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第二部-失意の先の楽園
70. 攻防2
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「本来は君を高値で売り飛ばして、ここをさらに快適なものにするはずだったし、君を手に入れたαにこの場所を庇護してもらうつもりだったんだよねぇ」
じわじわと体の内から湧き上がる熱と疼きに耐えながら千尋は藻掻く。だがその刺激すらも快楽に変わり始めていた。
「なのに、全てがぱぁだ!! 僕が長年かけて作った楽園なのに!!」
フレディは頭を掻きむしり、苛立ちを露わにして、
一体どこで間違えたのか、全ては完璧であったのにと嘆く。
マークスの元にライリーが現れなければ、この場所の存在が公になることはなかったかもしれない。
もしくはフレディが欲をかかず、外のα達に薬を売ったり、千尋の存在を知らなければ――
全てはたらればの話だが、いずれにせよ遅かれ早かれ、この場所はことは知られていただろうに。
なんとか思考を保とうと、フレディの話を考えていたが、媚薬と何ら変わらない効果をもたらし始めた薬には容赦がない。
既に千尋は体の震えが止まらなくなっていた。
「あぁ、薬が効いてきたみたいだねぇ」
耳はフレディの声を脳まで直接届けるように、大きく拾う。
目は千尋の上に跨ったままのフレディの一挙手一投足を逃すまいと見てしまう。
体は疼きが増していき、目の前の男を求めて仕方がなくないと言わんばかりだ。
本物の運命の番と対峙したことが三度ほどある千尋には、この感覚が紛い物以外の何物でもないことを知っている。
しかし本能に強く引き寄せられる、あの抗いようもない感覚を普通は知らないものなのだ。
この薬を使ったΩが、αを、そしてβを、運命の番と誤認させられるのも仕方がない程に、薬によって齎される感覚は、運命の番と出会った時と似通っていた。
違うところがあるとすれば、身を引き裂かれるほどの切なさと湧き上がる歓喜がない代わりに、それらが全て性的な欲に変わっているところだろう。
薬によって齎された感覚にさらに引きずり落そうと、フレディの骨ばった細い手がシャツの中に入り込んで肌を撫でまわす。
嫌悪感と感じたくもない快楽が同時に押し寄せ、一気に肌が粟立った。
それと同時に、過去に起きた出来事もフラッシュバックする。
まだ学生だった頃、実の兄によって集められたα達に襲われた時のことを鮮明に思い出してしまったのだ。
間一髪のところで助けられたが、肌の上を這いまわる気持ちの悪さは千尋の中で残っていた。
それが尾を引き暫くは悪夢に魘され、何度成瀬に助けを求め、助けられたことか。
その事件以降千尋は厳重に守られてきたし、自身でも守りを固めていた。
だからこそ、あの頃の記憶を思い出すことが今の今までなかったというのに――
「いいねぇ、ここまで抵抗する子は今まで居なかったけど……抵抗されるのも案外興奮するもんだね?」
ぐるりと体を難なく反転させられ、うつ伏せにされる。
大量の薬を飲まされたせいか、既に千尋は体を少し動かすのもつらい状況に陥っていた。
適量であれば、フェロモンアタックの時に見たΩ達のように強力な力が出せただろう。
だが適量以上の薬が体内に入り込んだ今、少し体を動かすだけでもそれが刺激となってしまい、一気に快楽の渦に飲み込まれてしまいそうになるのだ。
それが恐ろしくて堪らない。
「そんな君が、僕を運命の番と認識して、乱れるさまは……もっと興奮するんだろうなぁ」
ぐっと押し付けられた物に、千尋は息を詰める。
この状況に興奮しているのだろうフレディが、千尋の尻に己の昂りを押し付けてきたのだ。
勝手に興奮させられている体は、そんなフレディを受け入れようとしてしまい、千尋は己の腕に深く歯を立てる。
幸いそれは快楽ではなく、キチンと痛みとして脳に伝わった。
まだ全ては飲み込まれてはいないと、その痛みがまるで命綱のように感じて千尋はさらに歯をめり込ませる。
床に体重をかけて体を押し付けられ、強制的に勃ちあがってしまった千尋自身の物が床に押し付けられて快楽と共に不快感が増す。
後孔はすでに湿り気を帯びているし、勃ちあがった自身のものの先からは先走りが溢れていた。
あまりの情けなさに、千尋は腕を深く噛みながら悔し涙を流すことしかできない。
「さて、女神さまの味はどんなものかなぁ」
後ろから首元をはだけさせられると、項を露わにさせられそこをべろりと舐められた。
「ひっ!!」
ビリビリと全身を駆け巡った感覚に、千尋の全身が跳ねる。
今、千尋の首には項を守るネックガードがない。
それがこれほどまでに心細く、恐怖心を煽るとは。
だがフレディはすぐに項を噛もうとはしなかった。
それはまるで千尋を完全に屈服させ、自らを捧げてくるのも待っているかのようにも思える。
フレディの手が絶えず体のあちこちを這いまわり、味わうように背中に舌を這わせられる。
その間も、千尋の後孔にはズボンが隔てているとはいえ、フレディのものが常に押し当てられていた。
