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40 燻る思い2★

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*微妙な背後注意









 喉の奥でくくっと笑うガベルトゥスに春輝は訝しむ。
 いつもならば、嫌々な態度の春輝の欲を暴くように性急に勧められる戯れだが、今日はやけに焦らすように触られる。
 慣れてしまった行為は簡単に春輝の欲を引き摺り出してしまうようになっていた。だからだろうか、いつもと違うガベルトゥスの行動と態度が春輝を苛つかせる。
 なにが楽しいのか一人愉快そうに笑うガベルトゥスを睨みつけるが、それすらも琴線に触れるようで更に笑みを深めていくばかりだ。

「味方が必要なのはわかる。ハルキがこの場所に居ようともあのいけ好かない領地に行こうとも、一人ぐらいは信頼できる者がいた方がいいだろう。それが忠犬なら俺も安心ではあるが……」

 明確な快楽を与えないまま言葉を続けるガベルトゥスに、下半身からゾワゾワとむず痒さが広がる。もどかしさを覚えるが、やるならやる、やらないなら早く退けと春輝はガベルトゥスの分厚い胸板に手を当て押し除けようとした。
 だがなにかを考える素振りを見せたガベルトゥスは、顎髭を撫でふむと頷くと、ガラリと艶やかな雰囲気へと変えてくる。

「街に出るくらいだ、体調はある程度いいんだろう春輝?」
「ある程度は」
「そうか、それなら大丈夫だろう」

――なにが? と問う間もなく、一段と深く口づけられた。分厚く長いガベルトゥスの舌が春輝の舌に絡みつき、卑猥な音を立てて奥まで侵入してくる。
 苦しさに生理的な涙が春輝の目に薄く浮かんだ。這いずり回る手が下履きの中に入り込み、直接的な快感を与えられれば、腰が一層重くなる。
 いつもであるならば、ガベルトゥス自身も己の物を取り出し、一緒になり欲望を解放するのだが、おかしなことにそんな様子は見せず、ただ春輝の欲を高めていくだけだった。
 違和感を覚えながらも、高められた欲望を解放してしまう。上がる息を整えていれば、体をぐるりと反転させられ、うつぶせにされた。

「なにすんだ」
「前に言っただろう? 交わるのは回復したらだと」

 薄い尻を柔く揉まれそのまま割れ目に指が入る。窄まりに指の腹が這わされ嫌でも何をされるか春輝は理解した。
 一度は無理やられているのだ、この先がなんであるか知らないわけではない。すっかりと軽い戯れに慣れてしまい、それ以上の行為に発展することが頭から抜け落ちていた春輝は、無意識に体を硬直させてしまう。

「優しくしてやるから安心しろハルキ」

 耳元に寄せられた口から、奥に吹き込むように低い声で囁かれるのと同時に、節くれだった太い指が春輝の中に侵入してきた。
 春輝が出した物を潤滑剤に、緩慢動きでガベルトゥスの指は奥へと進んでいく。
 怖くはないと思っていたはずが、春輝の脳は騎士達に好き放題にやられてしまった状況を思いだし、ぐっと自身の唇を噛んだ。
 トラウマなんてらしくない。ましてや恐怖を感じるなど。己の状況に嫌悪感が募る春輝は、うさぎのぬいぐるみをきつく抱きしめる。

「やるなら、とっととやれよ」

 苦痛でしかない時間はすぐにでも終わらせてほしい。高ぶっていた熱は、欲望を吐き出し落ち着き、そこから更に急降下していた。
 いつものように、戯れが終わった後の微睡むような感覚はどこにもない。

 だが、春輝が考えていたよりもガベルトゥスは入念に春輝の体を溶かしていった。
 入り込んだ指を動かし、前立腺を見つければそこを丹念に刺激する。
 経験したことのない感覚は、春輝を更に困惑させたが、それを落ち着かせるようにガベルトゥスは後ろから春輝を抱き込み、あやすように頭や耳に口付けてくる。
 その行為が戯れで慣らされた春輝に快楽を運び始めるのに時間はかからなかった。

 だがそんな中にあっても未だ荒ぶる心中は更に掻き乱されるだけだ。
 襲いくる記憶と知らない快感に戸惑いを見せる春輝に、ガベルトゥスは殊更優しく、甘やかな声音で囁く。

「抵抗しないのか? 嫌なら止めてやらないこともないぞ?」

ーー抵抗すればいいのだ。そう思いはするのに、春輝は未だそれができずにいた。
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