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105.愛されて愛している(最終話)
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私の成長はゆっくり。皆がそう望むから、無理に大きくならなくていい。まだメリクに抱っこしてほしいし、甘えて過ごしたかった。
ロレイを得たシュハザは、管理する世界を増やした。一気に力が増えたんじゃなく、心配が減って気が楽になったみたい。管理する世界が多いと、すごく痛かったり辛かったりするんだって。それをロレイが消してくれるの。偉いよね。
ルミエルも新しい世界を増やしたいと頑張っている。最近は遊ぶ内容も変わった。一緒にお着替えしたり、服を選んだりするの。大きくなって着れる服が増えたので、嬉しい。私に合わせて、ルミエルも成長したんだよ。
サフィは女神になって、新しい種族を増やそうと思ってるみたい。天使を作って、神様の遣いにしたいんだって。背中に羽が生えた人と聞いて、ちょっと悩んだ。私が知っている鳥の羽だと、人には小さいんじゃないかな。
ゼルクは愛し子が生まれそうと大興奮だよ。神様は対になる愛し子が生まれる前に、色々と準備するんだって。愛し子は必ず神様と同じ色になるから、見た目はゼルクの小さい子? 可愛い妹が増えるぞ、と笑ってた。
私はお姉ちゃんだから、愛し子が生まれたら仲良くできるよ。
「イル、食事にしよう」
「はーい」
この大きさの体にも慣れた。最初はメリクが言った通り、走ると転んじゃうし、歩いてもぐらぐらした。いつも腕を組んでいたけど、もう平気なの。靴の踵が尖った靴が欲しいとお願いしたら、歩かないなら用意するって。
歩かないなら、靴は要らないのに。変なことを言うメリク。でも他の神様も皆、口を揃えて同じことを言った。私が踵の尖った靴を履くのは、もっと先みたい。楽しみがあるのはいいよね。
メリクはもう一つ新しい世界を作った。そこに人族を入れるんだって。聖獣や精霊族も足して、魔族も。魔物だっているんだよ。まだ小さくて成長の途中だけど、毎日覗いても飽きないの。
駆け寄ってお膝に座る。メリクの手がスプーンを握った。あーんと口を開けて、温かいスープを飲む。お芋の味がして甘い。にっこり笑った私は、美味しいと伝えた。フォークを握って、お魚をメリクの口に運ぶ。
サラダも肉もパンも、全部美味しく食べた。最後にお茶も飲んで、お腹いっぱい。果物があるぞと笑うメリクに「あとで」と返した。今は入らないよ。
毎日が楽しかった。怖かった昔を忘れてしまうくらい、本当に楽しいし嬉しい。もう私を殴ったり叩いたりする人は誰もいなくて、神様も愛し子達も私に優しいの。
メリクがいるから、ご飯もあるし住む場所もある。お洋服をルミエルと選んで、サフィのプレゼントを身に着けて。時々ゼルクが変わったお土産をくれる。この間は弓と矢だった。紐で引っ張った棒なのに、矢が飛ぶの。遊んでいたら、メリクに片付けられちゃった。
シュハザはお料理に使う道具をくれた。お鍋やお皿が多い。他の人が誰も持ってこない物を贈ると言ってた。そういえば他の神様達は、お皿は持ってこないね。
シアラが持ってきた果物は新しい種類で、お酒が作れる木の実がなる。最初に出来た実は、メリクと食べちゃった。木を増やして、いつかお酒を作ろうと約束した。私が大きくなるまで無理と笑ってたけど。
愛されて、私もメリクを好きで……。この気持ちはメリクから伝わるのと同じ。だから私も口にする。
「愛している、メリク」
「俺もだ、イル。ずっとずっと一緒にいような、愛しているぞ」
いつも私の望む言葉をくれるから、私は笑顔で返す。この気持ちを全部言葉にするより、抱きついて心で伝える方が確かだから。メリクとお揃いの黒髪と金の目も大好き。
――愛しているわ。愛されて私は最高に幸せよ。
The END or?
