72 / 95
72 非日常を日常へ2
しおりを挟む
「お久しぶりでございますフェリチアーノ様、お元気そうで何よりでございます」
にこやかに出迎えたシルヴァンに、思わず顔が引き攣りそうになる。それをなんとか堪え、フェリチアーノはベラベラと楽しそうに喋るシルヴァンに適当な相槌を打ちながら、アンベールが待つ部屋へと歩みを進めた。
セザールを亡き者にしておいて、なぜそんな笑みが浮かべられるのか。
家令の証であるお仕着せを身につけ、よくも自分の前に立てた物だと怒りで震えそうになる。だが書類にサインを貰うまでは感情的になるべきでは無いのだ。
フェリチアーノの後ろには護衛のヴィンスが付き従っていた。一人では無いというだけで幾分か心が落ち着く物だとフェリチアーノは思うのだった。
しかしシルヴァンは違うようで、フェリチアーノが一人では無かった事に驚いた様子であった。
それもそうだろう、フェリチアーノが今まで誰かを伴ってこの屋敷に踏み入れた事など一度もないのだから。
不信感を滲ませたシルヴァンだったが、ヴィンスが心配性のテオドールから直々につけられた護衛だと聞かされれば、警戒を解いていた。
部屋に入ればまだ空は明るいというのに空にした酒瓶を何本もテーブルに置き、葉巻を吹かすアンベールが居た。 思わず溜息を吐いてしまい、それに反応したアンベールが片眉を上げる。
「ふん、殿下と恋仲になってから少しは見れる様になったかと思ったが……これはまた殿下の寵愛は深いらしいな」
全身をじっとりと見られ、嫌らしく目を細められた。
ミリア達の提案で、フェリチアーノが今身につけている衣服はアンベール達の趣味に合った派手派手しい物だ。普段なら絶対に身に付けない様な服と宝飾品は、どうやらアンベールのお気に召したらしかった。
アンベール達に分かりやすい様に、目に見える形でテオドールからの寵愛の形を彼等が好む物で見せつける。これで金に目がない彼等は寵愛を心底信じ込み、そしてボロを出すだろうとミリア達は言っていたのだ。
「それでお前はいつ帰って来るんだ? いつまでも城で世話になる訳にもいかないだろう? 仕事も放り出したままだ」
「……そうですね、なるべく早く帰ろうとは思いますが」
「そうしてくれ、仕事が滞れば収入が減るだろう。お前が居ないせいでどれだけ大変かわかるか? 領民もお前が居れば安心するだろう。デュシャンはお前の肩にかかっているんだぞ? 家族と家は大切にしなければ、そうだろう?」
少し前であれば、アンベールの言葉に何とか自分を納得させて金策に走り、執務をこなしただろう。しかし今となってはアンベールがどの様に言ったとて、フェリチアーノの心には響きはしない。
それに守るべき領地も既に返上している。国からの重要な書類は全てテオドールを介してフェリチアーノに届けられており、アンベール達の元へ届く事もないので、既に領地が無い事など彼等は知る由もなかった。
執務をこなしているのであれば気付ける事だが、少し前に訪れた時の執務室の様子を見れば何もしていない事など分かりきっていた。
積み上がった封が切られていない手紙の束など、普通であればあり得ない。だがそのおかげで無事に領地を返上出来たのだ。
「旦那様、あまりフェリチアーノ様を責めてはいけませんよ、殿下の寵愛よろしいじゃ無いですか。デュシャン家の誉ですよ」
さり気なく会話をしながらテーブルに置かれた物を見て、フェリチアーノは動揺を抑えるのに手首に爪を立てギュッと強く握り締めた。
「このお茶も久しぶりでございましょう? 何度か届けようとしたのですが物品はダメだと断られていましたので」
どうぞとお茶と共にジャムも置かれ、フェリチアーノは更に爪を食い込ませた。これがどう言う意味で置かれているかわからない筈がない。
紛れも無い殺意を目の前に差し出して来るとは。
彼等は未だにフェリチアーノを亡き者にしようと狙っているのだ。
未だにバレていないと信じ込み、護衛として付いてきているヴィンスの前でも平気でこれを出してくる。
絶対にバレないという確信があるのだろう。現に個々に調べても毒は出ないのだからその自信もわかるが、余りにも露骨すぎる。
「確かに久しぶりだね」
手の震えがバレないように注意をしながら、ジャムをカップに入れ時間を稼ぐ様にゆっくり溶かす。手首にはリンドベルが作った魔道具が嵌められている為、この場で飲んでも死にはしないだろう。
しかし自ら進んで毒を口にするなど、今のフェリチアーノには出来なかった。生きたいと強く願う今となっては、死に繋がるとわかっている物を平気なふりをして飲めるはずもない。