気を抜けば浅ましくも目の前の男に縋ってしまいそうな悍ましい感覚に苛まれながら、千尋はただただレオが助けに来ると信じて耐えるしかなかった。
じわじわと体の内から湧き上がる熱と疼きに耐えながら千尋は藻掻く。だがその刺激すらも快楽に変わり始めていた。
「なのに、全てがぱぁだ!! 僕が長年かけて作った楽園なのに!!」
フレディは頭を掻きむしり、苛立ちを露わにして、
一体どこで間違えたのか、全ては完璧であったのにと嘆く。
マークスの元にライリーが現れなければ、この場所の存在が公になることはなかったかもしれない。
もしくはフレディが欲をかかず、外のα達に薬を売ったり、千尋の存在を知らなければ――
全てはたらればの話だが、いずれにせよ遅かれ早かれ、この場所はことは知られていただろうに。
なんとか思考を保とうと、フレディの話を考えていたが、媚薬と何ら変わらない効果をもたらし始めた薬には容赦がない。
既に千尋は体の震えが止まらなくなっていた。
「あぁ、薬が効いてきたみたいだねぇ」
耳はフレディの声を脳まで直接届けるように、大きく拾う。
目は千尋の上に跨ったままのフレディの一挙手一投足を逃すまいと見てしまう。
体は疼きが増していき、目の前の男を求めて仕方がなくないと言わんばかりだ。
本物の運命の番と対峙したことが三度ほどある千尋には、この感覚が紛い物以外の何物でもないことを知っている。
しかし本能に強く引き寄せられる、あの抗いようもない感覚を普通は知らないものなのだ。
この薬を使ったΩが、αを、そしてβを、運命の番と誤認させられるのも仕方がない程に、薬によって齎される感覚は、運命の番と出会った時と似通っていた。
違うところがあるとすれば、身を引き裂かれるほどの切なさと湧き上がる歓喜がない代わりに、それらが全て性的な欲に変わっているところだろう。
薬によって齎された感覚にさらに引きずり落そうと、フレディの骨ばった細い手がシャツの中に入り込んで肌を撫でまわす。
嫌悪感と感じたくもない快楽が同時に押し寄せ、一気に肌が粟立った。
それと同時に、過去に起きた出来事もフラッシュバックする。
まだ学生だった頃、実の兄によって集められたα達に襲われた時のことを鮮明に思い出してしまったのだ。
間一髪のところで助けられたが、肌の上を這いまわる気持ちの悪さは千尋の中で残っていた。
それが尾を引き暫くは悪夢に魘され、何度成瀬に助けを求め、助けられたことか。
その事件以降千尋は厳重に守られてきたし、自身でも守りを固めていた。
だからこそ、あの頃の記憶を思い出すことが今の今までなかったというのに――
「いいねぇ、ここまで抵抗する子は今まで居なかったけど……抵抗されるのも案外興奮するもんだね?」
ぐるりと体を難なく反転させられ、うつ伏せにされる。
大量の薬を飲まされたせいか、既に千尋は体を少し動かすのもつらい状況に陥っていた。
適量であれば、フェロモンアタックの時に見たΩ達のように強力な力が出せただろう。
だが適量以上の薬が体内に入り込んだ今、少し体を動かすだけでもそれが刺激となってしまい、一気に快楽の渦に飲み込まれてしまいそうになるのだ。
それが恐ろしくて堪らない。
「そんな君が、僕を運命の番と認識して、乱れるさまは……もっと興奮するんだろうなぁ」
ぐっと押し付けられた物に、千尋は息を詰める。
この状況に興奮しているのだろうフレディが、千尋の尻に己の昂りを押し付けてきたのだ。
勝手に興奮させられている体は、そんなフレディを受け入れようとしてしまい、千尋は己の腕に深く歯を立てる。
幸いそれは快楽ではなく、キチンと痛みとして脳に伝わった。
まだ全ては飲み込まれてはいないと、その痛みがまるで命綱のように感じて千尋はさらに歯をめり込ませる。
床に体重をかけて体を押し付けられ、強制的に勃ちあがってしまった千尋自身の物が床に押し付けられて快楽と共に不快感が増す。
後孔はすでに湿り気を帯びているし、勃ちあがった自身のものの先からは先走りが溢れていた。
あまりの情けなさに、千尋は腕を深く噛みながら悔し涙を流すことしかできない。
「さて、女神さまの味はどんなものかなぁ」
後ろから首元をはだけさせられると、項を露わにさせられそこをべろりと舐められた。
「ひっ!!」
ビリビリと全身を駆け巡った感覚に、千尋の全身が跳ねる。
今、千尋の首には項を守るネックガードがない。
それがこれほどまでに心細く、恐怖心を煽るとは。
だがフレディはすぐに項を噛もうとはしなかった。
それはまるで千尋を完全に屈服させ、自らを捧げてくるのも待っているかのようにも思える。
フレディの手が絶えず体のあちこちを這いまわり、味わうように背中に舌を這わせられる。
その間も、千尋の後孔にはズボンが隔てているとはいえ、フレディのものが常に押し当てられていた。
気を抜けば浅ましくも目の前の男に縋ってしまいそうな悍ましい感覚に苛まれながら、千尋はただただレオが助けに来ると信じて耐えるしかなかった。
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