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11 事情説明
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「良い歳をした大人二人が、まさか恋人ごっことは……」
呆れた表情をしながらも残念な子供を見る様な顔をするロイズに、やはり馬鹿げた提案をした自覚があるフェリチアーノは愛想笑いでその視線を受け流すに務めた。
「確かに恋人を作ってみてはどうかと提案したのは私ですが――」
「お互い割り切ったごっこ遊びだから一番良いと思うんだよ、なぁフェリチアーノ」
「そうですね、利害はお互いに一致していますしね」
「しかし……」
「僕の家の事……ですよね?」
困った様に微笑みながらロイズが言い淀んだ事柄を言い当てたフェリチアーノに、軽くロイズは頷いた。
「家の評判のせいもありますし、僕が否定をいくらしても信用しては頂けないでしょう。であれば、誓約魔法を使うのはどうでしょうか?」
誓約魔法は法を執行できる機関が魔道具を用い使う事が出来る特別な魔法だ。誓約を盛り込んだ文書を作り、それを破った場合内から魔法が体を侵食し、死に至らしめるの物。
本来であればこの魔法が行使されるのは罪を犯した人間であり、たかがごっこ遊びの足枷にする物ではない。
「何もそこまでしなくてもいいんじゃないのか?」
それ程に重たい物を自らに課すと言うフェリチアーノに、テオドールはたじろぎロイズも驚愕の目を向けていた。
王族の元まで話が届いているのは愚か者としての悪評判であろうが、そんな輩を近づけたくないと言うのは解る。
フェリチアーノが否定しても信用はどうしたって得られない。ならば最大限の誠意を見せる為、これが一番だろうとフェリチアーノは考えていた。
「期間限定の遊び相手ですし、気にする必要も無いのでは? 僕は先程説明されたように、恋愛ごっこが出来ればいいだけですし、他に何か企もうと言う考えもありませんから。それくらいで信用を多少なりともしていただけるのであれば、誓約魔法をかけられるくらいなんともありませんよ」
事も無げに言いながら微笑むフェリチアーノに、どこか薄ら寒さを感じたロイズだが、全てを諦めたような様子だった主が、それで憂いが晴れるならば目の前の青年を利用しても良いのではないだろうかと思えた。
今この場で誓約魔法は出来ない為、話は翌日に持ち越された。家にそのまま帰宅しようとしたフェリチアーノだが、話が終わる頃には夜会は終わっており、家族達の姿は何処にも無かった。
帰る術を失ったフェリチアーノが途方に暮れていれば、客間に泊れば良いとテオドールから言われたのだ。ここで拒否したところで帰宅する術がないフェリチアーノは、有難くその提案を受け入れた。
静まり返った王宮の一室で、フェリチアーノは自身に起きているとんでもない展開に苦笑するしかなかった。
ふかふかで手触りの良い寝具を撫でながら、憂鬱でしかなかった夜会から一転して今では夢の中の出来事の様な有様だ。
恋人ごっこをするにあたり不安がないわけではないが、今はただ未知なる遊びに楽しさの方が勝っているのだ。
これほど心が躍ったのはいつ振りだろかと考える。今まで抑えてきた”楽しむ”と言う感情が水を得た魚の様に体中を駆け巡る。
家を、家族を捨てる前に少しでも楽しみが増えて良かったと、そう心から思いながら重たく鈍い体を横たえ、深く眠りに落ちたのだった。
呆れた表情をしながらも残念な子供を見る様な顔をするロイズに、やはり馬鹿げた提案をした自覚があるフェリチアーノは愛想笑いでその視線を受け流すに務めた。
「確かに恋人を作ってみてはどうかと提案したのは私ですが――」
「お互い割り切ったごっこ遊びだから一番良いと思うんだよ、なぁフェリチアーノ」
「そうですね、利害はお互いに一致していますしね」
「しかし……」
「僕の家の事……ですよね?」
困った様に微笑みながらロイズが言い淀んだ事柄を言い当てたフェリチアーノに、軽くロイズは頷いた。
「家の評判のせいもありますし、僕が否定をいくらしても信用しては頂けないでしょう。であれば、誓約魔法を使うのはどうでしょうか?」
誓約魔法は法を執行できる機関が魔道具を用い使う事が出来る特別な魔法だ。誓約を盛り込んだ文書を作り、それを破った場合内から魔法が体を侵食し、死に至らしめるの物。
本来であればこの魔法が行使されるのは罪を犯した人間であり、たかがごっこ遊びの足枷にする物ではない。
「何もそこまでしなくてもいいんじゃないのか?」
それ程に重たい物を自らに課すと言うフェリチアーノに、テオドールはたじろぎロイズも驚愕の目を向けていた。
王族の元まで話が届いているのは愚か者としての悪評判であろうが、そんな輩を近づけたくないと言うのは解る。
フェリチアーノが否定しても信用はどうしたって得られない。ならば最大限の誠意を見せる為、これが一番だろうとフェリチアーノは考えていた。
「期間限定の遊び相手ですし、気にする必要も無いのでは? 僕は先程説明されたように、恋愛ごっこが出来ればいいだけですし、他に何か企もうと言う考えもありませんから。それくらいで信用を多少なりともしていただけるのであれば、誓約魔法をかけられるくらいなんともありませんよ」
事も無げに言いながら微笑むフェリチアーノに、どこか薄ら寒さを感じたロイズだが、全てを諦めたような様子だった主が、それで憂いが晴れるならば目の前の青年を利用しても良いのではないだろうかと思えた。
今この場で誓約魔法は出来ない為、話は翌日に持ち越された。家にそのまま帰宅しようとしたフェリチアーノだが、話が終わる頃には夜会は終わっており、家族達の姿は何処にも無かった。
帰る術を失ったフェリチアーノが途方に暮れていれば、客間に泊れば良いとテオドールから言われたのだ。ここで拒否したところで帰宅する術がないフェリチアーノは、有難くその提案を受け入れた。
静まり返った王宮の一室で、フェリチアーノは自身に起きているとんでもない展開に苦笑するしかなかった。
ふかふかで手触りの良い寝具を撫でながら、憂鬱でしかなかった夜会から一転して今では夢の中の出来事の様な有様だ。
恋人ごっこをするにあたり不安がないわけではないが、今はただ未知なる遊びに楽しさの方が勝っているのだ。
これほど心が躍ったのはいつ振りだろかと考える。今まで抑えてきた”楽しむ”と言う感情が水を得た魚の様に体中を駆け巡る。
家を、家族を捨てる前に少しでも楽しみが増えて良かったと、そう心から思いながら重たく鈍い体を横たえ、深く眠りに落ちたのだった。
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