「フェリチアーノ様、お時間があまりありませんので書類を見てもらっては?」
カップに口をつける瞬間、不自然にならない様にヴィンスがフェリチアーノにさり気無く止めに入る。
テオドールから詳細を聞かされているヴィンスは、フェリチアーノに出された物がどんな物か知っている。
止められた事にほっとしながら、フェリチアーノは数枚の書類を出した。名目はフェリチアーノの滞在にかかる費用は全てテオドールが負担する、そして暫く執務が出来ない事への謝礼金を渡す、と言うものだ。それを1枚目に書き、2枚目以降にはそれに伴う事項が書かれている……と言うことを簡単にアンベール達に説明をした。
謝礼金と聞き、アンベール達は目を輝かせた。書類に目を通しているが、ほぼ読んでいないと言うことは、アンベールの目の動きで分かった。
ざっと目を通したアンベールは、シルヴァンに差し出された万年筆で手早くサインをする。
あぁこれで全てから解放されたのだと、フェリチアーノは泣きそうになるのを堪えた。
戻された書類に目を通し、しっかりとサインされている事を確認したフェリチアーノは、はやる気持ちを押さえながら、ジャケットの内側から小切手を取り出し、机に置いた。
「これは?」
「また暫く不在にしますので、その間に何かあれば困るかと思い個人的に用意しました」
少なくない金額が書かれた小切手を見てアンベールはニヤリと笑う。
「フェリチアーノ様、お時間です」
小切手に夢中な彼等にフェリチアーノは撒き餌として用意しておいて良かったと思う。こんな所には少したりとも居たくはないのだ。足止めされたら堪らない。
ヴィンスに促され退出するフェリチアーノを、アンベール達はチラリと見ただけだった。
口を付けていないお茶にも気付いては居ないだろう。
馬車は急いでグレイス邸へと走る。その間フェリチアーノは馬車の中、ひたすらに耐えていた。
「フェリ!!」
いつの間にか着いていたグレイス邸の前には、心配そうに帰りを待って居たテオドールが居た。
それを見た瞬間、フェリチアーノはテオドールの元へと走りその胸元に飛び込んだ。
「無事でよかった、お帰りフェリチアーノ」
あの忌々しい場所から帰って来れたのだと、ここが帰る場所なのだと安堵したフェリチアーノの目からは涙がとめどなく溢れ、それは暫く止まる事は無かった。
にこやかに出迎えたシルヴァンに、思わず顔が引き攣りそうになる。それをなんとか堪え、フェリチアーノはベラベラと楽しそうに喋るシルヴァンに適当な相槌を打ちながら、アンベールが待つ部屋へと歩みを進めた。
セザールを亡き者にしておいて、なぜそんな笑みが浮かべられるのか。
家令の証であるお仕着せを身につけ、よくも自分の前に立てた物だと怒りで震えそうになる。だが書類にサインを貰うまでは感情的になるべきでは無いのだ。
フェリチアーノの後ろには護衛のヴィンスが付き従っていた。一人では無いというだけで幾分か心が落ち着く物だとフェリチアーノは思うのだった。
しかしシルヴァンは違うようで、フェリチアーノが一人では無かった事に驚いた様子であった。
それもそうだろう、フェリチアーノが今まで誰かを伴ってこの屋敷に踏み入れた事など一度もないのだから。
不信感を滲ませたシルヴァンだったが、ヴィンスが心配性のテオドールから直々につけられた護衛だと聞かされれば、警戒を解いていた。
部屋に入ればまだ空は明るいというのに空にした酒瓶を何本もテーブルに置き、葉巻を吹かすアンベールが居た。 思わず溜息を吐いてしまい、それに反応したアンベールが片眉を上げる。
「ふん、殿下と恋仲になってから少しは見れる様になったかと思ったが……これはまた殿下の寵愛は深いらしいな」
全身をじっとりと見られ、嫌らしく目を細められた。
ミリア達の提案で、フェリチアーノが今身につけている衣服はアンベール達の趣味に合った派手派手しい物だ。普段なら絶対に身に付けない様な服と宝飾品は、どうやらアンベールのお気に召したらしかった。
アンベール達に分かりやすい様に、目に見える形でテオドールからの寵愛の形を彼等が好む物で見せつける。これで金に目がない彼等は寵愛を心底信じ込み、そしてボロを出すだろうとミリア達は言っていたのだ。
「それでお前はいつ帰って来るんだ? いつまでも城で世話になる訳にもいかないだろう? 仕事も放り出したままだ」
「……そうですね、なるべく早く帰ろうとは思いますが」
