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第二部-失意の先の楽園
12 基地へ
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すっかりと体調が回復した千尋は、レオが運転する車に乗り基地へと向かう。厳重に守られているゲートでセキュリティチェックを受け、指示された場所までレオが更に車を走らせる。
基地の奥にある建物の地下へ入り、車から降りれば既に迎えが待っていた。大柄な体できっちりと着こなす軍服の胸元には沢山の勲章が並んでいる。
どことなしか周りに緊張感が漂っているのも、千尋達を迎えに来た目の前の人物のせいとも言えた。
「久しぶりだなレオ。それに千尋君も」
「お久しぶりです、フレッド司令官」
踵を揃えてキッチリと敬礼をしたレオに、フレッドは厳つい顔つきに似合わぬ笑みを浮かべて相好を崩す。
「もう君の上官ではないんだからそう固くならないでくれ。なぁ千尋君」
「軍人らしいレオが見られる機会はなかなかないですから、新鮮ですので。私はこのままでいいのですけどね」
「そうかい? ふむ、それなら今日は訓練もするとしようか。丁度大統領からも近々やるように言われていたんだよ。休暇中と聞いたが構わないかな?」
「えぇ、元々今日は一日空いていますから」
フレッドに先導され、建物の内部へと進んで行く。無機質な室内はどこも似たような作りと色合いで、一人で歩けば迷子になりそうだった。
道すがら、一般兵達はこの基地での最高責任者であるフレッドの登場に驚き、背筋を伸ばし敬礼していく。
慣れたように進んでいくレオとフレッドと共に千尋も何食わぬ顔で着いていくが、独特の雰囲気と緊張感はいつまで経っても慣れるものではなかった。
「さぁこっちだ」
フレッドに促され入った部屋は壁の一面がガラス張りになっていて、その先にあるもう一つの部屋が見えた。
コンクリートが剥き出しの向こう側の部屋はシューティングレンジ――射撃訓練用の場所のようだった。
「先に新調する銃を選んでくれ。新しい物と、使い慣れているのを用意した。今のはどうだ?」
「特に問題はないですが、大統領に警戒しろと言われていますから最新のものに変えようかと。と言ってもこの国では銃自体無用の長物ですがね」
「今の銃はなんだ? ――あぁこれか。新しく正式採用されたやつはもっと携帯向きだぞ」
レオとフレッドが並べられた銃を比較しながら、アレやコレやと銃を吟味していく。普段は見ることの無いレオの姿に、千尋は心なしかワクワクとしていた。
暫くすると銃を手にしたレオが、隣のシューティングレンジへと入っていく。千尋はその様子をガラス窓の所から見ていた。
真ん中の仕切りの場所まで行くと耳栓を着け、レオはマガジンを慣れたように装填しハンドガンを構えて連続で撃っていく。
大きな銃声は壁を通り越して千尋の居る部屋にも届き、僅かに耳が痛くなった。千尋の隣ではフレッドが眼光鋭くレオの挙動を全て観察するように見ていて、流石はレオの元上官だなと感心する。
全てのマガジンを装填し撃ち終われば、吊るされていた的がレオの元まで自動で運ばれてくる。レオの撃った弾は全段的の中央付近を貫通していた。
「射撃の腕は訛ってないようだな」
満足そうにフレッドが頷けば、レオが部屋に戻ってきた。
「今後はこれを携帯しようと思います。一式準備してもらえますか?」
「あぁ。帰るまでに用意させよう」
「それで、訓練なんですがどこで?」
「外でやってから室内もやる。一通りやって大統領に報告書を提出しなくてはなんでな。あぁ、千尋君の警護が心配か? ここで何かあるわけがないが、腕利きを用意している。そろそろ来るはずだが」
丁度その時扉がノックされ、フレッドが入室を許可すれば一人の美しい女性が入ってきた。
「彼女なら安心だろう?」
そう問われたレオが安心したように目元を緩めたのを千尋は見逃さなかった。
基地の奥にある建物の地下へ入り、車から降りれば既に迎えが待っていた。大柄な体できっちりと着こなす軍服の胸元には沢山の勲章が並んでいる。
どことなしか周りに緊張感が漂っているのも、千尋達を迎えに来た目の前の人物のせいとも言えた。
「久しぶりだなレオ。それに千尋君も」
「お久しぶりです、フレッド司令官」
踵を揃えてキッチリと敬礼をしたレオに、フレッドは厳つい顔つきに似合わぬ笑みを浮かべて相好を崩す。
「もう君の上官ではないんだからそう固くならないでくれ。なぁ千尋君」
「軍人らしいレオが見られる機会はなかなかないですから、新鮮ですので。私はこのままでいいのですけどね」
「そうかい? ふむ、それなら今日は訓練もするとしようか。丁度大統領からも近々やるように言われていたんだよ。休暇中と聞いたが構わないかな?」
「えぇ、元々今日は一日空いていますから」
フレッドに先導され、建物の内部へと進んで行く。無機質な室内はどこも似たような作りと色合いで、一人で歩けば迷子になりそうだった。
道すがら、一般兵達はこの基地での最高責任者であるフレッドの登場に驚き、背筋を伸ばし敬礼していく。
慣れたように進んでいくレオとフレッドと共に千尋も何食わぬ顔で着いていくが、独特の雰囲気と緊張感はいつまで経っても慣れるものではなかった。
「さぁこっちだ」
フレッドに促され入った部屋は壁の一面がガラス張りになっていて、その先にあるもう一つの部屋が見えた。
コンクリートが剥き出しの向こう側の部屋はシューティングレンジ――射撃訓練用の場所のようだった。
「先に新調する銃を選んでくれ。新しい物と、使い慣れているのを用意した。今のはどうだ?」
「特に問題はないですが、大統領に警戒しろと言われていますから最新のものに変えようかと。と言ってもこの国では銃自体無用の長物ですがね」
「今の銃はなんだ? ――あぁこれか。新しく正式採用されたやつはもっと携帯向きだぞ」
レオとフレッドが並べられた銃を比較しながら、アレやコレやと銃を吟味していく。普段は見ることの無いレオの姿に、千尋は心なしかワクワクとしていた。
暫くすると銃を手にしたレオが、隣のシューティングレンジへと入っていく。千尋はその様子をガラス窓の所から見ていた。
真ん中の仕切りの場所まで行くと耳栓を着け、レオはマガジンを慣れたように装填しハンドガンを構えて連続で撃っていく。
大きな銃声は壁を通り越して千尋の居る部屋にも届き、僅かに耳が痛くなった。千尋の隣ではフレッドが眼光鋭くレオの挙動を全て観察するように見ていて、流石はレオの元上官だなと感心する。
全てのマガジンを装填し撃ち終われば、吊るされていた的がレオの元まで自動で運ばれてくる。レオの撃った弾は全段的の中央付近を貫通していた。
「射撃の腕は訛ってないようだな」
満足そうにフレッドが頷けば、レオが部屋に戻ってきた。
「今後はこれを携帯しようと思います。一式準備してもらえますか?」
「あぁ。帰るまでに用意させよう」
「それで、訓練なんですがどこで?」
「外でやってから室内もやる。一通りやって大統領に報告書を提出しなくてはなんでな。あぁ、千尋君の警護が心配か? ここで何かあるわけがないが、腕利きを用意している。そろそろ来るはずだが」
丁度その時扉がノックされ、フレッドが入室を許可すれば一人の美しい女性が入ってきた。
「彼女なら安心だろう?」
そう問われたレオが安心したように目元を緩めたのを千尋は見逃さなかった。
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