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第1章

6.あれ、料理…

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どのくらいそうしていたのだろうか。

僕の手からは包丁が外され、カマエルに正面から向かい合うように抱きしめられていた。

だんだん落ち着きを取り戻してきて今の状況を理解して柄にもなく泣いたことに恥ずかしくなってしまった。

「も、ダイジョーブデス」

後ろに回されていた腕をやんわり解き
カマエルの腕の中から慌てて距離をとった。

「なんだ、もっといてくれてもよかったのだぞ」
「いや、ほんとに、もう…だいじょうぶ」
「そうか?」

頭が冷えてきて冷静に考えられるようになってくるとさっきまでの自分に何やってんだと言いたくなる。

挙動不審になるのは許して欲しい。

恥ずかしくて俯いていると頭上からクスクスとカマエルの笑い声が聞こえてきた。
何がおかしいんだと問い詰めると

「いや、塩らしいお前も悪くなかったが、やっぱりお前は強気なくらいでちょうど良いな」
「はぁぁぁ?何言ってるんだ!」
「アハハハ、強気なお前の頭をこう叩くのは何故か優越感を感じるなぁ」
「僕の頭をぽんぽんするんじゃない!!」
「アハハ」
「それと近寄るな!」

僕がとった距離をサッと縮めてきて
笑いながらぽんぽんと僕の頭を叩くこいつは絶対僕のことを子供扱いしてるに違いない!
年は同じくらいなのに!
自分の方が背が高いからって!
頭1個分だろ?!
………いや、多分頭1個以上かな。

身長をよく比べてみて広がった身長差という信じがたい現実に打ちのめされた。

ガーン
僕の方が大きかったのに!
(※かなり昔のこと)

~~っ!みてろよ!!
僕だってカマエルより高くなってあいつを見下ろしながら笑ってやるんだ!
(※目標が低い)


くっそう!!



料理のことなど、完全に忘れてた僕は僕をからかって遊んでいるカマエルをやっと追い返した後、
今日の本題の料理を作ってないことに気がつき、またあいつを誘わないといけないことに落ち込むのであった。



カマエルがまた
「(ベルの作った)料理が食べたい!!」とベルの家に押しかけてくるのはまた先の話。



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