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第1章
43.僕の想い
しおりを挟むあれから僕たちは一緒に僕の家に帰って、同じ布団で寝た。
いや、健全だよ。
何もなかったよ…多分
…………実は、覚えてないんだ。
母とお別れして、カマエルとまた出会えて嬉しくて、
2人で家に帰ってきた途端安堵で気が抜けたのか僕はスコンと寝落ちちゃったみたい。
寝落ちる寸前あいつが何か言ってたような気がするけど、僕は睡魔に襲われて気づいたら朝。
目が覚めて、一瞬ココはどこだと考え身構えてしまったけど、よくよく考えて家に帰ってきたことを思い出して自室のベッドだと気づいて安心した。
安心したらふと僕の隣に誰かが寝ているのに今更ながら気づいた。
僕の眼前にはシックスパック?エイトパック?かな少しはだけた服の間から見事な腹筋が露わになってて、それは何かイケナイモノを見たような不思議な気分になって視線をそらすため慌てて上を見ると、煌めく金髪を無造作に流したまま眠っているカマエルの姿を認識してほっとした。
そんな自分の意識の変化に気がついて、あぁ、本当に関係が変わったんだなと改めて実感した。
まだ眠ってて、んっ、と少し色っぽい声をこぼしたカマエルに僕は不覚にもドキッとしてどうしたらいいのか分からなくなった。
僕はそらした視線をそっとカマエルに戻しては見慣れなくて、何故か無性に恥ずかしくてやっぱりそらしてしまう。
僕はこいつが好き。
ああ"ぁぁぁ、自分で考えると破壊力がすごくて恥ずかしさでいっぱいいっぱい。
でも、こうしてカマエルが僕の部屋で気を抜いて寝てる姿を見ているとカマエルに僕は安らぎを与えられてるのかなとも思う。
はじめは鬱陶しいと思っていたこいつの存在がいつのまにか僕にとってかけがえのない唯一のものになっていて、今では失うことが怖いとも感じてしまう。
でも、今までの僕なら失うことを恐れて手に入れようとは思わなかった。
死んだと思っていたお母さんに出会えて、カマエルに再開して、自分の気持ちに素直になってみたら答えは簡単なものだった。
僕はこいつが欲しい。
こいつが僕でいいというのなら、
僕もお前がいいよ。
「エル、……好きだ」
腰にまで靡く金髪を一房そっと手に取って口付けてつぶやく。
僕の素直な気持ち。
普段なら絶対言わないし、なんなら好きだなんて言いうなんて恥ずかしすぎて僕には無理。
こいつが僕に無防備な姿を晒してるから、全身で、僕のそばなら安心できると言ってくれてるからこそ溢れた言葉は、空気に溶けて消える前に本人に届いてしまっていた。
「ベル、それは俺が起きてる時にいうものだろう」
「なっ、なっ、なっ、なぁぁぁぁ!おま、おまえ起きて!」
プチパニックを起こした僕の腰に手を回してガッチリホールドすると額にチュっと口付けて
「熱烈な告白ありがとう」
聞かれていると思わなかった僕は恥ずかしさでオーバーヒートしてプシューっと音を立てて意識を飛ばしてしまった。
僕恥ずかしぬ…。
「やっと好きだと言ったな。嬉しい。
かわいいな…やっと手に入った俺のベル。
もう逃さない。おまえの全ては俺のモノだ。」
意識を失った僕にカマエルの不穏なセリフは届かなかった。
でも、僕は幸せそうな顔をしてたらしい。
後日楽しそうに僕の世話を焼くカマエルがほざいてたな。言ってろ。
苦しかった日々の中で、
やっと手に入れた幸せ。
失うことは怖いけど、でも、前を向いて行こうって思えた。
カマエルと一緒なら。
なぁ、これだけは絶対におまえに言わないけど、『おまえと出会えてよかった』
僕はそう思ってるよ。
絶対に言わないけどな!
実は、天使族のカマエルにはベルの考えなんて筒抜けでそれに気づかずむにゃむにゃと夢で語るベルをみる。
「ふふ、知ってる。おまえは本当に可愛いな」
ベルゼビュートの髪を撫でながら、そうこぼしたカマエルのエメラルドグリーンの瞳は優しく細められ、
魔界では久しぶりの月明かりが窓から優しく、寄り添って眠る2人を照らしていた。
第一章完
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これにて第一章は完結になります。
あれ、どさくさに紛れて天使族のバカ女どうした?と思った方、
カマエルに気絶させられて前後の記憶を消した上で天界に転移で送り返されています。
一応無事です。
多分この先出てくることない…とは言い切れないのですが、カマエルはこの女のことが大嫌いです。
ベルと時間の邪魔すれば容赦なく次は消すと決めているので、未来存在してないかも…しれません。しれっと消されてるかも。
気になる方、この先のストーリでお確かめください。
これから第二章に突入していくにあたってまだ出てきていない、キャラクターや、設定、真実などが徐々に明るみになります。
それと、晴れて2人が恋人になったため…
二章からはR18が増えます!
カマエルが我慢できないタイプなので、ちょくちょく挟んで行く予定です。
第一章を読んでくださった皆様。
お気に入りやしおりなどがたくさんモチベーションにつながりました。
よければ第二章もぜひ読んでみてください。
引き続きよろしくお願いいたします。
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