「そうしてくれ、仕事が滞れば収入が減るだろう。お前が居ないせいでどれだけ大変かわかるか? 領民もお前が居れば安心するだろう。デュシャンはお前の肩にかかっているんだぞ? 家族と家は大切にしなければ、そうだろう?」
少し前であれば、アンベールの言葉に何とか自分を納得させて金策に走り、執務をこなしただろう。しかし今となってはアンベールがどの様に言ったとて、フェリチアーノの心には響きはしない。
それに守るべき領地も既に返上している。国からの重要な書類は全てテオドールを介してフェリチアーノに届けられており、アンベール達の元へ届く事もないので、既に領地が無い事など彼等は知る由もなかった。
執務をこなしているのであれば気付ける事だが、少し前に訪れた時の執務室の様子を見れば何もしていない事など分かりきっていた。
積み上がった封が切られていない手紙の束など、普通であればあり得ない。だがそのおかげで無事に領地を返上出来たのだ。
「旦那様、あまりフェリチアーノ様を責めてはいけませんよ、殿下の寵愛よろしいじゃ無いですか。デュシャン家の誉ですよ」
さり気なく会話をしながらテーブルに置かれた物を見て、フェリチアーノは動揺を抑えるのに手首に爪を立てギュッと強く握り締めた。
「このお茶も久しぶりでございましょう? 何度か届けようとしたのですが物品はダメだと断られていましたので」
どうぞとお茶と共にジャムも置かれ、フェリチアーノは更に爪を食い込ませた。これがどう言う意味で置かれているかわからない筈がない。
紛れも無い殺意を目の前に差し出して来るとは。
彼等は未だにフェリチアーノを亡き者にしようと狙っているのだ。
未だにバレていないと信じ込み、護衛として付いてきているヴィンスの前でも平気でこれを出してくる。
絶対にバレないという確信があるのだろう。現に個々に調べても毒は出ないのだからその自信もわかるが、余りにも露骨すぎる。
「確かに久しぶりだね」
手の震えがバレないように注意をしながら、ジャムをカップに入れ時間を稼ぐ様にゆっくり溶かす。手首にはリンドベルが作った魔道具が嵌められている為、この場で飲んでも死にはしないだろう。
しかし自ら進んで毒を口にするなど、今のフェリチアーノには出来なかった。生きたいと強く願う今となっては、死に繋がるとわかっている物を平気なふりをして飲めるはずもない。
「フェリチアーノ様、お時間があまりありませんので書類を見てもらっては?」
カップに口をつける瞬間、不自然にならない様にヴィンスがフェリチアーノにさり気無く止めに入る。
テオドールから詳細を聞かされているヴィンスは、フェリチアーノに出された物がどんな物か知っている。
止められた事にほっとしながら、フェリチアーノは数枚の書類を出した。名目はフェリチアーノの滞在にかかる費用は全てテオドールが負担する、そして暫く執務が出来ない事への謝礼金を渡す、と言うものだ。それを1枚目に書き、2枚目以降にはそれに伴う事項が書かれている……と言うことを簡単にアンベール達に説明をした。
謝礼金と聞き、アンベール達は目を輝かせた。書類に目を通しているが、ほぼ読んでいないと言うことは、アンベールの目の動きで分かった。
ざっと目を通したアンベールは、シルヴァンに差し出された万年筆で手早くサインをする。
あぁこれで全てから解放されたのだと、フェリチアーノは泣きそうになるのを堪えた。
戻された書類に目を通し、しっかりとサインされている事を確認したフェリチアーノは、はやる気持ちを押さえながら、ジャケットの内側から小切手を取り出し、机に置いた。
「これは?」
「また暫く不在にしますので、その間に何かあれば困るかと思い個人的に用意しました」
少なくない金額が書かれた小切手を見てアンベールはニヤリと笑う。
「フェリチアーノ様、お時間です」
小切手に夢中な彼等にフェリチアーノは撒き餌として用意しておいて良かったと思う。こんな所には少したりとも居たくはないのだ。足止めされたら堪らない。
ヴィンスに促され退出するフェリチアーノを、アンベール達はチラリと見ただけだった。
口を付けていないお茶にも気付いては居ないだろう。
馬車は急いでグレイス邸へと走る。その間フェリチアーノは馬車の中、ひたすらに耐えていた。
「フェリ!!」
いつの間にか着いていたグレイス邸の前には、心配そうに帰りを待って居たテオドールが居た。
それを見た瞬間、フェリチアーノはテオドールの元へと走りその胸元に飛び込んだ。
「無事でよかった、お帰りフェリチアーノ」
