上 下
16 / 53
第1章

番外編1. 新年だって

しおりを挟む



年始に書いていたのですが投稿の機会がなくするつもりもなかったのですが、やっぱりせっかく書いたので投稿してみました。

1話完結です。
時系列は6話あたりですが本編にあまり関係ないいつかの日のお話です。
気にせずお読みください( ⁎ᴗ‪ ᴗ⁎ )

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あけましておめでとう」

???

いい天気だったので洗濯物を干そうと外に出たとき、
突然現れたカマエルに言われた謎の言葉。
理解しようと頑張ったが、よくわからない。

「何があけて、おめでたいんだ?」
「年があけたんだよ、おめでたいそうだ」
「年なんて毎年あけるものだろう??」

やばい、こいつが何言ってるか全然わからない。

頭の中をひっくり返してみても、年があけておめでたいと思ったことはないし、そもそも悪魔は年の感覚が鈍い。

年を数え忘れて自分が何歳かわからなくなる悪魔は多い。

なので、この年越しを祝うのは悪魔族以外の文化なのだろう。
天使族の文化っぽくはないので人族の文化なのだろうと僕は当たりをつけた。

「それは、人族の文化か?」
「よくわかったな。そうだ、人間が新年によくやる挨拶だそうだ」

やっぱり人族の文化であってたみたいだ。
だからといってなんなんだという話。

「で、どうしたんだ?」
「つれないな。あけましておめでとうと言われたら、あけましておめでとうと返すものだぞ」

そんなこと言われても僕知らないし…
突然の異界文化を押し付けないで欲しい。
なんで僕が知ってる設定なんだ。
こいつの中での僕はどうなってる。
もしかして…さっきの説明で全部説明した気になっているのでは?

ふと気付いたこいつの癖。
カマエルは1説明して相手が10わかっていると思い込む。
された側は溜まったもんじゃない。

ちゃんと1から10まで説明しろ。

今回もよく聞かないと、後出しで情報が出てくるからな。
とりあえず、あけましておめでとうと返すと聞いたから
「あけましておめでとう」と言ってみた。

それを聞いたカマエルはいつもはキリッとした目元をふっと緩め

「あぁ、今年もよろしくなベル」
「~~っ#&/○*< ?!」
「どうした?ベル?」
「あっ、いや、その…」

びっくりした!
ほんと心臓に悪い。

美青年のこいつが笑うと破壊力がとてつもないんだ。
僕にその笑顔を向けてくるのは何故だかわからないけど、きらきらに目が潰れそうになる。

慌ててあいつと距離を取ったけど、ドキドキとしてなかなか落ち着かない感情はなんだろう。

いや…ではない。

でもやだ、わからないことは怖い。

心配してくるやつをよそにうるさく鳴る心臓を抑える。

大丈夫、大丈夫。

「今年もよろしくって勝手にお前がよろしくしてくるんだろう」
「そうだな、それでも…」

途中で言葉を切ったカマエルが近づいてきてあいつの手が僕の頬に触れた。

いつもの不遜な態度からは想像もつかないほど優しい触れ方で、親指のはらが頬を滑る。


「俺は、お前・・・ベルに今年もよろしくと言われたい。
いや、毎年、これからずっとだな」
「………そ、れは」


恥ずかしい言葉をサラッと紡ぐから理解するのに時間がかかってしまった。


僕とカマエルの間に静かな時間が流れた。

でもそれは苦痛ではなくて、どのくらいかわからないけど体感では長い時間がたって
やっと絞り出した言葉はさっきまでの勢いが全くなかった。

「…勝手にしろ」
「そうか、じゃあ・・・言ってくれるな?」

さっきとは一転、目に強い光を宿したカマエルからは逃げられそうにない。
やっぱりすんなり逃してはくれないみたいだ。
しょうがない、

「今年もよろしく」
「あぁ、よくできました」

僕の頭を撫でながら、ふわっと笑うこいつの笑顔の破壊力は悪魔が裸足で逃げ出すほどだ。

「撫でるな!僕は子供じゃない!」
「つい、撫でやすい位置に頭があったからな」
「なんだと?!身長自慢か!もうお前帰れ!」
「ベルが俺のことエルって呼んでくれたら帰る」
「呼ぶ日は来ないから帰って」

カマエルは笑いながらベルをからかい、
ベルはそんなカマエルにほっぺを膨らませてぷんぷん怒っている。
それがいじらしくてカマエルがわざと怒らせていることにベルは気づかない。
カマエル本人もベルも気付いていないがカマエルの瞳がとても穏やかで、優しくベルを映していることに。



「もう、用は済んだだろ?か・え・れ!」

なかなかやつが帰らない。
ほんとこいつがいるだけで日常が騒がしくなる。


こいつのおかげで僕の心は疲労困憊だ。


でも、


こいつといる毎日がなんだかんだ僕は楽しいんだ。








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

水泳部合宿

RIKUTO
BL
とある田舎の高校にかよう目立たない男子高校生は、快活な水泳部員に半ば強引に合宿に参加する。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

処理中です...