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第1章
28.文化の違い
しおりを挟む「ふぁ…んっ、んんッ!…はぁ…」
「ほらもっと口あけろ」
「んんっ!」
もっむりぃ…
空気が足りずはくはくする唇をカマエルの舌が撫でる。
「ここまでだな」
「はぁ、はぁ…」
キスの余韻の気持ちよさが抜けず、まだぼーっとしてうまく頭が回らない。
腰も抜けてしまって力も全然入らない。
「もっ、バカ…どうしてくれるんだ………
たてないだろぅ……」
「すまないな」
「ぜったい、悪いなんてこれっぽっちも思ってないだろ。………ん!責任持って俺を運べ」
「~~っ!」
にやにやして思ってもない謝罪をするカマエルにカチンときて手を広げて運べと命令すると、やつは口に手を当てて倒れ込んでしまった。数秒後にはなんてことない顔をしていたので、発作かなにかだろうと思う。体調が悪いなら帰ればいいのに。
僕は持ち上げてくれるだけでよかったのに、こいつはあろうことか、僕をお姫様抱っこしやがった。「責任持って連れて行く、姫」なんて甘くて砂糖の吐きそうなセリフを口にしながらな。
見た目が王子様然としてるカマエルが言うととても様になっていて、男の僕からみてもすごくカッコいい。そんな見た目王子様なやつに甘い言葉を吐かれ運ばれてる僕はどんな顔をしていたのかは僕は知りたくない。
カマエルが家を開けていたことにより寂しさが爆発して泣いてしまった僕。それから少ししてカマエルは帰ってきたのだが、泣いているのを慰められてからやつのスキンシップが目に見えて増えた。
1番はキスだと思う。
朝起きるとまず、おはようのキスから始まる。
はじめは優しくリードするようなキスだったのだが、だんだん遠慮が消え、激しく僕を翻弄するキスに変わっていった。
やり場のわからない僕の舌はカマエルの舌に掻き抱くように絡め取られ、キスはぴちゃぴちゃと卑猥な音をさせながら快感を連れてくる。
寝起きが良くない僕もこれでしっかり朝目が覚めるようになった。
だってぼーっとしてたら身体の内側から叩き起こされるような強烈な快感が全身を巡って、これで起きない人はいないと思う……。
だんだんと身体がキスで拾う快感が増えて、今日はついに腰が抜けて立てなくなってしまった。僕のナニもぴょこっと主張しているが…………これは無視だ。
上着の裾を少し下に引っ張って隠して落ち着くまでやり過ごすんだ。なんとなくカマエルにはみられたくない。
いざ、僕を抱え運ぶカマエルは楽しそうで、一体何がそんなに面白いのか大変気になるところではある。
ちなみに僕はちっとも面白くない。
何が悲しくて、僕みたいな冴えない悪魔がキラキラ天使に抱え運ばれにゃいかんのだ。
至近距離で見るとキラキラで目が潰れてしまう。
だからキスはやめてほしいのに、
やめろと言ってもやつは聞かないし、だんだん激しくなっていってるし………。
本当は気持ち良くて嫌じゃないから僕も強くは言えなくて………言わないと行けないんだろうけど。
さぁ、今日こそ言うぞ!
「なぁ、このキスってすごく気持ちいいけど本当は…どんな時にするものなんだ?」
「ん?どういうことだ……あ~、友人同士の挨拶だな。」
「……本当か?これする時めっちゃ恥ずかしいんだが………みんな、その…シてるのか…?」
「あぁ、間違いない。」
「そ、そうか…わかった」
一瞬考える素振りを見せたが真面目に答えるカマエルに僕は、やつの言葉を信じ込み、天使は変わった風習があるんだなと文化の違いを感じていた。
でもほかの天使とカマエルが….と考えるとモヤっとなったこれはなんだろう?
(いや、本当は天使にも挨拶のキスなんて習慣はない。それにほかの天使となんて、うぅ…考えるだけで鳥肌がたつな。かと言って本当のことを言ってしまうのも…でも、これでベルが他の天使と挨拶でキスしたらその相手を殺してしまうかもしれない。ふむ……)
ベルの考えはカマエルにはお見通しだった。
だがカマエルの心の葛藤に、
恥ずかしさでいっぱいのベルは気づくことはなかった。
のちにそんな文化の違いは存在しないとバレてしばらく口を聞いてもらえない未来は、
きっと遠くない現実だろう。
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