あの忌々しい場所から帰って来れたのだと、ここが帰る場所なのだと安堵したフェリチアーノの目からは涙がとめどなく溢れ、それは暫く止まる事は無かった。
11
お気に入りに追加
959
あなたにおすすめの小説
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
侯爵様の愛人ですが、その息子にも愛されてます
muku
BL
魔術師フィアリスは、地底の迷宮から湧き続ける魔物を倒す使命を担っているリトスロード侯爵家に雇われている。
仕事は魔物の駆除と、侯爵家三男エヴァンの家庭教師。
成人したエヴァンから突然恋心を告げられたフィアリスは、大いに戸惑うことになる。
何故ならフィアリスは、エヴァンの父とただならぬ関係にあったのだった。
汚れた自分には愛される価値がないと思いこむ美しい魔術師の青年と、そんな師を一心に愛し続ける弟子の物語。
義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。
竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。
あれこれめんどくさいです。
学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。
冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。
主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。
全てを知って後悔するのは…。
☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです!
☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。
囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317
あなたが愛してくれたから
水無瀬 蒼
BL
溺愛α×β(→Ω)
独自設定あり
◇◇◇◇◇◇
Ωの名門・加賀美に産まれたβの優斗。
Ωに産まれなかったため、出来損ない、役立たずと言われて育ってきた。
そんな優斗に告白してきたのは、Kコーポレーションの御曹司・αの如月樹。
Ωに産まれなかった優斗は、幼い頃から母にΩになるようにホルモン剤を投与されてきた。
しかし、優斗はΩになることはなかったし、出来損ないでもβで良いと思っていた。
だが、樹と付き合うようになり、愛情を注がれるようになってからΩになりたいと思うようになった。
そしてダメ元で試した結果、βから後天性Ωに。
これで、樹と幸せに暮らせると思っていたが……
◇◇◇◇◇◇
孤独な王弟は初めての愛を救済の聖者に注がれる
葉月めいこ
BL
ラーズヘルム王国の王弟リューウェイクは親兄弟から放任され、自らの力で第三騎士団の副団長まで上り詰めた。
王家や城の中枢から軽んじられながらも、騎士や国の民と信頼を築きながら日々を過ごしている。
国王は在位11年目を迎える前に、自身の治世が加護者である女神に護られていると安心を得るため、古くから伝承のある聖女を求め、異世界からの召喚を決行した。
異世界人の召喚をずっと反対していたリューウェイクは遠征に出たあと伝令が届き、慌てて帰還するが時すでに遅く召喚が終わっていた。
召喚陣の上に現れたのは男女――兄妹2人だった。
皆、女性を聖女と崇め男性を蔑ろに扱うが、リューウェイクは女神が二人を選んだことに意味があると、聖者である雪兎を手厚く歓迎する。
威風堂々とした雪兎は為政者の風格があるものの、根っこの部分は好奇心旺盛で世話焼きでもあり、不遇なリューウェイクを気にかけいたわってくれる。
なぜ今回の召喚されし者が二人だったのか、その理由を知ったリューウェイクは苦悩の選択に迫られる。
召喚されたスパダリ×生真面目な不憫男前
全38話
こちらは個人サイトにも掲載されています。
【完結】家も家族もなくし婚約者にも捨てられた僕だけど、隣国の宰相を助けたら囲われて大切にされています。
cyan
BL
留学中に実家が潰れて家族を失くし、婚約者にも捨てられ、どこにも行く宛てがなく彷徨っていた僕を助けてくれたのは隣国の宰相だった。
家が潰れた僕は平民。彼は宰相様、それなのに僕は恐れ多くも彼に恋をした。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる