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第1章

2.エメラルドグリーンの瞳

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カマエルが僕の名をベルと呼んでくれた時すごくすごく嬉しかった。

もう誰にも呼ばれないと思ってたから。

なのにあいつが突然呼ぶから冷え切っていた胸がぽかぽかしてなんとも言えないむずがゆい気持ちに戸惑った。

不思議と涙が出たけど、
でもこれが嬉しいって気持ちなんだと後から気づいた。

花たちがいればいいなんて言ってても、ほんとはずっと寂しかった。

悪魔は人間や天使と違って群れたりしない。
基本は1人だ。

だけど、僕は寂しかった。

僕が異端と言われる理由もそこかもしれない。

物心ついた時には家族はいなくて、僕は1人だった。
死んでしまったのか、捨てられたのか…僕には知らない。

悪魔らしくない。

ずっといろんな悪魔に言われてきたこと。

そんなことは僕が1番わかってる。
どうしようもないけれど…。

「何か変なこと考えているだろう。」

マイナス思考に陥っていた僕の意識はカマエルによって引き上げられた。

いつのまにか目の前にいて綺麗なエメラルドグリーンの瞳が僕を見てる。

ドキドキして慣れない。

「なんでもない」
「なんでもなくはない、どうせろくでもないことをウジウジ考えているんだろ。時間の無駄だ。」

勝手に言ってのけるこいつは、どこまで自信家なのだろう。

エメラルドグリーンの瞳に見つめられると心の中全てを見透かされているみたいで落ち着かない。

早く離れなきゃ。

「僕忙しいから。」

慣れない胸の鼓動を抑えながら、
適当に理由をつけてその場を後にした。


後ろで呆れたような気配がしたが
あいつは追っては来なかった。


本当にあいつは何しにきたんだろ…。



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