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第2章

1.新たな日々の始まり

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あのひと騒動から早数日。


「おはようベル、今日も良い朝だな」

「……………そうだな」



魔界の朝は遅い。
冬から春にかけて徐々に魔界に陽の光が届くようになるため、部屋に陽が差し込み出すのは朝と呼べる時間には少し間に合わない。


そんな魔界のとある家で交わされる挨拶。


あの1件の後、カマエルはここに居着いてしまった。
目を離した隙に僕がいなくなってしまうのではないかと気が気ではないらしい。

まぁ、そんなカマエルの気持ちもわからなくもない。前回の己の行動を鑑みて目をつぶることにした。自業自得。


本音を言うと僕もカマエルがいてくれると嬉しいし…。



僕はカマエルが好きだ。


それは初めからというわけではなかったけど、一直線に僕を想ってくれるカマエルにだんだん惹かれていく自分がいた。


でも僕は壊滅的に想いを伝えるのも下手だし、何せ自分の想いになかなか気づけなかった。


そんな僕が、いやいやながらもカマエルと過ごして(カマエルの押しかけ)、あいつがそばにいないと不安になって、誰かと一緒にいるのをみて魔力暴走を起こしてしまうくらい僕はあいつを思っていたことに気がついた。


その魔力暴走は僕の死んだと思ってたお母さんの登場によってなんとかなったんだけどね。


過去のトラウマにより無意識に抑えつけていた、僕の決して少なくない魔力が気持ちのブレによってタガが外れて溢れて出てしまったみたい。


そんな僕にお母さんから、ちゃんと自分の想いを相手に伝えなさいと言われてしまった。
思っていることは言わなければ伝わらないと。
ほんと頭が上がらない。


そうして再開した僕はカマエルに想いを伝えて晴れて両思い。恋人…って言っていいのかな?


そんなふうに僕とカマエルの関係は変わった。

………はず。


今まで誰かと付き合うとか全然考えたことなかったからどうしていいかわからないし、未だにヤツがいることになれなくてヤツの一挙一動にいつも僕ばかりドギマギしてる。
僕ばっかりってのもなんか悔しいし、ムカつくから気に入らないんだけど、


やっぱりそばにいると安心するし、幸せだなと思える。


恋人になってから明確に変わった点はカマエルのスキンシップの度合いだろう。
性的なものが増えた。
中でもキスはあいつのお気に入りみたいで、僕を見るたびしてこようとする。


「ベル…」

チュッ

「んっ、…ふぅ、ん、」


唇を合わせての優しいキスから僕が息をしようと口を開けた僅かな隙間からカマエルの舌が僕の口にするりと潜り込む。口内をカマエルの少し冷たい舌が蹂躙していく。


「ふぁ……」
「鼻でちゃんと息をしろと教えただろう?」
「ふぇ?……」
「…………可愛いな、食べてしまいたい」


やっと息ができた頃には、
どこもかしこも触れられて僕はいつもキスだけでふにゃふにゃになってしまうんだ。
カマエルが最後何か言ったみたいだけどキスでいっぱいいっぱいの僕には聞き取ることができなかった。


なんだか不穏な気はするけど
まぁ、こんな生活も悪くはないかな。


ふわふわする頭で考えながら僕は笑みを浮かべていた。




魔界での1日はまだ始まったばかりである。


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