視線を巡らせ、ここが精霊族の真の本拠地であると春輝は悟っていた。
地下にこれほどまでの空間が広がっているとは。トビアスによって地下にあるだろうことは分かってはいたのだが、想像よりも広すぎる空間に春輝は眉を顰めそうになる。
「おぉこちらが……」
「素晴らしいでしょう?」
「えぇ本当に。これで安心して次代をお迎えできるのですね」
「彼には頑張って貰わなければ。さて、胚の成長具合を確認しましょうか。あぁやっと貴方に深く触れることができますね」
連れられた先はホールの中央。その中央に設置された石でできた台の前に立たされた春輝は、ジェンツの弄るような手の動きに吐き気が込み上げる。
この先を嫌でも想像して春輝は慄いた。ガベルトゥス以外にその身を許すなど考えたくもない。
胚の確認がまさか体を重ねることだとは。まぐわうのはその期間が来るまで無いものだと思い込んでしまっていた。
だがジェンツはただの胚を求めているのではなく、どうやら春輝自身も求めているようなのだ。
そう分かった瞬間から体は急速に冷えきり、体は震えそうになる。ここで事を起こすことは最善とは言えない。だが受け入れることなどできはしない。
いつの間にか増えていく精霊族はジェンツと春輝を取り囲むように疎らな円を描いていた。周りからは無数の視線が突き刺さる。まるで見世物だ。
このまま先に進むか、計画を全てを壊し拒絶するか。春輝は二択を迫られていた。悩む間もジェンツは堪能するように春輝の体を弄る手を止めることなく、遂には服の下へと手を滑らそうとしてきた。
耐え切れない程の嫌悪感が春輝を襲ったその時――
「あぁああぁぁぁぁあ゛あ゛ぁっ!!」
背後から突然上がった叫び声に、ジェンツが手を止め後ろを振り返るとドスンと鈍い音が響いた。
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