*********************
お読みいただき、ありがとうございました。幸せになるところまで書く、と決めていたので終わりです_( _*´ ꒳ `*)_
不幸せから始まった成長と幸せ。周囲も変化する大きな物語になりました。
*********************
新作のお知らせ_( _*´ ꒳ `*)_
【竜王殺しの勇者は英雄か】(仮)
タイトルに迷っているので、改題する可能性あります。
魔王を退治にしに来た勇者が、間違えて竜王を退治した人違いから始まる物語
https://www.alphapolis.co.jp/novel/470462601/801801246
ロレイを得たシュハザは、管理する世界を増やした。一気に力が増えたんじゃなく、心配が減って気が楽になったみたい。管理する世界が多いと、すごく痛かったり辛かったりするんだって。それをロレイが消してくれるの。偉いよね。
ルミエルも新しい世界を増やしたいと頑張っている。最近は遊ぶ内容も変わった。一緒にお着替えしたり、服を選んだりするの。大きくなって着れる服が増えたので、嬉しい。私に合わせて、ルミエルも成長したんだよ。
サフィは女神になって、新しい種族を増やそうと思ってるみたい。天使を作って、神様の遣いにしたいんだって。背中に羽が生えた人と聞いて、ちょっと悩んだ。私が知っている鳥の羽だと、人には小さいんじゃないかな。
ゼルクは愛し子が生まれそうと大興奮だよ。神様は対になる愛し子が生まれる前に、色々と準備するんだって。愛し子は必ず神様と同じ色になるから、見た目はゼルクの小さい子? 可愛い妹が増えるぞ、と笑ってた。
私はお姉ちゃんだから、愛し子が生まれたら仲良くできるよ。
「イル、食事にしよう」
「はーい」
この大きさの体にも慣れた。最初はメリクが言った通り、走ると転んじゃうし、歩いてもぐらぐらした。いつも腕を組んでいたけど、もう平気なの。靴の踵が尖った靴が欲しいとお願いしたら、歩かないなら用意するって。
歩かないなら、靴は要らないのに。変なことを言うメリク。でも他の神様も皆、口を揃えて同じことを言った。私が踵の尖った靴を履くのは、もっと先みたい。楽しみがあるのはいいよね。
メリクはもう一つ新しい世界を作った。そこに人族を入れるんだって。聖獣や精霊族も足して、魔族も。魔物だっているんだよ。まだ小さくて成長の途中だけど、毎日覗いても飽きないの。
駆け寄ってお膝に座る。メリクの手がスプーンを握った。あーんと口を開けて、温かいスープを飲む。お芋の味がして甘い。にっこり笑った私は、美味しいと伝えた。フォークを握って、お魚をメリクの口に運ぶ。
サラダも肉もパンも、全部美味しく食べた。最後にお茶も飲んで、お腹いっぱい。果物があるぞと笑うメリクに「あとで」と返した。今は入らないよ。
毎日が楽しかった。怖かった昔を忘れてしまうくらい、本当に楽しいし嬉しい。もう私を殴ったり叩いたりする人は誰もいなくて、神様も愛し子達も私に優しいの。
メリクがいるから、ご飯もあるし住む場所もある。お洋服をルミエルと選んで、サフィのプレゼントを身に着けて。時々ゼルクが変わったお土産をくれる。この間は弓と矢だった。紐で引っ張った棒なのに、矢が飛ぶの。遊んでいたら、メリクに片付けられちゃった。
シュハザはお料理に使う道具をくれた。お鍋やお皿が多い。他の人が誰も持ってこない物を贈ると言ってた。そういえば他の神様達は、お皿は持ってこないね。
シアラが持ってきた果物は新しい種類で、お酒が作れる木の実がなる。最初に出来た実は、メリクと食べちゃった。木を増やして、いつかお酒を作ろうと約束した。私が大きくなるまで無理と笑ってたけど。
愛されて、私もメリクを好きで……。この気持ちはメリクから伝わるのと同じ。だから私も口にする。
「愛している、メリク」
「俺もだ、イル。ずっとずっと一緒にいような、愛しているぞ」
いつも私の望む言葉をくれるから、私は笑顔で返す。この気持ちを全部言葉にするより、抱きついて心で伝える方が確かだから。メリクとお揃いの黒髪と金の目も大好き。
――愛しているわ。愛されて私は最高に幸せよ。
The END or?
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お読みいただき、ありがとうございました。幸せになるところまで書く、と決めていたので終わりです_( _*´ ꒳ `*)_
不幸せから始まった成長と幸せ。周囲も変化する大きな物語になりました。
*********************
新作のお知らせ_( _*´ ꒳ `*)_
【竜王殺しの勇者は英雄か】(仮)
タイトルに迷っているので、改題する可能性あります。
魔王を退治にしに来た勇者が、間違えて竜王を退治した人違いから始まる物語
https://www.alphapolis.co.jp/novel/470462601/801801246
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