10 / 53
第1章
8.痛いのはイヤ…
しおりを挟むなんとしてもこの場を抜け出さないと…
でも全くどうしたらいいのかわからない。
他の悪魔と違って争うことに不慣れな僕はこの状況を打開する手立てがとんと思い付かなかった。
それでもにじり寄ってくる奴らが気持ち悪くて、本能は早く逃げろと警告を鳴らしている。
奴らは僕を全くの弱者として侮っている。
そこが隙になってるはず。
きっと、
チャンスは一回。
戦闘慣れした奴らを欺くのは一回が限界だろう。
1、2、3!
カウント3と同時に一気に駆け出す!
悪魔どもの間をすり抜け視界が開けたと思ったその時、
目の前にすり抜けたはずのやつがいた。
「いやぁ、飼い猫に噛まれるってこんなにイラつくんだねぇ…」
「!?…ッッ!!」
先程の表情から一転、
笑みを消した悪魔の顔を認識したと同時に腹部に強い衝撃を感じた。
気づけば僕の身体は後方に吹っ飛ばされていて軽く10mは飛んだと思う。
早すぎて何が起きたのか理解できなかったが、腹部から伝わってくる痛みがあの悪魔に蹴られたといやでも認識させられた。
痛みを堪えていると
ふと自分にかかる影に目をやれば、あの悪魔がいて
「雑魚は飼い猫らしく従順にしてればいいんだよ…なぁ!」
「ガハッっ!!」
ガンッ、ドゴォッ!!
2度、3度と蹴られた。
痛みで気づかなかった僕は、
あの悪魔の接近を2度も許してしまった。
それが悪いんだ。
ほんと、
戦闘慣れしてないにも程がある。
これがほんとに命を狙ってきた悪魔だったら一瞬で、最初の一撃で息の根を止められていた。
弱肉強食の魔界は強さこそが正義、
弱いものは淘汰されるのだ。
むしろ今まで誰にも絡まれなかったのが奇跡だ。
蹴られた腹は痛いが
俺を飼い猫と言う奴には腹が立つ。
「………誰が…飼い猫だ!」
「ほんとにうるさいなぁ…あぁ?」
「グッっ…!」
「雑魚は黙ってろ、よ!」
「………っ」
「あの天使さえいなければお前みたいな雑魚なんて…」
痛みであまり頭が回らない。
あの悪魔に強がるのが精一杯だ。
何か言ってるみたいだけど、もうよくわからない。
この時間が早く終わってくれと思うばかりだった。
あぁ、カマエル…
僕がお前みたいに強かったら…、キレイだったらこんな惨めな思いはしなくてもよかったのかな。
自分にもっと自信が持てたのかな…
痛い…怖い、
…痛いのはいや…
カマエル…
僕が1番に思い浮かべたのはカマエルだった。
こんな時お前がそばにいないことを寂しく思うなんて
いつもそばにくるなって言ってるのに僕って変だな…
ひとしきり殴って蹴って満足したのか、
地面に倒れた僕を放置して悪魔たちはどっか行ってしまった。
奴らが行った安堵により
僕は張り詰めた緊張の糸が切れたのと痛みで意識を手放した。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる